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平場の月 の商品レビュー

3.8

186件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    79

  3. 3つ

    44

  4. 2つ

    8

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    3

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2019/07/14

主人公は離婚や転職を経て地元で一人暮らしをする50歳の青砥。検査に訪れた病院の売店で、中学時代に告白してふられた同級生、須藤と再会します。 須藤も離婚歴があり、ほどなく近所で飲み合う仲になりますが、ある日須藤にがんが発覚し―――。 とっても美しいアラフィフの恋愛小説です。 筋だ...

主人公は離婚や転職を経て地元で一人暮らしをする50歳の青砥。検査に訪れた病院の売店で、中学時代に告白してふられた同級生、須藤と再会します。 須藤も離婚歴があり、ほどなく近所で飲み合う仲になりますが、ある日須藤にがんが発覚し―――。 とっても美しいアラフィフの恋愛小説です。 筋だけ見るとある種の王道パターンに当てはまりそうなのですが、あまり陳腐な印象は受けません。それは一にも二にも、このストーリーに一見合ってなさそうな軽快な筆致からきているように感じました。短い文を波状攻撃のようにテンポよく続けることで、悲しい展開が逆に引き立つというか。特別なテクニックというわけでもないと思いますが、読み進めると不思議なくらいに引き込まれるんですよね。 また、この手の作品では見せ場の一つに挙げられるであろう「性」の描写が控えめなところも気に入りました。 始まってすぐ、読者の前に二人の結末(のようなもの)は示されるので、サプライズを楽しむというよりは、その結末に至るまでの過程をじっくり味わいたい作品です。個人的にはもう少しストーリーに仕掛けを入れてくれたほうが好みではあるのですが、シンプルな構成だからこそ心を揺さぶられる面もあるわけで、これはこれでありでしょう。 登場人物のキャラクターもいいですね。青砥にしろ須藤にしろ、あまり悲劇のヒーローとかヒロインといった感じじゃないです。ごくごく平凡で、描かれているのは現代日本の中流よりちょっと下ぐらいの情景ですが、現実社会と地続きのリアリティが感じられます。 自分のことは全て自分で引き受けたい、他人に迷惑はかけたくないという須藤の小さなプライドを青砥がどのようにして受け止めるのかという点が個人的には一番の読みどころでした。 いい作品だと思います。

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2019/06/27

2019.6.27.中学時代に青砥が想いを寄せていた須藤と50代になって再会。そして淡い恋愛感情か生まれていくが…。 ただひたすら気持ち悪かった。そんな感想しか持てない自分が悪いのか…いろいろな意味で残念な作品だった。

Posted byブクログ

2019/06/26

50代の男女の切なく哀しい恋愛を描いた涙なしには読めない朝倉かすみさんの山本周五郎賞受賞作です。青砥と須藤、中学の時に叶わなかった恋愛が50になって再会し再燃するのだけど、不運にも女の方に癌が見つかって。章題は全て太い(体型ではなく神経が)女・須藤の台詞で、ぶっきらぼうな調子なの...

50代の男女の切なく哀しい恋愛を描いた涙なしには読めない朝倉かすみさんの山本周五郎賞受賞作です。青砥と須藤、中学の時に叶わなかった恋愛が50になって再会し再燃するのだけど、不運にも女の方に癌が見つかって。章題は全て太い(体型ではなく神経が)女・須藤の台詞で、ぶっきらぼうな調子なのに繊細なムードが漂っていますね。ああ!須藤よ、若い時にDV男や浪費家ヒモ男らのろくでもない野郎に惚れたのは不仲な両親の影響で無意識に幸せを拒んだのか。青砥は結婚に拘る事はなかったのに、須藤には最後くらい素直に男に甘えて欲しかったな。

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2019/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

よかった…と思う。 ただ、最初はなかなか話が読み取れなくて(読解力の問題?)、これは離脱するかも…としばらく放置。でも、途中からぐんぐん。 地域については近くに住んでいたこともあるのでわかるけど、この本の内容には特に大きな意味はなさそう。生まれ育った土地に帰って来て…というのはどこにでもある。 池袋の件で「翔んで埼玉」を思い出したけど(笑) 病気や親の介護については、よりリアルに感じる年齢なので共感できたけど、若い人達にはどうかな? 亡くなった人との時間を走馬灯の様に思い出す一番最後の部分はジンときた。

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2019/06/22

静かで淡々としている雰囲気の話。 劇的な出来事や事件が起こるわけではなく、キラキラした華やかな生活を送る人達の話でもない。 50歳、埼玉で過ごす普通な大人。平場、ってそう言う意味なんだ。 自分の境遇、環境もあり、50なら普通に結婚して子供がいて、裕福ではないにしても、夫や子供のこ...

