帰れない山 の商品レビュー
映画を先に見たんだけど、文字で読み直すとあの急峻な山々が思い出されてとても良い。 映画を見た時はタイトルの「帰れない」に対して親友ブルーノを見つけるためにもう一回帰った方が良いのでは?と思ったけど、読んでみて、ブルーノがいないのだからブルーノと過ごした山はもうどこにもない=帰れな...
映画を先に見たんだけど、文字で読み直すとあの急峻な山々が思い出されてとても良い。 映画を見た時はタイトルの「帰れない」に対して親友ブルーノを見つけるためにもう一回帰った方が良いのでは?と思ったけど、読んでみて、ブルーノがいないのだからブルーノと過ごした山はもうどこにもない=帰れない、という意味かなと思った。
Posted by
イタリア文学。おそらく素晴らしい作品ですが、私には大した感慨を生じせしめなかった(生じるの活用に自信がない…)。それでも、唯一の読書体験になる人はいるだろうなというのは察せられた。地方出身の方とか、山が好きな方なら郷愁や喪失感、自然の無常と常なる部分といったものを読み取れるので...
イタリア文学。おそらく素晴らしい作品ですが、私には大した感慨を生じせしめなかった(生じるの活用に自信がない…)。それでも、唯一の読書体験になる人はいるだろうなというのは察せられた。地方出身の方とか、山が好きな方なら郷愁や喪失感、自然の無常と常なる部分といったものを読み取れるのではと思う。「風と共に去りぬ」的な一時代が息を引き取るのを見守るような読後感だった。 アルプスの山で都会育ちの少年は、限界集落で山の少年ブルーノと出会う。ともに成長し、再開し、ブルーノをとおして亡父を知る。ブルーノは成長はしても、変化はできない。そんな物語。
Posted by
山歩きが好きなので、映画「帰れない山」を観たいと思っていたところ、原作本を読む機会が先に訪れた。「狼の幸せ」と同様、北イタリアの壮大な自然を想像し満喫できた。美味しそうなトーマチーズも出てくる。映画を観てから再読すると本の感じ方も変わるかもしれない。 本のタイトルが原題を翻訳し...
山歩きが好きなので、映画「帰れない山」を観たいと思っていたところ、原作本を読む機会が先に訪れた。「狼の幸せ」と同様、北イタリアの壮大な自然を想像し満喫できた。美味しそうなトーマチーズも出てくる。映画を観てから再読すると本の感じ方も変わるかもしれない。 本のタイトルが原題を翻訳した「八つの山」ではなく、「帰れない山」なのはなぜ?本の内容としては「帰れない山」のほうがわかりやすい気はするけど、、、
Posted by
【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27155971
Posted by
作家さんの誰かがおすすめしていたような気がする。 静かで淡々とした、でもどこか温かい語り口は、松家仁之さんの作品を思い出させた。 ふと、裏表紙をみると、なんと松家さんの推薦文があったので、ビックリ。 いろんな生き方があって、周りからは相手が自由に見えるのに、本人は縛られている...
作家さんの誰かがおすすめしていたような気がする。 静かで淡々とした、でもどこか温かい語り口は、松家仁之さんの作品を思い出させた。 ふと、裏表紙をみると、なんと松家さんの推薦文があったので、ビックリ。 いろんな生き方があって、周りからは相手が自由に見えるのに、本人は縛られている気がしている。不思議なものだ。 すぐに世界に没入でき、日常の騒音から逃れられる作品。 今回印象に残ったのはかなり冒頭の部分↓ 「僕たち三人は、山に行っても好みの標高が異なると母はよく言っていたけれど、たしかにその通りなのだろう。それぞれが異なる場所で、自分によく似た景色を見出し、居心地がいいと感じる。母のお気に入りは、言うまでもなく千五百メートルあたりの森。〜僕は、それよりも少し上の山に惹かれた。〜さらに標高が高くなると、植物は生えず、〜そこからは父の世界が始まるのだった。〜」
Posted by
北イタリアのアルプスの麓で出会った二人の少年の物語。 都会と田舎、更に川や森や岩と人の喧騒のなか、共に山を歩き森を探索し、川で遊ぶ。 やがて離れ、そして再会する。 父と子の確執と和解、少年二人の友情と成長、なんだかよくある安っぽい物語に見えるにも関わらず、結構のめり込んで読んで...
北イタリアのアルプスの麓で出会った二人の少年の物語。 都会と田舎、更に川や森や岩と人の喧騒のなか、共に山を歩き森を探索し、川で遊ぶ。 やがて離れ、そして再会する。 父と子の確執と和解、少年二人の友情と成長、なんだかよくある安っぽい物語に見えるにも関わらず、結構のめり込んで読んでいた。 行ったこともないイタリアの田舎と草原や森、アルプスの山々を、かつて登った日本の山で思い浮かぶ景色に置き換えて読んでいくと、二人のドラマが途端に身近になり、心を打つ。 映画化されている。 今度見ておこう。
Posted by
同題名映画が映画サイトで話題になっていたので、何気に観たいリストに入れていたのだけれど、ふとした縁で原作を手に取る機会を得た。山を通じて知り合った二人の少年を、深く結びつけているのは、間違いなく孤独の魂なのだと思う。 30年に渡って描かれる二人の男たちの、言葉を介さない心の共鳴が...
