水曜日の凱歌 の商品レビュー
鈴子の心の声が良かった!東京大空襲からの終戦、大森海岸の進駐軍相手の施設等、知らないことばかりでした。鈴子の母の生き様、様々な時代に翻弄された女性達の事、鈴子の気持ちの変化等凄く感動しました。乃南アサさんの作品まだまだ読みたいです。
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8月に入りもうすぐ終戦記念日と思い手に取った。 戦後の日本に翻弄されながらもたくましく生きる女性達の話でした。 鈴子の気持ち、お母様の生き方、唸らされた。
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これまであまりなかったテーマなのではないかと思う。戦争モノでは、実際に戦争に駆り出された世代か、その親世代からの目線の物、もしくは、戦時中幼い子供で、戦後苦労した世代の目線の物ならいろいろあった。本作は、戦争が終わった当時多感な思春期(12,3歳?)だった主人公の少女が、戦後、進駐軍相手に体を売って生きた女性たちを目の当たりにして成長してゆく、という設定。 主人公の少女の母は、夫を亡くし、戦後の厳しい状況を、焼きつくされた東京で生きぬかなければならなかった。体を売ることはなかったものの、亡き夫の友人や、そのツテで知り合った進駐軍の中佐を利用しながらしたたかに世を渡る。母のたくましさ、したたかさゆえに、少女は飢えることもなく、戦後を生きていくが、1年前まで空襲で逃げまどっていた記憶や、自分だって死んだかもしれないという思い、他の貧しい友達、飢えている人たちに申し訳ないという思いにさいなまれる。 最初の方は、戦時中の教育を受けたまだ子供の主人公に共感できず、「こんな考え方するものなのかな」と思いながら読んでいたが、物語の中の彼女が成長するにつれてだんだんと共感できてきて良かった。純粋な少女の目線から捉えられた母の姿が、半分は謎で、どんな風にも受け止められるところが面白い。女であることを利用してしたたかに生きた女性とも言えるし、心から娘のためを思い必死に生きた女性ともとれる。 空襲後の東京で別れた友達と再開するシーンも泣けた。 生きていくことは、きれいごとじゃないと思った。正しい道を歩みたいと思っても、生きていくことはきれいごとじゃないということを知っておくことは大事だと思った。
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乃南アサ 7作品目。 太平洋戦争末期から終戦後1年、RAAに纏わるお母様・つたゑの娘・鈴子から見た忘備録。 「もう懲り懲りなの」お母さま・つたゑの怨念が、したたかに響く。時代に従い、親に従い、夫に従い、国に従ってきた。その結果、手にしたものは、失ったものは、あまりにも残酷だ。それは、日本中のすべての女性も同じ。ぶつける先のない怒りと悲しみと絶望。 倖いにも、変われるチャンスがあったお母さまは、その時代を切り抜けていく。 「日本に無くてアメリカにあったもの」「男にあって、女にないもの」それに拘って、強く生き変わってゆくお母さまの姿は、逞しい。娘の目を除いて。 「戦争なんか、するからだよ」「勝つ勝つって言って、負けるから」「馬鹿みたい」子供たちからは大人の勝手な戦争が自分たちを蝕んでゆく。我慢へ絶望へ貧困へ、なぜ戦争? 国民は馬鹿みたいに信じて、言われたとおりに従って、何もかもお国のためだと思って大事な息子まで差し出したけれど――結局、何一つとして報われなかった。そんな女性たちの想いが、パンパン狩りのトラックでミドリさんの怒りに繋がる。 「一人で生きていかれる人」になって欲しいといったお母さまの想いは、女学生の鈴子に、しっかりと根付いて欲しいと願う。
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まず、こんな史実があったことに衝撃を受けた。 戦争は1945年の玉音放送で終わったが、そこからが本当の戦いだったことは誰も教えてくれない。 どころか、当時も隠蔽していた事実がたくさんあったからこそ後世に知られることもない。 それだけでなく、当時の女性に対する、貞淑な妻であるべき...
まず、こんな史実があったことに衝撃を受けた。 戦争は1945年の玉音放送で終わったが、そこからが本当の戦いだったことは誰も教えてくれない。 どころか、当時も隠蔽していた事実がたくさんあったからこそ後世に知られることもない。 それだけでなく、当時の女性に対する、貞淑な妻であるべき、とか、男に3歩後ろを歩け、とか、そんな思想に疑問を感じつつも自分を殺していた人達も多かったことだろう。鈴子の母はそんなタイプだったわけだ。 変わってしまった時代背景を糧に、今までの国作りをしたすべてに恨みを晴らすべく強く生きる母と、そんな母に戸惑う鈴子。 リアルに時代を描写しており、とても考えさせられた。この本をきっかけに、RAAについて調べたが、史跡などとしては残されていなくとも、名残は今でも残っている。こんな史実を知らずに平和に生きている今の人々を見てるとなんともいえない気持ちになる。
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元々は素直で優しい鈴子が母の変化によってどんどん卑屈になって行きますが空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんと再会した時のやり取りは心が和みました。 戦争と言う特殊な状況の中で生きていかねばならない女性たちがストーリー全体を通して圧倒的なリアルで描かれています。 戦後70年...
