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冬の光 の商品レビュー

3.3

36件のお客様レビュー

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    1

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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  5. 1つ

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2021/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

相変わらず文章は上手いし、持っていき方の技術が確かなのは間違いないんだけど、今作に関しては人物の造詣が空疎というか、端的に言うと薄い。 生身の人間というより、如何にも架空の人物が紙上で動き回っているに過ぎず、共感が抱けない。 遍路の途中で出会う秋宮梨緒の、物語における必然性、ましてや主人公の男が関係を持つ意味合いも解せぬまま。 巡礼を題材にちょろっと展開される宗教的な描写には、「ゴサインタン」や「弥勒」がちらりと想起され、オールドファンとしては少し嬉しくなったが、残念ながらそれぐらい。

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2021/03/08

読み進め易い文章ではありましたが、う〜ん、登場人物に感情移入できず読み終えてしまった。人生綺麗ごとばかりではないし、他人には分からない葛藤もあるだろう。そうなんだけどねぇ〜、となんだかモヤモヤする作品でした。

Posted byブクログ

2021/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エリート企業戦士だった主人公は出世競争に敗れて高額な退職金と企業年金を受給して優雅に退職後の日々を過ごしている。が、敗れたことは深い傷を心に残している。学生運動で知り合った女性とは企業戦士であった頃も折に触れて逢瀬を重ねていた。結婚後は不倫になるかもしれないが、妻よりさきに交際していたのだから、その女性にすれば男の妻のほうが泥棒猫であり不倫相手なのだ。教授として自立し未婚の恋多き女性にとっても主人公は唯一の愛する人なのだろう。 しかし、妻は勿論、二人の娘にすれば主婦の鑑のような母を裏切り続ける父を許せない。もう二度と会わないという電話を二回も皆の前でかけさせる。 設定は珍しい物ではないし納得もいくが何を書きたかったのかがわからない。妻のことがあまりにも描かれていない。著者は妻に心があることを知っているのだろうか。家政婦扱いに終わっているのがさびしい。 みんな孤独だ。生きるのは孤独との戦い。妻の孤独な心にも分け入ってほしかった。 また、四国遍路にしてもキチンと立ち寄った寺の名前などを表記するべき。資料だけに頼って書かれていると嘘がさらに嘘っぽくなる。 唯一、包丁研ぎのあれこれは心に迫るものがあり、主人公を許せるような気がした。

Posted byブクログ

2021/02/20

人生の全ては自分だけのものであって、他人と分かち合ったり、他人に委ねられる物ではない。 康宏の歴史を理解していくにつれ、家族にとっての康宏がズレているのが歯痒く、人間なんてそんなもの、という寂しさを覚える。 自分が歩いてきた道を振り返り、また、これから進む道をどう行くべきか、考え...

人生の全ては自分だけのものであって、他人と分かち合ったり、他人に委ねられる物ではない。 康宏の歴史を理解していくにつれ、家族にとっての康宏がズレているのが歯痒く、人間なんてそんなもの、という寂しさを覚える。 自分が歩いてきた道を振り返り、また、これから進む道をどう行くべきか、考えさせられた。

Posted byブクログ

2021/02/06

他人のことなんてわからない 自分が見ているのは一面に過ぎず、その人には色々な面がある 目の前の幸せが当たり前ではないこと、 人がいついなくなるか分からないこと、 人生をかけたいものに出会えることは幸せなこと、 を感じた

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2021/01/31

ひとつの出来事に対して、割り切れない想い、他様々な想いがあり、自分の人生と比べたり点検しながら読んだ一冊。 描写などがリアルで、共感しながら読む部分が多々あった。 康宏は、最終的にあのような形になったが、個人的には幸せな人生だったのだと思う。それぞれの居場所、それぞれの康宏がい...

ひとつの出来事に対して、割り切れない想い、他様々な想いがあり、自分の人生と比べたり点検しながら読んだ一冊。 描写などがリアルで、共感しながら読む部分が多々あった。 康宏は、最終的にあのような形になったが、個人的には幸せな人生だったのだと思う。それぞれの居場所、それぞれの康宏がいて時には虚無感などあったかもしれないが、きっと最後は穏やかな気持ちだったのでは。 読みながら、染み入るような、一言で表せない感情や感覚をこの本は味合わせてくれた。 また歳を重ねて、10年後とかに読むと読後感も変わるのかもしれない。

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2021/01/27

近くの書店で読得の一冊として紹介されており、期待して読み進めました。結論から言うと私にとっては読得の一冊とはなりませんでした。 あらすじとしては妻子のある身でありながら大学時代の同志とも言える恋人・紘子との関係を家族により断ち切られた富岡康弘の視点と、次女碧の二つの視点で描かれ...

