サイレント・ブレス 看取りのカルテ の商品レビュー
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終末期の在宅医療をテーマとした短編連作の物語。 「いのちの停車場」を読んで、ほかの作品も読みたいと思って探していたら、本作は筆者のデビュー作とのこと。 現役医師としての専門性が本作をよりリアルにしています。 ■スピリチュアル・ペイン 大学病院から在宅医療の訪問クリニックに左遷さ...
終末期の在宅医療をテーマとした短編連作の物語。 「いのちの停車場」を読んで、ほかの作品も読みたいと思って探していたら、本作は筆者のデビュー作とのこと。 現役医師としての専門性が本作をよりリアルにしています。 ■スピリチュアル・ペイン 大学病院から在宅医療の訪問クリニックに左遷された倫子が訪問診療に戸惑いながらも、最初の看取りの物語。 わがままのように振る舞う元記者の綾子。そして、その綾子の元にたびたび訪れるスキンヘッドの男。 綾子の最後とは? スキンヘッドの男は? ■イノバン 筋ジスの少年を受け入れたクリニック。 怪しげな行動をとる母親。 そして、少年が亡くなった時に残していたメッセージ。 この少年の想い、強さに心打たれます。 ■エンバーミング 亡くなる寸前の母親と、急遽その母親を介護すべく戻ってきた息子。 息子の目的は? そして母親が残していたモノ。 家族が亡くなるというときに、その本性が出ちゃうんだなぁって寂しくなりますね。 ■ケシャンビョウ 高尾山で引き取られた身元不明の推定10歳の娘。しゃべることもできず、引き取られた里親のもと、暮らしていますが、ある日、母親の料理をすべてひっくり返す。 その意味は? 娘の正体は? これは、ほっこりしました! ■ロングターム・サバイバー 新宿医大の名誉教授の在宅医療に指名された倫子。 延命治療を拒否しながらも、わずか数日治療を再開。その目的は? 名誉教授が逝ったのちに知る、わずかな期間の治療を再開した理由。そして倫子への評価。 これも、心温まる話でした。 ■サイレント・ブレス 倫子の父親の看取りの物語。 父親の延命治療で悩んでいた倫子と家族。そして、延命治療について考えさせられる物語 全編を通して、自らの死を目前として、それぞれの患者たちは何を望むのか? そこに医療はどうかかわるのか? とてもよかった。 お勧めです。
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死ぬ患者を最期まで愛し続ける 難しいんだってば、それが。 だからって逃げちゃいけないんだけど。 叶う物なら誰もを元気にしてあげたい。 出来ない時にそれを受け入れる事が、 諦め=負けって感じられてしまう。 旅立つ人も、見送る人も、 誰も悔いのない看取りが出来れば、 それはとても幸...
死ぬ患者を最期まで愛し続ける 難しいんだってば、それが。 だからって逃げちゃいけないんだけど。 叶う物なら誰もを元気にしてあげたい。 出来ない時にそれを受け入れる事が、 諦め=負けって感じられてしまう。 旅立つ人も、見送る人も、 誰も悔いのない看取りが出来れば、 それはとても幸せな事ですね。
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ばり良い 医療従事者読むべき、病気を治療することだけが大切ではないことを痛感。患者の意思に納得しようとすることも大切
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どんな風に死にたいか。どこで死にたいか。 連作短編で様々な看取りの事例が描かれる。 私自身、医療従事者であるため、描かれる事例がリアルで、看取ってきた方、存命だけど終末期の方を思い浮かべては涙が出そうになった。 安らかな死を迎えるための医療の選択。 〜してあげたい。と家族の希望の相違でジレンマとぶつかる事は多々ある。 命の終え方を自分で決めたい。決めさせてあげたいのならば、日頃から意思を確認しておかなければならない。 ターミナルは身近でないと思われてしまう。 患者やその家族で延命の捉え方や、思い描く寿命が違う。切り出すのはタブーのように思われてしまうけれど、安らかな死を願い、患者さんを思うのならば、早めの意思確認や告知って重要だと改めて思った。
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03月-14。3.5点。 大学病院女医の主人公、系列の、在宅医療の病院への異動を命じられる。左遷かと落ち込むが。。。 治療をやめ、在宅で余命を過ごす患者たちと向き合う、連作短編。どれも面白かった。
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「死ぬ患者も、愛してあげようよ」この言葉が印象的だった。無理なく入り込めて主人公の成長と同時に教訓を得られた。他作品もぜひ読みたいと思った。
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サイレントブレス あずのおすすめの本。作者である南杏子さんは33歳で再受験した現役の医者。それで小説も書くなんて凄すぎる。この小説は終末期医療を題材としたもので、そのリアリティさは実際に終末期医療に携わる作者の経験が投影されているように感じる。六人の終末期の患者それぞれのエピソー...
サイレントブレス あずのおすすめの本。作者である南杏子さんは33歳で再受験した現役の医者。それで小説も書くなんて凄すぎる。この小説は終末期医療を題材としたもので、そのリアリティさは実際に終末期医療に携わる作者の経験が投影されているように感じる。六人の終末期の患者それぞれのエピソードで構成されている。遺体が消えたり、言葉を話さない謎の少女だったりとたまに出てくるミステリーのような部分が物語の推進力になっており面白かった。また僕自身も先日腫瘍内科で実習して終末期医療を直近で見た際、この分野の医師は自分の仕事に非常にやりがいを感じているように見えた。自分の進む道としてもアリだと思った。この作品は作者の第一作であり、二作目の「ディアペイシェント」も出ているので次に読もうと思う。 帯コメ:一度読んでみて考えてほしい!
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看取るまでにいかに患者さんが苦しまないように、きつくないように、対応していたのか 実際の医師の姿が目に見えてくるようでした 自分の近しい人間が、死が迫っているときに、意思を尊重することができるのか、死と向き合うことができるのか、考えさせられる話でした。
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最後の方のシーンで父の最期を看取った時のことを思い出して泣いてしまった。 ステージⅣで手術はもうできないから抗がん剤治療を勧められだけど断わった父。 その時の私は何の知識もなく、父の希望のとおりにしたけど後悔は1つもなかった。初めての身近な人の死を後悔なく見送らせてもらえたことに...
最後の方のシーンで父の最期を看取った時のことを思い出して泣いてしまった。 ステージⅣで手術はもうできないから抗がん剤治療を勧められだけど断わった父。 その時の私は何の知識もなく、父の希望のとおりにしたけど後悔は1つもなかった。初めての身近な人の死を後悔なく見送らせてもらえたことに本当に感謝している。何が正解なのかわからないし人それぞれだけど、いつかは迎えなくてはならない死のために自分なりの答えを探してできれば意志を伝えられるうちに残しておきたいと思った。
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