同潤会代官山アパートメント の商品レビュー
またまたフォローしている方々のレビューを読んで興味を持った作品。 「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの作家さんだが、こちらはアパートを舞台にした四世代の家族の物語。 連作なので話毎に主人公は変わるが、全体としての主人公は八重だろう。 関東大震災で妹を亡くし、その妹の婚約者と結...
またまたフォローしている方々のレビューを読んで興味を持った作品。 「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの作家さんだが、こちらはアパートを舞台にした四世代の家族の物語。 連作なので話毎に主人公は変わるが、全体としての主人公は八重だろう。 関東大震災で妹を亡くし、その妹の婚約者と結婚するという展開はギョッとしたが当時はそう珍しいことでもなかっただろうし、決して安易な婚姻ではなくきちんと気持ちが通じ合ってのことなので安心出来る。 建てられた当時は最先端のコンクリート造りでモダンなアパートだっただろうが、木造平屋でしか暮らしたことのない八重は三階の部屋が落ち着かない。更に規則が多くて煩わしいのも憂鬱にさせる。しかし夫の光生がこのアパートに住みたかった理由と亡き妹の想いが分かると、ぎこちなかった夫婦も一歩進んでいく。 その後戦時中、終戦直後、学生運動、昭和から平成へと時代は移り変わり物語の主人公も娘、その息子たち、さらに孫、ひ孫とバトンタッチしていく。 同時に最先端なアパートも次第に老朽化し時代に合わなくなる。日当たりの良かった三階は銀杏が枝を伸ばしすっかり覆われている。買い取った住民たちによる増改築があり、ついには取り壊され建て替えられる。 「ビブリア~」シリーズの作家さんらしく、時折ハラハラする場面もある。八重の結婚もそうだし、娘・恵子と結婚することになる青年の危うさもある。孫の代には火事が起こるし喧嘩沙汰も。そして最後は阪神大震災が起こり、家族が巻き込まれる。 時代や家族の節目に描かれるのはあからさまな家族の絆や思いやりではなく、まるで舞台となったアパートメントのようにひっそりとだがいつでも受け入れるという懐の温かさだった。そういう意味では口数の少ない八重はまるでこのアパートメントそのもののような人だった。 1927年から1997年の半世紀という時間に代官山アパートメントにはたくさんの人々や家族が住まい出ていった。 八重の家族のようにここで家族が増えた人もいるだろうしここで亡くなった人もいるだろう。 最後にもう一度戻りたいと思えるとは、代官山アパートメントも嬉しいだろう。
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同潤会代官山アパートに住む家族を描いた連作短編集。 昭和初期から物語は始まり、約10年ごとに一話ずつ進み、祖父母から曾孫へ4世代にわたって描かれる。 昭和から平成まで、戦争や災害を経験しながらも家族を支えにして生きていく人たちの姿が温かい。 巻末の参考文献から察するに、実在する...
同潤会代官山アパートに住む家族を描いた連作短編集。 昭和初期から物語は始まり、約10年ごとに一話ずつ進み、祖父母から曾孫へ4世代にわたって描かれる。 昭和から平成まで、戦争や災害を経験しながらも家族を支えにして生きていく人たちの姿が温かい。 巻末の参考文献から察するに、実在する同潤会アパートや時代背景についてかなり取材を重ねたようで、それぞれの時代にはリアルさがある。 その時代背景に合わせた人物の描き方も見事で、戦争の時代には物語に重苦しさがあるのに対し、戦後の孫の代になると現代にかなり近い普通の学生の日常だ。 時代ごとに空気感が変わる書き分けがうまい。 実は一章の「月の沙漠を」は『この部屋で君と』というアンソロジー短編集で読んだことがあり、その時も面白かったと感想を記している。 初出を見ると二章目以降が発表されるまでには時間が空いていたようなので、一章の出来が良かったから長編化したような形だろうか? 私は家族愛をそれほど強く感じる経験がなかったので、あまり家族小説に共感したり気に入るということがなかったのだが、初めて家族小説を好きになれた。
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家族のお話だったちょうど今日ゼミで自分のホームはどこだろうねって話していやまじそれなって感じだった私のホームどこ?俊平らぶい
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1つのアパートメントと4世代に渡っての物語 2人と1つの部屋から始まった家族の形は、時と共に1人増え2人増え、違う形へと変わりゆく 時代も10年20年と月日が流れる毎に変化して ずっと残っていて欲しいものは離れてゆき、そして新しい大切な何かが生まれる 読んでいると、中島みゆきさ...