近くの書店で読得の一冊として紹介されており、期待して読み進めました。結論から言うと私にとっては読得の一冊とはなりませんでした。 あらすじとしては妻子のある身でありながら大学時代の同志とも言える恋人・紘子との関係を家族により断ち切られた富岡康弘の視点と、次女碧の二つの視点で描かれています。 この評価となった理由は大きく2つあります。 1. 康弘の行動に共感・理解できない点が多い 人間ってそういうもんだよねと言われればそうかもしれませんが、行動が衝動的すぎると感じました。紘子と一緒になりたいのか、なりたくないのかよく分からないし、それでいて娘のことは気にかけているけど妻のことはどうでもいいのかと思いました。判断の軸が揺れている印象がして読んでいて好ましく感じませんでした。 2.碧の視点からの印象が弱く感じた 次女から見ての父の姿や、思い出に残っている父の姿に関する描写が少なく、娘からの視点を無理に物語に取り入れた感じを受けました。父の四国お遍路巡りを追うにしても、次女である必要があったのかと読み終えて感じました。家族にも見えない姿が父にもあると伝えたいなら特別なエピソードがあった方がすんなり受け入れられたと思います。 男女関係の書き方は上手いと感じました。人には言葉では説明できない行動があるってことが本作で一番言いたいことなのかも知れません。

Posted byブクログ

2021/01/01

四国遍路を終え、フェリーで自宅に戻る途中に自殺したと思われる父親と、真実を求めて彼の遍路の足跡をたどる次女との二人の視点から書かれた小説。 次女から見た彼の人物像、そして妻や長女から見た人物像は、彼の本当の人物像とは大きくかけ離れている。 彼は長年にわたり、同じ女性と浮気関をして...

四国遍路を終え、フェリーで自宅に戻る途中に自殺したと思われる父親と、真実を求めて彼の遍路の足跡をたどる次女との二人の視点から書かれた小説。 次女から見た彼の人物像、そして妻や長女から見た人物像は、彼の本当の人物像とは大きくかけ離れている。 彼は長年にわたり、同じ女性と浮気関をしており、妻や娘たちを裏切ってきた。浮気相手の女性が亡くなったこともあり、家族の元へ心は戻ってくるのだが、なんとも自己中心的だと思う。 読み終わっても、モヤモヤ感が残る。

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2020/12/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ひと昔前の時代、男に媚びず縋らずに社会と闘って死んだ女の話を、その元彼の娘の視点から書いた話。 唐突に死んだ父の死の理由を探すため、最後の足跡を娘が辿る形で話が進むのだが、作者が書きたかったのは父の浮気相手であった昔の女のことだと思われる。 父の実像は只々尻軽で、最愛の女とは別の女と結婚して家庭を持ち、その後も最愛の女に特別な情を抱いて関係を続け、60過ぎて行きずりのメンヘラ女と関係を持ち、怒りが〜とか言い訳しながらも、車内でしこたま快楽を貪った下衆男であった。 最後に明かされた死の真実に関しても、あれこれ勝手した挙句、今度は家族の温かさに帰ろうなんてオマエ、それは都合良すぎるのでは? 父の味方になろうと思えば、まぁ、そんな人生もあるわな…なんだけど、とりあえず浮気してた父親の話ですから、わたしはこの話好きになれないです。

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2020/08/18

一人の男の終わりを、本人から、娘の目からたどる。浮気を繰り返し、お遍路の帰りにフェリーから身を投げて死んだ男。 娘がたどり着いた父の死の真実。 バラモン教の教えには人生には四つの時期に分けられる。学びの時、子育ての時、一人で生きる時、そして最後は全て捨て死に向かう時。 子育てや家...

一人の男の終わりを、本人から、娘の目からたどる。浮気を繰り返し、お遍路の帰りにフェリーから身を投げて死んだ男。 娘がたどり着いた父の死の真実。 バラモン教の教えには人生には四つの時期に分けられる。学びの時、子育ての時、一人で生きる時、そして最後は全て捨て死に向かう時。 子育てや家族を養う時を終えた時期、人は何をすべきか、自分の年齢を重ねて考えさせられた。

Posted byブクログ