樹木たちの知られざる生活 の商品レビュー
タイトルと表紙の写真に魅かれて手にした本。 実家の裏に大きな山があり、森林との縁は切っても切れないものだと思っている。土の香りや、葉がさらさらと擦れ合う音を聞くと、子供の頃に走り回った裏山と寂れた神社の記憶が一瞬にして蘇ることも多い。 そのようなこともあり、この本は本当に興味深い...
タイトルと表紙の写真に魅かれて手にした本。 実家の裏に大きな山があり、森林との縁は切っても切れないものだと思っている。土の香りや、葉がさらさらと擦れ合う音を聞くと、子供の頃に走り回った裏山と寂れた神社の記憶が一瞬にして蘇ることも多い。 そのようなこともあり、この本は本当に興味深い内容でした。これまで知られていないような森林の性質や特色が何章にも分けて書かれている。読んでいてとても楽しいし、実家の裏山の森を思い浮かべ懐かしい気分になり癒された。 木々同士が実はコミュニケーションを取り協力しながら生きている、という著者の説もなんとなく理解できる。2年前の台風で、裏山の樹齢数百年と思われていた大木がなぎ倒されてしまったが、驚いたことに真ん中が空洞になっていたという。どうしてそんなことになってしまったか??この本を読んでその理由に納得できてしまった。森林を良くしたいと考えて行われている手入れが実は逆に森林を傷つけている可能性がある。動物とは違い木々は生長がかなりゆっくりなのでその影響に人々が気づけないこともある。木々は強くてタフだけれど実際はデリケートなので、共存はなかなか難しいと思われるが、自然崩壊が進む現在こそ誰もがもっと森林について考えなければならないのではないかと思う。
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森の樹木たちの生活、子育て、コミュニティ、戦いについての本。面白い。何百年と言う長いスパンでの木の一生では、生活の全てがゆっくりと行われるので読んでいるとなんだか途方もない、という感覚に襲われる。 害虫からの防衛ですら、有害物質を葉に集めるのに一時間(!)かかり、傷付いた幹の修復...
森の樹木たちの生活、子育て、コミュニティ、戦いについての本。面白い。何百年と言う長いスパンでの木の一生では、生活の全てがゆっくりと行われるので読んでいるとなんだか途方もない、という感覚に襲われる。 害虫からの防衛ですら、有害物質を葉に集めるのに一時間(!)かかり、傷付いた幹の修復も何年もかけて、その間細菌との長い戦いをする。子育ても何十年、何百年かけてゆっくりと。人生(?)のスケールが違う。木の種類による生存戦略の違いとか、木の形のあれこれとか、街路樹の苦しみとか勉強になること多々あり、それも愛を持って語られるので心地よく頭に残る。 樹木たちの社会生活の話も面白かった。土の中に隠された根と菌糸が樹木同士をつなぎ、栄養と情報を分け合って、一本一本違った個性を持つ木たちが寄り添いながら暮らしている。 前に読んだ「夜と霧」でマロニエの木とおしゃべりをする女性の話があってそれを思い出した。 「木はこういうんです。わたしはここにいるよ、わたしは、ここに、いるよ、わたしは命、永遠の命だって……」 ここでいう永遠の命はもちろん文字通りの意味ではなくキリスト教的意味合いと思うのだが、長くて何千年の命を生きる樹木たちが、二重の意味でそれに近いのかもしれない、と感じる。ただひたすらに生き抜くことが。 樹木の命というものが見えてくると、目に入る木々や今まで読んだ本たちに出てきた木のお話がまた全然違った厚みをもって心に迫ってきて、頭の中でずっと反響し続けている。
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Twitterでオススメされているのを見かけて、直感的におもしろそうと思いすぐにAmazonでポチった本。 樹はとても生命力が強く、生きるために森林というコミュニティを健全に保とうとさまざまな活動をしている、という全く未知の世界の話をとてもわかりやすく説明している。 人がイメー...
