カゲロボ の商品レビュー
初出 2014年「波」の1編、2016〜17年「小説新潮」の8編の短編集。 AIなどの一部だけハイテク技術が使われる近未来(?)のはなし。 カゲロボという監視用ロボットが人間社会に紛れ込んでいて、それは猫や金魚の姿にもなっている。人間はそれで幸せになるのだろうか。 一番心に残っ...
初出 2014年「波」の1編、2016〜17年「小説新潮」の8編の短編集。 AIなどの一部だけハイテク技術が使われる近未来(?)のはなし。 カゲロボという監視用ロボットが人間社会に紛れ込んでいて、それは猫や金魚の姿にもなっている。人間はそれで幸せになるのだろうか。 一番心に残ったのは「かお」(原題「スペア」)。離婚する夫婦が生まれたての赤ん坊を取り合い、片方がロボットを受け取って育て、13才になった時二人が会い、親に怒る。 後半はカゲロボやアンネコ(猫のアンドロイド)の後日譚になっている。
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ゆるーくつながっている短編集。 赤い首輪の猫(又の名をNかZ、ハクマイ)が猫らしく現れるのが印象的。
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可愛らしい表紙の割に中身は心にグサッと刺さってくる短編集だった。カゲロボと呼ばれる本物の人間や動物に似せたロボットがあるというちょっとSFっぽい話なのだが、何気ない日常に存在しているのでわりと現実的だったし、その日常で本物である人間が気持ちをギリギリにさせて生きている様子が何とも...
可愛らしい表紙の割に中身は心にグサッと刺さってくる短編集だった。カゲロボと呼ばれる本物の人間や動物に似せたロボットがあるというちょっとSFっぽい話なのだが、何気ない日常に存在しているのでわりと現実的だったし、その日常で本物である人間が気持ちをギリギリにさせて生きている様子が何ともリアルで息苦しかった。ただ、やるせない話でもその後の話が他の短編につながっていてホッとさせられる内容に救われた気分にもなった。AIとかロボットとかは「機械」という意味ではっきり割り切れるけど、本物の人間は割り切った生き方ができないからこそ苦しみ抜いて最後に答えを見つけるのだなぁと読後に思う。
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カゲロボ、人間社会に混じって(人間の容姿そっくり) 絶えず人間を監視しているらしいという影のロボット。 前編の2編と後半の2編が微妙につながっている。 でも、猫の足を切るシーンはいただけなかったな。
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装画の勉強でジャケ買いしましたが、物語にも引き込まれました! 短編集なのであっという間に読めるのですが、物語が繋がっていたりして、ハッとしたりしんみりしたり自分の思春期と重なったり、面白い一冊でした。
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ありえないようなありえるような うまいなあ ヒヤリ ゾワリ 短編なのだがクロスしてる部分もあって 現代と近未来を織り込んで うまいなあ ムムム ゾゾゾ ≪ いるような まさかねでもね カゲロボよ ≫
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前作「さざなみのよる」がものすごく良かったので期待して読んだが、そこまでではなかった。 「カゲロボ」という不思議な設定は魅力的。
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楽しみにしていた木皿泉さんの新刊。 カゲロボは、見た目は人や猫と変わらないけど、実際にはアンドロイドで、人のやることを全て見ている。またロボットとか都市伝説みたいなの好きだなーと思いつつ読み進めると、カゲロボは監視されるディストピアの象徴ようでもあり、他方で自分のことをいつも見守っている神様のような存在にも思えてくる。 他の作品に比べ、イジメや暴力、老い、死等のヒリヒリした内容が前面に出ていて驚くが、間違いなく面白い。
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なんだろう、この何とも言えない読後感は。 不穏でざわつく。足元から何かが這い上がってくるような不快感。そんな短編が続いた後、がちがちに固まった身体にそっと温かい毛布で包まれたような、なんていうのか答え合わせのような結果報告のような、そんなラストたち。 なんだろうな。カゲロボって何なんだろうな。そういうロボットたちが本当にすぐそばにいるのかもしれない。だけどカゲロボがいてもいなくても、私たちが誰かと言葉や気持ちをやりとりしながら生きていく、その生き方は何も変わらないのかもしれない。変わらない、のじゃなく、変えてはいけないということなのか。
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