同題名映画が映画サイトで話題になっていたので、何気に観たいリストに入れていたのだけれど、ふとした縁で原作を手に取る機会を得た。山を通じて知り合った二人の少年を、深く結びつけているのは、間違いなく孤独の魂なのだと思う。 30年に渡って描かれる二人の男たちの、言葉を介さない心の共鳴が描かれていて、二人の友情を、羨ましくもあり、また何故か誇らしくもありといった、不思議な感情を抱かされた。 題名の不穏さから、ある程度の結末の行方を想像しながら読んだけれど、もしこの作品が原題の「八つの山」であったなら、こうした読み方はしなかっただろう。この小説を見事に表した『帰れない山』は、いい題名だと思うけれども、この一点に関して言えば、少し残念な思いもある。 もちろん、それを補って余りある日本語としての読みやすい文章に、端正な言葉選び等、素晴らしい訳であることは間違いない。 山登りを趣味にしている者として、僕なりの山の景色を思い浮かべながら読み進めたが、描かれているモンテ•ローザなどの山のことを知っていたら、もっと深い味わいを残したことだろう。 そういう意味で、映画で描かれているであろう山の景色の描写を観ることが、とても楽しみである。
Posted by
これは書籍の姿をした、一座の山なのだ。 最初はのんびりと景色をじっくり確かめながら登るけれど、段々退屈してきて、体が慣れてくると登る行為を面白がるようになる。 読書であって、登山をしたような気持になる一冊だった。 後半、唐突に山も時代も関係のない「大人」や「人間」としての話が出...
これは書籍の姿をした、一座の山なのだ。 最初はのんびりと景色をじっくり確かめながら登るけれど、段々退屈してきて、体が慣れてくると登る行為を面白がるようになる。 読書であって、登山をしたような気持になる一冊だった。 後半、唐突に山も時代も関係のない「大人」や「人間」としての話が出てきたときに驚いたがその通りだと思った内容がある。 ひとつはブルーノとピエトロの会話内にあった「家庭を築くことが能力の過信なのだとしたら、子供を持つべきではない」というもの。 もうひとつはラーラの台詞で紹介された「前進するためには、 時に一歩退かなくてはならないこともある。ただし、それを受け入れる謙虚な心が必要だ」というものだ。 私はピエトロの両親、とくに父親については良い印象がまるで無いが、時代によって変化した“親”の質の変化との比較は非常に面白いと感じた。
Posted by
どこかで好意的な評価を見つけ図書館で借りだした本です。 主人公の少年・ピエトロは、登山を愛する父と同じく山好きな母と大都会・ミラノに暮らす三人家族。一家は夏休みに山の中のグラーナ村に滞在し、ピエトロは父と一緒に山歩きをしていた。ピエトロはそのグラーナ村で親から蔑ろにされている少年...
どこかで好意的な評価を見つけ図書館で借りだした本です。 主人公の少年・ピエトロは、登山を愛する父と同じく山好きな母と大都会・ミラノに暮らす三人家族。一家は夏休みに山の中のグラーナ村に滞在し、ピエトロは父と一緒に山歩きをしていた。ピエトロはそのグラーナ村で親から蔑ろにされている少年ブルーノと出会い、親友になります。彼らの30年にわたる交流を描いた作品です。 特に何かの事件が起こるわけではありません。ごく普通に家庭内で起こる事、父に対する反抗、出会い、別れ、悩み、漂い続ける、そんな姿が端正に淡々とつづられて行きます そしてその背景には北イタリア、モンテ・ローザやヒマラヤの山麓の目に浮かぶような見事な描写です。 何故か心にしみます。 読了後、裏表紙に松家仁之さんの解説を見つけ「あ~~」と思いました。そうかこの本は松家さんが創刊した「新潮クレスト・ブックス」から出版されていて、松家仁之さんの作品に共通するものがあります。例えば私は松家さんの『火山のふもとで』の感想に 「・・・丁寧に端正に語られる静かな物語です。 ストーリーに大きな展開があるわけでは無いのですが、一言一言を選び抜いてじっくり書かれた様子がうかがえます。」 と書いていました。 2022年に映画化され第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。昨年5月には日本でも公開されているようです。「観たら読まない、読んだら観ない」が私の原則なのですが、山の映像が美しいであろうこの作品については観てみたい気がします。
Posted by
★3つと半分です。 セリフの少ない描写叙述の多い文章です。生活上考え事が多くて、うわの空的な少し緩慢な読書になり、著者に申し訳ない思いです。 書かれた情景が頭の中にうまく描けず、これまた残念な読書でもありました。
Posted by