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南三陸日記 の商品レビュー

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30件のお客様レビュー

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2024/07/10

東日本大震災直後に南三陸町に赴任し、取材し続けた著者の記録。毎週火曜日に全国版のコラムで連載されていたようで。(恥ずかしながら文庫化にあたり初めて知りました) 『東京や大阪から大量に記者が出張し、その都度、記事になりそうな出来事を「報道」するのではなく、記者が実際に被災地に住み込...

東日本大震災直後に南三陸町に赴任し、取材し続けた著者の記録。毎週火曜日に全国版のコラムで連載されていたようで。(恥ずかしながら文庫化にあたり初めて知りました) 『東京や大阪から大量に記者が出張し、その都度、記事になりそうな出来事を「報道」するのではなく、記者が実際に被災地に住み込んで、そこで感じた日常の変化や人々の心の揺れなどを「報告」する。』 「南三陸駐在」を新設した朝日新聞社の英断。 地元のため、復興のために尽力した市井の人々の、一人ひとりの記録。胸がしめつけられるような記録を残してもらえて良かった。 「マスゴミ」なんて言葉が浸透して久しく、メディアからインタビューを受けたいと思う人間は少ないのではと勝手に思っていたけれども。この三浦さんなら信頼できると思わせてくれる、魂のこもった一冊でもある。 私は地元の田舎町に格別の愛着もなく離れてしまい(その代わりもう戻らないという覚悟もなかった)ずるずると都会で楽して暮らしながら現在に至ってしまっているので、生まれ育った故郷を愛して、いつか戻りたいと望む子供達の存在にも胸が打たれた。彼らの希望がみな叶えられたらいいのに。今後の人生に溢れんばかりの幸福が与えられますように。

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2023/03/09

東日本大震災直後に被災地でもある南三陸町に赴任し、被災地の現状をコラムという形で1年間発信し続けた「南三陸日記」…。震災から8年経ち、文庫化されたのが今作品です。震災から12年経った今、この作品を手にできたことには感謝しかありません…。 最初から読み切るまでずっと涙腺が緩みっぱ...

東日本大震災直後に被災地でもある南三陸町に赴任し、被災地の現状をコラムという形で1年間発信し続けた「南三陸日記」…。震災から8年経ち、文庫化されたのが今作品です。震災から12年経った今、この作品を手にできたことには感謝しかありません…。 最初から読み切るまでずっと涙腺が緩みっぱなしでした…。何て言ったらいいのか、うまく言葉にできません…。それぞれのコラムには家族のストーリーがあって、大事な人を震災で奪われ、前の生活に戻りたい、なぜ今?なぜ自分たちがこんな思いをしなければならないのか…やり場のない悲しくも苦しい思いがつづられていました。でも、それだけではなく、生きているのだからと前を向いて、精一杯今を生きようとしている姿に感動しました! そんな中での被災者同士のつながりが心を癒やすエピソードには、心があたたかくなりました。そして、「みなさんからのあたたかい励まし」「たくさんのご支援ありがとうございます」「みんな元気です!!戸倉小学校」この垂れ幕がかかった小学校と児童、教職員の写真を見た時、ジーンときちゃいました…。結婚式を控えた身でありながら、最期まで住民に避難を呼びかけた女性もいました…。 震災後1年経過しての卒業式、「今日という日は、もっと生きたかった人の今日でもある。」…この言葉は胸に刺さりました。震災から何年経とうとも忘れてはならないことだと思います。表紙の少女は今度中学生になるのかな…この作品を手にとったのはこの少女がとっても愛らしく思えたからという軽率な理由ですが、その笑顔の裏側に秘められたエピソードを思うと、そんな自分が恥ずかしくもなりました。ブクログのおかげでよい作品と出会えました。

Posted byブクログ

2022/11/14

三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 本書は、東日本...

