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燃えよ、あんず の商品レビュー

4.2

27件のお客様レビュー

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2019/08/03

なぜこの本をブクログの本棚に加えたのか、忘れてしまったが、タイトルに惹かれ(文学的知識が浅過ぎる為、これが室生犀星の詩からとったものだと全く知らなかった)読んでみたが、正直、予想外に面白かったし、深く心に刺さった。 初めて読んだ作家さんだったが、自分の読書の幅の狭さを改めて思...

なぜこの本をブクログの本棚に加えたのか、忘れてしまったが、タイトルに惹かれ(文学的知識が浅過ぎる為、これが室生犀星の詩からとったものだと全く知らなかった)読んでみたが、正直、予想外に面白かったし、深く心に刺さった。 初めて読んだ作家さんだったが、自分の読書の幅の狭さを改めて思い知った。 ちょっと西加奈子さんの描く人間像を思い出した。割とボリュームのある話だと思うが、一気に読んでしまい、家のことはほったらかし…。2019.8.3

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2019/04/19

書店「フィクショネス」には、ちょっとだけ変わった人たちが集う。 常連客のひとり久美ちゃんは、明るく皆から好かれている。彼女には幸せであってほしい。 誰もがそう思うのだが、その善意の軸が少しブレている者もいる。 完璧ではない「ぽんこつたち」が愛おしい。 おもしろかった。 「ぽんこ...

書店「フィクショネス」には、ちょっとだけ変わった人たちが集う。 常連客のひとり久美ちゃんは、明るく皆から好かれている。彼女には幸せであってほしい。 誰もがそう思うのだが、その善意の軸が少しブレている者もいる。 完璧ではない「ぽんこつたち」が愛おしい。 おもしろかった。 「ぽんこつたち」の中で、一番好きなのは、獅子虎さん。彼がいいのよ。 笑わせてくれるの。獅子虎さん、好きだな。 幸せな気持ちになれます。

Posted byブクログ

2019/04/16

下北沢の本屋「フィクショネス」に集う個性豊かな面々の人生模様が描かれる。 久美ちゃんが幸せを模索する人生が中心となる話だけど、その裏には見えない物語がいくつも同時進行している。 最終章の獅子虎のエピソードがよかった。ウェルニッケ脳症を患っていたとは。そんな彼でも世界を背負っていた...

下北沢の本屋「フィクショネス」に集う個性豊かな面々の人生模様が描かれる。 久美ちゃんが幸せを模索する人生が中心となる話だけど、その裏には見えない物語がいくつも同時進行している。 最終章の獅子虎のエピソードがよかった。ウェルニッケ脳症を患っていたとは。そんな彼でも世界を背負っていた。人は誰でも世界の一部を背負って何か役割を持ってるんだとこの本に教えられたようで、自分の人生について前向きな気持ちになった。

Posted byブクログ

2019/04/15

なんともハチャメチャな話。 でも、最後うまーくまるーく収まって、 「まぁ、良かったなぁ」と和んだ。 「こんなこと、現実にはあるわけないやん」と 普段の私なら突っ込みそうなものだが、 なぜかそういう気持ちが起きないほど ぶっ飛んでいて、だからこそ受け入れられた。

Posted byブクログ

2019/04/04

人が自由に生きるには、 その人の「中」にその人自身を束縛するものがなければならない。 これをやる・・他の事には目もくれない、と言う束縛です。 しかし久美子さんには、仕事とか家とか、 過去とか言った自分の「外」にある束縛しかありませんでした。 だから彼女は自由になれなかったのです...

人が自由に生きるには、 その人の「中」にその人自身を束縛するものがなければならない。 これをやる・・他の事には目もくれない、と言う束縛です。 しかし久美子さんには、仕事とか家とか、 過去とか言った自分の「外」にある束縛しかありませんでした。 だから彼女は自由になれなかったのです。 不思議な本となった。 序盤の軽快な語り口から、爽やかな後味を残してくれそうな予感。 からの・・ 中盤の、由良の人間性が明らかになるあたりの言い様のない気持ち悪さは、またもや最近流行りの、動機無き殺人系の頭のおかしい奴の話か・・とウンザリさせるし、 万平太のウザさもまた吐き気がするし・・ 印象が二転三転し それでも最後はちょっと「良かったな」と思っている自分がいて・・ まだら呆けジジイの奇跡のホームランが、予想通りとはいえ痛快で そして 最後に・・ ◯オサム・・この物語の書き手であり語り部。 ◯桃子・・オサムの妻。 久美子の最大の理解者であり最大の味方。 ◯中沢(篠田)久美子・・主人公。人の為に生きることが束縛とならない。不思議ちゃん。 ◯中沢剛・・久美子の夫。新婚一年足らずで交通事故にて他界。 ◯新宮優樹・・夫を失って十数年後の、久美子の年下の彼氏。由良のコネで久美子が就職した会社の取り引き先従業員。施設育ち。 ◯新宮獅子虎・・優樹を捨てた父。物語のキーパーソン。 ◯篠田万平太・・久美子の父。差別と偏見の塊。 ◯篠田しづ・・久美子の母 ◯由良龍臣・・建築資材の大企業に勤めるサラリーマン。フィクショネスの常連。漆黒の闇、ドス黒い衝動を内包。 ◯キタノヒロシ・・フィクショネスの常連。実はロリコン。 ◯ピンキー・・フィクショネスの将棋・チェスの会の常連。大麻の合法化を勧める。 ◯中沢家の人々・・奈良在住の剛の家族。

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2019/04/04

下北沢で小さな本屋を営むオサム(作者の藤谷治も確か書店経営者だったかと思うけれど、一部だけ実話らしい)は、自分の店で読者会を開くことにした。課題図書を事前に決めておいて、当日はみんなで感想を言い合う会。そこで親しくなったお客さんの久美子は、とても明るいい娘だった。オサムの妻桃子は...

