アウシュヴィッツの歯科医 の商品レビュー
アウシュビッツを生還した、ポーランド系ユダヤ 人の壮絶な生還物語。 淡々と悲劇的な表現ではなく書かれているのが なんとも言えない気持ちにさせる。 色々な事象や周りの人達の助けなど を経て何度も奇跡的に生き延びられたのは 主人公の人徳や生きる力が奇跡へと結びついた としか言いようが...
アウシュビッツを生還した、ポーランド系ユダヤ 人の壮絶な生還物語。 淡々と悲劇的な表現ではなく書かれているのが なんとも言えない気持ちにさせる。 色々な事象や周りの人達の助けなど を経て何度も奇跡的に生き延びられたのは 主人公の人徳や生きる力が奇跡へと結びついた としか言いようが無い。 戦争は全ての人の人生を奪い、尊厳さへも 無くしていく。
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本書の著者は強制収容所で「歯科医」(実際には歯科医学校の学生)を務めたおかげで、ホロコーストを生き延びた。歯科医のように収容所にとって有用な存在は、過酷な肉体労働を少し減らしてもらえたり、他人より多く食料を割り当ててもらえたり、身内の労働環境を改善してもらえたり、色いろと便宜をは...
本書の著者は強制収容所で「歯科医」(実際には歯科医学校の学生)を務めたおかげで、ホロコーストを生き延びた。歯科医のように収容所にとって有用な存在は、過酷な肉体労働を少し減らしてもらえたり、他人より多く食料を割り当ててもらえたり、身内の労働環境を改善してもらえたり、色いろと便宜をはかってもらえたようだ。もっとも、本人の生きる意思や、あるいはもっと大きな要因と思える「幸運」がなければ生きて戦後を迎えることはなかっただろう。非ユダヤ人女性ゾーシャとの出会いなど、本書を読むと著者の運の良さにおどろく(ユダヤ人であるという理由で逮捕され、強制収容所に収監されることをスタートラインと見るならば、だが)。けれども、幸運を重ねられなければ生き延びられなかったのだから、ある意味では当たり前なのかもしれない。 本書を読んで衝撃的だったエピソードの1つは「カップ・アルコナ号の悲劇」だ。赤軍から逃れるためにナチスは収容者をカップ・アルコナ号へ乗船させた。定員を大幅に超えた船はイギリス軍飛行中隊の攻撃をうけて撃沈し、5千名もの収容者が戦争終結を目前にして溺死したというものだ。ようやく収容所を出られ、戦争が終わる予感を抱きながらの無念は想像するに余りある。監訳者あとがきで書いているように、この出来事はあまり一般に知られていないように思う。 アウシュビッツ博物館で収容者が残したおびただしい数の靴やカバン、大量の髪の毛などの実物を目にしたり、本書もふくめ、生き延びた人びとの証言をいくつも見たり読んだりしても、実感が湧かない(筆者自身はそうだった)。現実に起きたことと思えない。体験者以外には完全に理解することができない、それがホロコーストなのだと思う。それでも著者が書くように、世界中の人びとがこの出来事を後世まで記憶するために、本書を読む意味があるだろう。
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「人が人に対してどこまで残酷になれるのか」、「人が人をどこまで信じることができるのか」 ホロコースト関連の作品は人間の尊厳を私たちに問い続ける。 差別や優生思想が再び顔を覗かせるようになった今だからこそ、過去の残虐性から目を背けてはいけない。
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彼の過酷な運命と幸運に一喜一憂するとともに、彼のように自分の人生を語る自由も踏みにじられて殺されていった何百万の人の命を思い、平和の尊さを強く感じました。
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強制収容所に送られたユダヤ人歯学生が、過酷な状況に翻弄されながら生還するまでの実話が描かれている。まるで記録映画であるかのように淡々と描くことによって、彼らがおかれた過酷さや悲惨さが痛いほどに伝わってくる。ドイツ人、ユダヤ人、イギリス人、ポーランド人、それらをひと括りに出来ないと...
