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ベルリンは晴れているか の商品レビュー

3.8

262件のお客様レビュー

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2018/12/07

===qte=== ベルリンは晴れているか 深緑野分著 暴力と悲劇の都市 リアルに 2018/11/24付日本経済新聞 朝刊  1945年7月、戦争に敗北したドイツのベルリンは米ソ英仏の共同統治下にあった。17歳のドイツ人少女・アウグステは米軍兵員食堂のウエートレス。「普通...

===qte=== ベルリンは晴れているか 深緑野分著 暴力と悲劇の都市 リアルに 2018/11/24付日本経済新聞 朝刊  1945年7月、戦争に敗北したドイツのベルリンは米ソ英仏の共同統治下にあった。17歳のドイツ人少女・アウグステは米軍兵員食堂のウエートレス。「普通のベルリン市民より何倍も敵に従順だ」と自嘲するアウグステは突然、憲兵隊に連行される。彼女をかつてかくまった「恩人」の男が、ソ連管理区域で不審死を遂げたのだ。米国製の歯磨き粉に含まれた青酸カリによって。  毒殺の嫌疑をかけられつつ解放された彼女は、男の訃報をそのおいに伝えるべく、彼を探す旅に出る。会ったこともないおいを、なぜ必死に探すのか。「恩人」はなぜ死んだのか。読者もまた、謎解きの旅に連れ出される。  だが最終盤、霧が晴れるように真実が明かされるまで、この小説がミステリーであることを読者は忘れてしまうかもしれない。当時の、そして戦争の足音が忍び寄ってから敗戦までのベルリンがあまりにもリアルに描かれているからだ。学校、家庭、街角、あらゆる光景が圧倒的な描写力によって眼前に立ち上がる。アウグステや両親、ユダヤ人たちが逃れられなかった暴力と悲劇も例外ではない。  悲しみと狂気の結びつきをえぐり出しながら、生きのびる勇気をまぶしく照らし出す。読後に見上げる空はきっと晴れている。(筑摩書房・1900円) ===unqte===

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2018/12/04

おもしろかった。がっつり読書をしたという感じ。ミステリと思って読むとあんまり得るもの得られない気がする、戦後ベルリンロードノベルというか、歴史エンタメというジャンルかなあと思った。あのときここに居たかもしれない、瓦礫の中でそれぞれを生き抜いた人たち。 遠い昔だけどベルリンの地理...

おもしろかった。がっつり読書をしたという感じ。ミステリと思って読むとあんまり得るもの得られない気がする、戦後ベルリンロードノベルというか、歴史エンタメというジャンルかなあと思った。あのときここに居たかもしれない、瓦礫の中でそれぞれを生き抜いた人たち。 遠い昔だけどベルリンの地理や町並みの記憶があるとオッここは…アッここも…といちいちくすぐられるのでまたよかった。きっとすごい量の取材の上に書かれた本。すさまじい執念でベルリンの街の様子や地理関係が描かれている。さすがに戦後すぐのベルリンのことは知らんけど、浮かぶものがあった。 登場人物たちのスピンオフが捗りそう。ブリギッテ2号のソウルジェムがバキバキになって魔女化するまでの話とかブリギッテ1号のその後とかヴァルターとハンスの奇妙な共同生活とかふつうにできそうだし書けるのでは?個人的にはブリギッテ2号の闇堕ち話めちゃ気になるけど ミステリとしては甘いかなというのが正直 後半にかけて明らかに疲れてきてる…?という感じがしたし蓋開けてみてうーんこれかあ…と思わないこともない、ので、やはりロードノベルとして読みたい一作でした。

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2018/11/30

1945年7月のベルリンの話。 終戦直後のベルリンの描写に驚かされます。 時折挟まれる「幕間」の暗鬱さ、残酷さ。 きっと日本の1945年も同様だったのでしょう。 ミステリとしても、歴史小説としても、満足感の大きい小説でした。

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2018/11/27

山手線で読了して、ぶわわわわ!ってなってしもーた。 チャイルド44が陰だとしたら本作は陽だろうか。第二次世界大戦中、戦後のベルリン、悲惨な舞台設定に筋書きだけど、ヒロインや脇役の人間臭い描写で全編非常にヒューマニズムに溢れた作品。 とにかく圧倒的な事前調査や取材、そしてサスペ...

