「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明 の商品レビュー
”<抄録(抜き書き)> <きっかけ> BOOK LAB TOKYO で平積みになっていたので購入。以前、朝日新聞の書評を読んで気になっていたのが、頭に残っていた。”
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本書では、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を底本にして、実際にイノベーションのジレンマはあるのか、あるとしたらどういった理由が存在するのか・・・といった問題を実証することを目指し、様々な概念と方法論を定時している。 実務でコンサルティングや技術開発(イノベーション)を行なっている身からすると、やっぱり社内競合(本書でいうところの「共食い」)は本当に企業の中でよく見かける。 一方で「抜け駆け」を目指した意思決定は、本書でも珍しい例と言われているが、残念ながら一度も見たことがない。 難しいのは、ただ「共食い」するだけならともかく、ITによってそもそも提供価格が大幅に下がってしまうと、マーケットサイズ自体が小さくなってしまうことがあるということなんだよね・・・。
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すごく頭の整理になる本でした。 途中のモデル化のところは確かに難しいが、読み飛ばして良いと著者が言ってくれているのでスムーズに読めた。 残念なのは、最後の結論がぼやっとしてしまっていること。イノベーションを生み出す方策について言及できておらず、「旧事業とバランスを取りながら共喰い...
すごく頭の整理になる本でした。 途中のモデル化のところは確かに難しいが、読み飛ばして良いと著者が言ってくれているのでスムーズに読めた。 残念なのは、最後の結論がぼやっとしてしまっていること。イノベーションを生み出す方策について言及できておらず、「旧事業とバランスを取りながら共喰いを乗り越え新規事業に挑戦すること」って感じでまとめられていてガックリきた。
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ベストセラーとなったクレイトン・クリステンセン「イノベーターのジレンマ(1997)」の結論をトートロジー(「無能な会社は失敗する」)にすぎないと批判し、理論的・実証的な裏付けのある検証可能なものとして再構築するというのが本書の狙い。結果的に結論はクリステンセンと同じになるのだが、...
ベストセラーとなったクレイトン・クリステンセン「イノベーターのジレンマ(1997)」の結論をトートロジー(「無能な会社は失敗する」)にすぎないと批判し、理論的・実証的な裏付けのある検証可能なものとして再構築するというのが本書の狙い。結果的に結論はクリステンセンと同じになるのだが、仮説→検証の過程で明らかになる対象業界(HDD製造)と個別企業の特性はもちろん、最終的に株主って誰?政府って誰?という素朴だが根源的な問いに到達してしまうところが面白い。 ただし、本書で扱われる「イノベーション」はややハードルが低く、「HDDインチ数の縮小」という既存製品サービスの外延が対象。そのため、そもそもこれをイノベーションとまで言えるのか、既存とは全く異なる革新的な製品・サービスの場合は結論が異なるのではないかという疑問が浮かぶ。次作を待ちたい。
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シャープや日立等、既存の大企業の経営が立ち行かなくなる理由を、すごくわかり易い文章で書いてくれている。既存企業が新商品を出しても、従来の商品とコンセプトがバッティングしていたら食い合いになるし、新しいコンセプトの商品だと、既存商品との両立が難しく、新規企業にシェアを持っていかれる...