強制収容所に送られたユダヤ人歯学生が、過酷な状況に翻弄されながら生還するまでの実話が描かれている。まるで記録映画であるかのように淡々と描くことによって、彼らがおかれた過酷さや悲惨さが痛いほどに伝わってくる。ドイツ人、ユダヤ人、イギリス人、ポーランド人、それらをひと括りに出来ないところも、リアリティに溢れている所以だろう。収容者の実生活を知るにつれ、ナチスだけではなく人間の残虐さが私自身に突き刺さる。何かのきっかけであちら側に行ってしまう怖さを感じ、自らを戒める作品ではないか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ユダヤ人虐殺、ナチスの収容所について書かれている書籍を初めて読みました。 この世のものとは思えない数々の残虐行為に打ちのめされました。 主人公のブロネクと兄ヨゼクが過酷な境遇の中、ほんの少しの幸運で生き延びることができたのが救いでした。
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信じられないような幸運が幾度と重なり生き延びた主人公。 フィクションのように感じるけれど、 それほどの奇跡が起きない限り 生きてこの本を書くことはなかったということ。 数百万の犠牲者を出したホロコーストの凄まじさが感じられる。 作中に何度も描かれるユダヤ人の死に様は どんな...
信じられないような幸運が幾度と重なり生き延びた主人公。 フィクションのように感じるけれど、 それほどの奇跡が起きない限り 生きてこの本を書くことはなかったということ。 数百万の犠牲者を出したホロコーストの凄まじさが感じられる。 作中に何度も描かれるユダヤ人の死に様は どんな映画よりも痛ましく、想像だけで涙が出る。 いま服を着ていること、靴を履いていること、家族がいること、 恋ができること、食べ物があること、明日があること、 それがどんなに平和であることか、教えてくれる一冊。 とはいえ作者の文才と翻訳の妙で 作品自体は非常に読みやすく、軽快。 すこしのジョークも交えていたりして 最後まで楽しく読むことができた。
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芸は身を助くを地でいく展開と、主人公の逆境にも挫けず、自分のその時できることを見つけていく知性と行動力に、一気に読み進んでしまった。 改めて、教育は一生の宝物だと実感した。
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作品アウシュヴィッツの歯科医 ポーランドは消滅し、ユダヤ人は強制収容所へ収容そこで著作の知識をそこで歯科医として働くさまを描いている作品。
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人間は、これほど残虐になれるのか。戦争が終わり、新しい時代に暮らす私たちは、彼等の経験から学ばないといけない。これほどまでに残虐な仕打ちが許されていい訳がない。本書に出る「捕虜を虐待する権利」など、あってはならないと思う。著者のベンジャミン氏(本名ベレク・ヤクボヴィッチ)とその兄...
人間は、これほど残虐になれるのか。戦争が終わり、新しい時代に暮らす私たちは、彼等の経験から学ばないといけない。これほどまでに残虐な仕打ちが許されていい訳がない。本書に出る「捕虜を虐待する権利」など、あってはならないと思う。著者のベンジャミン氏(本名ベレク・ヤクボヴィッチ)とその兄が、ホロコーストを生き延びることができて本当によかった。過去の悪夢を思い出すという行為自体、非常に辛くて苦しいと思うが、それを乗り越え、文字に起こして後世に残した彼の勇気に拍手を送りたい。また、カバーの可愛らしさに惹かれて本書を手に取った人もいるようなので述べたい。ぜひカバーを外して表紙にも注目してほしい。そこには表紙から裏表紙にかけて書かれている番号(収容所でのベンジャミン氏のもの)や、扉には縞模様(囚人服)が印刷されており、カバー以外の箇所も凝ったデザインとなっている。このことから、本書は多くの人々に愛されて発行されたことが窺える。今後増刷されることはまず間違いないだろうが、このような良書の初版を手にすることができて、私は非常に幸運である。
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