あずかりやさん 桐島くんの青春 の商品レビュー
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あずかりやさん第2弾。 あくりゅうのブン…芥川龍之介に憧れて小説を書いている(つもりの)男の使う文机視点。なぜ芥川になろうとしているのかという理由になるほど!となる。開店したばかりのあずかりやの初めての客となる。 青い鉛筆…珍しく人間視点。知的障害のある弟を持つ中学生の正実。ある日ハーフの転校生がやってきて、正実は彼女の鉛筆を盗んだまま返せずに罪悪感を抱えていた。 夢見心地…一巻で預けられた、外国製のオルゴール視点。彼(?)が生まれてから今に至るまでの経緯の説明。本来その音色を聞かせてあげるべき作者の妻とその子どもが出産で亡くなり、その後耳の聞こえなくなった少女に振動で音を伝え、大人になった少女に質屋に売られ、長い時を経て日本人夫婦の物になり、大事にされて今の店主の元にある。 海を見に行く…桐島くん視点。彼があずかりやさんを開く前の学生時代の話。 あくりゅうのブンが一番好きかも。 お父さんが好きで、お父さんみたいに教師になりたいのに、お父さんの夢を叶えるために夢を探すっていう変な話だけど、それで、あずかりやさんの基本ルールが出来上がったんだね。ブンの主人はブンを手放したけど、彼は自分の夢のために道を歩き始めたのがわかって、心が暖かくなる。 達観する前の桐島くんの視点は普通より大人びた子供って感じで新鮮。 自分が母の運転のせいで盲目になったことで家族関係が破綻したこと。 父親も盲目になった息子にどう接したらいいか分からずに距離を置いてしまう。 でも自分でもそうしてしまうかもしれない。下手に明るく振る舞ってもボロが出そうだし、憐れみたくないのに、可哀想と思ってしまう自分の心が貧しい気がして、うまく相手との距離を測れなくなる。 桐島くんは聡明で、柳原先生という素晴らしい教師に出会えたことで健やかに成長したんだね。
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前作を読み返したくなる、いやきっと読み返す。そしてきっと、前に読んだ時より面白いと感じると思う。次は他の本を読もうと思ってたけど、またあずかりやさんに決まりだなぁ。 心に響く文もありました。 「心はひとつじゃない。星の数ほどあって、全部嘘じゃない」 そう、その時はそう思ったの。とか、矛盾してるかもしれないけどそう思うの。とか、、あぁそれは、やっぱり私の本心だったんだな、嘘をついてるわけでも、わかってない訳でもない。そう思って気持ちが強くなりました。 「『もしも』は心残りです。その心残りこそが『夢』ですし、それがこのよに生まれた証で、宝物のような気がするのです」 もしも〜だったら、は現実じゃない。それはたしかに心残りだ。でも、もしも〜だったら良かったのになは、そうなりたい夢だ。思っちゃいけない訳じゃない。素敵なことだったんだとちょっとだけビックリしました。 あぁ、鎌倉に住んでたおばあちゃん。 あなたが海の色を言わないで、美しい色をしていると言った優しさが、私はとても好きだなと思いました。あなたの孫が大きくなって、もう一度みた太平洋の美しいブルーが私も見たくて、自分の気持ちに正直に生きようと少しだけ頑張れました。
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児童文学? 面白かったあ。 大人の本の階のところにあったけれど、 大人だけではもったいない。 中学生、高校生、いや、小学校高学年にも 読んでもらいたい。 大人ほど面白味が感じられないのかも 知れないけれど、 転校生の話とか 楽しめるんじゃないのかなあ。 真ん中のオルゴールの...
児童文学? 面白かったあ。 大人の本の階のところにあったけれど、 大人だけではもったいない。 中学生、高校生、いや、小学校高学年にも 読んでもらいたい。 大人ほど面白味が感じられないのかも 知れないけれど、 転校生の話とか 楽しめるんじゃないのかなあ。 真ん中のオルゴールの話。 一番よかった。 面白かったので、 最後の章を読む前に登録。 さ、読もか。
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あずかりやさんシリーズの2作目 前作を超えてきたねぇ というか、より深めてきたって感じかな あずかりやを始めた直後とかオルゴールの来歴とか、何より店主の高校時代がよい なるほど、石鹸さんがあれほど気になった理由がわかる トロイメライがお気に入りな理由とかも あと、失明に限らず...
