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平場の月 の商品レビュー

3.8

183件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    78

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

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2019/03/04

その辺りにいそうな普通の中年男女の恋愛の話。詳しくはネタばれになるので書けないが、読後実に切ない気持ちになる。人はもっと愛される人に無条件に頼っていいのでは。人を愛する形について考えさせられる作品。

Posted byブクログ

2019/06/30

奥様おすすめ本。 デパートとかの平場の話かと思って読み始めた。 平場とは、ごく一般の人々のいる場所のこと。 タイトルは、その場所から見上げる月ということか。 太陽じゃなくて。 この物語を「一般人の恋の話」と言い切ると浅薄すぎるだろうが、いずれにしろ、かなり感情移入して読んだ。 最...

奥様おすすめ本。 デパートとかの平場の話かと思って読み始めた。 平場とは、ごく一般の人々のいる場所のこと。 タイトルは、その場所から見上げる月ということか。 太陽じゃなくて。 この物語を「一般人の恋の話」と言い切ると浅薄すぎるだろうが、いずれにしろ、かなり感情移入して読んだ。 最初にこの恋の結末が書かれているので、そこに至る細かな記述のいろいろすべてと、次第に「終末」に向かっていく感じが悲しい。 出てくる事象や登場人物の考え方、感情の揺れが、この歳だからこその真実味を感じさせてくれる。 須藤の言う「ちょうどいい幸せ」っていう言葉が心に残る。 私自身とは正反対の「太い」須藤。こんなふうであれればと思うけれど、こんなふうにはなれない。 読み終えて表紙の挿画を見ると、一層切ない。 20年近く前、「センセイの鞄」を読んだときの気持ちに通じた。 あと蛇足。 須藤の語り口は、ややぶっきらぼうで文字だけ読むと、男か女かわからない。そこがリアル。 p110 須藤の周りに「いいひと」がいると嬉しい。 p146 「青砥には十分助けてもらってるよ。青とは甘やかしてくれる。この歳で甘やかしてくれるひとに合えるなんて、もはやすでに僥倖だ」

Posted byブクログ

2019/02/27

+++ 朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静か...

+++ 朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。 +++ 何気ない風景や、日常遣いの物の描写がリアルすぎて、立体として見えてしまいそうになるので、物語自体がわが身に迫ってくるような心地である。充分すぎるほど人生経験を積んできた二人だからこその距離感が、互いを思いやる気持ちとともに、胸に迫る。もどかしいようでもあるが、それ以外どうしようもなかったのだろうということもわかる。人生の仕舞い方についても考えさせられる一冊である。

Posted byブクログ

2019/02/20

 今の自分に当てはまる所が多く、共感を呼ぶ!!!  自分だったらどの様に考え、行動するのか?  いままでのすべての行動が今の自分になり、生活環境になっている。作中の主人公も死に向っている。これからの人生に不安をもっている。  【本文より】  「青砥には十分助けてもらっているよ。...

 今の自分に当てはまる所が多く、共感を呼ぶ!!!  自分だったらどの様に考え、行動するのか?  いままでのすべての行動が今の自分になり、生活環境になっている。作中の主人公も死に向っている。これからの人生に不安をもっている。  【本文より】  「青砥には十分助けてもらっているよ。青砥は甘やかしてくれる。この歳で甘やかしてくれるひとに会えるなんて、もはやすでに僥倖だ。」  「母がいなくなっても不自由はなかったよ。むしろ快適だったかも。でも、なんとなく不便な感じはずっとあった。きもち的にね。不便じゃなくて不憫かな。うまく言えないけど、わたしとみっちゃんはなんとなく不憫でなんとなく不便な気持ちでいたようなきがする。」

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2019/02/17
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※このレビューにはネタバレを含みます

50代の男女が再会して、ガンが見つかってからの2人の日々。特別な何かはなくても2人で笑えることのよろこびがある。平穏だけどそれが積み重なっていくことで幸せも感じ2人も強くなっていく。身の丈にあった幸せ「ちょうどよくしあわせなんだ」といえることの奇跡のような瞬間。とても素敵な恋愛小説。

Posted byブクログ

2019/02/16

久々の星5つ。50代で中学な同級生と再会した2人が、お互いに距離感を縮めることに躊躇いつつも、次第にかけがえのない存在になっていく過程が絶妙。 最近は、余命幾ばくもない若者の悲恋を誇大広告で売り出していくパターンが多いだけに、このように「平場の人間」を主人公に据え、丁寧に心象風景...

久々の星5つ。50代で中学な同級生と再会した2人が、お互いに距離感を縮めることに躊躇いつつも、次第にかけがえのない存在になっていく過程が絶妙。 最近は、余命幾ばくもない若者の悲恋を誇大広告で売り出していくパターンが多いだけに、このように「平場の人間」を主人公に据え、丁寧に心象風景を描いていく作品は貴重だと思う。

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2019/02/07

読み終えて、映像化した場合 女優、俳優は誰がいいか。と思いめぐらせた。 須藤役の女優さんは、松雪泰子さん。 青砥役の俳優さんは、佐藤浩市さん。 落ち着きがあり、堂々としている須藤。 甘えることができない。 青砥は、須藤に甘えてほしい、頼ってほしいのに。 演じてもらうなら、松雪...

読み終えて、映像化した場合 女優、俳優は誰がいいか。と思いめぐらせた。 須藤役の女優さんは、松雪泰子さん。 青砥役の俳優さんは、佐藤浩市さん。 落ち着きがあり、堂々としている須藤。 甘えることができない。 青砥は、須藤に甘えてほしい、頼ってほしいのに。 演じてもらうなら、松雪さんと、佐藤さんがいいな。 若いころとは違い、明るい未来がこの先も続く。 なんて、甘い考えは持っていない。 でも、終わりが来るとも思えない…青砥だが。 不器用な二人の不器用な恋模様がもどかしくて。 若い人にも読んでほしい。 きっと、思い出に残る一冊になると思う。 何十年か先、この本のことを思い出し (そういうことか!!)となるはず。

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2019/02/07

ああ、大人ってめんどくさい。 大人だからと考えも行動も慎重になって、でも好きで。しんどいなぁ、わかるなぁ。そしてこういう小説好きだなぁ。

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2019/02/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大人だけど、大人だから…。躊躇って、慎重になって、時に臆病になったり… だけど好きという気持ち、相手を思い遣る気持ちは何歳になったって色褪せない。 最後は悲しくも、静かにそれを(須藤の死)受け入れていく青砥の想いは計り知れない。 須藤の気持ちも痛い程伝わって、読み進めていくうちに胸がいっぱいになった。 静かに、でも熱い大人の物語だ。

Posted byブクログ

2019/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あぁ、こういう小説が好きなんだよ私、としみじみ思う。 たとえば、描かれている登場人物の年齢に違和感を感じる小説ってのはよくあって。これはどうみてももっと若いだろう、とか、この年齢でこれは無理よ、とか。 でもこの小説において、青砥も須藤もちゃんと50歳なのだ。 もうすでに若くはないけれど、それでも人生の残りはまだまだある…という年齢。 その年齢で再会した幼馴染み。木綿のシャツがゆっくりと肌になじんでいくような、そんなペースでお互いの距離が近づく快感。 こうやって穏やかにこころ静かに幸せになっていく、そんな二人を見守っていきたい、きっと誰もがそう思う。 なのに… 後半の二人の葛藤や焦りや「想い」ゆえの怒りが自分の中にくすぶる。 これはオトナにしかできない恋の物語であり、オトナにしか楽しめない小説なのかもしれない。

Posted byブクログ