辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦 の商品レビュー
ホント、この二人おもろい。 こういうその分野に詳しい人を一人入れた読書会って、やったらすごい楽しそう。
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いやあ面白かったなあと本篇を読み終え、笑う用意をしながら高野さんによるあとがきを読み出したのだが、まったくこのあとがきは素晴らしかった。感動的ですらあった。教養とは何か、なぜ教養は必要なのか、ということを、これほどわかりやすい言葉で実感をもって語っている文章を他に知らない。 「教...
いやあ面白かったなあと本篇を読み終え、笑う用意をしながら高野さんによるあとがきを読み出したのだが、まったくこのあとがきは素晴らしかった。感動的ですらあった。教養とは何か、なぜ教養は必要なのか、ということを、これほどわかりやすい言葉で実感をもって語っている文章を他に知らない。 「教養とは、自分がいる『今ここ』を時間と空間のなかに位置づける羅針盤であり、人生の終わりまで必要なもの」 胸にしみ通るような言葉だ。 以前出たお二人の対談本「世界の辺境とハードボイルド室町時代」がとても良かったので、第二弾を期待していたのだが、これは少し趣向を変えた読書会的内容となっている。まあ当然かもしれないが、選書がマニアック。私が既読だったのは「ピダハン」だけ。イブン・バットゥータ「大旅行記」全八巻!なんていうのまである。まず読むことはなかろうという本が次々でてくるのだが、お二人の話を聞いていると読みたくなってくるようでもあり、読んだ気になるようでもあり、とにかく非常に興味深い。 清水さんがまえがきで書いているが、この企画は、自分がこれは!と思った本について、その道の専門家であり、かつ気の置けない人と好き放題語り合う、という「不可能に近い欲求」をかなえたものなのだからして、まあ二人とも楽しそうなこと。取り上げた本の気になった箇所の話から、話題はどんどん広がっていって、知的な興奮に満ちている。 歴史学者である清水さんの博識ぶりは言うまでもないが、その清水さんと対等に渡り合う高野さんの、半端ではない読書量と知識に驚く。辺境に未知動物を探しに行ったり、行動してナンボの人だというイメージもあるけれど、意外や学者肌であることはわかってはいたが、その実力をまざまざと見せつけられた感じ。 へぇ~と感心したり、あ、そういうことかと納得したり、アハハ!と笑ったり、本当に楽しい一冊だった。前の本に続いて、表紙を山口画伯の馬バイクが飾っているのも二重丸。二番煎じはダメだからコンビ解消、なんて言わないで、またの機会があることを期待しています。
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