西洋菓子店プティ・フール の商品レビュー
菓子職人の亜樹が主人公の短編集。地の文だけで、食べたことのないスイーツの味がなんとなく想像できるのが楽しい。お菓子やネイルは嗜好品であり生活に必ず必要でないというところが印象に残った。つまりそれを生業としている人も、生活に必ず必要な仕事ではないわけで……。 しかし、必需品だけの生...
菓子職人の亜樹が主人公の短編集。地の文だけで、食べたことのないスイーツの味がなんとなく想像できるのが楽しい。お菓子やネイルは嗜好品であり生活に必ず必要でないというところが印象に残った。つまりそれを生業としている人も、生活に必ず必要な仕事ではないわけで……。 しかし、必需品だけの生活など無味無臭でつまらない。たまに甘いものを食べたり、ネイルや素敵な洋服を着てオシャレしたりすることは、生活に彩りを与え豊かにしてくれるものだと思う。そう思えるのも、戦争のない平和な世に身を置いているからということに気付かされる。
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「可愛い爪がきれいなケーキに食い込むのを眺めるのが好きだという」p.69 「でも、今日はネイルサロンに行く必要ができた」p.100
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甘く白いクリームの中にほろ苦いカラメルが混じっていて、甘いだけのお菓子が苦手な私も、美味しくいただけました。 千早茜さんの小説は初めてです。ほんタメのあかりんさんが激推しで、一冊手にとってみたところ、登場人物が自然で読みやすく、様々な情景が目の前に広がり、なんといっても美しい。(...
甘く白いクリームの中にほろ苦いカラメルが混じっていて、甘いだけのお菓子が苦手な私も、美味しくいただけました。 千早茜さんの小説は初めてです。ほんタメのあかりんさんが激推しで、一冊手にとってみたところ、登場人物が自然で読みやすく、様々な情景が目の前に広がり、なんといっても美しい。(そして美味しそう。)また、千早さんの本を読もうと思いました。 ちなみに、表紙裏の著者紹介欄に、直木賞ほか様々な文学賞と並んで、ほんタメ文学賞受賞(「ひきなみ」で)の記載があり、にやっとしちゃいました。☺
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菓子の魅力ってのは背徳感だからな。こんな綺麗なものを食べていいのかって思わせなきゃなあ。 物語に出てくるお菓子を食べながら読みたくなる。 ちょっとドキドキする大人なキャラメルや酸味の強いベリーみたいな王道ではない恋模様にドキドキしました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
”自分で得てきた知識や経験はちゃんと使え。それがいつかお前の味になる。” ”この人と具体的にどうしたいのか考えたこともないのだから、何も進まなくて当然だ。” ”腕を磨こう。好きな人のとっておきの甘い笑顔を見るために。たとえ、明日になれば消える一瞬の歓びだとしても” ”じいちゃんは作業中にメモを取ることもレシピを見ることも許さない。自分の頭で考え、なぜその素材を使うのか、あらゆることに意識的であること。全ての作業には理由がある” ”怒るってのは突っぱねてるだけだ” ”他人なんだから、自分の思い通りに行くわけないだろ。いつだって同じ方向を見てると思うな。一度、好きって言われたら気持ちは永遠だなんて思うな。お前、ばかな男みたいだぞ。” * 誰かが誰かを想う、その矢印は双方向にはならず、 それでもその”想い”を大事にする人たち。 千早さんの本は香りが漂ってくる。 そしてその香りの種類がいつも違う。 今回は、甘くバターの混ざったとろけるような香り。
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タイトルや表紙絵を見て何となくほっこりとした甘い物語を想像していたが、それは良い意味で裏切られる。 フランスで修行したパティシエールの亜樹。今は下町にある祖父の営む西洋菓子店「プティ・フール」で働いている。菓子作りへの情熱と向上心を持ち、生真面目にそつなく仕事をこなす亜樹だが、...
タイトルや表紙絵を見て何となくほっこりとした甘い物語を想像していたが、それは良い意味で裏切られる。 フランスで修行したパティシエールの亜樹。今は下町にある祖父の営む西洋菓子店「プティ・フール」で働いている。菓子作りへの情熱と向上心を持ち、生真面目にそつなく仕事をこなす亜樹だが、人間関係や自分の気持ちに対しての不器用さを感じる。 「あいつはまだまだ未熟者ですから、できることを全部やろうとしてしまう。引き算ってものをしらねえ。臆病なんですよ」「でもにげねえんです」と、祖父が客に語るシーンがある。亜樹という人がよく分かる。 プティ・フールを訪れる人々の、様々な欲望や葛藤のようなものが章ごとに登場人物の一人称で描かれ、亜樹の心情に絡み合っている。 「菓子の魅力ってのは背徳感だからな。こんな綺麗なものを食べていいのかって思わせなきゃなぁ。」これも祖父の言葉だ。 この物語は、濃厚なクリームにビターなチョコレート、甘酸っぱい赤い実、芳醇な洋酒のたっぷりと入ったスイーツのようだと思った。人の感情の奥底にある、どろどろとしたものが、美しい菓子を際立たせるかのように、色や艶、香りまでもが漂ってくる。 亜樹は、感情を表に出すのが苦手だけれど、少しずつ変わっていく。きっと亜樹の作る菓子もどんどん変わっていく、未来がほんのり明るく灯された気がした。 お菓子を用意して読まれることをオススメします(=^ ڡ ^=)
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主人公あきちゃんの師匠おじいちゃんが作ったシュークリームが食べたくなる〜!登場人物一人一人事情があってみんな頑張っていてなんだか感情移入してしまった。 そしておじいちゃんおばあちゃんが素敵な夫婦。 なかなかケーキ屋さんのケーキは高くて買えないけど食べたいなぁと思いながら読み進めま...
主人公あきちゃんの師匠おじいちゃんが作ったシュークリームが食べたくなる〜!登場人物一人一人事情があってみんな頑張っていてなんだか感情移入してしまった。 そしておじいちゃんおばあちゃんが素敵な夫婦。 なかなかケーキ屋さんのケーキは高くて買えないけど食べたいなぁと思いながら読み進めました。
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「舞台にあがる人、裏方で舞台を作りあげる人、そして、観客。それぞれにプロがいる。」上手く出来そうなところを探す。隠し味は甘さと秘密。
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やはり千早茜さんの表現が好きだ お菓子に例え お菓子とともに 甘く苦い一人ひとりの感情が浮き彫りになる それでも お菓子に救われる 本当に一人 孤独になった時に求め気付けるその感情 ああ、そうだよね
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千早茜の作品は不思議だ。いつも香りがする。 目の前に苺のショートケーキが置かれているかのように苺の甘酸っぱい香りと甘い生クリームの匂いが漂っている気がした。 コンビニやチェーン店のものじゃなくて人の想いで作られた洋菓子屋さんのケーキが食べたくなってしょうがない。"一口ず...
千早茜の作品は不思議だ。いつも香りがする。 目の前に苺のショートケーキが置かれているかのように苺の甘酸っぱい香りと甘い生クリームの匂いが漂っている気がした。 コンビニやチェーン店のものじゃなくて人の想いで作られた洋菓子屋さんのケーキが食べたくなってしょうがない。"一口ずつ大事に大事に食べるから今すぐ食べさせてほしい"そんな気持ちでいっぱいになった。
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