彼女は頭が悪いから の商品レビュー
上野さんの東大入学式祝辞はたまたま読んでいる最中。 自分よりも格下にランキングした人を見下す視線や言葉に不快感を我慢しながら読んだけど、果たして自分にそんな気持ちが全くないのかと自問した時、怖くなった。 フィクションだと意識しながら自分に引きつけて読まないと、単に「こんな東大生終...
上野さんの東大入学式祝辞はたまたま読んでいる最中。 自分よりも格下にランキングした人を見下す視線や言葉に不快感を我慢しながら読んだけど、果たして自分にそんな気持ちが全くないのかと自問した時、怖くなった。 フィクションだと意識しながら自分に引きつけて読まないと、単に「こんな東大生終わってるよね」で終わってしまう。 自分にどれだけ向き合えるかを問われる厳しい作品だとかんじた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
上野千鶴子の東大入学式祝辞で興味がわいて読んだ本。東大生5人による女子大生集団わいせつ事件を小説化したもの。事件当日に関する部分は後半のみだが、そこに至るまでに各登場人物の背景や生い立ちから丁寧に描かれており、これを通して、事件を引き起こした潜在的な要因が如実に語られているのが素晴らしかった。社会に潜む無自覚の選民意識や卑屈さが共感とともに伝わってきた。 集団わいせつと聞くと性的欲求に突き動かされたような印象だが、加害者の言葉を信じるならば、本事件ではそうした衝動は薄かったという。だがむしろ、被害者を裸に剥いて叩いたり蹴ったり玩具にすることが許されると思い込んでいる加害者たちの精神状態が、純粋に描かれていることが怖かった。
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「こんな東大生いない」って声もあるけど、私は、いてもおかしくないと思ったし、「こんな東大生いない」っていう東大生ないしOBには、自分の経験だけでよくそんな断言できますねと思う。 理由が東大であろうとなかろうと、「自分は相手より上である、相手は自分より下である」という意識に歯止めが...
「こんな東大生いない」って声もあるけど、私は、いてもおかしくないと思ったし、「こんな東大生いない」っていう東大生ないしOBには、自分の経験だけでよくそんな断言できますねと思う。 理由が東大であろうとなかろうと、「自分は相手より上である、相手は自分より下である」という意識に歯止めが利かなくなることは、この事件に限らず、こわい。 そして、事件の断片的な情報だけで被害者を糾弾する集団心理のおそろしさ。 「東大生だからってモテるとは限らない」という東大生の意見にはノーコメントで、、、
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2019.4.17高校図書室(長女)→2021.4.15文庫購入 現実に起きた事件に想を得て創作されたフィクション。報道や裁判での証言などの取材で得られた事実を想像力で肉付けしたこの小説は、これが真実であったとは思わなくても、こういう経緯であったとすればいろいろ腑に落ちる説得力が...
2019.4.17高校図書室(長女)→2021.4.15文庫購入 現実に起きた事件に想を得て創作されたフィクション。報道や裁判での証言などの取材で得られた事実を想像力で肉付けしたこの小説は、これが真実であったとは思わなくても、こういう経緯であったとすればいろいろ腑に落ちる説得力があった。持てるものの「ま、いっか」持てないものの「どうせ」のそれぞれの積み重ねはそれぞれの思考回路を隔てていく。人間同士なのだから喜怒哀楽は同じでわかりあえるなどというのはナイーブな思い込みに過ぎないのではないかと読みながらぞわぞわっとしてくる。登場人物の人物造形や気持ちの動きが極端すぎてありえないと思う読者も決して少なくはないのだろうけれど、あまりにわかりすぎて読むのが辛い人も一方には少なからずいるはずだと思った。最後まで読んでも真の和解や解決などどこにもない。表面的に反省のポーズをとる世渡り上手の東大生と親たちにとっては掠り傷ぐらいにしかなっていない。主人公の女子学生に寄り添ってくれる大人が少なくともひとりは現れたのがささやかな救いだった。 当の東大で行われた著者を招いてのブックトークではジェンダー論の教員が細部の齟齬をあげつらって小説への拒否感を顕にして紛糾したと聞き、失望しつつもさもありなんとも感じた。自分と違う他者への対等な想像力を育むというのは難しいし一朝一夕で身につくものでもないのだから。 高校生の娘はこの後味の悪い物語を最後まで読めるだろうか。なにを思うだろうか。
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よく書いてくださったと思う。感謝したい。 元になった事件は、ものすごくモヤモヤした。なんなんだ、この東大生たちは、と思った。東大生でなければ、ここまでことが大きくならなかったと言う意見もあったようだが、一応日本で一番頭のいい人が行くと思われている大学に通っている人たちの中で、こ...
