死に山 の商品レビュー
山岳遭難にはまりしった事故。ネットで冒頭だけ試し読みをして、ぜひ読みたいと思って読んでみた。最初は人の名前を覚えるのが大変ではあったが、読んで満足できた。 最後の真相もこれが正しいのかどうかは別として、色々な不思議な部分が、納得できるストーリーで読めた。また、著者が色々な説に対し...
山岳遭難にはまりしった事故。ネットで冒頭だけ試し読みをして、ぜひ読みたいと思って読んでみた。最初は人の名前を覚えるのが大変ではあったが、読んで満足できた。 最後の真相もこれが正しいのかどうかは別として、色々な不思議な部分が、納得できるストーリーで読めた。また、著者が色々な説に対して理由を説明して却下してくれているので、今ではこの説が正しいと思えた。
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残された写真の、普通の青春感、がまぶしい。当日の朝までの様子が残されていて、日本の学生と変わらない旅の空気。彼らの結末を知っているからこそ、胸の奥が押される気分になる。 著者の安易に陰謀論をほのめかしたりしない冷静な視点がいい。
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何かと話題だったので読んでみた。 読み進めるうちに ・現代(著者の調査旅) ・過去(ディアトロフ一行の行程) ・過去(捜索隊、事故調査、葬儀の過程) の三部が交互に記述されていることに気づき(そんなの目次で気づけ)、悲劇と真相の解明に向けての緊張感が高まっていった。
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図書館の本。 インパクトあるタイトル。 ミステリー小説ではなくノンフィクション。 ウラル山脈で起きた、9名の登山チームの不可解な死。 極寒の地でアウターなど着ておらず、靴も履いていない。 外傷あり、うち一人の女性には舌がない。 放射能も検出され。。。 これは読むしかないな、と...
図書館の本。 インパクトあるタイトル。 ミステリー小説ではなくノンフィクション。 ウラル山脈で起きた、9名の登山チームの不可解な死。 極寒の地でアウターなど着ておらず、靴も履いていない。 外傷あり、うち一人の女性には舌がない。 放射能も検出され。。。 これは読むしかないな、と手に取り読了。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白くて一気に読み終わった。 カルマン渦列による超低周波が本能的な恐怖と混乱を呼び起こした、という説明はなかなかに説得力があって納得できた。 現代音楽のオーケストラに超低周波を紛れ込ませ聴取に聞かせて感想を聞くと、聴取は悲しい気持ち、不安定な気持ち、頭痛、過去のトラウマのフラッシュバックを感じた。 超低周波はイスラエルがデモ隊を解散させるのに使ってる。ナチスドイツはヒトラーの演説を聞く聴取に超低周波を浴びせることで、恐怖や悲しみの気持ちを増大させた。 という記述が面白い。 ヒトラーのエピソードは、「あいちトリエンナーレ」に出展してた、タニア・ブルゲラの作品を思い出す。 「この室内は、地球規模の問題に関する数字を見せられても感情を揺さぶられない人々を、無理やり泣かせるために設計されました。 (作品である部屋の中に充満しているミントの霧によって)涙が誘発されたことによって、私たちの自覚のない感情が明るみに出る場合もあるでしょう。この作品は、人間の知覚を通じて「強制的な共感」を呼び起こし、客観的なデータと現実の感情を結びつけるよう試みているのです。」 ってテーマの作品。 人間の感情、感覚、理性は、我々が思ってるより外的要因に左右されるんだな。 とくに最終章の、事件当時の彼らの行動の推測章は、さまざまな遺体の不審な点を納得いく理由で説明してたのでなるほどと思う。 ・事件に至るまでのディアドロフ一行 ・ディアドロフ一行を捜索するチーム ・ディアドロフ一行の調査をする筆者 の3つの視点が交互に挟まることによって、リズミカルで、引き込まれる構成になってるのが面白い。(小説、「バーティミアス」シリーズの構成と似てる) 筆者は当時のソ連の様子や、舞台になっている土地の歴史的背景にも触れてるので、その町の様子や、町がまとう雰囲気についてありありと思い浮かべることができた。 落書きだらけのペルヴォウラリスクの街。 ロマノフ朝時代の新古典建築とソビエト時代の四角い機能的な建築の混ざり合うエカテリンブルク。 ソ連時代から変わらない塗料で壁を塗られてる、41区の小学校。 ディアドロフ一行が生きた時代と、我々が生きている時代が繋がり交錯している。だから歴史って面白い。 ディアドロフたちが生きたのが、雪解け後、若者たちが無料で高等教育を受けられ、未来に希望を抱いていた時代、ってのも面白かった。 途中で引き返して生き残ったディアドロフ隊はインタビューで、ソ連時代を「あの頃は良い時代だった。スターリンは良い政治家だった」と懐かしむ。(通訳は訳しながら全力で首を横に振ってた、ってのが面白い) ディアドロフの妹の話。「兄が望遠鏡を自作してくれたおかげで、私たち兄弟は、家の屋根の上に寝転がって、あのスプートニク号が打ち上げられるのを見た」 ディアドロフの妹も、ディアドロフも前歯の間にすこし間がある隙歯。妹が変わり果てたディアドロフの遺体を見分けられたのもこの歯があったから。 工科大学の学生が、レコード盤を違法に作成するのが得意だったこと、ソ連時代ビニールは高級品だったこと、当時を感じさせる面白いエピソードが沢山あった。ディアドロフ隊のことを、面白くて怖い未解決事件のキャラクターではなく、かつて生き、不可解な死でこの世から去った、生きた人間として認識できた。 ディアドロフ隊の撮影した写真が本の随所に散りばめられてるのもその効果を強めた。 まさかあんな最期を迎えるとは知らず、ディアドロフ一行はその最期の日まで、山岳行の写真を撮っている…
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ロシアの未解決事件に挑む、ロシアになんのゆかりもないアメリカ人映画作家のノンフィクション。映画作家らしく、構成が素晴らしく、まるで映画をみている感じだった。犯人はまったく思いつかなかった…
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翻訳と意識しないほど表現に違和感なく読みやすかった。 ホラーが極端に苦手なので、途中は色々想像して夜に読み進められなくなったが、読後感は全く異なったのがまた面白かった
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2020.5.5 34 面白かった!ノンフィクションとしてもストーリーとしてもよかった! 129 ロシア人の2面性 共産党政権への忠誠と猜疑心。 136 ロシア人の風邪に対する考えかた 157 見守るユーディーン 166、167 ソビエト時代の恋愛と愛。 リアルな話ではなくて、概...
