ガルヴェイアスの犬 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全然知らない国の本を読みたいと思って適当に選びました。ポルトガルで何かの賞を受賞しているらしいです。これまでにない読書体験ができました。 いろいろ衝撃シーンがあり、やはり日本の現代小説とは毛色が違うな〜と思いました。そういった点でも面白かったです。 村の人々の日常の様子が綴られ、何の話だっけ??? となりかけますが、最終章に辿りつくと、そういえば忘れかけてたけど非日常なんだった……と思い出されました。最後まで読み切ってほしいです。
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1984年1月、ポルトガルの小さな村ガルヴェイアスに、猛烈な爆音とともに巨大な物体が落ちてきた。何だかわからないその何かは異様な匂いを放つのだが、村人たちはやがて忘れてしまった。しかし犬たちだけは覚えていた…。 物語はその1月と9月に起きた村人たち一人ひとりのエピソードが語られ...
1984年1月、ポルトガルの小さな村ガルヴェイアスに、猛烈な爆音とともに巨大な物体が落ちてきた。何だかわからないその何かは異様な匂いを放つのだが、村人たちはやがて忘れてしまった。しかし犬たちだけは覚えていた…。 物語はその1月と9月に起きた村人たち一人ひとりのエピソードが語られる。何かを思い出すと別の何かを思い出すというように記憶は連綿と物語を紡ぎ出す。戦争で家族も友人も失った郵便配達夫、兄を殺す決意をした老夫、男に手籠めにされる貧しい少女、アル中の神父、誤って射殺された娼婦…あらゆる人たちの人生のエピソードが、絶望や不幸ばかりが語られる。 人も犬も含めて、その人生も存在も宇宙の全て誰かの記憶の中にしかないものである。ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思い出す。一人ひとりの人生や存在は長い年月を経て薄れていく。覚えていてくれる人が全て死ねば存在そのものが消えてしまう、というものだ。 「ガルヴェイアスの犬」では、記憶する側の視点である。何かが落ちてから変わってしまった村の匂いも犬にとっても記憶のひとつである。自分が覚えていれば、つまりその存在を認めることで、絶望も不幸も希望に変わりうる。そんな話ですね。人生、存在、宇宙、自分…、何なんでしょうね。
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ねらいは分かるし、細部を書き込んでいく様はよく出来てるんだけど、もう一歩飛躍するところが無いように感じた。 ただ、初読で固有名詞の多さに混乱したところがあるので再読すればもっと本書の魅力が掴めるようになるかも。
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ポルトガルの小村ガルヴェイアスーそこは作者ペイショットの故郷であるー の原っぱに、隕石が墜落する。翌日から嵐のような豪雨が七日七晩続き、そして村は隕石のことは忘れて日常に戻っていった。 隕石が墜落した1984年1月と、10か月後の1984年9月の二部構成でガルヴェイアスの村民が入...
ポルトガルの小村ガルヴェイアスーそこは作者ペイショットの故郷であるー の原っぱに、隕石が墜落する。翌日から嵐のような豪雨が七日七晩続き、そして村は隕石のことは忘れて日常に戻っていった。 隕石が墜落した1984年1月と、10か月後の1984年9月の二部構成でガルヴェイアスの村民が入れ替わり立ち替わりに登場し、彼らの日常そしてそれぞれが抱える記憶と感情ーその多くは不幸と悲しみー が語られていく。 小さな村のこと、人間関係は濃密だ。 誰かのエピソードで触れられた出来事や人物が、別のエピソードでは別な意味を帯びたり、思いがけない事件を起こしたりする。 少しずつ重なりあったそれぞれのストーリーを繋いでいくと、ガルヴェイアスという村の輪郭が浮かんでくる。 1月のパートでは、村に漂う閉塞感や排他性、そして暴力の描写が多く、ガルヴェイアスとその住人達の狭い世界に息苦しさを覚える。 9月のパートになると、既出の人物達の意外な顔を知っていくことになる。また、舞台も旧ポルトガル領ギニア、リスボン、ブラジルへと広がる。 しかし、人々の思いの中心にはガルヴェイアスがいつだって横たわっているようだ。 例えば村出身でブラジルに渡った老娼婦の言葉。 “誰にだって、運命の場所ってもんがあるのさ。誰の世界にも中心がある。 (略)どこにあるかなんて、自分にしかわからないの。みんなの目に見える物にはその形の上に見えない層がいくつも重なっているんだ。自分の場所をだれにかに説明しようったって無駄だよ、わかっちゃもらえないからね。言葉はその真実の重みには耐えられない。そこははるか遠い昔からの肥えた土地、死のない未来へと続く小川の源流なのさ。” 