山手線で読了して、ぶわわわわ!ってなってしもーた。 チャイルド44が陰だとしたら本作は陽だろうか。第二次世界大戦中、戦後のベルリン、悲惨な舞台設定に筋書きだけど、ヒロインや脇役の人間臭い描写で全編非常にヒューマニズムに溢れた作品。 とにかく圧倒的な事前調査や取材、そしてサスペンスプロットの割り切り方というか引き算のバランス感覚が秀逸な一作。 17歳女子のハードボイルド諜報活劇は、本当にハードでした。

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2018/11/23

ベルリンを舞台に、ある少女の戦前と戦後が交互に語られる話。基本的にはミステリー成分低めだが、いくつかネタが含まれていて、ミステリーとしても成立している。いる。陰鬱な話だが、どことなく明るいのは著者の人徳か。本書執筆に多くの努力がはらわれたであろうことに、敬意を表したい。

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2018/11/23

内容(「BOOK」データベースより) 総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあ...

内容(「BOOK」データベースより) 総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅出つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。最注目作家が放つ圧倒的スケールの歴史ミステリ。

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2018/11/18

ドイツの友人達のことを思い出しつつ、泣きながら読んだ。私もエーミールでドイツ語勉強したから、アウグステに異常に感情移入しちゃったかもしれない。

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2018/11/09

第二次世界大戦敗戦後のベルリンの話。                     なんというか当たり前だけど、重い。とはいえ幕間の戦時中の話が、話の行先はわかっているのに引き込まれる。幕間の暗い先の見えない暗さと、戦後の人探しの話が過去から地続きでずっと繋がっているのだけど、戦後と戦...

第二次世界大戦敗戦後のベルリンの話。                     なんというか当たり前だけど、重い。とはいえ幕間の戦時中の話が、話の行先はわかっているのに引き込まれる。幕間の暗い先の見えない暗さと、戦後の人探しの話が過去から地続きでずっと繋がっているのだけど、戦後と戦時中の人々の生き方の明るさの濃淡にくらくらした。 

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2018/10/31

敗戦直後のドイツを舞台にしたミステリ。当時の歴史的背景がとても濃厚に描かれていて、凄惨な街の情景と重苦しい雰囲気が漂います。でも暗く陰惨なばかりではなく、新しい時代に向けて生き抜こうとする人々の逞しさが印象的でした。 アウグステとカフカの奇妙ともいえる取り合わせの道中はスリルがあ...

敗戦直後のドイツを舞台にしたミステリ。当時の歴史的背景がとても濃厚に描かれていて、凄惨な街の情景と重苦しい雰囲気が漂います。でも暗く陰惨なばかりではなく、新しい時代に向けて生き抜こうとする人々の逞しさが印象的でした。 アウグステとカフカの奇妙ともいえる取り合わせの道中はスリルがあって、愉快な面も。あまりに悲惨なそれまでの状況があるからか、逆に吹っ切れた感も漂う戦後の状況は、もちろん楽観的なものではないにせよ。ささやかな希望が感じられる気もしました。 事件の真相はこれまたなかなかに重いものではあったのだけれど。読後感は悪くはありませんでした。彼ら彼女らの未来が少しでも美しいものになれば、と思えます。

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2018/09/30

第二次世界大戦末期のベルリンで、何が行われ、人々がどんな暮らしをしていたのか。それは教科書の中で、あるいはいろんな本や映画の中で知ることはできる。 その悲惨な、凄惨な日々を、二度と繰り返してはいけないとその度に思うのだけど。でも、それはいつも他人事で。 同じようなことが日本でも起...

第二次世界大戦末期のベルリンで、何が行われ、人々がどんな暮らしをしていたのか。それは教科書の中で、あるいはいろんな本や映画の中で知ることはできる。 その悲惨な、凄惨な日々を、二度と繰り返してはいけないとその度に思うのだけど。でも、それはいつも他人事で。 同じようなことが日本でも起こっていたわけだし、そのさして遠くない時代に自分も生きてきたわけなのだけど、それでも自分とは別の次元の、どこか接点のない「物語」のように感じてしまう、というか、感じようとしているのだろう、きっと。 戦争という狂気の中で、人は生きていくために鬼にも悪魔にもなる。魂も売るだろうし隣人も簡単に売る。そんな中でどうしても売れないもの、曲げられないものとはなんだろうか。 一人のドイツ人の少女が自分の命さえもかけて伝えたかったこと。 なにもかもが簡単に折り曲げ、捨てられ、失える地獄の中でどうしても守りたかったこと。 「あなたにはそれがありますか」と真っ直ぐな目で問い詰められているようで。 一気読みなんてできない。するべきではない。一人の人間として、しっかりと読みたい一冊でした。

Posted byブクログ