1R1分34秒 の商品レビュー
芥川賞らしい作品。 主人公のボクサー視点で語られる物語。 一文が短くテンポが良い。思考が共有される感覚。芥川賞らしく、主人公がひとりで悶々と考えるシーンが多い。ボクシングはしたことないので、リアルにはわからない。あとは文学的性行為が挟まれる。短くて読みやすいが、ストーリー的にすご...
芥川賞らしい作品。 主人公のボクサー視点で語られる物語。 一文が短くテンポが良い。思考が共有される感覚。芥川賞らしく、主人公がひとりで悶々と考えるシーンが多い。ボクシングはしたことないので、リアルにはわからない。あとは文学的性行為が挟まれる。短くて読みやすいが、ストーリー的にすごくおもしろいわけではない。
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初めて読む作家さん。時間の無駄だったと思いたくないからお試しで、芥川賞とってるし面白いかなと。本が薄くて助かる。 二十歳超えて厨二病かってとことん内省的な主人公も分からんし、ボクシングの描写もやったことないから想像しにくい、ありがたいことに飢えを強く感じたこともないから減量の苦しみに共感もない。 人生に厭きているといいながら変化を嫌気する、投げやりでありながら尊大な自尊心が他人が懐に入るのを許さない、なんでこんなことしてるんだろうの理由に向き合うことなく自暴自棄気味に自傷行為のようにボクシングを続ける主人公。 なら辞めてしまえ!うっせぇんだわよ! と投げ出したくなる。芥川賞と残りページの少なさでなんとか踏みとどまる。 わざとなんだろう、そこひらがな?ってところで突っかける、難しい漢字を敢えて選択する、なかなかさらさら読ませない仕組み。車のスピード出させないように道に小山つくったり、幅員狭めたりする方法があるが、それに似てる。ちゃんと噛んで欲しいんだなと理解する。その文体うじうじ主人公とぴったりですわ、鼻につく感じ。 辛口に書いたが、最後の章の身体を極限まで追い込んだ主人公が夢か現か分からない中で、部屋にもたれる木に、想い出に、時間に、友人の映画に、パラレルワールドの妄想に、自らの内面を見る。作者が描きたかった世界が朧げに点描のごとく見えてくる。今までのうだうだの日常描写はこの最後のシーンを描くためだったんだと、ミステリーではないけど伏線回収のような心地良さあり。死んでもおかしくない勝負をする理由を、観客は「好きだから」で片付けたいところを落とし込もうとしたらここまでなるのかも。5文字で言語化できる感情は掘り下げるとここまでなるのかも。 4回戦のパッとしない成績の20そこそこの若者の1R1分34秒にこの本のような濃淡のある時間が凝縮されていると思うと果てしない。にわかでその試合見て人の試合にいちゃもんつけるとかその全てを踏みにじってて論外だな。でもそんなに複雑に考えんなよ言語化せずに身体動かしとけよ、とも願う。 最後の章はしっかり2回読み込んでやっとニュアンスが分かるくらいの読解力の無さだけど、そういう訓練という意味でも読んでよかった。ウメキチが出るあたりで、あれ?この話読んだことある?と私が気が付いたように、これからも1秒ごとに記憶をブチブチ消しながら(ボクシングしてないのに脳がぶっ壊れてるのか)消されながら生きるのが人間なので、主人公が最後に見つけた気持ちも後からついてくる勝敗や出会いや物事によって形を歪めながら何度も忘れ、出会いを繰り返していくんだろう、感情って面倒臭いな。
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芥川賞受賞作品らしく、文章表現は豊か。ストーリーはめっちゃおもしろいわけではない。 ボクサーの話だけど、わりとテーマは普遍的。アイデンティティというか、今自分が何をしたいのか見失うこともあるし、他人との交流が煩わしく感じたりすることもあるけど、「信頼のシステム」が成立したときに...
