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バベル九朔 の商品レビュー

2.9

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

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2023/07/17

5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指す主人公は、騒がしい日々の中、ついに自信作の大長編を書き上げた。 だが、そんな自信作のタイトル決めでで悩む主人公を謎のカラス女が付け回す。ビル内のテナントに逃げ込んだ主人公がある絵に触れたとたん、目覚めたのは見慣れた自分...

5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指す主人公は、騒がしい日々の中、ついに自信作の大長編を書き上げた。 だが、そんな自信作のタイトル決めでで悩む主人公を謎のカラス女が付け回す。ビル内のテナントに逃げ込んだ主人公がある絵に触れたとたん、目覚めたのは見慣れた自分の部屋。外には何故かはるか上へと続く階段が? 「バベル九朔」に隠された壮大な秘密とは? タイトルだけは前から知っていましたが、管理人さんのお仕事小説ではなくファンタジー小説なんですね。びっくりしました。 作者紹介を読むと、万城目さん自身も雑居ビルの管理人をしながら作家を目指していたそうで、そういった思い出も投影されているのかもしれません。 ストーリー的には壮大でちょっと掴みづらいところもありますが、エッシャーの騙し絵のような不思議な魅力があります。超現実的というか。 神話のバベルの塔のように、高慢に肥大していく雑居ビル。はたして夢とは「無駄」なのか「自由」なのか。モラトリアムに対する一つの回答のよう。 ラストの解釈も人それぞれな気がして、不思議な本でした。 テレビドラマにもなったそうで、いったいこれをどう映像化したのか気になってしまいます。

Posted byブクログ

2023/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

無駄が源となるバベル九朔。このビルに住まう人達の群像劇と思っていたら、不意にオカルト方向へ。 過去、異世界、別の自分達と不思議な世界での冒険となるが、夢が叶うバベル九朔。大九朔の野望?と重なり合い、超展開となる。どこから彼の作品だったのか?時は繰り返されるのか?シュールな回のドラえもんの話のよう。 思い通りの未来となるなら、この世界に残っていればいいのにと、楽な方へ思ってしまう自分がいて苦笑い。 付録的な短編も全く関係ないのものと、思いきや、何気ない一言からの創作。この短編がどういう評価されているのか、彼の今後の執筆についても想像してしまいます。

Posted byブクログ

2023/05/07

なかなか構成がフクザツな話だった。結局、大九朔は人の夢見る思いを燃料とする為に、叶わない夢を追わせる、みたいな感じなのかな?

Posted byブクログ

2023/02/23

ごく平凡な生活や日常の中にしれっとファンタジーが紛れ込んできて、気づけばすっかりその世界の中に入り込んでしまう。その辺りの自然な感じが万城目学のすごいところなのだと感じる。 この作品も当たり前の日常生活の中に自然と不思議な出来事が混ざるので、いつも通りの万城目ワールドである。確か...

ごく平凡な生活や日常の中にしれっとファンタジーが紛れ込んできて、気づけばすっかりその世界の中に入り込んでしまう。その辺りの自然な感じが万城目学のすごいところなのだと感じる。 この作品も当たり前の日常生活の中に自然と不思議な出来事が混ざるので、いつも通りの万城目ワールドである。確かに鴨川ホルモーや鹿男あをによしと比べると、舞台はファンタジー寄りではある。京都や奈良を舞台に不思議なことが起こるのではなく、虚構の世界で不思議なことが起こるので、先の2作品が好きな人からすると少し違うように感じるかもしれない。

Posted byブクログ

2023/01/31

難しいな…。 「夢」が、「無駄」になって、それを源としてバベルが大きくなっていく…という世界で、そのバベルがあふれてしまう!というはなし、、、かな? ビルの中だけの狭い世界で話がすすむ、、無限ループ?

Posted byブクログ

2022/12/27

これはあまりハマらなかったなぁ…万城目学さんは好きなんだけど… 鴨川ホルモーとか荒唐無稽さの中に、あり得るかもなぁと思わせる要素がワタシには読み取れなかったからかなぁ

Posted byブクログ

2022/09/26

★それがこのバベルの源だった(p.322) 【感想】SFでもなくファンタジーとも言えず、不条理系というほどでもない奇妙な小説。でもけっこう読みやすくはありました。主人公がもう少しお気楽な性格でもよかったかなあとは思いました。 【内容】 ・祖父の建てたバベル九朔というカラス群が...