よく書いてくださったと思う。感謝したい。 元になった事件は、ものすごくモヤモヤした。なんなんだ、この東大生たちは、と思った。東大生でなければ、ここまでことが大きくならなかったと言う意見もあったようだが、一応日本で一番頭のいい人が行くと思われている大学に通っている人たちの中で、このようなバカが複数いるとはショックだった。バカというか人間でないというか。あるいは東大生だからの傲慢さがこれ以上現れている事件があっていいものかと思った。傲慢な東大関係者は多いのかもしれないが、あまりに女性の人権、尊厳をなんとも思っていなさすぎると思った。わけがわからなかった。 それがこの小説のおかげでスッキリしたというわけではない。 ただ、被害女性が少しも悪くない、と誰が読んでも思えるように書いてくださったのが、本当に良かった。被害者がそれほどのバッシングにあっていることは知らなかったし、申し訳ないことに想像もしてなかったが、性被害にあった女性がバッシングされるというのが、もうどうしても許されないと思っているので、この小説を読めば、小説の人物とはいえ、現実の女性と重なり、バッシングする気が誰にもなくなるような書き方がしてあって、とてもうれしかった。 話題になった上野千鶴子さんの東大入学式の祝辞だが、同時期にたまたま私はこの小説を読んで、結びつけて考えずにはいられなかった。 今なお残る女性差別。自分の実力、自分の努力のおかげで成し遂げたと思っていることが決してそうではないということへの自覚に気づけということ。その恵まれた環境を恵まれてない人を見下すことではなく助けることに使えとの示唆。 また、この加害学生たちはまだ若い。これから経験していく中で変わっていくこともできるだろう。ただ、その保護者たちの態度があまり納得できない。彼らを更生とは逆の方向に進めるような気がしてならない。東大に入った我が子は可愛いに違いない。自分のプライドを満たしてくれるに違いない。だからといって彼らが東大に入ったというだけで、周りの人を傷つけながら生きていく人生など人間として上等なはずがない。 いろいろ思うことがありすぎて、長々書いたわりには…
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数年前に起こった、東大生五人による強制わいせつ事件から想を得て書かれた作品。 ここからはアラフォー女の感想。 当時は学歴がものいう時代。 各々が立ち位置をわきまえて生きてきた気がする。 SNSもないし、そうそう繋がることもない。 もし、自分より高学歴、高収入の方とそのような事にな...
数年前に起こった、東大生五人による強制わいせつ事件から想を得て書かれた作品。 ここからはアラフォー女の感想。 当時は学歴がものいう時代。 各々が立ち位置をわきまえて生きてきた気がする。 SNSもないし、そうそう繋がることもない。 もし、自分より高学歴、高収入の方とそのような事になったとしても、それは一時的な事と…。冷静に考える。 これは決して諦めではなく、当時は自分を大切にするという考えのもとに生きていたのです。 自己肯定感が高いと、東大生でも他人を傷つけたり、貶めるという発想に至らないんじゃないかな…。
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344頁の、 [神立さんてヒト、来ました。DBー] [ーこのヒトはネタ枠ですね(笑)] に震えた。(注:DBとはデブでブスのこと) 口ではこう言える、「てめえの顔、鏡で見たことあんのかクソが」。 でも、心は連動しない。 今でも覚えている、デブと言われたことこそないけれど、何度ブス...
344頁の、 [神立さんてヒト、来ました。DBー] [ーこのヒトはネタ枠ですね(笑)] に震えた。(注:DBとはデブでブスのこと) 口ではこう言える、「てめえの顔、鏡で見たことあんのかクソが」。 でも、心は連動しない。 今でも覚えている、デブと言われたことこそないけれど、何度ブスだと罵られ、笑われただろう? だから今でも私は写真も、鏡も嫌いだ。 怖いのだ。 きっと、これからもずっと、癒えることはないだろう。 ある東大生は、本書をなじる。 こんな学生いない、あいつらは自分と違う、リアリティがない、と。 私はそれを知って、「そこだよ」と舌打ちした。 他者の痛みに共感できなかった、想像できなかった、自分のこととして考えなかった。 だから事件が起きたのだ。 犯罪者は自分とは全く違う人種だと本気で思っているのか。 あいつらは頭が悪いから、と断じるのは、実際の事件とも、本書(フィクション)の登場人物と全く同じではないか。 本書が問いかけたのは何か。 他者を自らの基準で評価することの危うさや、行き過ぎた自尊心、こじらせてしまった自己評価(高きにしろ、低きにしろ)の持つ側面ではないか。 私はあなたとは違う、と降ろしてしまったシャッターの向こう側にいるのは、実は自分自身ではなかったか。 460頁の三浦学長の経験や言葉は、傷ついた女性たちの心を少しでも救ってくれるだろうか。 どうか、と祈る。 この女性のような人が、考え方が、一人でも多くの人の心の中に浸透しますように。
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東大生の男がクズだった。 サキは、うーん同じ境遇だったらそうなるのかな。気持ちはわからなくない。 けど、そこまで自分を卑下しなくてもよかったのに。
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東大という学力を基にしたカーストの頂点,偏差値の低い者には何をしてもいいのかという事に一石を投じた小説.宗教のように東大を誇る家族にはその病が見えることはない.最後までじくじくと癒えない傷を抱えているような小説だったが,水谷女子大学の三浦紀子教授と加害者つばさの元友人山岸遥の存在...
東大という学力を基にしたカーストの頂点,偏差値の低い者には何をしてもいいのかという事に一石を投じた小説.宗教のように東大を誇る家族にはその病が見えることはない.最後までじくじくと癒えない傷を抱えているような小説だったが,水谷女子大学の三浦紀子教授と加害者つばさの元友人山岸遥の存在があって,この小説は救われたと思う.
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実際の事件に着想を得て書かれたフィクション。 被害者叩きとも言えることになっていたのはよく覚えている。 あれから、何か変わったのだろうか。 今もこの風潮は変わっていないような気がする。 加害者側、本当に”分からない”んだろうなぁ…と思った。 頭がいい悪いってなんなんだろう。
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