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ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと の商品レビュー

3.7

44件のお客様レビュー

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2022/12/28

人間社会の原始の姿か。 社会は一体化していて、わたしたちが基本で必須だと思っている挨拶さえもないという。貸し借りの概念もなきという。 人間同士はそんなにも近しかったのかと感嘆する。

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2022/11/14

第50回アワヒニビブリオバトル「Thank you!」で発表された本です。 チャンプ本 2019.03.05

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2022/11/12

筆者がボルネオ島で狩猟を主生業とする民族プナンと一緒に暮らして考えたことの記録。プナンは人から物をもらってもありがとうを言わないし、失敗しても個人のせいにしない。物は個人のものにせずみんなのものとして扱い、親族が亡くなると早くその人のことを忘れるために近親者の人たちは一時的に名前...

筆者がボルネオ島で狩猟を主生業とする民族プナンと一緒に暮らして考えたことの記録。プナンは人から物をもらってもありがとうを言わないし、失敗しても個人のせいにしない。物は個人のものにせずみんなのものとして扱い、親族が亡くなると早くその人のことを忘れるために近親者の人たちは一時的に名前を変える。つまり、私たちとは違うことだらけなのだ。この本を読んで改めて人って自分が培ってきた感覚のフィルターでしかものを見られないんだなあと再確認。でも、だからこそそれがひっくり返ったときに面白いって感じる。

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2022/06/27

旅の楽しみは日常からの離脱。 自分が日頃属している社会の常識からの離脱。 そして価値観の逆転と新しい視点を得る。 それを究極まで見つめたエッセイ。 昔わたしを捉えたツィアビの演説のようなもの。 同じ社会に長期にわたって参与観察し続けた人類学者が、その面白さを各章でわかりやすく物語...

旅の楽しみは日常からの離脱。 自分が日頃属している社会の常識からの離脱。 そして価値観の逆転と新しい視点を得る。 それを究極まで見つめたエッセイ。 昔わたしを捉えたツィアビの演説のようなもの。 同じ社会に長期にわたって参与観察し続けた人類学者が、その面白さを各章でわかりやすく物語ってくれる楽しい本。 以下、章ごとの感想。 3 反省しないで生きる プナンの社会では、誰かが悪いことをしたり失敗したりした場合、やらかした当人が反省することはなく、まわりの人たちの側が、そうならないようにするにはどうしたらいいか対策を考えるのだそうである。 何か問題が起きた場合、当人の反省に帰するより、当人の責を問わずにみんなで問題そのものに対して対策をした方が、当人のメンタルヘルスにもいいし、実効的な解決法にもなるよね。確かに。 4 熱帯の贈与論 もらったものは手元にとどめないで誰かに贈る。そのことが価値を生む。ポトラッチと並んで有名な理論。たぶん布施なんかとも通ずると思う。リンポチェさんなんかにプレゼントして、めっちゃ喜んでくれたと思ったのに、次に会うとその品物は違う坊さんが持ってたりするのはよくあることで、アレって何となく寂しいなと感じてしまいがちなんだけど、そうじゃないんだよね。ステキなものをもらったら誰かにあげるのが物惜しみしない良い心なんだよね。うむむ、本も手元にため込まないでみんな上げてしまうのがいいのかもにゃ。 5 森のロレックス なんと!プナンの人たちは時間や年月日の意識をほとんど持たないという。誰が誰よりも先に生まれたとか、誰それがなくなったのは自分が今の誰それのような年頃であった頃だ、とかは意識するのみであるらしい。将来どうしたいとか、そういうことを計画することもないし、誰かが亡くなると、そこに埋めて所縁のあるものを捨てその場所を立ち去るのだという。歴史もない。うわわわ究極のその日暮らし。その日暮らしができるというのは豊かだということ、何かに備える必要がないということ。 7 慾を捨てよ、とプナンは言った プナンの人々が持たないのは、時間の概念だけでなく、所有という概念も、なのだと著者は言う。物なお金のみならず、知識や能力さえ個人で所有するという概念がないのだと! しかし、小さい子どもに「自分だけのものにしたい」という所有慾はあり、それは周りの大人によって否定される。もらったものはみんなで分けるように躾けられるらしい。で、近年になるまで貸し借りの概念もなかった、と。まるで原始共産制ではないですか。 全てのものを共有するプナンの社会では、格差もない代わりに個人の持つ向上心や努力も見られないのだ、と。ふぅん。ほんまかいな…。 8 死者を悼むいくつかのやり方 近しい者を亡くしたときの情動にどう対処するのか。日本では、死者に死者としての名前(戒名)を与えて死者とし儀礼の対象とするのだが、プナンは違う。死者はそこに埋葬し死者の持ち物は焼き捨て、残された者はその場所を放棄して立ち去り、残された家族はその名を変え死者の名を口にすることを禁じられる。死者の痕跡を消そうとする…それがプナンのやり方…。 他にも学校のこととか(当たり前のことながらプナンの人たちは学校に価値を見出していない)、選挙のこととか(選挙では、ケチじゃないというプナンの徳を体現している人、つまりお金をばらまく人に投票する笑)、人の社会の価値観はさまざまであることを思い知らされる。 自分の価値観を揺さぶって楽しむにはうってつけの本だよ! 本書の元になった連載の題は『熱帯のニーチェ』。この名もなかなか素敵である。

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2022/04/09

価値観、人生観というものは生まれ育つ環境で色々変わるものだとしみじみ思った。私を取り巻く環境の中で森の民の価値観を取り入れることは難しいが、同じ地球上で違う常識で生きている人たちがいると知ることはこれからの人生でより大きな目で物事を見る助けとなるだろう。

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2022/02/28

ボルネオの少数民族プナンとともに暮らし、そのフィールドワークから導き出した人生観。 ニーチェの詩と対比させ、それは「永遠回帰」の生き方と結論付ける。 驚いたのは、後天的に所有欲を抑制していること。すべて共有財産で、まるで民族が一つの生命体のように生命活動しているがごとく。そりゃあ...