三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 本書は、東日本大震災の直後から1年間、宮城県南三陸町に駐在した著者が、2011年6月~2012年3月に朝日新聞に連載した「南三陸日記」をもとに、新聞に掲載した記事等を加えて2012年に出版され、更に「再訪 2018年秋」を追加して2019年に文庫化された。文庫版は平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(2019年)を受賞。 私はこれまでも、辺見庸『瓦礫の中から言葉を』、門田隆将『死の淵を見た男』、眞並恭介『牛と土 福島、3.11その後』、奥野修司『魂でもいいから、そばにいて』、青木美希『地図から消される街』等、東日本大震災と福島の原発事故に関わる多数の本を読んできたが、その度に胸が締め付けられる思いがすると同時に、年を経て、それらの影響を受けた人々はどうしているだろうかと考える。また一方で、近年メディアで報道されるのは3月11日の前後数日に留まるようになり、(直接的な影響を受けずに済んだ私を含む)多くの人々の記憶から少しずつ忘れられようとしていることに危機感を覚える。 正確に言えば、天災であった地震と津波による被害と、人災の側面が大きかった原発事故による被害は一緒にすることはできないし、当然ながら、今後のあるべき対応策や教訓は全く異なるものである。(原発事故処理については、半永久的に行政レベルで責任ある対応が求められるのは言うまでもない) それを踏まえて、私は東日本大震災の地震と津波による被害に対して、何をすべきなのか、何ができるのかと考えると、おそらく、それを忘れないということが最も大切なことなのだと思う。それは、日本列島に住む以上避けることはできない地震と津波に備えて、未来の人々に伝えるという自分たちの義務を果たし、かつ、震災で被害を受けた人々に僅かでも寄り添うことができる唯一の方法であるからだ。 本書は、初出の性格上、南三陸町のたくさんの人々のエピソードが出てくるし、エピソード毎に見開きの写真が載っているので、震災とは何(だった)のかを、多面的に記憶に留めることができる。1年に一度でも、数年に一度でも、ページをめくるために手元に置いておいていい一冊と思う。 (2022年11月了)

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2022/07/11

本を読んでいても物語に感動して流す涙と 事実を知って悲しくて流れてくる涙は全く違うんだと感じました。 『南三陸日記』 2011年3月11日 14時46分に地震が発生。 その約30分後、太平洋沿岸部を津波が襲う。 本書では被災後、宮城県南三陸町に記者が住み、そこで感じた日常の変...

本を読んでいても物語に感動して流す涙と 事実を知って悲しくて流れてくる涙は全く違うんだと感じました。 『南三陸日記』 2011年3月11日 14時46分に地震が発生。 その約30分後、太平洋沿岸部を津波が襲う。 本書では被災後、宮城県南三陸町に記者が住み、そこで感じた日常の変化や人々の心の揺れを写真と共に伝えている。 1行目にタイトルがあり 2ページにわたる、お話を聞いた方の災害時の状況、今の生活、感じている事などの取材内容、 その次のページに写真。 写真は取材を受けたご本人、忘れ形見、津波、被災風景など…。 取材した文章の中に記者の感想は、ほぼ無い。 唯一、記者の強い思いが書かれているのは、 『序章 津波までの30分』の中でのみ。 『私たちが真っ先に取り組むべきこと。それは、あの『30分』に人々がどう動いたのかを克明に記録・検証することだと私は思う。それを新しい国や地域の仕組みにいかした上で後世にしっかり語り継いでいこう。(略) 高齢者や障害者を災害からいかに守るのか。いざというときに正しく動ける知識と勇気を子どもたちにどう身につけさせるのか。 (略)…できるだけ多くの記憶と言葉と映像を残そう。 生き延びることができた私たちの、それが最大の使命だと感じる。 』 知る事の大切さ、忘れない事の大切さ。 心の奥深くにある気持ちを語られた方の思いを受け止めて、自分に出来る事を考え、行動に移す大切さを改めて考えさせられる。 1時間程で読める本なので多くの方に読んで欲しいと思いました。 これは、ブク友さん達と涙本について語り合っていた時に、kuma0504さんが、さっと現れて紹介してくださった本です。 読んで本当に良かった。 くまさん、ありがとうございました!

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2022/05/11

三浦英之記者、すごい人だ。「フェンスとバリケード」で抱いた思いを強められた。 表紙の女の子が気にかかりながら読んだが、あとがきで梨智ちゃんと知り得心した。一枚々々の写真も素晴らしい。 政府には本物の復興を進めてほしい。

Posted byブクログ

2022/04/22

新聞記者である著者は「震災翌日から現地に入り、一八日間取材を続けた。最初の数日はまともに記事が書けなかった。目の前の惨状に何がニュースかわからなくなり、気がつくと空ばかり見上げていた。」という。 本書は、その後約一年間南三陸に住みこんで取材して書かれたコラムをまとめたもの。被災者...