★それがこのバベルの源だった(p.322) 【感想】SFでもなくファンタジーとも言えず、不条理系というほどでもない奇妙な小説。でもけっこう読みやすくはありました。主人公がもう少しお気楽な性格でもよかったかなあとは思いました。 【内容】 ・祖父の建てたバベル九朔というカラス群がる雑居ビルの管理人をしつつ小説家を目指す青年はある日黒衣の女に追われもうひとつのバベルに迷い込んでしまった。 【一行目】「qua」/「quaa」/「quaaa」/バベルの朝はカラスが連れてくる。 ▼簡単なメモ 【飲食二年】昔は「飲食十年」と言われ飲食店の寿命はだいたい十年くらいが標準だったがそれが五年になり、今は二年なんだとか。おおむね五割の店が二年で閉店する。 【おむつ】探偵業の必需品なんだとか。 【俺】主人公の「俺」。二十七歳。バベル九朔の管理人。五階に住む。ビルを建てた人物「大九朔」の孫。祖父や初恵おばと同様の鷲鼻。作家志望。そのわりには状況理解が悪すぎる。いかに非現実的なできごとでも作家なら無意識にでも即座にその世界の状況分析をし始め順応してから対策を考えるでしょ? ここまで頑迷やと作家にはなれそうにない。 【カラス】しじゅう群れている。攻略しやすそうなゴミ袋があったらカラスネットで情報交換し集中攻撃してくるので迷惑。 【九朔/きゅうさく】→俺 【九朔三津子/きゅうさく・みつこ】「俺」の母。「俺」が小説家になりたがっているのが不満。 【黒衣の女】怪盗団の幹部と思われた黒ずくめで肉感的な女。階段を上がっていくところを目撃されている。「扉」を探しているらしい。 【少女】もうひとつのバベルにいる少女。「俺」をおっさん呼ばわりする。誰かに似ているようだが? 【小説家】「俺」は二年ほど新人賞に挑み続け一次選考も通ったことがないのでくじけているようだ。諦めのいいヤツ。初めて書いてかつ「受け」ようとしなくてもモノになる人はいてるやろうけど、たぶん二年くらいでは修行にもなってないよねえ、この世界。それも閉じ籠ってては「受ける」作品を書けるプロにはなかなかなりにくいかも。 【大九朔】「俺」は祖父をそう読んでいる。バベル九朔を建てた人物。人情味があったそうだ。絵を見る眼もあったのか絵画売買でかなり稼いだ(家族からすると見る眼はなかったらしい)。故人。なんだかよくわからない絵を遺した。 【千加子】地下一階の「SNACK ハンター」のママ。七十近い厚化粧。 【外池/とのいけ】刑事。 【扉】黒衣の女たちが探している。 【ネズミ】最近ネズミが出るようになった。ボスは猫ほど巨大な「ミッキー」。 【初恵/はつえ】「俺」のおば。九朔三姉妹の長女。六十五歳くらい。黒のイメージ。チェロ声。工場経営者。命令に慣れている。誰にたいしても文句を放つ。バベルの防火責任者。 【バベル九朔】五階建ての商業ビル。三十八年前に建造された。その当時は周辺で最も背が高かった。地下一階が「SNACK ハンター」千加子ママ。一階が中古CDショップ「レコ一」雇われ店長。二階が和風居酒屋「清酒会議」双見さん。三階が貸しギャラリー「ギャラリー 蜜」蜜村さん。四階が探偵事務所「ホーク・アイ・エージェンシー」四条さん。五階が管理人部屋で「俺」。 【富二子/ふじこ】「俺」のおば。九朔三姉妹の次女。前のバベル九朔管理人。五階は元々彼女の保険業の事務所で管理人もついでにやっていたが、年齢的なこともあって店を畳んだ。 【双見】居酒屋「清酒会議」のマスター。二十五歳。 【ホーク・アイ・エージェンシー】四階の探偵事務所。主は四条さん。徹頭徹尾流行っていない。 【蜜村/みつむら】三階の貸しギャラリー「蜜」の主。地味で声も小さいが二十歳そこそこで新築だったバベル九朔にきて以来数しれぬ種類の店を経営してきたアグレッシブさも持つ。実家は神社。 【無駄】このバベルの源。 【四条/よじょう】探偵。「ホーク・アイ・エージェンシー」所長。四十代後半。ふっくらした顔つき。スキンヘッドに立派な口ひげ。 【レコ一/れこいち】中古CDやレコードの店。いちおうチェーン店。店長は雇われで「俺」が管理人をするようになってすでに三代目。

Posted byブクログ

2022/08/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スリリングで面白い話でした。 誰が敵で誰が味方か、ずっとはらはらしっぱなし。 最後はすっきり終わる訳じゃないけれど、どういうことなんだろうなあと考え続けられるので、余韻までしっかり楽しめる作品だと思います。 ネタバレだけど、追い込んだ自分の行く先はどこなんでしょう。 大九朔が生きている過去のバベルなのか、だとしたらそのバベルは今のバベルとは違うものになるのか。同じバベルだったら九朔君が無限増殖することになりそうな。

Posted byブクログ

2022/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

バベルというビルの管理人をしている主人公がパラレルワールド?に迷い込んでしまう話。続きが気になってぐいぐい読めてしまった。バベルは夢追い人のテナントによって増殖されていく。主人公も小説家を夢見ている。最後がタイムリープのような終わりになっていたが、主人公は元の世界に戻ることができたのか、それともバベルに閉じ込められたままなのか、わからなくなってしまった。他の方の感想を読んでも「わからなかった」と書いている人が多いのも頷ける。だけど読むのを止められない、というのは久々で好きな作品だった。まさに訳の分からない大長編。

Posted byブクログ

2022/04/21

難解でした。これは、どうしても好き嫌いわかれてしまう小説かな・・・。 作家になれる保証もないのに、会社を辞め、親戚が所有する雑居ビルに転がり込み、管理人になり、日々ビルの管理人をしながら、作家デビューを目指す久朔満大。この設定は、万城目さんご自身そのものだそう。自伝的な小説家と...

難解でした。これは、どうしても好き嫌いわかれてしまう小説かな・・・。 作家になれる保証もないのに、会社を辞め、親戚が所有する雑居ビルに転がり込み、管理人になり、日々ビルの管理人をしながら、作家デビューを目指す久朔満大。この設定は、万城目さんご自身そのものだそう。自伝的な小説家と思いきや、カラス女が出てくるあたりからおかしくなり、一気に奇想天外な世界へと進んでいく。 「夢」を見ることは「無駄」なのか。「無駄」は排除すべきか・・・そんなことを考えつつ読み進めるも、やっぱりよくわからない。 最後は「え?これって結局・・・?」と思って、夫(少し前に読了)に確かめるも、やっぱりよくわからず。もうそんな小説だと思うことにした。 難解だったけれど、万城目さんの小説家としての力を見せつけられたような気がした。

Posted byブクログ