シャープや日立等、既存の大企業の経営が立ち行かなくなる理由を、すごくわかり易い文章で書いてくれている。既存企業が新商品を出しても、従来の商品とコンセプトがバッティングしていたら食い合いになるし、新しいコンセプトの商品だと、既存商品との両立が難しく、新規企業にシェアを持っていかれる。インテル社のように、落ち目になった主戦力のメモリ事業をバッサリ切れる会社はほぼなく、ないからこそトップにのし上がれるということか。しかし文章はわかりやすいけど難しい内容で、理解が追いつかなかった。
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イノベーターのジレンマを経済学的アプローチで迫った1冊。とはいえ現代の経営学でも統計分析が主流になっており、学際的な印象は持てなかった。
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伊神先生は イェール大学の准教授。本当は実績を残すために、日本語の本など書いている場合ではないと思うのだけど、後書きにあるように色々な思いがあって休日を使ってこの本を書いたようです。これ、本ではなくて授業とかで直接話を聴いたら、きっともっと面白かったのだろうなと思いました。 この本は結構面白い構成で、最初にざっとサマリーのようなものが書いてある。さすがは大学の先生。語り口はエッセイ調。 説明されている経済理論は3つ。置換効果(共食い)、抜け駆け、能力格差。実証研究の手法も3つあってデータ分析、比較対象実験、シミュレーション。で、そもそものクリステンセン先生のHDDの事例をベースに実証研究の結果を示すというもの。 最後の最後にまとめが書いてあって、これも3つ。 ①既存企業は、例え有能で戦略的で合理的であったとしても、新旧技術や事業間の「共食い」がある限り、新参企業ほどにはイノベーションに本気になれない。(イノベータのジレンマの経済学的解明) ②この「ジレンマ」を解決して生き延びるには、何らかの形で「共食い」を容認し、推進する必要があるが、それは企業価値の最大化という株主にとっての利益に反する可能性がある。一概に良いとは言えない。(創造的「自己」破壊のジレンマ) ③よくある「イノベーション促進政策」に大した効果は期待できないが、逆の言い方をすれば、現実のIT系産業は、丁度良い「競争と技術革新のバランス」で発展してきたことになる。これは社会的に喜ばしい事態である。(創造的破壊の真意) これが結論なのだけど、印象的な引用が2つあった。 「自分がもっともほしいものが何か判っていない奴は、欲しいものを手に入れることは絶対にできない。キクはいつもそう考えている」(村上龍「コインロッカー・ベイビース」 UCLAのエド・リーマー博士の2つの質問。1)「君の問いは何だ? What's your question?」2)「世の中の誰がその問いに関心を払うべきか? Who should care about your questions?」
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イノベーターのジレンマ という本を経済学者の方が、コネコネしながら語った本。 共喰いがあるので既存企業はイノベーションに本気にならない。 抜け駆けすると得なので既存企業は競合を早めに買収する。 能力格差。基本的にきぞんきはつよい。
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いくつか難問が挙げられている中でも、能力面より心理的なものが壁として高いと感じる。社内政治がある中で新規事業にスター社員を送れなかったり、不採算となった既存事業を切り捨て、人材を切り捨てる、または新規事業にシフトさせるような人の異動配置がとくに難しい。誰だって人から憎まれたくはな...
いくつか難問が挙げられている中でも、能力面より心理的なものが壁として高いと感じる。社内政治がある中で新規事業にスター社員を送れなかったり、不採算となった既存事業を切り捨て、人材を切り捨てる、または新規事業にシフトさせるような人の異動配置がとくに難しい。誰だって人から憎まれたくはない。
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よく聞くイノベーターのジレンマについて、経済学的に解明した本。 なんだかちょっとまどろっこしい書き方な気もしなくはないのだけど、確かにそういわれてみればジレンマに陥ってしまうのも無理はないのかもしれないと思えた。 成功した企業もずっと成長し続けるのはなかなか難しいんだろうと思う。...
よく聞くイノベーターのジレンマについて、経済学的に解明した本。 なんだかちょっとまどろっこしい書き方な気もしなくはないのだけど、確かにそういわれてみればジレンマに陥ってしまうのも無理はないのかもしれないと思えた。 成功した企業もずっと成長し続けるのはなかなか難しいんだろうと思う。イノベーターのジレンマを克服した企業として思いつくのはAppleだけど、最近は陰りが見え始めてるし(ジョブズは偉大ってだけかもしれないけど。ただ、iPod touchの新作は個人的には出してほしい)。 ただ、この本を読んで、IBMが自己破壊を繰り返して成長してきたとのことで、すごいなと思った。Wikipediaページを見たら面白いと書いてあったので、時間があれば読んでみたい。 ところで、従来事業が成功したらそれがずっと中心の事業となるというような話で、マイクロソフトが今後ウィンドウズ事業部やオフィス事業部よりも強力な社内勢力は生まれにくいと書いてあったけど、最近だとAzure事業の勢力は高まっている気はする。 ロダイムという会社が起こした3.5インチHDDの特許訴訟は初めて聞いたけどちょっと面白いなと思った。下町ロケットみたいだ。こんな訴訟事件に10年も突き合わされたら勝ってもたまらないな。
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