冬の光 の商品レビュー
四国でのお遍路を終えたあと、フェリーから転落死した父親。 父の死の真相はなんだったのか 娘が四国に渡り、父の足跡をたどる 娘の視点。父親の視点。 家族とはいえ、決して分かり合うことはない。 哀しい結末でした。
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篠田節子はゴタイサンの頃からずーっと読んでいて、久しぶりに図書館に行って見つけて読んでみた。日常の描写の中に、少しミステリー的な要素もあって、また、お遍路道に行ったこともあるから、情景が頭に浮かんだ。
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父親はお遍路巡りをして何故海に身を投げたか次女が休みを利用して父親の足跡を辿るところから父親の大学生からの話が始まる。 大学時代に付き合っていた人と数十年ぶりに再会して何度か会い家族にばれそれでも妻は離婚に踏み切らず彼女と金輪際会わない約束をさせられてそのままでいる。 そして成り...
父親はお遍路巡りをして何故海に身を投げたか次女が休みを利用して父親の足跡を辿るところから父親の大学生からの話が始まる。 大学時代に付き合っていた人と数十年ぶりに再会して何度か会い家族にばれそれでも妻は離婚に踏み切らず彼女と金輪際会わない約束をさせられてそのままでいる。 そして成り行きで東北の大震災のボランティアに参加し彼女の死の真相を知る。自殺は一つの事でなくたくさん絡まり合って自殺してしまうが父親も彼女の死を知って、お遍路では慰めにならなかったのか。 と考えて読んでいるとありえない死の真相で家族にしてみれば自殺ではなかった救いがあるだろうが、帰ったら車をメンテナンスしようとお遍路途中で死を選んでいたやんといいたくなる気持ちが宙ぶらりんになる話だった。
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イライラしながらも力強い筆致に引き摺られるようにして読了。 ここまで愛せない登場人物だらけというのも珍しいかもしれない。人間の弱さを強調するとこんな風になるのか。 登場人物たちの気持ちにはほとんど共感できない。主人公である父親。マジで最後までしょうもね~!ひとつも同情できねえ。意...
イライラしながらも力強い筆致に引き摺られるようにして読了。 ここまで愛せない登場人物だらけというのも珍しいかもしれない。人間の弱さを強調するとこんな風になるのか。 登場人物たちの気持ちにはほとんど共感できない。主人公である父親。マジで最後までしょうもね~!ひとつも同情できねえ。意志弱すぎ。死に方すらウケル。となる。 しかしこうなるのも作者の意図通りなんだろう。これこそがこの父親の悲哀なので。意志が弱くてしょーもないよくいるひとりのモブ男。何者でもないただの人から何者かになろうとしてでもできなくて諦めたふりをして煮えきれなくて何度も同じ失敗を繰り返す。心は昭和の青春時代に取り残されたまま。大人になろうとして自分を騙し続ける、つもりが意志が弱くてそうもいかない。社会的にみれば良い大学を出たエリートで家族もいて順風満帆。なのに満たされないという傲慢さ。いわゆるこの世代によくいるタイプとして描いているのだろう。 対するもうひとりの主人公である次女は今を生きる人として描かれている。構図としてはわかりやすい。ただしあまり存在感がないのと、なんか無理して30代を書いてる感じで、上の世代から見た30代になってるのが微妙。そんなものだろうか。 作者の意図と主張、物語の構図は非常にわかりやすい。それゆえに作者が透けて個人的にはあまり好きではない。これは好みの問題。 昨今のフェミニズムにもうまく触れている。 梨木香歩のからくりからくさを嫌な感じにしたらこうなるのかなと思った。 終わりかたはとても綺麗。
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主人公の人生も奥行きが深く描かれているが女友達の紘子の人生も共感できるというわけだはないが不器用で応援したくなる気持ちもあった。 ただ実際に身近にいると距離を取りたくなるような人物ではあるが。 最後は切なくなる終わり方だ。
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はぁ〜‼︎ やっぱり篠田節子さんの小説は、大人のお話なのだ。というか、歳をとってから読む方が、この味わいがわかる気がするのです。読んで良かった。 四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父、康宏。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。死の間際、父の胸に去来したの...
