ガルヴェイアスの犬 の商品レビュー
突如宇宙から名も無き物体が落ちてきて、硫黄の匂いが染みつき干からび始めた村。魔術的な言葉で語られる人々の愚かな過ち。石灰の味がするパン。はびこる犬。そして一片の希望。 最後は田舎特有の閉塞感が一気に開放されて、宇宙の秩序が見えた気がした。表裏一体と原点回帰。
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ガルヴェイアスという田舎町の、様々な人々の生のあり様を綴織のように描いていく。読んでいて、マルケスの『百年の孤独』をちょっと思い出したが、そこまでのスケール感はなく、ラストはうまく収めたなとは思いつつも、やや既視感がある。
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隕石が落ちてこなくても、硫黄臭くならなくても、きっとこの村はこんな感じで、もっといえば人間ってこんなものなのかな。 誰が誰やら行きつ戻りつ、まるで噂に惑わされるように。
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ガルヴェイアスというポルトガルの片田舎の村(作者の故郷である実在の村らしい)に轟音とともに隕石が落ちてきた。いつまでも硫黄臭が充満する。それが引き金になって時空に歪みが生じたのか、あるいはそれとは関係なしに、村人たちの生活に少しずつおかしなことが起こっていく。章番号も何もないのだが、村人のそれぞれが主人公の短編集のようになっており、かつ、ある話の登場人物が別の話の主人公になっている重層的な構造になっている。途中で何度も「あれ、この名前は?」と前にさかのぼって元のエピソードを探した。 ポルトガルの作家の小説は初めて読んだが、さすが元宗主国とでも言おうか、南米の作家の小説にテイストが近い。 追伸:祝 第五回日本翻訳大賞受賞!!
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巨大な何かが落ちてくるという非日常とその村の人たちの日常の群像劇。 ポルトガルの小さな村は、消失するわけにはいかない。誰もが自分の故郷には、未来があると信じたい。
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鴻巣友季子の2018年のベスト。 1984年のある真夜中、宇宙から未知の物体が「ガルヴェイアス」の村に落ちてきて……。 村人たちはこの物体のことを次第に忘れていく。しかし犬たちは忘れなかった……! 一章ごとに一人の村人にフォーカスを当て、その貧しく素朴な暮らしをみっしりと、執拗なまでに詳述する。
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現代ポルトガル文学を知りたいと思って読んでみたが、重層的な場面転換が続くモザイク的なストーリー展開をなじみのないポルトガル名の登場人物で追うのは辛かった。
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とりあえず重版することがあれば、登場人物一覧を挟み込みで入れていただきたい。いや、オイラもう買っちゃったから今さら入れられても関係ないけど。登場人物一覧書きながら読んだのって「百年の孤独」(水色と白のツートンのカバー版)以来やわ。 で、中身。久々にラテン系小説でした。文章の雰囲気...
とりあえず重版することがあれば、登場人物一覧を挟み込みで入れていただきたい。いや、オイラもう買っちゃったから今さら入れられても関係ないけど。登場人物一覧書きながら読んだのって「百年の孤独」(水色と白のツートンのカバー版)以来やわ。 で、中身。久々にラテン系小説でした。文章の雰囲気はマジックリアリズムっぽいんやけど、別に超自然的なことは起こらず。空からなんかデッカくて臭いのが落ちてきたけど、それはそれとして日々は過ぎる、今までと変わらず息苦しいほど暑苦しい日々が。この辺の暑苦しさ、汗臭いと言ってもスポーツや労働ではなく、暑さ蒸し暑さからくる汗臭さ、この辺がラテン系と感じるんですよ、別に底抜けに明るい訳やなくて。
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そして誰もが名のない物のことを思い出した。 犬たちは別だ。犬たちが忘れたことはなかったからだ。」 スペインのアレンテージョのほど近くに、誰も知らないような村、ガルヴェイアスは実在する。 宇宙から巨大な"名のない物"(ひどい臭いがする)が落ちてきた年の出来事な...
そして誰もが名のない物のことを思い出した。 犬たちは別だ。犬たちが忘れたことはなかったからだ。」 スペインのアレンテージョのほど近くに、誰も知らないような村、ガルヴェイアスは実在する。 宇宙から巨大な"名のない物"(ひどい臭いがする)が落ちてきた年の出来事なのに、人間たちは、日々の生活、色恋沙汰や喧嘩、死のことばかりだ。 でも、たしかに、名のない物はガルヴェイアスを目指して、落ちてきたのだ。 別の本に出てくる、「ここはアレンテージョなのよ(なにが起こってもおかしくないの)」という少女のことを思い出した。
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