本書の中では、宇宙から飛来して原っぱに轟音をあげてめり込んだものは、『名のない物』としか呼ばれない。絶えることのない硫黄臭と不味くなってしまったパンの味として、常に身近に感じられながらも意識からは忘れ去られてきた『名のないも物』を巡って、ラストに物語は動きだす。 “そして誰もが名のない物のことを思い出した。 犬たちは別だ。犬たちが忘れたことはなかったからだ。(略) 人間は、たとえどれほどの善人であろうと、かほど巨大な真実を受け止め理解できる力を持ち合わせていないのだ。 それでも、理解がなくても、生き続けたのだ” 災厄、理不尽な運命、個人の力を超えた存在。 村の共同体を壊すグローバリズムや時代の荒波、そして戦争の足音。 名もない物に何を読み取るかは色々できるだろう。 でも産まれたての赤ん坊の無垢さに触れて、動きだす人々の歩みは力強く、希望を予感させてくれる。 “そしてもうごめんだと思った。もう何か月も、嘘を繰り返してきたことが信じがたかった。このまま嘘を受け入れ続けたら、そのうちそれを信じるようになり、そしてそれを信じるようになったら、あっという間に自分自身が嘘となってしまうだろう。” “誰もが、それぞれの一歩を踏み出した。(略) 決意を固めた瞬間はそれぞれ違い、それからそれぞれが一歩を出して通りの小石を踏み、それからまた次の一歩を出し、左足を出し、右足を出し、必要な行動を順繰りに取ったのだ。どの足も大きさは違ったが、どの足も大事な足だった。” 村と、不様でもその土地への愛を持って生きていく人々を描写するペイショットのまなざしは、温かくも突き放している訳でもない。言うなればひっそりと耳を傾けて、出来事を丁寧に掬いあげている。だがラストの“ガルヴェイアスは死ぬわけにいかない”の一文には、心に響く想いが溢れている。
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ポルトガルの小さな村、ガルヴェイアスにある日「名もない物」が落ちてきた。 それは途轍もない異変だったはずなのに、人々はそれを忘れてしまう。なぜかというと、村人たちにとって、「そのなにものか」はどんなに膨大なスケールであろうとも、「名前の無いなにか」、漠然とした存在にすぎない。そ...
ポルトガルの小さな村、ガルヴェイアスにある日「名もない物」が落ちてきた。 それは途轍もない異変だったはずなのに、人々はそれを忘れてしまう。なぜかというと、村人たちにとって、「そのなにものか」はどんなに膨大なスケールであろうとも、「名前の無いなにか」、漠然とした存在にすぎない。そんな曖昧なものよりも、妻や子や夫や兄弟、想い人や遠い地の愛しい人、彼らと密接する日常のほうがはるかに濃密で、確固とした名前と存在に満ちていたからだ。他愛もない日常、どこかばかばかしくもある諍い、いとしさに満ちた筆致で細やかに描かれる日々は、不穏さを含みながらも生きる力に満ち満ちていて、とても好ましくやさしく受け取れる。 けれど硫黄の匂いでつねに存在を暗示しつづけたように、「名もない物」は確かに脅威だった。 村人たちはそれをやがてみな思い知る。そして、「それ」に対峙する。 浸りきっていた淀みから足を引き抜くまでを、丹念に繊細に描いた、これは確かに小さな村で起こった「黙示録」。 何度となく描かれる、朝が訪れるまでの夜明けの描写がとりわけ美しく、作者は実際にこのひとときがとても好きなのかな、と思いました。
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【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26582627
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時間がかかったけれど、無事読み終わることができてホッとした。 素敵な表現が多くて、物語の世界観に没頭できたと思う。 ガルヴェイアスに住むたくさんの人たちの話が順に紡がれて、あるところで交差した時ついに物語に引き込まれました。「名のない物」が村に落ち、住人たちや犬たちに起こる様々な...
時間がかかったけれど、無事読み終わることができてホッとした。 素敵な表現が多くて、物語の世界観に没頭できたと思う。 ガルヴェイアスに住むたくさんの人たちの話が順に紡がれて、あるところで交差した時ついに物語に引き込まれました。「名のない物」が村に落ち、住人たちや犬たちに起こる様々なこと、けれど最後は一筋の光が見えるような、爽やかな気持ちになりました。
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ポルトガルの小さな村。 いつも通りのある晩、村中の犬が吠え始め、空からある物体が爆音と共に落ちてきた。 それは強烈な硫黄臭を放ち、村で育つ麦や、それで作られたパンまで硫黄のにおいがする。 いつしか村人たちは、その硫黄の臭いに慣れて、落ちてきた物体のことなど忘れてしまう。だけど、犬...