1つのアパートメントと4世代に渡っての物語 2人と1つの部屋から始まった家族の形は、時と共に1人増え2人増え、違う形へと変わりゆく 時代も10年20年と月日が流れる毎に変化して ずっと残っていて欲しいものは離れてゆき、そして新しい大切な何かが生まれる 読んでいると、中島みゆきさんの『糸』やAimerさんの『蝶々結び』の歌詞が浮かんでくる 編まれて解いて出会って編まれて時々絡まって そうやって人は、家族は、未来へと続いてゆくのだろうと思えてくるのだ
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4世代にわたる家族のお話。 震災や戦争などの時代背景と共に八重さんの歩んだ人生。 孫や曾孫と過ごせる時間の中で消えていく命もあり。 読みながら映像が浮かんだ。 素敵なストーリーでした。
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図書館で借りたもの。 昭和と共に誕生し、その終わりに解体された日本最初の近代集合住宅「同潤会代官山アパートメント」。そこに暮らす一家の四世代にわたる歳月を通して、心の居場所を描く。 初読みの作家さん。 同潤会アパートは、財団法人同潤会が大正時代末期から昭和時代初期にかけて東京・...
図書館で借りたもの。 昭和と共に誕生し、その終わりに解体された日本最初の近代集合住宅「同潤会代官山アパートメント」。そこに暮らす一家の四世代にわたる歳月を通して、心の居場所を描く。 初読みの作家さん。 同潤会アパートは、財団法人同潤会が大正時代末期から昭和時代初期にかけて東京・横浜の各地に建設した鉄筋コンクリート造(RC造)集合住宅の総称である。(Wikipediaより) その中で代官山アパートメントは昭和2年に竣工、平成8年に解体された。 今は代官山アドレスになってるんだね。 すごく読みやすかった! 人それぞれドラマがあるんだなぁ、と改めて思わせてくれた話でした。 「帰る場所」があるっていいな。
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代官山にあった同潤会アパートの一部屋を舞台に4世代の思いを追っていく。しかし、一族が心のよりどころとして戻れるところがあるのはいいな。最初は小さな苗木が最後は3階より大きくなる。そのように家族が広がっていく。家族の在り方を考える。変わらない家族の心のつながり。じっとりとした作品で...
代官山にあった同潤会アパートの一部屋を舞台に4世代の思いを追っていく。しかし、一族が心のよりどころとして戻れるところがあるのはいいな。最初は小さな苗木が最後は3階より大きくなる。そのように家族が広がっていく。家族の在り方を考える。変わらない家族の心のつながり。じっとりとした作品である。
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4世代のリレー小説。その時その時の時流も反映されていて飽きずに読めた。寡黙で、でもここぞという時に肝の据わっている八重さん、クールだわ。孫や曾孫に頼りにされているところもいいね。 あの時のアレがそこに繋がっているのか!ていう伏線も見事でした。高いところは苦手と言いながらも最後東京タワーからアパートを眺める描写に感激。
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家族のお話 戦前から現代へと流れていく、静かで優しい時間だった。 勿論平穏ばかりじゃなくて、実はこのお話の始まりから悲しい出来事も起こるし、 人も色々な理由で亡くなったりする。 それはまあ、今生きている自分もそうだから、またお話を身近に感じたりもした。
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じんわり暖かくなる話だった。 アパートメントに住む家族の日常が描かれている。登場人物が言葉の少ない人で。それゆえに発言するときに相手を思う優しさや強い意志をすごく感じる。
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