FACTFULNESS の商品レビュー
世界中の『いま』の事実を正しく捉える上で、自分たちが本能的にどんな過ちに陥るのかについて知る本。種として生き残るために授かったヒトとしての素質だったはずなのに、グローバルで多様化された社会で他者と共生し、共助をしていく上ではデメリットの方が多いというのはなかなか頭が痛い話。 また...
世界中の『いま』の事実を正しく捉える上で、自分たちが本能的にどんな過ちに陥るのかについて知る本。種として生き残るために授かったヒトとしての素質だったはずなのに、グローバルで多様化された社会で他者と共生し、共助をしていく上ではデメリットの方が多いというのはなかなか頭が痛い話。 また、メディアがその本能に働きかけているのは自覚があるし、その批判は「ごもっとも」と受け入れるつもりで読んでいたが、ハンスさんは冷静で、情報を受け入れる側に対する批判的な視点も忘れてなかった。ある意味でこれはメディアリテラシーの本だと思った。 訳者のひとことも心に刺さった。「自分は本能に支配されてた、と過ちを認められる社会へ」。私はこれだ、と思った。この種の過ちはかならず起こる。だから、過ちをした人を寛容しない社会ではなく、間違えてしまった人をしなやかに受け止めて、対話し、一緒に同じ道へ歩み戻るような流れを普通にしたいなと改めて思う一文だった。
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■思い込みはせずに、客観的なデータ、マクロ視点をもって世界を見なさい。 ◇世界の様々な統計を示し、マクロ視点で見ると意外と世界情勢は良くなっている。著者は過去色々な場所で、学者や起業家等に3択のクイズ形式出題したが、正答率が悪かった(3択なのでチンパンジーでも3匹に1匹が正解する。チンパンジーよりも出来が悪いと皮肉交じりに説明)。その理由は、10個の人間の本能があるからだと著者言っている。1分断本能、2ネガティブ本能、3直線本能、4恐怖本能、5過大視本能、6パターン本能、7宿命本能、8単純化本能、9犯人探し本能、10焦り本能。一言で言ってしまえば、偏見を持つな、思い込みをするなということ。客観的なデータで判断しろということだと思う。 ◇個人的に印象だった点は、「1分断本能」で先進国と発展途上国という「分断」する考えはすでに時代遅れな考えだということ。「分断」する考えは間違っていることを本の中では、「女性ひとりあたりの子供の数」のデータで説明されている。「女性ひとりあたりの子供の数は少なく死亡率は低い」グループと「女性ひとりあたりの子供の数は多く子供の死亡率は高い」グループに過去分断されていたが、今や「女性ひとりあたりの子供の数は多く子供の死亡率は高い」の数は全人口の6%、たった13カ国だけ。意外とどのようなケースにおいても中間層が多いということ。 ◇他に印象的だったデータとしては、現在の人口はアメリカ大陸:ヨーロッパ大陸:アフリカ大陸:アジア大陸=1:1:1:4だが、2100年頃には、1:1:4:5になっている。
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本書では10の本能が定義されている。1分断本能・2ネガティブ本能・3直線本能・4恐怖本能・5過大視本能・6パターン本能・7宿命本能・8単純化本能・9犯人捜し本能・10焦り本能だ。ある情報を受けて何らかの判断を下したり、行動にでる時に、10の本能が刺激されていないか見つめてみること...
本書では10の本能が定義されている。1分断本能・2ネガティブ本能・3直線本能・4恐怖本能・5過大視本能・6パターン本能・7宿命本能・8単純化本能・9犯人捜し本能・10焦り本能だ。ある情報を受けて何らかの判断を下したり、行動にでる時に、10の本能が刺激されていないか見つめてみることが大切。私事だが、過去に思い当たることが多々あり、後悔した経験があるだけに大いに役立った。あと世界の未来は、自分が思い込まされている以上に明るいのだと思った。
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とても内容のある読み応えがあった本である。 人には10の本能があり、それらを抑えることで世界の真実が見えてくる。最初に問いかけられた問題を初めて考えたときに世界は悪い方向に傾いてる、世界には裕福と貧困の二つに分断されているなど考えていたが、それらが全て自身の本能から起こる勘違いだ...