新聞記者である著者は「震災翌日から現地に入り、一八日間取材を続けた。最初の数日はまともに記事が書けなかった。目の前の惨状に何がニュースかわからなくなり、気がつくと空ばかり見上げていた。」という。 本書は、その後約一年間南三陸に住みこんで取材して書かれたコラムをまとめたもの。被災者ひとりひとりの物語。涙が止まらない。どうしたらいいのだろう。

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2021/11/12

震災後に取材して回った記事や当事者の発信ではなく、1年間南三陸に駐在して毎週発信し続けたレポートをまとめた作品の文庫版。 何よりも被災者に対峙し、同時にそのコミュニティの内側にも身を置きながら取材した文章は、心情の汲み取り方の丁寧さや深みが違う。 これを読んだ私達は「大変だっ...

震災後に取材して回った記事や当事者の発信ではなく、1年間南三陸に駐在して毎週発信し続けたレポートをまとめた作品の文庫版。 何よりも被災者に対峙し、同時にそのコミュニティの内側にも身を置きながら取材した文章は、心情の汲み取り方の丁寧さや深みが違う。 これを読んだ私達は「大変だったんだ」「負けずに立ち上がるなんてすごい」などという感情に終わるのではなく、今後も永遠に続く自然災害にどう備えるのか?これから先のことを考え直すきっかけにしなければならないと感じます。 文庫版あとがきにもある、役所の若い女性が亡くなったことをどう捉えるのか。自らの考え方を見直すきっかけにもなりました。

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2021/09/07

震災直後から1年間連載された、人間味溢れる記者コラム。文章はもちろん写真も秀逸で、被災者たちの笑顔がとても印象的。そして最後、表紙を飾った一枚に胸が熱くなった。

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2021/07/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

※ネタバレはないが、感想になっていないので非表示 文庫化された当時に買っていたが、今の今まで置いていた。 私は何も失っていない。でも東北は慕わしい土地であり、このことに触れるのは、時間を必要とする。 今は東京2020大会が始まる直前で、ニュースやSNSには憤懣が溢れている。 トヨタは国内でCM放映をやめた。「理解されていない五輪になりつつある」というコメントが記事になっている。 私はスポーツへの興味は薄いので、元から経済効果重視の立場である。復興五輪という言葉も、政治家から聞くとどこか空虚なものに思えていた。 そして今この本を読んだ。震災関連の本はこれ以外に「記者たちは海に向かった」を読んだのみだ。 だからきっと上手く言えない。これは単なるメモ。 私たちには、伝えたいことがあるのではないだろうか。 あの時この国で生きていた者として、理解してもらいたいことはないか。 忘れたいこと、忘れたくないこと、忘れるべきではないことは、強く心を抉る記憶という意味では同様だ。誰かの大切な人があの時確かにいたのだということを、思い出す瞬間があれば、それは悼むということだろう。 命を燃やす瞬間に、喪われた命を思い出し、悼むこと自体は、誰かの気持ちを浄化し得るのではないか。 何が、どんなやり方が正しいのか今はもう誰にも分からないけれど、この本を読んでそう思った。 まとまりのないメモである。

Posted byブクログ

2021/07/13

震災から10年近くが経過しましたが、今読みました。 あまりに重すぎて「運命」という安易な言葉で決して表現できるものじゃない。。。この現実に対し、日本という同じ島国で共存している人間として、何を思い、何を感じ、どう動くのか、読み終えた後ほぼすべての人はそれを考えたんじゃないかなあ...

震災から10年近くが経過しましたが、今読みました。 あまりに重すぎて「運命」という安易な言葉で決して表現できるものじゃない。。。この現実に対し、日本という同じ島国で共存している人間として、何を思い、何を感じ、どう動くのか、読み終えた後ほぼすべての人はそれを考えたんじゃないかなあと思う。(逆に何も感じない人は人間として何かが根本的に間違っていると思う。) 「復興五輪」、五輪と復興の関係性が全く持って理解不能、震災をPRで利用しやがって、ふざけんなよ!!

Posted byブクログ