芥川賞受賞作品らしく、文章表現は豊か。ストーリーはめっちゃおもしろいわけではない。 ボクサーの話だけど、わりとテーマは普遍的。アイデンティティというか、今自分が何をしたいのか見失うこともあるし、他人との交流が煩わしく感じたりすることもあるけど、「信頼のシステム」が成立したときに初めて人は誰かに甘えられるし、「あのときああしていれば」的な想像で今の状況を前向きに捉えたりすることができる。 現状にかまかけて怠惰に過ごすのは傲慢なんかなあと感じた。人間の負と正が、何気ない様子から如実に炙り出されていた。
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「人間関係、めんどくさいなあと思った。人生。」 でも主人公はトレーナーもいるし友達もいる。 親身になってくれてると思った。減量のときの思考、自分と向き合ってる、生きるとは、を追い込んでる中で答えを出している。「だから勝つ」。 思いを言葉にするのは難しい。
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屈折している。本書に登場する主人公はボクサーだが、勝利への意欲が欠けているのはボクサー云々の前に人としてどうなんだと問いたくなるレベルである(それに共感できる自分も人としてどうなんだ)。 ほんの一瞬、綺羅星の通過より早い一瞬に全てを捧げるために彼は今日も走り、拳を突き出す。うんう...
屈折している。本書に登場する主人公はボクサーだが、勝利への意欲が欠けているのはボクサー云々の前に人としてどうなんだと問いたくなるレベルである(それに共感できる自分も人としてどうなんだ)。 ほんの一瞬、綺羅星の通過より早い一瞬に全てを捧げるために彼は今日も走り、拳を突き出す。うんうんと悩み、相手に恐怖と苦悩を抱きながら。 キラキラした青春小説ではないが、それ故なのか腹に重いボディーブローを喰らった気分である。刺さる。
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初 町屋良平 著作品。 好き嫌いが別れる作品だろうなぁと思いつつ、自分は好きな文章だった。 青春をボクシングを通して、若気の至り、若い頃でなければ出来ない瞬間を見たような作品だった。
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話題になった作品なので読んでみたけれど、わたしには文章が合わなかったかも。 ただ、自己表現が苦手なのに、心の内ではすっごく色んなことを考えて(暴言を吐いて)いる主人公は、自分と重なる部分もあるようで。 スポーツをする人やボクシング好きな人には、より刺さる作品なんだろうか。
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ボクシング×純文学。 個人的な競技は内省の時間が多くなるのだろうな...主人公の心のうちを覗くのが楽しかった。
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2024.1.20 今日はコロッケだよ 考えすぎているプロボクサー 弱い彼がウメキチトレーナーと出会い 試合に向けてトレーニングしていく 終始主人公目線 主人公の心の声が、つらつらと書かれている感じの物語 ボクサーは試合に挑むまで 大変なんだなーーということは分かったが ...
2024.1.20 今日はコロッケだよ 考えすぎているプロボクサー 弱い彼がウメキチトレーナーと出会い 試合に向けてトレーニングしていく 終始主人公目線 主人公の心の声が、つらつらと書かれている感じの物語 ボクサーは試合に挑むまで 大変なんだなーーということは分かったが 1文が長くて理解できず 減量で飢餓状態のボクサーの思考を 理解できるはずは無いし それが狙いなんだとは思うけど、 入り込めなかった 以上。
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年代的にボクシングというと沢木耕太郎だったり、角田光代だったり、百田尚樹だったりを思い浮かべてしまうので、これはやっぱり新しい感覚。 最初は文体にうまく馴染めず、内容が頭によく入ってこなかったけど、映像化して読めばいいんだ、と気づいてからは意外と楽しめた。 スマホのカメラで撮...
年代的にボクシングというと沢木耕太郎だったり、角田光代だったり、百田尚樹だったりを思い浮かべてしまうので、これはやっぱり新しい感覚。 最初は文体にうまく馴染めず、内容が頭によく入ってこなかったけど、映像化して読めばいいんだ、と気づいてからは意外と楽しめた。 スマホのカメラで撮った映像を文字起こししたみたいな、自分を中心に半径5メートルくらいの世界を切り取って描く手法が独特でユニークだと感じた。
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