Twitterでオススメされているのを見かけて、直感的におもしろそうと思いすぐにAmazonでポチった本。 樹はとても生命力が強く、生きるために森林というコミュニティを健全に保とうとさまざまな活動をしている、という全く未知の世界の話をとてもわかりやすく説明している。 人がイメージする健康的な木は、実は不健康かもしれなくて、一見不自然な森こそが樹々たちが自身で作り出したナチュラルな環境だったりする。 めちゃくちゃ面白かった。その辺に生えている木を見る目も変わる。
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寒冷地の森の生態系を、学術的な興味深い情報を交えながら、わかりやすく伝えてくれる。いつも周りにあったものが、突然「見える」ようになる記述はスリリング。ただ、主観的・擬人的にすぎるきらいや、その前提として自然林が最も素晴らしいとする哲学には賛同しかねるので、その部分は私にはちょっと...
寒冷地の森の生態系を、学術的な興味深い情報を交えながら、わかりやすく伝えてくれる。いつも周りにあったものが、突然「見える」ようになる記述はスリリング。ただ、主観的・擬人的にすぎるきらいや、その前提として自然林が最も素晴らしいとする哲学には賛同しかねるので、その部分は私にはちょっと合わないかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
もくじがおもしろい 森林の生態を人間社会に例えるとこんな感じとまとめてくれている ペーターさんは樹木と人間の通訳さんですね 森林、母なる自然の仕組みは深くて人間がやることは上手くないと弾かれちゃうんだな、と思う
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●タイトル通り知らないことが多かった。森の樹木たちは別種同士であろうと互いに助け合って生きていることなどを知り、感嘆しながら読み進めた。
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自然科学の入門書に分類されるのだろうが、ともすると森林管理官をストーリーテラーに、異世界がテーマのフィクションを読んでいる錯覚におちいる。 それ程に森という空間、植物の体内、地中深くにまで及ぶ映像の各シーンが頭の中を流れる。 何度読み返してもその時々の美しい森林の風景が浮かんでく...
自然科学の入門書に分類されるのだろうが、ともすると森林管理官をストーリーテラーに、異世界がテーマのフィクションを読んでいる錯覚におちいる。 それ程に森という空間、植物の体内、地中深くにまで及ぶ映像の各シーンが頭の中を流れる。 何度読み返してもその時々の美しい森林の風景が浮かんでくる文章。
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うまく表現できないが、とにかく生き物は木に生かされている、命の循環に木はなくてはならない、そんなふりかえりをさせてくれる。木はいろんなことを教えてくれるし、癒してくれるし、助けてもくれるし、話しも聞いてくれる、そう思う。何らエビデンスを持ってるわけではなくて証明できないのに書いて...
うまく表現できないが、とにかく生き物は木に生かされている、命の循環に木はなくてはならない、そんなふりかえりをさせてくれる。木はいろんなことを教えてくれるし、癒してくれるし、助けてもくれるし、話しも聞いてくれる、そう思う。何らエビデンスを持ってるわけではなくて証明できないのに書いてしまうけれど、木はネットワークでつながっているのは本当だと思う、この本でその確信が強くなった。あとネットワークには粘菌の存在が大きい。心開くほど豊かな穏やかな気持ちになれる、やはり木の下で読めたら一番かも。近くの木に会いに行きたい。木には精霊や神様が宿る?分けもわかる気がする。って思った。
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環境保全最先端をいっているドイツで、森林管理管をされている方の著作。ドイツの森は気温と湿度が低いため、虫が少なくシダ植物が生えないので日本よりも身近な存在らしい。木は密集している方がお互いが根っこで助け合うので、均一に育ちできが良いというのは驚き。今まで光合成のために適度に間引い...
環境保全最先端をいっているドイツで、森林管理管をされている方の著作。ドイツの森は気温と湿度が低いため、虫が少なくシダ植物が生えないので日本よりも身近な存在らしい。木は密集している方がお互いが根っこで助け合うので、均一に育ちできが良いというのは驚き。今まで光合成のために適度に間引いたほうが良いと思ってた。あと樹木葬というのがあるのを初めて知った。ペットとも一緒できるらしいし、かなり興味を惹かれた。
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樹木について知らないことが沢山書いてあって驚いた。樹木にも記憶はあり、痛みもあり、シグナルを発する。一番身近な樹木である、少ない土で孤立してあちこち太い枝を刈り込まれている街路樹のことがより一層気の毒になった。
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