カゲロボ の商品レビュー
SFのような短編集。カゲロボやアンドロイド猫がいるのかもしれない。 『かげ』の中の、「ある」も「ない」も、同じところにある という事、すごく実感して響いた。「最悪のことは何も起こらなかった。何も起こらなかったということが、ここにあった。それはなんという幸せなことだったことか。」
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追い詰められた人の気持ちや 孤独を感じる瞬間を こうもうまく 文章で表現できるのか という点で びっくりした小説でした 猫の足先を切っちゃう描写があるので その点は うわぁぁぁぁ となりましたけど
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ほんの少しだけ未来、 AIやアンドロイドが、こっそりと生活の中に入り込んで暮らしている。 人間の役に立つために作られたはずのロボットたちは、 人間を監視し、いじめを防ぎ、たまには人の心を傷つけたりもしている。 そんな状況下で登場する主人公たちは、 アンドロイドやカゲロボ相手に切な...
ほんの少しだけ未来、 AIやアンドロイドが、こっそりと生活の中に入り込んで暮らしている。 人間の役に立つために作られたはずのロボットたちは、 人間を監視し、いじめを防ぎ、たまには人の心を傷つけたりもしている。 そんな状況下で登場する主人公たちは、 アンドロイドやカゲロボ相手に切ないくらい繊細な感情を見せてくれるのだ。 将来どんなに精巧なアンドロイドや便利なAIが登場しようが、 人が悩んだり、苦しんだり、泣いたりする出来事は 永遠になくならないんだろうな。 そう思えることが、なんだかうれしい。
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ロボット絡みの短編集。 『ゆび』『かお』『あせ』が特に良かった。 どの短編も胸を打つものばかりで切ない。 人工的なロボットと対比させることにより、人間らしさについて考えさせられた。 虐待やイジメを監視するカゲロボや人間の行動を監視する電子金魚、不登校の子供に授業を体験させるための箱、末期患者の最後の希望を叶えるバーチャルリアリティ、罪を裁く植物ロボット、ペット用ロボット、そして自分そっくりのアンドロイド。 どれも非現実のようでいてとても現実的に思える。 人間が暮らす社会は植物のない砂漠のよう。 非情で理不尽な虐待やイジメ、自分の存在を否定する無視等が蔓延し身動きがとれなくなる。 けれど一見何も無さそうな砂漠でも、遠い国から風に吹かれて飛んできた様々な植物の種が埋まっている。 そしていつか恵みの雨が種に滋養をもたらし、荒れ放題の砂漠も花畑にしてくれるはず。 だから諦めないでゆっくりと進んでいこう。 木皿さんの温かなメッセージに何度も涙ぐんでしまった。 読み終えた後の爽快感が堪らなくいい。
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自分の世界に引っ張り込む筆力はすごいと思いましたが、引っ張り込まれた世界が苦手でした。最後に救いがありますが、この世界には行きたくなかったです。
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(図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)。けっこう、SFぽくて面白かった。日常茶飯事の出来事を「カゲロボ」というアンドロイドが見ているという設定は興味深いが、ただ、見ているだけ、何もすることなく見ている。それが逆に、ぞっとするような結果になることも・・・。それと、影の国家機密をになった「アンドロイド」という発想が素晴らしい。人知れず未来はそういう人類で溢れるのかもしれない。自分の分身が暗躍するさまを描いた「かお」とか、かわいい電子金魚がでてくる「めぇ」とかが面白く思った。ただ、あくまで未来のお話だけど!
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短編集9編 人間を監視するカゲロボやアンドロイドなど人間や動物と見分けのつかないAIを題材に,いじめや嫉妬などの人間関係の感情を散りばめた珠玉の短編集.タイトルが体の一部なのもユニークでまたそれが内容にぴったり.どの短編も印象的だが特に,猫の足を切る「あし」と箱を世話することにな...
短編集9編 人間を監視するカゲロボやアンドロイドなど人間や動物と見分けのつかないAIを題材に,いじめや嫉妬などの人間関係の感情を散りばめた珠玉の短編集.タイトルが体の一部なのもユニークでまたそれが内容にぴったり.どの短編も印象的だが特に,猫の足を切る「あし」と箱を世話することになった「こえ」が良かった.
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短編9作。 心の落ち着く場所がちょっと揺れ動いてて、ああ、動揺してるってこと。 みんな知らんぷりしてるけど、誰かが見ててくれるならいいのにって思うことはたくさんある。 もし噂であっても、そう信じられたら、変わる明日はあると思う。
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「かお」が秀作でした。 木皿泉が何度も放ってきたメッセージ。 いくつも繰り返されていました。 この時代の人は特に目まぐるしく変わる、社会の仕組みにいつ自分の立場が奪われてしまうだろうかと、機械が壊れたら部品を交換するように、自分が人間的ではないものとして扱われていく恐怖をじか...
「かお」が秀作でした。 木皿泉が何度も放ってきたメッセージ。 いくつも繰り返されていました。 この時代の人は特に目まぐるしく変わる、社会の仕組みにいつ自分の立場が奪われてしまうだろうかと、機械が壊れたら部品を交換するように、自分が人間的ではないものとして扱われていく恐怖をじかに感じながら、それは違うだろうとそのなかでも人間的なものがあるだろうと、闘ってきた人たちなのではないでしょうか。全部に星がつけられて、時間が区切られ、数字に換算されても、そうじゃないものがあるから…ということを何度も、何度も描いてきましたね。 なかったことにはならないいだろう でも、忘れてしまって良い だってその経験が、考えが、感動が 昨日とはもう違う景色を見せているから だから、日々に落としていく自分の生きた断片がどれ程愛おしいか。だれかの断片が、どれほど愛おしいものなのかを。 レシートを捨てない、という著者のモチーフ 感傷的でもなく、悲観もせず、ただ淡々と幸福を謳いあげる その反対にある悲劇も同じように 目が離せません。
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人間とそっくりのロボットがいつも見ているカゲロボ。不思議で難しい短編集。「かお」は母親の非道さとミカの気持ちに切なくなる。若さとは残忍か、もっとふんわり心に響く作品が読みたくなる。神様は見ている…という感覚か、どうあるべきかを考える人間でありたいと、なぜかそんな事を思った。
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