南極ではたらく の商品レビュー
南極観測隊に調理隊員として参加したい!という壮大な夢を、3度目にして実現させた渡貫さんの1年4ヶ月に渡る南極観測隊昭和基地滞在記。 ちょっとまえにNHKのサラメシで、昭和基地の調理隊員の回を見たので、様子を想像しながら読めた。お子さんもいる渡貫さん、あまり苦労話は書かれてないが、...
南極観測隊に調理隊員として参加したい!という壮大な夢を、3度目にして実現させた渡貫さんの1年4ヶ月に渡る南極観測隊昭和基地滞在記。 ちょっとまえにNHKのサラメシで、昭和基地の調理隊員の回を見たので、様子を想像しながら読めた。お子さんもいる渡貫さん、あまり苦労話は書かれてないが、並大抵の努力で勝ち取ったモノではないはず。カッコいい母ちゃんである。 南極の暮らしは、一歩間違えれば死と隣り合わせ。そんな緊迫感が随所に溢れているわけではないが、一度警報が鳴れば基地内に緊張が走る。また補給されることのない食料でいかに工夫して心を満たす食事を提供するか、30人ほどの人間で閉鎖された空間に一年暮らすことへの、細かな気配りなども書かれていてリアルで興味深い。 あまり出てはこないが、彼女を淡々と送り出す家族の愛と信頼関係がすごいなぁと思う。自分と同世代ということを考えると、理解のある夫はそういないだろう。 こういう女性たちがもっと出てくれば、この国も変わるのかなぁ…他力本願ではいけないけれど。 最後に帰国後の南極ロスについて書いてあったが、夢を叶えた後の人生をまた始める、ということにもまた膨大なエネルギーが必要らしい…深いなぁ…。 2019.7.31
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第57次南極観測の越冬隊で調理隊員を務めた渡貫淳子さんの体験エッセイ。 南極料理人と言えば、西村淳さんを思い浮かべる方も多いと思う。 映画にもなったし、つい最近も新しいドラマとしてリメイクされた。 この本を手に取ったのは、別の人の視点ではどう描かれるだろう、という興味が多いにあったからだ。 著者の渡貫さん自身も、「南極料理人」の映画に感動して、自分も南極で、観測員たちのために料理を作りたい!と夢をふくらませたそうだ。 "かあちゃん、調理隊員になる"というサブタイトルのごとく、お子さんのいる主婦だった。 『夢』を実現し、遂行するためには並々ならぬ苦労があったのだと思う。 面白隊員の描写ではなく、自分自身の大事業を振り返り描写する内容となっている。 簡潔な文章だが、抑えた思いが伝わってくる。 やりたいことは無理に見つけなくてもいい、ただ、夢に出会った時に活かせるスキルを日々の中で培って行きましょう、という、女性へのエールとなっている。 女性女性とことさらにジェンダーを意識して読んだわけではないが、実際問題として、女性がこのような大仕事とをするにあたっての障害は多いと思う。 【人と違うことをするのは勇気がいりました】 のさりげない一言が物語っている。 南極での仕事の描写は、やはりいたるところに"主婦目線"が感じられる。 たとえば、ゴミはすべて日本に持ち帰るわけだが「鍋のふちにこびりついたソースでさえ排水管の汚れ」という描写にも主婦を感じる。 一年分の食料を一回で仕入れる、という状況には目眩。 大変さもやりがいだったのだろう。 帰国して、「昭和基地に帰りたいな」と思ってしまうほどの、人生に大きな位置を占めた体験、うらやましく思う。
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南極という特殊な環境で長期間に及ぶ生活を支える料理人。色々な観点から南極を知ることができた。「男の生理」の話が印象に残っており、所変われば配慮すべきこともかわるのことを実感した。
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南極料理人のがおもしろかったから ガッカリ。 というか、無駄に男女平等にしなくて 良いのじゃないか。 どう見ても女性隊員のいるメリットがない。 喧嘩⁇して涙出たとこで嫌になった。
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映画「南極料理人」は私も大好き。 だけどあれを観て行きたいと思うとは凄い。究極の聖地巡礼かも。 オリンピックがみられないから自分たちでやってしまうのは映画にありそうなお話でした。
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一念発起して夢を叶えるバイタリティーがすごい.女性の目から捉えられた昭和基地のあれこれが面白かった.イラストはかわいいけれど,写真があればもっと分かりやすかったのにと少し残念です.