静かで淡々としている雰囲気の話。 劇的な出来事や事件が起こるわけではなく、キラキラした華やかな生活を送る人達の話でもない。 50歳、埼玉で過ごす普通な大人。平場、ってそう言う意味なんだ。 自分の境遇、環境もあり、50なら普通に結婚して子供がいて、裕福ではないにしても、夫や子供のことで悩んでいて、っていう、いわば当たり前とされている、一般的な形ではなく、1人で生きてる同士。だけどもう若くはなく、かと言って余生を共に生きるとかではなく、まだまだ働き今の生活を踏ん張っていかないといけない世代の設定であることも、良かった。 青砥が言う「太い」須藤、表現がとてもしっくりくる。こう言う、芯があると言うか、自分の価値観の軸がある『すわってる』人って、自分にはないものだから、とても憧れる。こんな風に、決して順調で恵まれてるわけではなく、そして今や人によっては、自分ばかりなぜ、不幸だと思っても仕方ない状況を静かに受け入れられるようになりたいと思うけど、、、自分には無理だな。きっと、青砥のような人が現れたら甘えてしまうだろう。そして重たくて振られるのかもしれない(笑) けれど、結末に近づくにつれ、憧れる強さを持っているはずの須藤が悲しくもあり、胸が苦しくなった。この小説が、ハッピーエンドで中年の恋は報われ幸せになりました、じゃ興醒めだけど、、、でも須藤のような太いけど、本当は繊細で優しくて寂しがりでもあり、頑張って生きてる人が、幸せになれないことが、辛くもあった。 でも須藤は「ちょうどよく幸せ」って言ってたっけ。人生が終わるそのときもそう思えてたらいいな。 本筋とは関係ないけど。 ウミちゃんみたいな人って、どこにでもいるんだなあ。根っからの悪人じゃないけど、人の不幸は蜜の味、自分の価値観で高みから人を裁きたがる人、、、正直嫌い。

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2019/06/18

平場では、ドラマのように相手のサインにふと気が付くことなんてないんだよなあ。見逃しながら、生きていく。

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2019/06/17

50台の離婚経験者同士の大人の恋愛小説。愛する人と過ごしたい vs.愛する人を巻き込みたくない の心のせめぎあいを描く。

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2019/06/15

生まれ育った町にそれぞれ独り身になって戻った男女が35年ぶりに再会し、過去を懐かしみ、今を報告し合い、間の35年を共有し…。お互いを尊重し少しずつ距離を縮めていく、じれったいほどの様子が心の柔らかいところをそっと差し出すように描かれます。人生の半ばを過ぎて更に病を抱えても、生きる...

生まれ育った町にそれぞれ独り身になって戻った男女が35年ぶりに再会し、過去を懐かしみ、今を報告し合い、間の35年を共有し…。お互いを尊重し少しずつ距離を縮めていく、じれったいほどの様子が心の柔らかいところをそっと差し出すように描かれます。人生の半ばを過ぎて更に病を抱えても、生きるというのは今日明日の話ではなく、明後日でも明々後日まででもない。だからこそ、青砥の後悔も須藤の選択も、わかりすぎるほどわかってしまうのです。平場で普通に生きる、ただそれだけの事が難しい。見上げた月はどんな表情をしているのでしょう。

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2019/06/14

「だれにどんな助けを求めるのか、わたしが決めたいんだ。差し伸べてくれた手を握りっぱなしでいたら、どっちも沈んじゃう」と言った須藤の「太さ」がかっこいいな。 がんの再発が分かったとき、青砥にこのまま頼っていたらどっちも沈んでしまうとわかったから、青砥を巻き込みたくないのと同じくらい...

「だれにどんな助けを求めるのか、わたしが決めたいんだ。差し伸べてくれた手を握りっぱなしでいたら、どっちも沈んじゃう」と言った須藤の「太さ」がかっこいいな。 がんの再発が分かったとき、青砥にこのまま頼っていたらどっちも沈んでしまうとわかったから、青砥を巻き込みたくないのと同じくらい、自分も死ぬ覚悟が揺らぐから青砥から離れていったのだと思う。 「ちょうどよくしあわせ」な日々を生きていた自分が、すごく幸せになってしまったら、「もっと生きていたい」と思ってしまう、この世に未練ができてしまうのが須藤には辛かったのかなと。 大絶賛されているの作品だけど、私はやっぱり中年の恋愛話では泣けませんでした。

Posted byブクログ

2019/06/09

病気も何も、もう他人事じゃない年になったんだよなあ・・・と それにしてもLINEにポケモンGOと、今時だな・・・

Posted byブクログ