アウシュヴィッツの歯科医 の商品レビュー
毎日のように送られてくる紀伊国屋書店からのメールでふと目に止まった一冊。ポーランド系ユダヤ人の著者が戦時中にアウシュビッツを含む強制労働施設を移送されながら生き延びていくバイオグラフィ。歯科医学生だったことから歯科治療をすることでアドバンテージを得たのと、本人の幸運というかチャー...
毎日のように送られてくる紀伊国屋書店からのメールでふと目に止まった一冊。ポーランド系ユダヤ人の著者が戦時中にアウシュビッツを含む強制労働施設を移送されながら生き延びていくバイオグラフィ。歯科医学生だったことから歯科治療をすることでアドバンテージを得たのと、本人の幸運というかチャームが命運を分けたのだろう。出来事やその時に感じた事や考えたことが淡々と描かれていて鬼気迫る。ポーランドのユダヤ人のことや戦争になる前からのユダヤ人の位置や他地域のユダヤ人や各地の強制労働施設の事などを一人の当事者からの視点で静かに語られるが、この文章から受ける印象でも当時ブロネク・ヤクヴォビッチの頭の良さや人柄の良さがうかがえ重い内容ながら読了感がすばらしい。資料としても良著。 The Dentist of Auschwitz: A Memoir
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歯科医だとアウシュビッツでも便宜をはかってもらえたのかしら、という疑問と可愛らしいタッチの表紙のイラストに興味を惹かれて読んでみた。 歯科医と言っても主人公は見習いみたいなもので、治療器機も満足に持参してはいない。 他にも勿論歯科医の収容者も居て、その中で主人公が一貫して歯科医...
歯科医だとアウシュビッツでも便宜をはかってもらえたのかしら、という疑問と可愛らしいタッチの表紙のイラストに興味を惹かれて読んでみた。 歯科医と言っても主人公は見習いみたいなもので、治療器機も満足に持参してはいない。 他にも勿論歯科医の収容者も居て、その中で主人公が一貫して歯科医として引き立てられたのは、働かなければならない死ぬ ということを分かっていたから。 率先して任を請負い、父の為に比較的軽い労働を取り計らい、都度自分よりも更に厳しい過酷な環境に置かれる人たちに罪悪感を覚え… 技能や心がけではどうにも出来ない、気まぐれに与えられる死をどうにか避けて、そして目にしたのは一夜にして逆転するドイツだった。
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