ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと の商品レビュー
我々が常識に思っているものが、プナンにとっては常識ではない。異文化に身を置くからこそ、自らの常識を疑える。ありがとうもごめんなさいも必要としない社会のプナン、この本で追体験させてもらえ、ありがたい。
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なんかプナンは、「野生人間」ってかんじだな。 ほしいからもらう、ほしがってるからあげる、いらないからいらない。 強引なところも少しはあれど、基本本能のままに生きている。 対してわたしたちのような「囚われの人間」は、社会にも、法律にも、倫理にも、他人にも、お金にも…とにかく何もかも...
なんかプナンは、「野生人間」ってかんじだな。 ほしいからもらう、ほしがってるからあげる、いらないからいらない。 強引なところも少しはあれど、基本本能のままに生きている。 対してわたしたちのような「囚われの人間」は、社会にも、法律にも、倫理にも、他人にも、お金にも…とにかく何もかもに縛られている。 どちらがいいとは言えないけど、プナンのいいところは積極的に取り入れて生きていけたらどんなにいいことか。だってプナンには、少なくとも著者が見てきた限りでは、こころの病気を患っている人がいないんだよ。それだけで取り入れる価値はだいぶあるんじゃないか。 とりあえず、取り入れられそうなものだけ抜粋 ・誰がなんと思うのかなんて考えない ・著者が考えたみたいに、外からは反省してるように見えるけど実はまったくしてないみたいな姿勢(反省は見せかけだけでもしておいたほうがスムーズだとは思うから) ・要らないモノはただ要らないから要らない 常識や当たり前をとっぱらって、自由に考えて、強く、楽しく生きていきたい! 犬とかヤマアラシとかに関する直視できない部分もあって、ただ、いまも世界では当たり前のようにこれよりもっとひどいことがあらゆる動物(人間も含む)に対して起こっているんだなと、ふと考えてしまった。 わたしも命をいただいて生きているから何も言えないけど、でもせめて、なるべく出処がはっきりしたもの、または大切に育てられたものだけ買わせてもらおう・食べさせてもらおうと思う。 欲張らずに、必要なものを必要なだけもつようにしたら、人間はもう少し平和に生きていけるんじゃないだろうか。 とにかく、もういい加減、あらゆる暴力が世界から消え失せてほしい。
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個人として反省をしないプナンの人たち。反省というのは、いつからあって、それは個人的なものと集団的なものでいうとどちらが先だったのか。教育の現場では振り返りやリフレクションと言われるが、未来視点での向上を前提としたこのあり方はどうなのだろうか また、狩猟民族のため獲物が取れなかったときなどに互いに贈与し合うことなどが影響し、贈与の精神が後天的についている。個人所有の概念を捨てていく。現在の物で溢れている物質的に豊かな社会においては贈与が不必要にもなりうるため、意味合いが異なりそう。
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「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」 奥野克巳(著) 2018 6/22 初版第一刷発行 (株)亜紀書房 2019 10/22 第五刷発行 2020 7/11 読了 長い変なタイトルに 民族学者の変な価値観で描かれている変わった民族のお...
「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」 奥野克巳(著) 2018 6/22 初版第一刷発行 (株)亜紀書房 2019 10/22 第五刷発行 2020 7/11 読了 長い変なタイトルに 民族学者の変な価値観で描かれている変わった民族のおもしろ話かと思って買ったけど ちゃんとした話でした^^; 「熱帯のニーチェ」って題名で 亜紀書房のウェブマガジンに掲載されてた内容に加筆して発行されたらしい本書。 「熱帯のニーチェ」だったら読んでないな^^; 異民族、異文化に暮らす人類に興味を持って 調べて書籍にするなんて 本当に無粋だなぁ…と思うけどとても興味深い内容でした。 加速度的に熱を帯びて持論を展開する筆者に 引っ張られるように読んでしまったよ。 こんちくしょう。
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狩猟採集民だからといって プナンは資本主義や物質を 否定してるわけではない でも 価値観が違うのだ ということを理解するのが 難しいですね やっぱり 日本人の価値観が染みついちゃってるから
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難しい部分は飛ばし飛ばしで読んだけど、おもしろい本だった〜。 マレーシア、インドネシア、ブルネイの3つの国からなるボルネオ島のプナン人の暮らしが舞台。 (※プナン人→狩猟採集民) ⚫︎現代社会→高次で巨大な外臓システムを構築し、所有を広げてきた。格差社会、所有の奴隷。 ⚫︎プナン社会→今を生きる。個人占有の否定。 共有主義。全体的給付体系。所有欲の芽を潰す教育。 現代社会とプナン社会のどちらがいいとは一概には言えないけど、 "私"の範囲を集団にまで広げ共同で生きる、誰も置いていかないプナン社会の豊かさを想像して 少し羨ましい気持ちになった。 そういう社会がある、ということを知れて わたしの考え方や理想もまた広がった気がする。
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自分の当たり前の価値観が、当たり前ではない人たちがいる。 向上心は誰にでも備わっているものだと思っていたけれど、それも国や人によって異なる。 最近ではコロナの影響で、各個人への良心や常識に訴えかけられて「自粛が当たり前」という主体性に任されて行動することを余儀なくされているが、...
