南三陸日記 の商品レビュー
東日本大震災から10年。 徐々に街の復興は進むものの、大切なものは、人々の心の中の復興でしょうか。 本作は、朝日新聞社の三浦氏が、宮城県三陸町に住み込んで、毎週1回短いコラムを連載していたものをまとめたもの。 新たに、2018年の『再訪』を加えて文庫化。 なるべく感情を抑えた...
東日本大震災から10年。 徐々に街の復興は進むものの、大切なものは、人々の心の中の復興でしょうか。 本作は、朝日新聞社の三浦氏が、宮城県三陸町に住み込んで、毎週1回短いコラムを連載していたものをまとめたもの。 新たに、2018年の『再訪』を加えて文庫化。 なるべく感情を抑えた淡々とした文章に、白黒写真がマッチします。 多くの一意の人々を写した写真の中で、特に、三階建ての防災対策庁舎の屋上で写した津波の激しさは、驚きとともに、胸を締め付けられます(58p)。 最後の後書きにあった遠藤未希さんのエピソード。 最後の最後まで、市民のために庁舎に残り、避難を呼びかけた女性職員。 もう涙なくては、読めません。 全ての方に、読んでいただきたい一冊です。 【追記】 表紙の可愛い小学生の女の子は、文中にも出て来るあの子なんですね。 ぜひ、元気に育って欲しいと願います。
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10年の歳月。 あの時、関東に住んでいた私も確かにそれなりに大変ではあったし、狼狽えたし、無関心ではなかった。と思う。 けど、これまでに実際に現地で過ごした人や経験した方の話を聞く機会がなく、また求めても来なかったのは、どこかに自分には大した事がなかった後ろめたさのような気持...
10年の歳月。 あの時、関東に住んでいた私も確かにそれなりに大変ではあったし、狼狽えたし、無関心ではなかった。と思う。 けど、これまでに実際に現地で過ごした人や経験した方の話を聞く機会がなく、また求めても来なかったのは、どこかに自分には大した事がなかった後ろめたさのような気持ちと、当時連日の報道で受動的に情報は’聞こえていた’ので、まるで体験したように勘違いしていただけだったと今なら思う。 初めて能動的に’知ろう、知りたい’との思いで本書を選びました。 是非とも後世・後代へ読み継がれるべき本だと思うと共に、もし自分の身に同じことが起こったら…と真剣に考えるきっかけを10年越しにくれた本。 1刷 2021.3.6
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この本を読んで、実際に本書で取り上げられた地にも足を運びました。 今年で震災から10年が経ちますが、 改修工事はしているものの、震災の爪痕がそのまま残された震災遺構や、周囲を防波堤に囲まれた街から、その恐ろしさを肌で感じます。 一方で、震災により大切な人を失った遺族の方々を ...
この本を読んで、実際に本書で取り上げられた地にも足を運びました。 今年で震災から10年が経ちますが、 改修工事はしているものの、震災の爪痕がそのまま残された震災遺構や、周囲を防波堤に囲まれた街から、その恐ろしさを肌で感じます。 一方で、震災により大切な人を失った遺族の方々を はじめ、当時まだまだ幼かった中学生くらいの生徒や、震災後に生まれた子供たちは この地で新たな生活を営んでいます。 本書はそんな人々に寄り添い、 この地であった出来事を決して忘れぬよう、 しかし同時にこの地に新たな風を吹かせられるよう 力強く生きる人々にフォーカスした一冊です。 読めば必ず現地に訪れたくなると思います。
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タイムイラインに紹介されているのを見て、ふと手に取る。 やはり現実を知るにはその場所に行かないといけないと思う。最前線で生きる人の姿は心動かすものがある。 また、そこで働く方への感謝を忘れてはならない。
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電車での読書用に持ち出したのは大失敗。すぐに読めなくなってしまいました。どんなことが起きても起きなくても、1人1人の人生は大切だということを再認識させられます。
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著者の三浦さんが大学の授業に(リモートで)来てお話をして下さり、この本を勧められていたので読みました。その授業の前はジャーナリストになるつもりは全くなかったのですが、三浦さんの、やりがいのある仕事ですというお話を聞いて、この本を読んで、ジャーナリストになりたいなと思いました。人間...
著者の三浦さんが大学の授業に(リモートで)来てお話をして下さり、この本を勧められていたので読みました。その授業の前はジャーナリストになるつもりは全くなかったのですが、三浦さんの、やりがいのある仕事ですというお話を聞いて、この本を読んで、ジャーナリストになりたいなと思いました。人間って、過去のこと、特に嫌な事は忘れてしまいがちです。でも、より良い未来を築くためには過去の教訓から学ばないといけない。人間学び続けることが大事ですね。
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文庫本になって初めて、この本の存在を知った。つらい経験をした方たちだけれど、みなさんの笑顔が素敵だ。前を向いて生きようとしている人たちに胸が熱くなる。
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文章でうるっときて写真で涙腺が決壊してしまった。 人生最高の日が人生最悪の日になった気持ちを想像することができない。想像したくない。 自分の身に置き換えた時、この人たちみたいに前を向けるのだろうか。
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南三陸ホテル観洋で購入。 震災後の南三陸についてのルポルタージュ。 帰りの飛行機の中で、涙を流しながら読んだ。 被災者に寄り添う視線が暖かい。 取材に答えられる、被災者の言葉も、暖かい。 暖かく、切なく、哀しい。 震災を語り継ぐために、ご一読をおすすめします。
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朝日新聞社の記者が,あの大津波の後,南三陸町にある「ホテル観洋」で宿を取りながら,現地を取材し,毎週火曜日朝刊に書き続けた連載「南三陸日記」を集めたものです。どれも短いコラムとその記事に関する写真とで1話になっていて,とても読みやすかったです。この短い文章の中から伝わってくる「...
朝日新聞社の記者が,あの大津波の後,南三陸町にある「ホテル観洋」で宿を取りながら,現地を取材し,毎週火曜日朝刊に書き続けた連載「南三陸日記」を集めたものです。どれも短いコラムとその記事に関する写真とで1話になっていて,とても読みやすかったです。この短い文章の中から伝わってくる「筆の力」に何度も感心しました。記者って,やはりとても文章力がありますね。ただ,三浦さんは,単行本用の「あとがき」で次のように述べていますので,やはり持つべき物はいい先輩(同僚)なんでしょうね。 デスク作業は東北復興取材センター長補佐の山崎靖デスクに担当して頂きました。原稿作成の(ママ)何度も書き直しを命じられ,明け方までパソコンに向き合い続けた日々が,懐かしくてたまりません。一連の原稿は,彼の「書き直せ」という叱咤によって磨かれています。 P.263 私は,津波の翌年の7月末,南三陸町を訪れました。そして,このホテルにも宿泊しました。偶然とはいえ,あのときのことが蘇ってきます。 文庫本には,2018年の再訪の際の記事も追加されています。そして,文庫本の表紙を飾っているのは,記事でも何度か取り上げられている,あのときこの世に生を受けた女の子だそうです。 本書の内容については「kuma0504さんのレビュー」がとても参考になります。
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