悪人 新装版 の商品レビュー
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映画のイメージが強くて(観てないけど)、ずっと逃走劇が繰り広げられていると思っていたけど、前半はむしろ淡々と進んでいた印象。登場人物の心情に深入りすることなく、一歩距離をとって紹介が続く。 こんな感じか、と拍子抜けしていたら、いつの間にか祐一にのめり込んでいて…。光代には惹かれなかったけど、(むしろ、トラウマとはいえ自首させてやれよと思ってイライラした)二人の姿は哀れながらも笑うことはできなかった。 ラストの首を絞めるシーン、気になって調べたら映画ではアドリブでキスシーンもあったとか。なんだその演出、そこだけでも観たいもんな。そして、ラストの「あの人は悪人やったんですよね?ねえ?そうなんですよね?」が、切なすぎて…。脳内で動く映画キャストたちがそれぞれハマり役でした。 祐一は母に対するのと同じで、全て自分が引き受けるつもりで、待っててほしくなんかないんだろうけど、読者としてはいつかまた出会ってほしいと思ってしまうな。 「悪人」とは誰だろうな。真面目に生きる人が報われる世の中じゃなくちゃだめだよな。
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吉田さんの作品では『怒り』を読んだことがあり、 読みながら苦しくやるせない気持ちになった記憶。 でも、人間の奥の奥に隠された感情に迫る感じが懐かしくなり、今回『悪人』を読むことにしました。 誰が本当の悪人なのか、 それを白黒で決めつけることはできない。 誰しもの中に善も悪も混在...
吉田さんの作品では『怒り』を読んだことがあり、 読みながら苦しくやるせない気持ちになった記憶。 でも、人間の奥の奥に隠された感情に迫る感じが懐かしくなり、今回『悪人』を読むことにしました。 誰が本当の悪人なのか、 それを白黒で決めつけることはできない。 誰しもの中に善も悪も混在していて、1人の人間が誰かにとっての悪でもあり、また別の誰かにとっては善だったりする。 本で描かれているのは極端な例だけど、 きっと日常の中でもこの構図は当たり前に存在するんだろうと思った。 祐一のおかした殺人は絶対にいけないこと。 それは揺るぎない事実で、私が佳乃の親だったら間違いなく祐一を120%悪(≒許せない)と思うけれど… 第三者として読み進めると祐一の悪ではない部分も見え、後半はやはり読み進めるのが苦しかった。 そして増尾の悪事のように法で裁かれない悪も存在してしまうことがまたモヤモヤでもあった。 小説で描かれていないその先で、 誰か祐一を救ってくれる人がいますように。 そして増尾にギャフンという出来事が起こりますように。。。苦笑
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吉田秀一せんせは流石やし、佐賀が舞台なんて胸熱。とりあえず誰かの悪い人も誰かの好きな人とはよういったもんや。
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決して明るい話ではない。 だけど、自分はこっち側なんだと。どうしてか共感出来る部分多々あり。 生きているなかでの社会での不条理さや不公平感、要領良い人やうまく立ち回れない自分。 吉田氏、好きです。
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【映画を鑑賞】 加害者の育ての親、被害者の父など大きなテーマが交錯していたので、私は二人の逃避行や育まれた愛についてもう少し深掘りして味わいたかったなという気はします。 あと、なぜか二人の青と赤の服のコントラストが頭に強く残っている。離れられない二人、のような感じがすごくする、なぜだろう。 物語の中の〈色〉は無意識のうちに読者に語りかけているのかも。
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悪意をもって人に接し悪事を行っているヤツは他にいる(騙してものを売り作るなど)。気持ちが通じ会えない淋しさ、理解しようとしない貧しさ、見栄やプライドの行き過ぎた局面で人を殺めるところまで暴走してしまう悲しさ。一方的・機械的に善悪を分けてしまいがちな風潮のなかで、あえて悪人に徹しよ...
悪意をもって人に接し悪事を行っているヤツは他にいる(騙してものを売り作るなど)。気持ちが通じ会えない淋しさ、理解しようとしない貧しさ、見栄やプライドの行き過ぎた局面で人を殺めるところまで暴走してしまう悲しさ。一方的・機械的に善悪を分けてしまいがちな風潮のなかで、あえて悪人に徹しようとするきことで、愛するものを守ろうとした悲しすぎる愛の物語でもある。
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悲しい 普通の幸せさえあればいいのに、、 真面目に生きるだけじゃダメなのかなぁ〜 いい人ばかりじゃないし ちょっとした事で歯車が狂っていくなんてほんとに悲しい
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不器用な人たちばかり。でも人間はそんなに器用には生きられなくて、運が良かったり悪かったり、真面目でも上手くいかなかったり、適当にしたことが上手くいったり、本当に思い通りにならないなあ、なんて思いながら読み進めた。
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主要な登場人物の中での「悪人」ランキング 僕の中では、 第一位 ボンボンの大学生・増尾圭吾(だんとつ) 第二位 殺された保険外交員・石橋佳乃 第三位 土木作業員・清水祐一 第四位 紳士服店店員・馬込光代 でした。 「人としての正しい行い」がこの小説のテーマかな、と思いま...
主要な登場人物の中での「悪人」ランキング 僕の中では、 第一位 ボンボンの大学生・増尾圭吾(だんとつ) 第二位 殺された保険外交員・石橋佳乃 第三位 土木作業員・清水祐一 第四位 紳士服店店員・馬込光代 でした。 「人としての正しい行い」がこの小説のテーマかな、と思いました。 誰にも潜む「悪人」の自分。そいつが衝動的に引き起こす悪行。もちろん取り返しのつかないこともあるけど、その悪行の後の「人としての正しい行い」こそ、生きていく上では大切なこと。 それと、人に執着すること、について。 佳乃の父、佳男が増尾の友人、鶴田に語りかける言葉。 長くなるけど、とても心に残ったので引用する。 ー あんた、大切な人はおるね?その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい。 おらん人間が多すぎるよ。 今の世の中大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、なんでもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。 失うものもなければ欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。 そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ ー 小説と同時並行で映画を見た。 増島ひかり演じる石橋佳乃はとても危うくて、僕はああいう危うさにころっと引っかかるタイプだ。 だから、増尾は死んでほしいし、清水は不憫で感情移入してしまった(もちろんだからと言ってあんなことしていいわけではない)。 なぜか雨のシーンしか印象に残らないジメジメした作品なので、ジメジメした気分の時に読みたい。
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悪人は誰だ そう思いながら、読み進んだ 作者の思う悪人、読者が思う悪人 私にとって悪人でも、彼彼女にとっては救う人かもしれない 大切な人は居るかと作者は読者に問いかけた その人の幸せな様子を思うだけで自分まで嬉しくなるような人と 難しい問いかけだ
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