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鵜頭川村事件 の商品レビュー

3.5

33件のお客様レビュー

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2018/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昭和54年夏、亡き妻・節子の墓参りのため節子の田舎・鵜頭川村に3年ぶりにやってきた岩森明と娘・愛子。 山間の村で50年に一度といわれる豪雨に見舞われ、土砂崩れで交通は分断、大規模な停電により外部との通信も途絶えた中、一人の若者の死体が発見される。 旧態依然とした閉鎖的な村は、村の有力者・矢作家が力の全てをほしいままにし、虐げられた他家のものたちは従いながらも鬱屈をためていた。 食料も水も尽きてくるなか、次第に大きくなる悪意と反発。日和見の大人たちに業を煮やし、友を殺された若者たちが自警団を発足する。極限下での略奪や暴力から女子供を守るための自警団のはずだった・・・ ひゃ~、冒頭からホラーかと思うほどの怖さ。主人公の田舎の昔の事件からの導入はお見事。 時代は昭和、場所は田舎の山間部、方言など、横溝正史の作品を彷彿とさせるなか、連日降り続く雨、雨、雨。 たれ込める雨雲の下、渦巻く悪意と、鬱屈した思い。 貧しさ故に村に縛られ、家のしがらみ、家長である父の横暴、酒乱、暴力に押さえつけられた女と子供たち。こんな村嫌だ!と誰もが思うだろう。 自警団が暴走をするまでのリーダーによる洗脳ともいえるアジテート。人は、極限状態におかれるとこんなにも簡単に理性を捨ててしまえるものなのか。 壊れていく若者たちのエネルギーが暴力という方向に向かう過程がただただ怖い。 岩森と自警団のリーダーの最期の死闘が長く凄絶で、やりすぎ感はぬぐえないものの、ラストまで一気に読ませる櫛木さんのリーダビリティはさすが。櫛木さん、2作目だけどハズレなし。次も楽しみ。

Posted byブクログ

2018/09/17

昭和の旧弊な村を舞台にしたサスペンス。村に漂う閉塞感と、豪雨により閉ざされた不安感、そしてやがて起こる暴動への緊迫感がどれをとってもたまりません。もうタイトルと表紙を見た時から嫌な予感しかしなかったのですが(笑)。全編嫌な雰囲気に満ちていて、それでもぐいぐい読ませられます。 扇動...

昭和の旧弊な村を舞台にしたサスペンス。村に漂う閉塞感と、豪雨により閉ざされた不安感、そしてやがて起こる暴動への緊迫感がどれをとってもたまりません。もうタイトルと表紙を見た時から嫌な予感しかしなかったのですが(笑)。全編嫌な雰囲気に満ちていて、それでもぐいぐい読ませられます。 扇動される若者たちの姿がとにかく怖い。抑圧され続けた感情が爆発にいたる緊張が半端じゃなくって、先を読むのが恐ろしいのだけれど読む手が止まりません。起こった「事件」の真相も読みどころではあったのですが、とにかく主人公の命運が気になっていて、誰が犯人なのかとか考えるのは忘れていたかも。主人公の終盤の意外なほどの頑張りも応援したくなります。 ああ、それにしてもこういう村ってやっぱり嫌だなあ。赤の他人よりもむしろ、こういう親戚ぐるみとかのほうがこじれると余計に厄介な気がします。だからこそ「よそ者」であるピアノさんの姿はすがすがしく感じられました。彼女のキャラ、いいなあ。

Posted byブクログ

2018/07/24

今回はちょっと期待はずれだったかな。 ただ時期的に、時事的にか、感傷に浸りやすい作品ではあったけれども。

Posted byブクログ