元々は素直で優しい鈴子が母の変化によってどんどん卑屈になって行きますが空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんと再会した時のやり取りは心が和みました。 戦争と言う特殊な状況の中で生きていかねばならない女性たちがストーリー全体を通して圧倒的なリアルで描かれています。 戦後70年となり徐々に戦争を語る人達が少なくなる中でたくさんの事を教えてくれる作品でした。
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昭和20年8月15日水曜日。戦争が終わったその日は、女たちの戦いが幕を開けた日。世界のすべてが反転してしまった日―。14歳の鈴子は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになった母とともに各地を転々とする。苦しみながら春を売る女たち。したたかに女の生を生き直す母。変わり果て...
昭和20年8月15日水曜日。戦争が終わったその日は、女たちの戦いが幕を開けた日。世界のすべてが反転してしまった日―。14歳の鈴子は、進駐軍相手の特殊慰安施設で通訳として働くことになった母とともに各地を転々とする。苦しみながら春を売る女たち。したたかに女の生を生き直す母。変わり果てた姿で再会するお友だち。多感な少女が見つめる、もうひとつの戦後を描いた感動の長編小説。
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フィクションではあるし、誇張もあるかと思いますが、あの時代に各地で起こっていただろう出来事なのだと思います。たくさんの「すぅちゃん」や「お母さま」がいたと思います。 戦争について語る方が少なくなり、学校でも教えてくれなくなっていく時に、小説として読んで知り感じることはとても大事だ...
フィクションではあるし、誇張もあるかと思いますが、あの時代に各地で起こっていただろう出来事なのだと思います。たくさんの「すぅちゃん」や「お母さま」がいたと思います。 戦争について語る方が少なくなり、学校でも教えてくれなくなっていく時に、小説として読んで知り感じることはとても大事だと思います。14歳のみんなにも読んでほしい。
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戦後の女性たちを描いた小説。 実際にあったとされる、進駐軍に向けた特殊慰安施設で働かざるをえなかった女性たち。 他に働く当てもなく、食べていく、生きていくためには仕方なかった。 そんな慰安施設での通訳の仕事を紹介してもらった鈴子の母は、英語が話せたことが幸いした。 ただ、そんな母...
戦後の女性たちを描いた小説。 実際にあったとされる、進駐軍に向けた特殊慰安施設で働かざるをえなかった女性たち。 他に働く当てもなく、食べていく、生きていくためには仕方なかった。 そんな慰安施設での通訳の仕事を紹介してもらった鈴子の母は、英語が話せたことが幸いした。 ただ、そんな母を鈴子は受け入れられなくなる。 14才の鈴子にとって、戦争に負けたからといってアメリカ人と仲良くしたり、愛想を振り撒く母を信じられなくなる。 鈴子にとっては、自分たちの家族や友達を殺した憎き敵でしかない。 そんな鈴子の気持ちも、生きていくために娘を守るために強くならざるをえなかった母の気持ちもわかるだけに、辛くなる。 2020.8.26
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14歳の夏に終戦を迎えた。 父親を事故で亡くし、長兄は戦死。 姉は嫁ぎ先の空襲で亡くなり、出征した次兄は帰らない。 空襲から逃げる中で妹は行方知れずになった。 母親と二人だけになった二宮鈴子。 戦時中に教えられてきた価値観が180度変わる渦の中で、 日本の防波堤となった数千人の...
14歳の夏に終戦を迎えた。 父親を事故で亡くし、長兄は戦死。 姉は嫁ぎ先の空襲で亡くなり、出征した次兄は帰らない。 空襲から逃げる中で妹は行方知れずになった。 母親と二人だけになった二宮鈴子。 戦時中に教えられてきた価値観が180度変わる渦の中で、 日本の防波堤となった数千人の女性たち。 「新日本女性に告ぐ。戦後処理の国家的緊急施設の一端として、 進駐軍慰安の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む」 RAA(特殊慰安施設協会)を設立して、敗戦国の日本は、 進駐軍兵士からの性の防波堤として女たちを差し出すことを決めた。 勝手に無理な戦争を始めて、そして負けた男たち。 今度は、女たちの戦いが始まった。 終戦混乱期の1年余りを14歳の少女目線から捉えた物語。 勝手に戦争を始めて、無理な戦争に負けて、 その尻拭いを女性に押しつけた男ども。 その史実に唖然としました。
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