とても内容のある読み応えがあった本である。 人には10の本能があり、それらを抑えることで世界の真実が見えてくる。最初に問いかけられた問題を初めて考えたときに世界は悪い方向に傾いてる、世界には裕福と貧困の二つに分断されているなど考えていたが、それらが全て自身の本能から起こる勘違いだと気付かされた。
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我々が物事を見るときに陥りがちな誤った10の本能と、それを乗り越えていかに世界の正しい姿を捉えるかという本。曰く、我々は「ドラマチックすぎる世界の見方に囚われている」。 ...なんだけど、同時に、「世界は確実に良くなっている!」というメッセージが、全編を通して底流に流れている。 著者の「知識不足との戦い」にかけるパッションと、世界を良くしたいという想いの強さ、前向きな世界の捉え方が心に響く、良い本だった。 「おわりに」にはホロリときてしまった。ぜひ、全編を読んでから「おわりに」に進んで欲しい。
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あとがきにもあったけど、世界を批評的にみるよりも、自分を批評的にみることができる本でした。 個人的に印象深かったのは、自分の関心がそこにあることの反面でもありますが貧困に対するイメージとデータの乖離でした。 また、なんとなく2000年あたりから世界はそんなに良い方向に動いていない...
あとがきにもあったけど、世界を批評的にみるよりも、自分を批評的にみることができる本でした。 個人的に印象深かったのは、自分の関心がそこにあることの反面でもありますが貧困に対するイメージとデータの乖離でした。 また、なんとなく2000年あたりから世界はそんなに良い方向に動いていない(停滞)という印象があったのですが、ここ20年でも世界は良い方向に動いているということに、言われればそうだけど知識は高校や大学からあんまりアップデートされてないということを意識せざるを得ませんでした。
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医師として貧困地域の医療や大学での研究に携わるとともに、 WHOやユニセフのアドバイザーとしても活躍してきた著者が、多くの人が実は誤解している世界の様々な真実と、その背景にある人々の思い込み(本能)を明らかにし、「ファクトに基づく世界の見方」を身に着けるための手法を解説した指南書...
医師として貧困地域の医療や大学での研究に携わるとともに、 WHOやユニセフのアドバイザーとしても活躍してきた著者が、多くの人が実は誤解している世界の様々な真実と、その背景にある人々の思い込み(本能)を明らかにし、「ファクトに基づく世界の見方」を身に着けるための手法を解説した指南書。 人間には狩猟採集社会時代に培った情報の取捨選択のための「本能」がある。それは物事を効率的に判断し、すぐに行動するためのパターン化や単純化であったり、身に迫った危険を避けるためにネガティブなものに注目したり恐怖や焦りを感じたりするもので、人類の生き残りには不可欠であったが、現代においてはそれが「ドラマチックすぎる世界の見方」につながり、実はそれほど重要ではない問題が必要以上に注目される一方、本来評価されるべき小さな進歩の積み重ねや、本当に避けるべき中長期的な危険が放置される要因になっている。 そのような本能を克服するための手法として紹介される「ファクトフルネス」の基になっているのは、著者自身の豊富な経験からの学びであり、中には著者が35年もの間誰にも言えなかった、多くの人の生命にかかる大きな失敗の告白もある。しかし全編にわたって著者の語り口は軽妙かつユーモラスであり、多数の統計データを駆使しつつも最後まで一気に読ませる面白さがある。世界を正しく見るためにまずは自分を変えよう、そのために好奇心と謙虚さを持ち続けよう。本書出版直前に他界した著者渾身のメッセージが心に響く名著。
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Amazonさんの売り上げランキングでも一位になった話題の一冊。 データを基にして世界を正しく見る習慣について書かれているが、世界情勢に限らず、データを基にしてあらゆる事柄に対して先入観(バイアス)に振り回されないように向き合うために必要なことが書かれています。 データリテラシー...