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南極越冬隊の調理隊員として、南極でゴハンを作るという夢を実現した主婦の記録。「悪魔のおにぎり」などの南極レシピもメチャそそりましたが、それよりなにより読書中に思いを馳せたのはどでかく人類の歴史のことでした。東アフリカに生まれたとされる我々の祖先が、アフリカを出たのが180万年以上...
南極越冬隊の調理隊員として、南極でゴハンを作るという夢を実現した主婦の記録。「悪魔のおにぎり」などの南極レシピもメチャそそりましたが、それよりなにより読書中に思いを馳せたのはどでかく人類の歴史のことでした。東アフリカに生まれたとされる我々の祖先が、アフリカを出たのが180万年以上も前とか、18万年前とか、諸説ありながらも、それ以降、長い時間をかけて、厳しい環境に適応しながら住む場所を増やしてきました。極暑の地、極寒の地、空気の薄い高地、湿った空気の地…そして、最後の秘境、南極大陸での暮らしにたどり着くのですが、そのひとつひとつの未開の地で暮らせるようにする過程の中で、獲得したのもの、それが高度な社会性なんじゃないのかと思ったのです。本書は、非常にシンプルに書かれた本ですが、過酷な自然への向き合いの中で、利他的な思いやりと洗練された人間関係の距離感を体得していく様子が人間社会の進化そのものを感じました。逆に南極から帰って来た後の「南極廃人」なる状態も。「ありとあらゆる食べ物に囲まれ、その中から選ぶこともなかなかできなかったし、何よりスーパーの惣菜コーナーに並べられている食品を見た時、時間が経ったら彼らはみんな廃棄されるんだろうなと思っただけで涙が出てきた。」厳しい自然環境による制約が人類を人間にしていくのか…極地での日常から綴る「給食のおばちゃん目線」の社会進化論は読み易さ以上の深さを持っていると思います。
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コンビニで評判なり 私も食したことのある「悪魔のおにぎり」それがこの本の中に登場するとは! 40代主婦が一発奮起して南極昭和基地で調理隊員になる‥だけど本文からは女性らしさ(渡貫さんごめんなさい)、あまり感じられず サラッと読むことができた。未知の世界(汗)すごいの一言!!
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南極観測隊に調理師として参加した主婦のエッセイ。 前後合わせると1年半程の期間、家を空けてしまうということにまず主婦は躊躇するだろうけど、自分にヤル気とチャンスがあれば、そして家族の理解も得られたら、後悔しないために行くべきだと思う。南極じゃなくてもどんな事でも。 観測隊の知ら...
南極観測隊に調理師として参加した主婦のエッセイ。 前後合わせると1年半程の期間、家を空けてしまうということにまず主婦は躊躇するだろうけど、自分にヤル気とチャンスがあれば、そして家族の理解も得られたら、後悔しないために行くべきだと思う。南極じゃなくてもどんな事でも。 観測隊の知らなかった事が色々あり、興味深く読んだけど、やはり読み物としては…。類稀な経験があってこその一冊という感じ。
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幾つになっても挑戦したいという気持ちがある限り、やりたい事を実現できるのだと思った。 南極で過ごした日々が綴られているが、やはり文章だけでは想像しづらい場面も多かったので写真を載せて欲しかった。(難しいと思うが) 多くの人々と協力して達成したという功績は、何物にも代えることのできない素晴らしい経験になるのだと思った。
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