ボルネオの少数民族プナンとともに暮らし、そのフィールドワークから導き出した人生観。 ニーチェの詩と対比させ、それは「永遠回帰」の生き方と結論付ける。 驚いたのは、後天的に所有欲を抑制していること。すべて共有財産で、まるで民族が一つの生命体のように生命活動しているがごとく。そりゃありがとうもごめんなさいも不要だ。 これからの時代、見習うべきところもあるだろう。

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2022/02/19

虚構で現実に疑問符を投げる手段は神話,宗教,御伽噺,伝説,SFといくらでもあるが,ある現実を相対化する別の現実を体験させてくれるのは文化人類学しかないのではないだろうか. ================== 近代・現代 個人主義・グローバル ⇅ 共同主義・ローカル アナキズ...

虚構で現実に疑問符を投げる手段は神話,宗教,御伽噺,伝説,SFといくらでもあるが,ある現実を相対化する別の現実を体験させてくれるのは文化人類学しかないのではないだろうか. ================== 近代・現代 個人主義・グローバル ⇅ 共同主義・ローカル アナキズム入門 アナキズム:”権力による強制なしに,人間が助け合って生きてゆくことを理想とする思想” 海外旅行・異文化との接触を通じ,今あるものがなぜそうあるのかと言う懐疑主義に →ある社会や人類そのものを相対化し,根底にある前提に揺さぶりをかける学問.文化人類学の道へ 全ての生物ー>栄養を摂取し生命を維持 原始生物→人間:内臓に保持→体の外に保持→紙幣に保持 プナンの人たちは反省をしない.ー>なぜ現代人・現代社会は「反省を強いられるのか」という逆説的問い 貸し借りは財を所有するという概念が大前提 死への恐れ、打ち手が農耕→財の蓄積 プナンの長:ビッグマン 一番ものを持たない.誰よりも分け与える.だからこそ人々に支持される.独占を仄めかしたら人が離れる 倫理→自己消化的な恵みに対するお返し?精神と態度 動物の境界 野生犬→労役犬→ペット犬 労役とペットの境はなんだろ

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2022/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マレーシアのボルネオ島、プナン。そこは贈与論(Mモース)にでてくるような循環型社会の一端を虫眼鏡で拡大したような、個人での所有という概念の無い社会。この社会では、幼いころから親などから「ケチはいけないことだ」と教えられ、モノ・非モノ問わず全てを共有している。人々は常に今ここを生き、将来の心配も、過去の反省も無い。問題がおきても、個人にその責任を追及することはなく、それにより、ストレスや孤独、自殺も無いそうだ。 著者はニーチェの言葉をそこかしこに引用し、プナンの生き方と重ね合わせ、我々の常識に揺さぶりをかけてくる。プナンの人々は生きることの意味を考えたりはしない。一生かけて何かを達成したり、社会へ貢献したり、などを考える我々の直線的な生き方とは対極的なのである。それは、ニーチェの「永遠回帰」を生きるための技法であるかもしれないと、著者は言う。 プナンのビッグマンは超人だろうか? この本のカバーイラストに、我々の考え方とプナンの考え方の違いが図的に描いてあるのだが、それが面白い。これを見ていると、何か新しいものを思いつきそうな気がしてくる。 自分の「当たり前」の外にあるものに触れることから生きるヒントが見つけられるのではないかとこの本は述べている。

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2021/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルにひかれて読んだ本。狩猟民族プナンの人々の生活や価値観、生き方から生を考える本。プナンの人たちの当たり前は、日本で暮らす私たちにとってどれも非日常で、世界共通の当たり前なんて本当に1つもないんだなと思う。 プナンの人たちは目の前の「今」と、みんなで生きることを大切にしているんだなと読んでいて感じた。それは人間的というより、生物学的なヒトの生き方の色合いが強い気がしてすごく興味深かった。生物学的に自然なのはプナンの生き方なのかも。と思うと、今の私たちの日々の生活は本当はすごく無理があって、みんなで一生懸命無理して成り立たせているものなんじゃないか。だからそこについていけない人がいたり、色んな場面で歪みや辛さが出てくるのかも。 どっちが正しいということはないけど、今の私たちの生活は人間が意図的に作り上げてきた文化や価値観の積み重ねの上に出来ていて、自然界から見たらそれが不自然である可能性は大いにあるよね、と思ったのでした。 ごめんなさいもありがとうも「言わない」んじゃなく、「いらない」のがプナンの人たちの文化。面白かった。

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2021/08/01

偶然手に取ったけど、とても面白い本だった。 こんな世界があるんだ!と思い、何にも固執しなくていいんだ、自由でいいんだと思える本。 ぜひ、たくさんの人に読んでみてほしい。、

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