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そろそろ左派は〈経済〉を語ろう の商品レビュー

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35件のお客様レビュー

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2021/10/11
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「年収1000万円以下所得税免除」「消費税5%」=某野党の公約。本書が出された2018年からは大きな進歩。しかし、「プライマリーバランス」は”凍結”で、「消費減税」は時限的。両方とも廃止でよいではないか?英国でも労働党ブレア政権が緊縮だったが、現党首コービンは反緊縮で票を伸ばした。他の欧州各国も似たような動き。レフト2.0から3.0への進化とされる。米国で労働者の票を逃したクリントンに学んだバイデン政権。安倍一強に学べない野党。理想の啓蒙よりも目の前の暮らし。まだまだ本書に手にして欲しい左派がいる。

Posted byブクログ

2021/10/11

ちょっと難しかった。拾い読み。 ブレイディ:左派とは本来、社会構造の下敷きになっている人々の側につくものであり、不公平は不可避だという考え方を否定するものではなかったか。  ハニス・バルファキス「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条...

ちょっと難しかった。拾い読み。 ブレイディ:左派とは本来、社会構造の下敷きになっている人々の側につくものであり、不公平は不可避だという考え方を否定するものではなかったか。  ハニス・バルファキス「誰もがきちんと経済について語ることができるようにするということは、善き社会の必須条件であり、真のデモクラシーの前提条件だ」これがトランプや極右政党台頭の時代に対する左派からのたった一つの有効なアンサーであると確信する。この対談は二人の学者から多くの貴重なことを教えていただいた時間の記録だった。  左派の人がイデオロギーばかり唱え経済にあまり言及しないのに違和感を持っている。育った家庭が経済的に苦しく、高校は遠方で中学を出たら働けという母に対し、定期代は自分で出すから行かせてといった高校。アルバイトをすると、今時定期代も出せない家は無い、と担任に言われる。そういう経緯から、まずは経済だ、という考えを持つブレイデイ氏。 北田:きっと担任は本当に嘘をつかれていると思ったんでしょう。背景の生活感が大切。 ブレイデイ:その時に私はUKの音楽を聞いて(15歳だと1980年)「ワーキングクラス」というのが英国にはあるらしい、わたしもワーキングクラスなんだって思った。それでいつか本当にワーキングクラスのいる国に行こうって決めた。  保育士になる前にはロンドンでフリーの翻訳をやりその時投資・金融関係の翻訳をけっこうやったという。英語の日本語訳も適切な語で訳す必要があるという。 もはや「右」対「左」の時代ではなく、今は「下」対「上」の時代。「移民や難民を受け入れる多様な社会政策というものは、緊縮とは絶対に両立しない」(ヤフーニュース・2015.9.7 欧州の移民危機:人道主義と緊縮のミスマッチとする文を書いた) あとがきにかえて 松尾匡:経済学者:日本に左派の反緊縮運動を! 北田暁大:社会学者:ソシャル・リベラリズムの構築に向けて 日本語訳は何? 2018.5.1第1版第1刷 図書館 2018.6.3NHKAM著者からの手紙 2018.6.16当初登録

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2021/07/06
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左派と呼ばれる人たちは人権問題や環境問題等は取り上げるが、経済問題に真剣に取り組んできていなかったが、今政治の実権を握っている人たちに対抗して人間らしい暮らしをみんながしていけるためには、これからの暮らしを経済の観点からどう変えていくのかを語らないと人心を掴むことはできないということを語った本。 北田さんと松尾さんの話が高度すぎてたまについていけなくなるんだけど、ブレイディさんが庶民的な目線で理解したことを話してくれるので助かった。 ここでいう左派というのは平等主義とか平和主義とかではなく、稼いだものをきちんと分配して、働いたらきちんと食べていける世の中を作ろうと言っているにすぎないというのも大切なんだと思う。 現代の奴隷制度みたいなものを作り出し、脱税しまくってる企業が闊歩する世の中は、やはりどこかねじ曲がっているように感じるので、それを是正できるのは行政なのではないかと。

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2021/04/14

「理念だなんだと言っても、世界を回しているのはやっぱり経済だな」とブレイディ氏は実感するわけだが、この本が出た2018年当時には想像すらつかないオリンピックイヤーのコロナ禍にあってもやはり経済を回すしかないんだ、と実感している遅れてきた一読者。日本の左派は下部構造(経済)に目を向...

「理念だなんだと言っても、世界を回しているのはやっぱり経済だな」とブレイディ氏は実感するわけだが、この本が出た2018年当時には想像すらつかないオリンピックイヤーのコロナ禍にあってもやはり経済を回すしかないんだ、と実感している遅れてきた一読者。日本の左派は下部構造(経済)に目を向けないからダメだとあるが、上部構造(政治・法律)はどうかといったら、当時のモリカケ騒動ごときでアベ極右政権が潰れるぞ(あとがき)と妄想しているようではこっちもダメだね。

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2021/02/28

イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。 ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。 第二次安...

イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。 ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。 第二次安部政権のアベノミクスのうち、金融緩和はデフレ経済では当然の政策で批判されるものではないのだが、左派はアベノミクスに反対せざるを得ないので賛成できないという奇妙な立場にあった。 続けて財政出動も、脱デフレを目指す雇用創出のための妥当な政策だった。 これらは小泉政権の新自由主義ではなく、むしろ逆に左派的な経済政策なのだが、安部首相が主導しているせいで左派はなぜか逆にこれを批判する形になった。 アベノミクスで批判されるべきは財政出動が選挙前に限られていたことや、規制緩和は金融緩和・財政出動と関係がなく、場合によっては矛盾することにあり、左派は本来「もっと財政出動しろ」と言うべきだった、というのが本書の主張。 安部首相がこのように左派的な経済政策をとった裏には支持を得て改憲など「本当にやりたいこと」をやるための下地作りがあったと思われ、これは一定以上に成功したが、改憲などに移る前に、森友・加計問題や「桜を見る会」などのお友達優遇や支持率は下がり、そこに新型コロナウイルス対策も重なり体調不良により辞任し、菅政権となった。 菅政権は、安部政権以上に権力を好き放題に振るう一方、経済政策は方向性が全く見えないため、左派にとっては有利な状況と言える。 しかし本書に従えば、野党は相変わらず不祥事の追及などに終止していて、アベノミクスのような「期待を持たせる経済政策」を打ち出さない限り、積極的な支持を得ることは難しいだろう。

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2021/02/04

鼎談形式ではあるが、内容はかなり高度。それだけに議論が錯綜し、わかりづらい印象がある。しかし、本書の主張は一貫しており、左派(リベラル)も反緊縮経済政策を訴えよう、というのもである。日本の左派は、人権などの問題と経済とを別問題と考える傾向がある。それをあらためようという主張。社会...

鼎談形式ではあるが、内容はかなり高度。それだけに議論が錯綜し、わかりづらい印象がある。しかし、本書の主張は一貫しており、左派(リベラル)も反緊縮経済政策を訴えよう、というのもである。日本の左派は、人権などの問題と経済とを別問題と考える傾向がある。それをあらためようという主張。社会福祉へ財政を投入すればそれが雇用を創出し、経済も活性化する。要は経済の舵の切り方を右派と違う方向に切ることで、経済を発展させ、かつ福祉も充実させようというとする試み。魅力的な考え方ではあるが、はたして本当に債務超過に陥っている日本で、財政出動を積極的に続けることができるのか、不安がぬぐえない。もっと、勉強をしないといけないと思わせる1冊である。

Posted byブクログ

2020/12/31

これからは左派も経済について語ろうというお話。現在の左翼の凋落は経済無策が招いたことの反省です。ここで語られる経済政策は、右派である私にとっても違和感のないものです。というか、現在のデフレ下では当然の政策ばかりです。驚いたのは欧州では反緊縮が左派(リベラル)の専売特許になっている...

これからは左派も経済について語ろうというお話。現在の左翼の凋落は経済無策が招いたことの反省です。ここで語られる経済政策は、右派である私にとっても違和感のないものです。というか、現在のデフレ下では当然の政策ばかりです。驚いたのは欧州では反緊縮が左派(リベラル)の専売特許になっていることでした。日本では右派と目されている経済学者が反緊縮を主張してますね。マルクスとケインズがつながるという解説は目新しかったです。経済政策については著者たちに合意できるけど、その以上の思想はやはり私とは違うなあと思いました。この本はコロナ禍以前に出版されたものです。今は、さらに反緊縮が必要な時期です。

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2020/12/19

英国在住のライター・コラムニストブレイディみかこと、慶座学者の松尾匡、社会学者の北田暁大による、左派視点での経済談義。 本書を読むまでは、緊縮財政はしょうがないよね~、プライマリーバランスは大事だよね~、などをうすぼんやりと信じていたが、本書を読んでそれらが必ずしも正しくないこ...

英国在住のライター・コラムニストブレイディみかこと、慶座学者の松尾匡、社会学者の北田暁大による、左派視点での経済談義。 本書を読むまでは、緊縮財政はしょうがないよね~、プライマリーバランスは大事だよね~、などをうすぼんやりと信じていたが、本書を読んでそれらが必ずしも正しくないことを知った。 学者2名の知識量が膨大なため、ときどき言っていることについていけなくなったが、それを差し引いても再分配と経済成長は対立しない、や左派、右派という視点だけでなく、上か下かのの視点を忘れてはいけない、等の提言は非常に腹落ちした。 本書の著者たちと、右派経済の論客の人たちで討論し、それぞれの主張とそれらに対する反論をまとめてみたら日本の経済のこれからの指針になるように思うので、ぜひどこかの出版社が企画、出版してくれないかな~。

Posted byブクログ

2020/12/17

2020/12/15:読了  本が厚い分だけ、話が細かくなりすぎて、読みにくかった。  「左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議」のほが、面白かった。たぶん、話がまとまっって、読みやすかったんだと思う。  

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2020/05/20

経済、つまりどうやって食べていくか、がまず大事なことなのだということを考えさせてくれる。グラスルーツとか地べたというけどさ、理念うんぬんよりもまず食べていく不安をどうするのか。ナチスが支持率では決して高いわけじゃなかったにもかかわらず、強くなったのは、食べていくことへの不安になん...

経済、つまりどうやって食べていくか、がまず大事なことなのだということを考えさせてくれる。グラスルーツとか地べたというけどさ、理念うんぬんよりもまず食べていく不安をどうするのか。ナチスが支持率では決して高いわけじゃなかったにもかかわらず、強くなったのは、食べていくことへの不安になんとかしてくれるという信頼を勝ち得たからだ、という。そしてそれは現代においても、見られる話でね。 右とか左とかわかんないけど、面白かったな。自分が右か左かなんて、わかんないし、どうでもいい。ただ、生活していかなくてはいけない以上、いろいろ考えることは必要だよな。 ふだん見過ごされているような人たちに対して、何を求めているのかを聞いていくことが出発点になるんだ、というのは政治にかぎらず、あらゆる仕事、社会的な存在にとって必要なことだと思った。日本企業の凋落なんて、消費者は何を求めているのか、そこを忘れたからだよね、なんてさ。もちろん、自分自身にも言える話かもしんないんだけど。

Posted byブクログ