信長の原理 の商品レビュー
蟻の生態の観察から1対3対1の原理に気が付き,人間の働きの仕組みをそれに当てはめる.そういう風に意識してみると案外ぴったり収まるのが面白い.信長を軸に一人ずつ脱落者を出しながら本能寺の変へと進んでいく過程が,うまく騙されたように重なっていく.人間の心理描写に焦点を当てて戦いも調略...
蟻の生態の観察から1対3対1の原理に気が付き,人間の働きの仕組みをそれに当てはめる.そういう風に意識してみると案外ぴったり収まるのが面白い.信長を軸に一人ずつ脱落者を出しながら本能寺の変へと進んでいく過程が,うまく騙されたように重なっていく.人間の心理描写に焦点を当てて戦いも調略も外交も暴いていく,こういう歴史の見方もあるのかと新鮮だった.
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働きアリの法則に捉われて、次は誰かと疑心暗鬼になる信長が可哀想に思えてなりませんでした。自業自得なところはたくさんありますが、もう少し家臣の心情を慮っていれば、違う未来があったんでしょうか。
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あーー、長い時間かかったー! 信長の一生。ま、誰もが知ってる通り、最後は本能寺で殺されてしまうんだけど。 強烈な利かん気で実母からも疎まれ、一人で過ごすしかなかった頃に蟻を見続けある原理に気付く。そしてそれは人間にも当てはまる事に気付く。 有能で働き者の家臣も5人以上いると、精彩...
あーー、長い時間かかったー! 信長の一生。ま、誰もが知ってる通り、最後は本能寺で殺されてしまうんだけど。 強烈な利かん気で実母からも疎まれ、一人で過ごすしかなかった頃に蟻を見続けある原理に気付く。そしてそれは人間にも当てはまる事に気付く。 有能で働き者の家臣も5人以上いると、精彩を欠いたり裏切ったり。脱落する者が出てきてしまう。 それは自然の理ではあっても、あまりに厳しく周囲の人間に徹底、追い詰めるといつか、破滅の道しかなくなる。 結局人は虚しいのか。
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勿論実際にはわからないが、光秀と信長の心情が実によく描かれていて、本能寺の変の動機は諸説あるが、これなのかと思わせるものだった。 原理の話は興味深いが、久秀のあたりは少し無理もあるような気がする。原理の話がなくても十分に面白い。
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「原理」とは働き蟻の法則なのか。 本能寺で死を目前にした時になって信長が悟ったのは、 生命を持ったものはすべて自分達の拮抗を常に維持しようとする復元力なのかと。 優秀なものだけが存在する事を排除する。 その力がどこから生まれるのか。 自分の中で確信した「原理」を自力で打ち砕こうと...
「原理」とは働き蟻の法則なのか。 本能寺で死を目前にした時になって信長が悟ったのは、 生命を持ったものはすべて自分達の拮抗を常に維持しようとする復元力なのかと。 優秀なものだけが存在する事を排除する。 その力がどこから生まれるのか。 自分の中で確信した「原理」を自力で打ち砕こうとして力の限り尽くしたが成し得なかったが神仏の存在を認めない信長としてはしかしそれを人知の及ばないところにあるものと認めざるを得なかったのではないか。 曰く「天道」などと言われてきたもの。 であれば今まで自分が行ってきた事が天道の前ではいささかの影響も与えず、原理は世の中を支配したままなのだ。
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史実を踏まえた奇抜な着眼、というので興味が湧き読んでみました。 歴史小説というよりは、社会学や組織論・マネジメント論といった新たな発想から信長の戦略を分析し、急速に天下統一まで漕ぎつけた理由と、逆に部下に背かれ続け、最終的に命を落とした理由を明らかにしたビジネス書的な一面を持つ...