下北沢で小さな本屋を営むオサム(作者の藤谷治も確か書店経営者だったかと思うけれど、一部だけ実話らしい)は、自分の店で読者会を開くことにした。課題図書を事前に決めておいて、当日はみんなで感想を言い合う会。そこで親しくなったお客さんの久美子は、とても明るいい娘だった。オサムの妻桃子は彼女ととても親しくなった。久美子は結婚するのだが、一年後に夫は死んでしまう・・・久美子の人生に、関わろうとする、オサムや桃子やその他諸々の話と、久美子自身の話。 うおー!面白い。今年のナンバーワンだ。 最初はどういう話だか全然分からない。ショボい本屋の話でなんで400頁以上の本になるのだ?と疑いながら読む。しかし読み続けると①先が読めない、上手なストーリー②人情あり③魅力的人物あり、唾棄すべき人物あり、人物造形がたまらなく巧いと、いうことが分かる。 もうとにかく、読んで欲しい。小説が好きな人なら、まず楽しめない人はいないと思うほど。 【人が「自由に生きる」には、その人の中に、その人を束縛するものがなければなりません。これをやる、ほかのことには目もくれない、という束縛です。しかし久美子さんには、仕事とか、家とか、過去とかいった、自分の外にある束縛しかありませんでした。 だから彼女は、自由になれなかったのです。】

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2019/05/05

いやあ、面白かった。 簡単に言えば個性的でかわいい女の子が悲しい出来事を経験して中年になり、苦労してきた若者と恋愛して結ばれるって話で、あらすじだけならごく普通で、なんでこんなに長い小説になるの?と言われそうだけど、必要にして十分な長さなのだ。読み出したら止まらない。 登場人物全...

いやあ、面白かった。 簡単に言えば個性的でかわいい女の子が悲しい出来事を経験して中年になり、苦労してきた若者と恋愛して結ばれるって話で、あらすじだけならごく普通で、なんでこんなに長い小説になるの?と言われそうだけど、必要にして十分な長さなのだ。読み出したら止まらない。 登場人物全てが生き生きとして魅力的な上、語りが巧み。本当に上手い。読んでいて、登場人物たち、特に久美ちゃんとマサキくんを応援せずにはいられない。 二人が人間としてちゃんとしていながら、過去のせいで必要以上に世間に冷遇されるのが切ない。そんな中でも二人がおずおずとお互いを知り合い、好きになっていく様子が歯がゆいくらい純情。恋愛小説に特に興味はない私でもグッときた。 そして何度も言うがキャラクター造形の巧さね。特に獅子虎。こんなに汚くてとんでもない、それでいて愛すべきじいさんは滅多にいないよ。 中年になって初めて会社勤めした久美ちゃんがエクセルと格闘するシーン、みんながミラ・ジーノに乗り込んで獅子虎に会いに行くシーンは笑える。 上手い脚本で映画にならないかな。

Posted byブクログ

2019/02/14

 これをどんな小説だと言ったらいいんだろうか。  終章の方に「ぽんこつたち」という表現があるが、出てくる人物すべてがぽんこつであるといっても過言ではない。というか、人間ってすべてぽんこつなのかもしれない。  小さな本屋にやってくる本を買わない久美ちゃんが主軸となっているのだが、久...

 これをどんな小説だと言ったらいいんだろうか。  終章の方に「ぽんこつたち」という表現があるが、出てくる人物すべてがぽんこつであるといっても過言ではない。というか、人間ってすべてぽんこつなのかもしれない。  小さな本屋にやってくる本を買わない久美ちゃんが主軸となっているのだが、久美ちゃんかわいい。最後までかわいい。  ぽんこつたちが織り成す、日常ドラマ……のはずなんだけれども、どうしてこんなにハラハラどきどきさせられるのだろう。胸が躍る。  最初から最後まで、語り手の言葉ににやにやさせられる本だった。おススメ。  

Posted byブクログ

2019/02/12

メロドラマ的で浪花節的で、コメディー要素も十分盛り込まれていて。最近では非常に珍しいタイプの小説だった気がします。そして、そこがこの小説のとてもいいところで、心惹かれる部分でありました。 天真爛漫二十歳そこそこの少女が、悲しい出来事を乗り越えようともがく十数年。いつしか年を重ね気...

メロドラマ的で浪花節的で、コメディー要素も十分盛り込まれていて。最近では非常に珍しいタイプの小説だった気がします。そして、そこがこの小説のとてもいいところで、心惹かれる部分でありました。 天真爛漫二十歳そこそこの少女が、悲しい出来事を乗り越えようともがく十数年。いつしか年を重ね気がつけば一人ぼっちで。でも、そこで筆者がメタ的手法で登場する下北沢の冴えない書店「フィクショニア」で、出会った癖とアクの強い人々の支えで次第に人生の勢いを取り戻していく物語であります。 悪意を悪意として書きながら、人間賛歌へ昇華していくあたりは僕にとっては胸のすくような読書でした。嫌な奴がぎっちり嫌な奴に書かれているのに誰も憎めない。うーんなんとも味わい深い。

Posted byブクログ

2019/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ほのぼのとした、まるでおとぎ話でも語るような物語が大団円を迎えたあとの裏話。 この物語があることですべてがビシッと締まる。 懸命に幸せになろうとする人たちの物語だ。

Posted byブクログ