自分の当たり前の価値観が、当たり前ではない人たちがいる。 向上心は誰にでも備わっているものだと思っていたけれど、それも国や人によって異なる。 最近ではコロナの影響で、各個人への良心や常識に訴えかけられて「自粛が当たり前」という主体性に任されて行動することを余儀なくされているが、国民や首相の「当たり前」の行動が、一部の人には伝わっていなかったり意図が汲み取られていないとも感じる。また置かれている状況により、それぞれの最善は異なる。 この本を通して、改めて自分の価値観を見直す機会になったし、一方的に相手のことを決めつけるのではなく、相手の状況や考えを受け入れることも大切だと思った。 また、自分が無意識に行なっている選択に対しても、あらゆる角度から考え、より自分の言動に意味を持たせられるようになればいいと思った。
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おもしろい! 今思っている 「当たり前」のこと 食べること ねること あいさつをすること すまうこと まとうこと かんがえること なやむこと 気を遣うこと 働くこと … それらのことが 根底から覆されていく その快感 むろん それが「良い」とか「悪い」 とかの基準などでは全く...
おもしろい! 今思っている 「当たり前」のこと 食べること ねること あいさつをすること すまうこと まとうこと かんがえること なやむこと 気を遣うこと 働くこと … それらのことが 根底から覆されていく その快感 むろん それが「良い」とか「悪い」 とかの基準などでは全くない 「人間」が「人間」として この地球の上で この土の上で 生きていること を 新しい眼で 考えさせられてしまう 一冊
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人は、えてして自分(たち)の価値観が正しい、普遍的なものと考えてしまうものだが、よくよくその起源を辿ると、案外そうでもないのでは、と思える場合もあるものだ。 本書は、そのタイトルからしてなかなかキャッチーである。インドネシアに住む、プナン族のもとフィールドワークした人類学者の書...
人は、えてして自分(たち)の価値観が正しい、普遍的なものと考えてしまうものだが、よくよくその起源を辿ると、案外そうでもないのでは、と思える場合もあるものだ。 本書は、そのタイトルからしてなかなかキャッチーである。インドネシアに住む、プナン族のもとフィールドワークした人類学者の書いた本だ。 そのプナン族では、感謝の言葉である「ありがとう」も、謝罪の言葉である「ごめんなさい」も、単語そのものがないという。 言葉がないということは、そういう感謝や謝罪・反省を求められるような環境にはないということであり、それが何に由来しているのか。 その点にも当然言及しているのであるが、まだまだ考察が必要そうな論点だと感じた。 本書を読んでとりわけ興味をひかれたのは、 ①所有・私有とは何か これは誰のものという感覚がほとんどない。 あっても分け与えることが良しとされ、そこには感謝や返礼の観念はない。 そもそも物を持つというのは個人としての自我があってのことだが、共同体の一員としての自覚のみであれば、所有という概念もなくなるのか。 しかし、それは自他の境界が広がっただけ? ②倫理はどうやって起こるのか 彼らの倫理は狩猟民族であるがゆえの倫理観というべきか。 それならば、農耕社会による倫理とは。 そもそもヒトはどの段階で倫理的になるのか。 その生物学的な論拠は。。 といったあたりか。 こういう新たな関心を喚起してくれる書物はよい書物だと思う。世界がさらに広がるから。 断定的ではなく、そういう余地を残している点で、本書は良書だと感じた。
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0147 2019/10/02読了 自分が思っている「当たり前」がよそでは当たり前ではないことがよく分かる。文化によってこんなにも常識は変わるのか。 反省することがないって何だ?こんにちはやありがとうという言葉がない?そのくせ男性は「勃起してる?」という挨拶があるって何?など、そ...
0147 2019/10/02読了 自分が思っている「当たり前」がよそでは当たり前ではないことがよく分かる。文化によってこんなにも常識は変わるのか。 反省することがないって何だ?こんにちはやありがとうという言葉がない?そのくせ男性は「勃起してる?」という挨拶があるって何?など、そんな文化があるなんて考えたこともなかった。とても驚いた。 教育を受けていれば幸せだと思っていたけど、日本の教育を見ると虐待や競争、いじめとかあるし、プナンの人たちのように家族や周りの大人たちとともに森へ行って狩りを覚える方がいいのかな、教育ってなんだ?と考えてしまった。 死に対する考え方も、そこまでするか?と思うけどプナンの人たちの考え方も良いかもと思ったり…。 最後までとても興味深く読めた。 ニーチェも気になる。
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