つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。 の商品レビュー
<感想> 認知心理学をベースにしたカウンセラーの書いた本。 これまで認知心理学の考え方や実施手法などの理論書的な本はかなり読んできたので、この分野については分かった気になっていた。しかし、本書は著者のカウンセリング経験を書いているので、ひじょうに生々しくて自分事のように沁みてくる...
<感想> 認知心理学をベースにしたカウンセラーの書いた本。 これまで認知心理学の考え方や実施手法などの理論書的な本はかなり読んできたので、この分野については分かった気になっていた。しかし、本書は著者のカウンセリング経験を書いているので、ひじょうに生々しくて自分事のように沁みてくる。実際の治療の過程で滲む膿のような記憶。理論書ではピンと来なかった部分が、本書では感覚的に理解できた。 脳科学的には「エピソード記憶」のほうが深く残るらしい。本書を読んで物語の力を感じた。 本書には二人の患者が登場するが、個人的に二人目のワカバさんの生きづらさが重なった。 <アンダーライン> ★★<認知(自動思考)>、<気分・感情><身体反応>の三つははっきりと外側に現れるのではなく、頭の中、心の中、身体の中に現れる、いわゆる「内的な反応」です。 ★★ストレッサー(環境)と、<認知><気分・感情><身体反応><行動>からなるストレス反応 ★★CBTの基本モデルにおける五つの要素のうち、直接的にコーピング(対処)できるのは、<認知>と<行動>だけなのです。 ★★★一方、ストレッサー(環境)は自分の好きなようにコントロールすることはできません。舌打ちする他人を止めることはできないのです。同様に<気分・感情>と<身体反応>も直接的に対処することは不可能です。 ★★★「激怒してみよう」「血圧を30上げてみよう」「めちゃ愉快な気分になってみよう」「心臓の動きを止めてみよう」…無理ですね。 ★★★「私、何怖がっちゃっているの?なんでこんなに不安になっているの?馬鹿みたい」。これは「マインドフル」ではなく「マインドレス」です。自分の体験を評価したり判断したりしてしまっているからです。 ★★★自分の体験はいっさいコントロールしようとしません。「ふーん、そう思っちゃったんだねー」とそのまま受け止めるということです。 ★★★★つまり自分のすべての体験に対して、いっさいのコントロールを手放し、興味関心を持って、「ふーん、そうなんだ」と受け止め、味わっていると、どんな体験もそのうち消えてきますから、消えるにまかせてさよならをする、というのがマインドフルネスです。 ★「目を閉じたまま「怖い」「やりたくない」という思いを味わいましょう」「「怖い」「やりたくない」という自動思考に気づき、それらを味わったら、注意をm、畝に戻しましょう」 ★★★★★外在化 ★★★傷ついた子どもモード、傷つける大人モード、いただけない対処モード、ヘルシーモード(幸せな子どもモード)、ヘルシーモード(ヘルシーな大人モード) ★★★★★乗っ取られ ★「今だったら背中が痛くなっても、その痛みに対して「よく来たね」と言ってマインドフルに受け止められるのに。残念だなあ」 ★★★人は生きているだけで等しく価値がある。ただそれだけ。 ★★「馬鹿にするとかされるとか、自分が上か下かとか、そういうことをまったく気にせずに、人と接したりしゃべったりするのはこんなに楽しいことだったのかということを知りました」 ★★★生きづらくさせたスキーマの製造元 ★★★「背中の痛みがぼくをここに連れて来てくれて、スキーマ療法に出会わせてくれたのですから、ぼくの背中の痛みに感謝しなければいけませんね」 ------------------------- ★★★自分の自動思考の奥底には「…しなきゃ…に悪い」といった思いがある ★★★自分が自分を再養育する ★★★みんなは「悪い」と思っていないらしい! ★★★★「悪い」ことをやってみる。それはたとえば、道で人とすれ違うときに自分からよけないとか、試食をしても商品を買わないとか、そういうことです。これまで「相手に悪くてできない」と思っていたことを、少しずつやってみるのです。 ★★★★★そしてやってみたところで何も「悪い」ことは起きないこと、すなわち、道で自分がよけなければ相手がよけてくれること、試食した商品を買わなくても誰にも何も悪いことは起きないこと、といったことを実感として体験していきました。 ★★★★★震える手でドタキャンメール ★★★★勇気を振り絞って出したところ(メールを送信する手が震えるぐらい、彼女にとっては勇気のいる行為でした)、特に何も「悪い」ことは起きず、皆に心配してもらってこの話は終わりました。 ★★★私は私自身のために生きる ★★★★★どれだけ自分は他人のために生きてしまったのか」という苦い思い ★★★★★「なーんだ、私、独り相撲を取っていたわけね」と笑ってしまったのだそうです。
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「生きづらさ」を感じている人たちの言語化できない部分。それらを、根気強く丁寧に見つけていけるようなスキーマ療法、認知行動療法が、非常にわかりやすく書かれている。これを読めたことで新しい発見がいくつもあった。スキーマ療法、面白い。 - 浅いレベルの認知:自動思考。より瞬間的な認知...