Amazonさんの売り上げランキングでも一位になった話題の一冊。 データを基にして世界を正しく見る習慣について書かれているが、世界情勢に限らず、データを基にしてあらゆる事柄に対して先入観(バイアス)に振り回されないように向き合うために必要なことが書かれています。 データリテラシー、統計リテラシーの類は他の本でもいろいろと記されているところですが、本書はそれらが具体的な著者の豊富なエピソードを交えて、的確な日本語訳によって書かれていることで、400ページ近いボリュームであるにもかかわらず読み進めやすかったように感じました。 著者(故人)のTEDトークや、ギャップマインダーと呼ばれるアニメーションを伴ったバルブチャートグラフ等はwebにて実際に目にしていただくことでより一層理解が進むと思います。 本書では、訳者のうちの一名である上杉周作様とはtwitterを通じて本が手に届く前からやり取りをさせていただく機会をいただきました。 本の出版にかかわられた方とSNSにてコミュニケーションを取りつつ本を読むという体験は私にとって大変新鮮なものでした。新しいスタイルの読書を経験することができました。 付箋は、大量の42枚付きました。 なお、本書の内容とは異なりますが、ちょうど本書を読み進めている時に複数の省庁の実施している統計調査に相次いで不適切な調査が行われた旨の報道がありました(現在も調査は継続中のようです)。 「データを基にして」という、その大前提の素材が適切でないのでは、分析もなにもあったものではありません。 その一方で、こういったデータの信憑性といった切り口についても一定の不確実さがありうることすら頭に入れてデータに向き合うということが真のファクトフルネスに通じるのかとも思った次第です。
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いま話題の。冒頭のクイズ、僕は案の定チンパンジー以下の結果を叩き出しまして、すっかり筆者の術中に嵌ってしまいました。 世界の(本書的には現在のレベル4の国々の)世界全体への見方がいかに思い込みによるものかを平易に語ってくれます。 初読の衝撃度はかつてのマルコム・グラッドウェルには...
いま話題の。冒頭のクイズ、僕は案の定チンパンジー以下の結果を叩き出しまして、すっかり筆者の術中に嵌ってしまいました。 世界の(本書的には現在のレベル4の国々の)世界全体への見方がいかに思い込みによるものかを平易に語ってくれます。 初読の衝撃度はかつてのマルコム・グラッドウェルには及ばないのではというのが偽らざる感想も、著者の人柄が本書の最大の魅力でしょう。イントロから激しく飛ばしてくれます。 僕のように筆者について何も知らなかった人間にとっては「おわりに」がまさに「衝撃のラスト」であり、アカデミー賞モノのドラマを観おわったような、晴れやかな読後感。
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我々は、世界はどんどん悪くなっていると思いがちだが、実はそうではない。基本的に、世界はよくなっている。赤ちゃんが死ぬことは減り、女性も教育を受け、誰もが電気を使い、予防接種を受けられるようになっており、自然災害で命を落とすことも少なくなった。 もちろん世界にはまだまだ問題がある。...
我々は、世界はどんどん悪くなっていると思いがちだが、実はそうではない。基本的に、世界はよくなっている。赤ちゃんが死ぬことは減り、女性も教育を受け、誰もが電気を使い、予防接種を受けられるようになっており、自然災害で命を落とすことも少なくなった。 もちろん世界にはまだまだ問題がある。だが、現状で悪いということと、変化として良くなっていることは両立する。 事実に基づき、 思い込みを排してみれば、 世界はよくなっている。 人々は豊かになっている。 本書は希望を与える。 思い込みのあり方を10の「本能」に整理する。 このようなバイアスを持っていることは進化の結果のように思うが、そう進化してきた野生のヒトと、複雑な社会システムを築き、テクノロジーで自然の進化とは違う道を走っている人間との乖離が、思い込みと事実のギャップを生み出しているのであろう。 社会的に影響力のある、なんらかの意思決定に関わる人、そうなるつもりの人は、すべからく本書を読むことを勧めたい。 今すぐ、でなくていいけどね。
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