はぁ〜‼︎ やっぱり篠田節子さんの小説は、大人のお話なのだ。というか、歳をとってから読む方が、この味わいがわかる気がするのです。読んで良かった。 四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父、康宏。企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。死の間際、父の胸に去来したのは、20年間、愛し続けた女性のことか、それとも? 足跡を辿った次女、碧が見た冬の光とは…。 こんな短い紹介文では表現しきれない、464ページでした。 読んでる間ずーっと感じていたのは『人生は長く、人は強いけれど弱い。一生、清廉潔白な人などいるだろうか?』ということ。 紹介文では20年間愛し続けた、とあるけど、それだって、実際そうなのか?というと、私は違う気もした。卒業後、学生運動からきっぱり足を洗って企業戦士になった康宏に対し、大学という社会の中で自身の正義感から闘争を続け、孤高の人となっていた紘子。気になる存在でもあり、愛していた時期もあるけれど、お互いのズレから、まるで寄り添えなかった時間の方が長かった気もする。 また、康宏の家族愛は、決して嘘ではなかったことも充分わかるし、妻・美枝子との充実した日々だっていっぱいあったのは確かなことなのだ。 愛情も憎しみも、寛容も怒りも、喜びも哀しみも…どんな感情であれ、1つの感情だけで生きていけるほど人生は短くない。逆に、忘れたり、執着がなくなったり、時間と共に辛い感情も薄れてきたり、そういうことがあるからこそ、生きていけるんじゃないかなぁ…などと感じました。 私個人としては、いわゆる“男に甘い”ということかもしれないけれど、康宏が亡くなった直後の美枝子の態度は、余りにも極端に冷たく感じてしまった…。 亡くなった人はもう言い訳も何も言えないのだから、心の中で気にかけてあげるのは、家族しかないんだなあなんて思ったり。 父の旅をなぞってみる碧と、康宏が実際に辿った道や心の中、それが交互に描かれ、人は自分が見ているものが真実だと思いがちだけど、それだけじゃない、ということを強く感じました。 私も、1番心に残ったのは若い住職の言葉でした。 『どんな経緯にあったにせよ、どんな亡くなり方をなさるか、などということは、最後の、最後の、ほんのささいな分かれ道に過ぎないのですよ。ご安心ください。』 こんな言葉に人は救われるのですよね。 印象に残ったフレーズを少し。 ーーーーー 大人の男女の出会いや別れに、告白も宣言もない。いや、色恋に限らず、日常的な人間関係もそんな風にいつとはなしに始まり、いつのまにか疎遠になって終わっていたりするものだ。 絵に描いたようなハッピーリタイアだった。にもかかわらず、異様なまでに空虚な気分に押し込められている。赤茶けた終末の風景の中に一人、立っているようだ。 結局のところ、人生とは背負った重荷なのかもしれない、と思った。自分を生かしてきたものは、背骨がきしむほどの荷物だった。それが推進力となって自分を生かしてきた。 ーーーーー 大人に読んで欲しい作品です。
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久々に篠田節子を読む。 うむ。むむ。むむむ。 でも、最終、優しい話ではあった。 人の死に様とか、その他も、生々しくて。この生々しくてグロテスクな感覚が、篠田節子だよな。と、改めて思いながら。。。 これに、中高時代、ひどく影響を受けたことを思い出す。 でも、ホラー、SFの篠田節...
久々に篠田節子を読む。 うむ。むむ。むむむ。 でも、最終、優しい話ではあった。 人の死に様とか、その他も、生々しくて。この生々しくてグロテスクな感覚が、篠田節子だよな。と、改めて思いながら。。。 これに、中高時代、ひどく影響を受けたことを思い出す。 でも、ホラー、SFの篠田節子ではなく、宮本輝的な篠田節子でした。 登場人物の自分としては立ち上がって生きている様と、だからこその孤独と。 #篠田節子 #冬の光 #読書記録
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四国お遍路を終えた帰り道、フェリーから身投げした父。 高度成長期の企業戦士として、専業主婦の母に支えられ、幸せな人生を送っていたはずの父。 そんな父は、大学生の時の恋人と、20年余ずっと関係を持ち続けていた。 父親を恨む母。嫌悪感をあからさまにする長女。父の足跡を辿る次女、碧...
四国お遍路を終えた帰り道、フェリーから身投げした父。 高度成長期の企業戦士として、専業主婦の母に支えられ、幸せな人生を送っていたはずの父。 そんな父は、大学生の時の恋人と、20年余ずっと関係を持ち続けていた。 父親を恨む母。嫌悪感をあからさまにする長女。父の足跡を辿る次女、碧がたどりついた答えとは。 * 父、康弘。正直もっとうまく立ち回ればこんなことにはならなかっただろうと思ってしまう。その頑固なまでの素直さ、真っ直ぐさが仇になることもある。 大学生の時のままだ。 そこに性愛がなくても、確かに彼は紘子のことを愛していたのだと思う。それは罪なんだろうか。運命のように何度も巡り会う強い絆。 やっと帰るべき場所に気づけたはずなのに、あの終わり方はあまりにも寂しくて悲しすぎる。 ラストに向かうにつれて結末が分かってしまって、ページをめくるのが怖かった。 一番最後の描写が表題とリンクして、震えた。
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自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。 康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生...
自分の人生がどうだったかは自分にしか分からない。笹岡の人生がどうだったかは康宏には分からないし、逆も然り。親の人生がどうだったかは子には分からない。自分が満足して死ねる人生を。 康宏が、自分の人生にはプロセスはあるがテーマがない、と内省するシーンが印象的だった。テーマを持って人生を突き詰めて生きている人が果たしてどれだけいるのだろうか。考えさせられた。
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日本によくありそうな家族の物語。人と人は触れ合って前向きになったり後ろ向きになったりするんだと改めて感じた。
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