2020.5.5 34 面白かった!ノンフィクションとしてもストーリーとしてもよかった! 129 ロシア人の2面性 共産党政権への忠誠と猜疑心。 136 ロシア人の風邪に対する考えかた 157 見守るユーディーン 166、167 ソビエト時代の恋愛と愛。 リアルな話ではなくて、概念や、一般論として議論する。
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1959年2月、ソ連のウラル山脈北部でウラル工科大学トレッキング部の登山チーム9名が消息を絶つ。 彼らを探しにいった仲間たちによって、最初に空のテントが発見され、その後3か月におよぶ捜索の結果、9人のメンバー全員がテントから1キロ半ほども離れた場所で、いくつかのグループに分かれて...
1959年2月、ソ連のウラル山脈北部でウラル工科大学トレッキング部の登山チーム9名が消息を絶つ。 彼らを探しにいった仲間たちによって、最初に空のテントが発見され、その後3か月におよぶ捜索の結果、9人のメンバー全員がテントから1キロ半ほども離れた場所で、いくつかのグループに分かれて遺体で発見された。 遺体の様子は異様だった。氷点下の冬山のただ中でテントから外に出た様子にも関わらず、全員靴を履いていない。皮膚はオレンジ色に変色し、一部の者は頭蓋骨や肋骨を骨折。女性メンバーのひとりなど、舌が無くなっていた。誰もがろくに衣服を着ておらず、あるものは焼け、あるものは切り裂かれていた。さらに一部の衣服からは高濃度の放射線も検出されたという。 彼らにいったい何が起こったのか。いくつもの謎が浮かびあがる。しかし地元警察などによる捜査は、9名を「未知の不可抗力によって死亡」とする最終報告書をもって幕を閉じてしまう。 森林限界を越えた雪の斜面。それゆえ地元住民に「死に山」と名づけられた遭難現場。そこは厳しい環境ではあるものの、トレッカーとしては高い技術を持っていた大学生のチームが、慌ててテントから氷点下の野外へと裸足で逃げ出す理由とはなんだろう? 雪崩、強風、先住民の襲撃、武装集団の襲撃、兵器実験の巻き添え、UFOとの遭遇……事件のおきた当時が冷戦下のソ連という背景もあって、陰謀説からオカルト説まで原因には様々な臆測が飛び交う。 そして50年以上の時間が過ぎ、ソ連崩壊前夜の情報公開(グラスノスチ)によって国内外に知られるようになったこの「ディアトロフ峠事件」の真相に、ひとりのアメリカ人ドキュメンタリー映画作家が挑む。 当時の様子を知る人びと――死亡した学生たちの兄弟や、登山チームの一員ながら持病の悪化で途中で引き返したために、唯一の生き残りとなったユーリ・ユーディンへの取材。捜索に参加した人びとからの話の聞き取り、公開された文書の精査。さらには自ら学生たちの足跡をたどり、冬の遭難現場「ディアトロフ峠」へと足を運ぶ。そして根拠なき臆測をひとつひとつ消していったそのあとに、見えてきたあの夜の出来事とは――。 2012年にはレニー・ハーリン監督によって『ディアトロフ・インシデント』という映画にもなった世紀の未解決事件、「ディアトロフ峠事件」の真相に迫るドキュメンタリー。大学生たちの旅立ちから遭難、遭難発覚後の警察などによる捜索、そして著者が調査を行う現代。3つの時系列が織りなすミステリー解明のロジック。著者が真相に至る場面は、まさに事件当夜の大学生たちの恐慌が目に見えるようだ。 そして導き出される結論はつまり「この世には、不思議なことなど何もないのだよ」という、あの名言そのものである。 2019年にはロシア連調査委員会によって事件の再調査がなされ、結論は雪崩や暴風など自然現象が原因との見解を示したが、それを知る前に2013年に亡くなった登山チーム唯一の生き残り、ユーリ・ユーディンの言葉がやるせなく心に残る。 「もし神にひとつだけ質問できるとしたら、あの夜、友人たちにほんとうはなにが起こったのか訊きたい」
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未だに「未解決事件」とされているディアトロフ峠事件。実は原因は解明されていた。 丹念に事実を積み上げた労作。
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