史実を踏まえた奇抜な着眼、というので興味が湧き読んでみました。 歴史小説というよりは、社会学や組織論・マネジメント論といった新たな発想から信長の戦略を分析し、急速に天下統一まで漕ぎつけた理由と、逆に部下に背かれ続け、最終的に命を落とした理由を明らかにしたビジネス書的な一面を持つ小説でした。 懸命に働く2割の兵士を集めて戦に臨んでも、新たな集団では精鋭はやはり2割。 組織をいくら編成しなおしても精鋭2割、怠惰2割が必ず出てしまうという、幼いころから蟻を観察し続けて導き出した2:6:2の法則を考慮した軍事戦略で時代の寵児となった信長。 その一方で、徹底した合理主義と恐怖で部下をマネジメントしながら下克上を奨励する信長に、どんなに働いても過去の功績を考慮されず、今、役に立たなければ使い捨てにされることに気づいた武将たちが、次々に追い詰められた果てに裏切り行為に走る。 また、信長の方でも、2:6:2=1:3:1とすれば秀吉や光秀といった精鋭な武将も5人いれば必ず1人は怠惰=裏切る、をいう風に思考を発展させてゆく。 本能寺の変で自分の死を悟ったときに、世界は常に物事を拮抗させて維持させる機能が働く、ゆえにこの世界の中で突出した自分は滅ぼされる運命にあると悟る。 という筋書きです。 ビジネス書ぽい解釈でしょう。正しいリーダー像、マネジメント術の反面教師として信長は絶好のモデルでした(笑)。
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天下統一を目前に明智光秀の裏切りでこの世を去った織田信長は蟻の行列を観察し、この世を支配するひとつの原理に気づく。働きアリの2対6対2のパレートの法則を小説の主題にした作品。蟻も動物も人の社会も、この原理に支配されていると・・・
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信長の原理というタイトルからなにやら数学的なものを感じたが、いたって普通に痛快な信長もの。 うつけと言われた信長には、自ら考える力があり、軍団を運用する理論にも自らが発見した原理があった。 その原理に気づいた者たちは、信長の考えの奥にあるものを知る。 そして、なかにはそれぞれの...
信長の原理というタイトルからなにやら数学的なものを感じたが、いたって普通に痛快な信長もの。 うつけと言われた信長には、自ら考える力があり、軍団を運用する理論にも自らが発見した原理があった。 その原理に気づいた者たちは、信長の考えの奥にあるものを知る。 そして、なかにはそれぞれの行動に移すものもあった。 本能寺の変も、その原理につきうごかされたもののひとつであったのか。
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天下統一を目前に命を断たれた織田信長。独自の戦術と、明智光秀に討たれるに至った理由をからめた説を展開する。 幼少期からの奇行で知られる信長が、蟻の集団を観察し、二割の働き者と六割の日和見と二割の怠け者に分けられることを発見し、自らの軍隊に当てはめて考える原理は興味深かった。が、...
天下統一を目前に命を断たれた織田信長。独自の戦術と、明智光秀に討たれるに至った理由をからめた説を展開する。 幼少期からの奇行で知られる信長が、蟻の集団を観察し、二割の働き者と六割の日和見と二割の怠け者に分けられることを発見し、自らの軍隊に当てはめて考える原理は興味深かった。が、それのみを軸にして最後まで押し通すのは、やや無理がある。 前作『光秀の定理』のほうがおもしろく読めた。
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織田信長の一生を描いた作品。面白いのは、信長の行動原理を通して、人間を含めた生き物の原理を導くところ。蟻が餌を巣に運ぶところを観察し、しっかり働いているのは蟻の群れの中で2割で、6割は追従しているだけ、残り2割は怠けていることが分かった。信長はその2・6・4(1・3・1)の法則が...
織田信長の一生を描いた作品。面白いのは、信長の行動原理を通して、人間を含めた生き物の原理を導くところ。蟻が餌を巣に運ぶところを観察し、しっかり働いているのは蟻の群れの中で2割で、6割は追従しているだけ、残り2割は怠けていることが分かった。信長はその2・6・4(1・3・1)の法則が人間世界にも当てはまることに気が付き、これこそが原理であるとした。ただ、この法則がなぜ成立しているのか分からず、人智を超えた大きな原理があることを理解する。ただ、理解したのが本能寺の変の時だったという。松永禅正久秀の「人はこの世の摂理に反することをしてはならぬのだ」という言葉が重い。
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