あずかりやさんシリーズの2作目 前作を超えてきたねぇ というか、より深めてきたって感じかな あずかりやを始めた直後とかオルゴールの来歴とか、何より店主の高校時代がよい なるほど、石鹸さんがあれほど気になった理由がわかる トロイメライがお気に入りな理由とかも あと、失明に限らず、障害というのが不幸せなのかというテーマもあるのかな 星の王子さまを読んで見える人と見えない人がいる 前に一度読んだ事があるはずなんだけど、よくわからなかったので僕は見えない人なんだろうね というより、よく言われるのが子供には見えるけど大人には見えないというやつかも もう一回読み直してみようかな まぁ、やはり見えないんだろうけどね
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身の回りの人やモノ、そして自分の感情に積み上げられた歴史を想ってみたくなる、そんな素敵さに包まれたストーリー。
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人間も、動物も、そして命を持たぬはずのものたちも、この本では等しく語り手を務める。 静謐なようで、不思議な存在感を持つ主人、桐島君。 彼の営むあずかりやは、一日百円で、なんでも預かる。 そこに、いろんな人が、いろんな物語を抱えて、ものを預けに来る――という趣向。 芥川龍之介に...
人間も、動物も、そして命を持たぬはずのものたちも、この本では等しく語り手を務める。 静謐なようで、不思議な存在感を持つ主人、桐島君。 彼の営むあずかりやは、一日百円で、なんでも預かる。 そこに、いろんな人が、いろんな物語を抱えて、ものを預けに来る――という趣向。 芥川龍之介になりたいという、それでいてまったく文才のない「あくりゅう」の物語を語るのは文机。 知的障碍のある弟を持ち、中学校のクラスでは女子グループの人間関係の中で疲弊する正実の物語。 この話では、各地を転々としている織田パトリシアという少女が印象鮮烈だ。 あずかりやにずっとあるオルゴールの自己語りは、自分の中では比較的ふうん、と読み過ごした。 しかし、最後の「海を見に行く」は、よかった。 これだけは、透明な語り。 海が出てくるせいか、どこか、光に満ちた感じの一編。 桐島くんの高校時代、彼が自宅を守ってあずかりやさんとして生きることを決意するまでのお話だ。 彼があこがれる同級生、河合さん。 一方、彼にやけに突っかかってくる転校生の女生徒、石永。 遠くで聞いているピアノの音から想像していた河合さんと、現実の河合さんがかなりイメージが違う。 憧れの河合さんに想像していた美貌を持っているのは、石永。 こういうすれ違いが、十代のころ特有の、相手に近づきたくても素直に近づけない雰囲気のなせる業のような気がして。 そしてそれは、目が見える/見えないを超えて、不思議な普遍性を持っている気がして。
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幸せは 足し算できるもの 先に どんな不幸があっても 足したものは 引かれることはない 夢見心地の章は 泣けて泣けて しょーもないくらい 泣けた なんでだろ? モノにも 命は宿る 誠実に生きていれば 認めてくれる人は 認めてくれる 誰も気が付いてくれないくらい 地味でも ...
幸せは 足し算できるもの 先に どんな不幸があっても 足したものは 引かれることはない 夢見心地の章は 泣けて泣けて しょーもないくらい 泣けた なんでだろ? モノにも 命は宿る 誠実に生きていれば 認めてくれる人は 認めてくれる 誰も気が付いてくれないくらい 地味でも そこに 居ることで たった一人でも 癒しになれば 大げさに言えば 前向きになれる頓服であれば 存在する意味は ある あずかりやさんのそれは とても 大きい
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「あずかりや」シリーズ第2弾。 店主がまだ学生だった頃の話など、時間が前後して綴られている。時間経過に違和感はないが、逆に語り部となる品物たちが過去にどう得かがれていたのか、記憶が前後してしまう。 個人的にはオルゴールの話が一番好き。
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あずかりやさんの続編 あずかりやさんにやってきた物たちをめぐる物語。 あずかりやさんは、長い旅の末に行き着いた穏やかな空間。 店主が出てくるのは少しだけ。 そして最後に、店主 桐島くんの青春が語られる。 桐島くんが石鹸で手を洗うのは、この話があったからなのね。 平静に暮らす。激...
あずかりやさんの続編 あずかりやさんにやってきた物たちをめぐる物語。 あずかりやさんは、長い旅の末に行き着いた穏やかな空間。 店主が出てくるのは少しだけ。 そして最後に、店主 桐島くんの青春が語られる。 桐島くんが石鹸で手を洗うのは、この話があったからなのね。 平静に暮らす。激高することなく、執着しない。関わる人や物を大切に、丁寧に生きる。 それは、理想とする生活。少しずつでも近づけていこうと思う。
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前作では自分のことを語らなかった店主の心のうちが初めて読めて、意外なような、納得のような。 このほのぼのとした世界観には相変わらず癒されます。
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