国宝(下) の商品レビュー
大衆文学と純文学の賞を受賞した作者ならではの作品。引き出しの多さには舌を巻きます。 花井半次郎が目の前で踊る姿が、目の前に迫ってくるようだ。講談調の文章も効果が出ている。
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ラストは圧巻。 この物語、ずっと第三者目線で進んでいたのだけれど 歌舞伎座の屋根の上には何か 人知を超える何者かが確かに居そう。 それにしても、苦難が多すぎる もっと優しくして~歌舞伎の神様!って感じやわ。
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喜久雄の物語でもあるが、喜久雄の周りの人たち、歌舞伎の世界の物語でもあり、歌舞伎をよく知らない私でも語り手がうまく説明を加え、深すぎず、軽やかすぎず物語をうまく進めてくれました。喜久雄の美しさが終始漂い、どんな苦労が待ち受け、どのように乗り切っていくか、喜久雄の芸への突き詰めの最...
喜久雄の物語でもあるが、喜久雄の周りの人たち、歌舞伎の世界の物語でもあり、歌舞伎をよく知らない私でも語り手がうまく説明を加え、深すぎず、軽やかすぎず物語をうまく進めてくれました。喜久雄の美しさが終始漂い、どんな苦労が待ち受け、どのように乗り切っていくか、喜久雄の芸への突き詰めの最後はどうなるかと、ページをめくる手は滞ることなく進みました。演じているところ、臨場感ありあり。それはそれは美しい内容でした。少しですが、歌舞伎の知識も得られたのでその面でも良かったです。 徳次がいい味出していたな。
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18/11/17読了 歌舞伎に魅せられ歌舞伎になった男の物語として没頭して読んだ。 他の作品とは文体が異なり読みづらさを感じたところもあるけれど、読み通してみればとても吉田修一らしく、面白かった
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歌舞伎の知らざる世界をうまく描いている。 正直、これまで読んでいた吉田修一と一線を画す内容と文体。 女形の苦悩。世襲の苦悩。様々な苦悩を抱えながら歌舞伎の世界で浮き沈みしながら役者を全うする2人の姿が清々しい。
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『上』に引き続き一気読み。 それぞれの世界に生きる、そして死んで行くであろう人たちのその形が美しい。 歌舞伎、梨園の方々のことは何も知らずにこれまでいたけれど機会があれば是非観てみたい。
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鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。今年最高の感動を届ける役者一門の大河小説。(e-honより)
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初読。図書館。上下巻とも一気に読ませる。歌舞伎役者たちの人生の浮き沈みにこちらの心も浮き沈みし、役者の業に翻弄される。ラストシーンを通勤電車の中で読まなくてよかった。号泣だった。阿古屋が歌舞伎座前の道路に踏み出す情景が映画のように浮かんできて、芸の狂気の中にいる役者が哀れなのか幸せなのか、その腕をつかんで引き止めたいような、いっそこのまま車の前に押し出してしまいたいような、とにかくただただ涙が流れるラストだった。
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極道の家に生まれた喜久雄と梨園の家に生まれた俊介。全く違う2人が歌舞伎の世界でライバルとして友として高め合う。芸に全てを賭け、同じ道を、時に別の道を行きながらそれぞれの芸を磨き舞台で魅せる。自分を追い込み全身全霊で表現するその姿は圧倒的に美しい。ひとつのことを極めようとすることの喜び、孤独、恐怖。そういったものの先にある誰もみたことのない景色。美しく、悲しく、残酷な世界のなかで2人が追い求め見つけたもの、たどり着いた景色、場所。ラストシーンは圧巻だった。
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技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、その頂点に登りつめた先に何が見えるのか? あまりに特殊な歌舞伎の世界、歌舞伎役者の業に感心はしたけれど、登場人物たちに感情移入はできなかった。ただ、もしこ...
技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、その頂点に登りつめた先に何が見えるのか? あまりに特殊な歌舞伎の世界、歌舞伎役者の業に感心はしたけれど、登場人物たちに感情移入はできなかった。ただ、もしこの作品を映像化するならば、ラストシーンは傑作となるに違いない。 (B)
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