ポルトガルの小さな村。 いつも通りのある晩、村中の犬が吠え始め、空からある物体が爆音と共に落ちてきた。 それは強烈な硫黄臭を放ち、村で育つ麦や、それで作られたパンまで硫黄のにおいがする。 いつしか村人たちは、その硫黄の臭いに慣れて、落ちてきた物体のことなど忘れてしまう。だけど、犬たちは覚えていた。 そんな感じで始まる話なのだが、ある物体について解き明かすものではなく、ガルヴェイアスという村で暮らす人々の話。 彼らに関するエピソードはどれも悲劇的であるし、たくさんの人物が出てくるので、相関図を頭に描くだけでも一苦労だ。 小さな村だから、醜聞もすぐに知れ渡り、誰それが何をしただのあれをしただの、そういう話がいっぱい。 はっきり言って、そこから何を得たか、とかはない。 ただ、私はそこで生活する人々の日常が、とても好きなのだ。まるで犬の目線で見ているかのよう。 そういうものを想像するだけで、私はとても満たされた気持ちになるのだ。
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舞台は著者の故郷であるガルヴェイアスというポルトガルの村。 その村にある夜、巨大な物体が落ちてきて、村は硫黄の強い臭いに覆われることになってしまう。 それだけ強烈な臭いが漂っているにもかかわらず、村はその落下物のことは忘れてしまった。 村の人々が入れ替わり主人公となり、綴られて...
舞台は著者の故郷であるガルヴェイアスというポルトガルの村。 その村にある夜、巨大な物体が落ちてきて、村は硫黄の強い臭いに覆われることになってしまう。 それだけ強烈な臭いが漂っているにもかかわらず、村はその落下物のことは忘れてしまった。 村の人々が入れ替わり主人公となり、綴られていくひとつひとつの話が、終盤に向けて繋がりを見せてくる。 意外な人物の死、神父の秘密、そんなことが重なってきていよいよクライマックスへの盛り上がりを見せながら、新しい命の誕生を迎える。 そのラストで全てが繋がった。 地図が完成したのだ。 ガルヴェイアスはもう大丈夫、きっと変わっていけるはず。そんなメッセージを読み取った。 初めはよく分からなかった。 これは日本翻訳大賞を受賞した作品、とあるが、正直なところ「どこが?」と思ってしまう。 ひとつの話の中でひとりの同じ人物を表しているはずなのに、固有名詞と妻と母が出てきてみたり、男女どちらなのかも分からなかったり。 これが小学校の作文であったら、「ひとりの人をいろいろな書き方をすると分かりにくいので統一しましょう」などと赤ペンで修正されるだろう。 はっきり言って読みやすさという点から見れば褒められた物ではない。 もしも、「これが文学という物だ」と言うのであれば、私はしっぽを巻いて逃げ出すしかないだろう。 読みながらふと、この雑多で読みにくいことこそ、ガルヴェイアスそのものを表していると言うことなのかもしれない…などと詩的なことを思って納得させようとしてみたが、何度か途中で投げ出しそうになったことも事実だ。 ただし、素晴らしい作品であることは間違いないし、最後まで読んで本当に良かったと思う。
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外国の本を読むのは久しぶりで 慣れるまでは苦労しました。 ガルヴェイアスという村に 空から「名のない物」が降ってくる。 街を覆う硫黄臭、異常気象、、、 その中でガルヴェイアスの人は (それを忘れながら)ただ自分の物語を生きていく。 小さな街なので、それぞ...
外国の本を読むのは久しぶりで 慣れるまでは苦労しました。 ガルヴェイアスという村に 空から「名のない物」が降ってくる。 街を覆う硫黄臭、異常気象、、、 その中でガルヴェイアスの人は (それを忘れながら)ただ自分の物語を生きていく。 小さな街なので、それぞれの物語が 巧みに重なり合う。 え、この人があの時の、、、? みたいなことが山ほどある。 最終的には人物相関図書きながら読みました。 それぞれの物語は 楽しいとか面白いとは程遠いのに 最終的には人々の不思議な力を感じたなぁ
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