「生きづらさ」を感じている人たちの言語化できない部分。それらを、根気強く丁寧に見つけていけるようなスキーマ療法、認知行動療法が、非常にわかりやすく書かれている。これを読めたことで新しい発見がいくつもあった。スキーマ療法、面白い。 - 浅いレベルの認知:自動思考。より瞬間的な認知 より深いレベルの認知:スキーマ。より継続的な認知(価値観・信念・自己イメージ) - CBT - 環境・事象(ストレッサー)、認知・感情・身体反応・行動(個人的ストレス) - 関与できるのは感情と行動 - スキーマ療法で扱う早期不適応的スキーマ;人生の早期に形成され、後にその人を生きづらくさせるスキーマ - 育て直し。治療的再養育法。子供時代にいかせてもらえなかった部分を、今満たしてあげれば良いではないか、と言う考え方。自分の中に残っている「傷ついた子供」の部分を、治療の中で、健全な方向に育成していこうと - 自分の体験をありのままに気づき受け止めるためには、自分の体験に巻き込まれず、自分の体験を見ることができる「もう1人の自分」が必要です。もう1人の自分、は自分の体験に興味を持って優しい眼差しで観察します。「ふーん、そうなんだ」「へー、それで今こんな感情が湧いているんだなぁ」「ほー、体にこんな反応が出てるんだなあ」。「良い」「悪い」でもなく「好き」「嫌い」でもなく、ただ、ありのままに感情を受け入れ、味わうこと。
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架空の2事例を通して、認知行動療法、マインドフルネス、スキーマ療法を用いたカウンセリングの流れがつかめる構成になっている。すっきりとしたわかりやすい文体で、著者のカウンセリングもこんな風なのかなと想像させる。 マインドフルネスがまさかここまで流行するとは思わなかった。本来は仏教...
架空の2事例を通して、認知行動療法、マインドフルネス、スキーマ療法を用いたカウンセリングの流れがつかめる構成になっている。すっきりとしたわかりやすい文体で、著者のカウンセリングもこんな風なのかなと想像させる。 マインドフルネスがまさかここまで流行するとは思わなかった。本来は仏教の気づきの概念で、そこから宗教色を排してストレス低減法に活用されている。マインドフルネスという英訳自体、数年前には知人の僧侶に聞いても知らなかったが、その後、Googleの書籍が刊行されたことを契機に、医療よりもビジネスサイドから注目され、自己啓発系セミナーが乱立することになった。そのせいか、どこか胡散臭い感じもするが、医療ではエビデンスも出揃ってきて、かなり信頼のおけるセラピーのようだ。とはいえ、独学できるものではなく、本書の伊藤先生のようなメンターの存在が必要な気がする。 本書はストーリー仕立てなので、より詳細な知識は、しばしば本書で紹介される著者の本を読めということか。まるで専門外だけど、この方の本なら読んでみたいかも。
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心理学を学びたく、伊藤絵美先生の本を勧められて、「セルフケアの道具箱」と並行して読んだ。それぞれテーマはほとんど同じだが、アプローチの仕方が違い、理解に役立った。二人の登場人物を通して非常に理解しやすかった。ただし、この「マインドフルネス」「スキーマ療法」は実践するのに簡単なこと...
心理学を学びたく、伊藤絵美先生の本を勧められて、「セルフケアの道具箱」と並行して読んだ。それぞれテーマはほとんど同じだが、アプローチの仕方が違い、理解に役立った。二人の登場人物を通して非常に理解しやすかった。ただし、この「マインドフルネス」「スキーマ療法」は実践するのに簡単なことではないので、繰り返して読むなどして、きちんと自分のものにしていきたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いっきに読みました。 心理士がCBT、スキーマ療法、マインドフルネスを読者に理解してもらえるよう、分かりやすくまとめられています。事例で挙げられている2名のクライアントのそれぞれのストーリーには、時々涙が出ました。 CBTの大まかな概要、スキーマ療法、マインドフルネスなどが功を奏した際に、どのようにクライアントに変化が起きるのか、事例とは言え結果まできちんと書かれています。 一人の心理士の物語としても読めますし、専門的な内容を理解しながらも読めます。少なからず人それぞれ考え方の癖が誰しもあると思うので、読んでみて損のない内容だと思います。 カウンセリングは、担当者によって相性などあるでしょうが、丁寧に真摯に向き合っている姿勢が感じられました。著者の他書も読んでみたくなりました。
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とても良かったです。 特に2人目の人が自分に少し似ていて 自然と認知行動療法やスキーマ療法に興味が出たし、筆者の他の本も読んでみたくなりました。 文章もとても読みやすく、のびのびと書かれています(こんな文章が書きたいなと思いました)。 本に載っているワークを少し取り入れて実...
とても良かったです。 特に2人目の人が自分に少し似ていて 自然と認知行動療法やスキーマ療法に興味が出たし、筆者の他の本も読んでみたくなりました。 文章もとても読みやすく、のびのびと書かれています(こんな文章が書きたいなと思いました)。 本に載っているワークを少し取り入れて実践してみたいと思います。
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荻上チキのsession22で紹介されていたので読んでみた。 著者は臨床心理士で、認知行動療法(CBT)という心理利用を専門にしている。CBTは、ストレスに対する方法で、大雑把にまとめると、ストレスになるような事柄に触れると、1.気分 2.身体反応 3.認知 4.行動の反応をす...
荻上チキのsession22で紹介されていたので読んでみた。 著者は臨床心理士で、認知行動療法(CBT)という心理利用を専門にしている。CBTは、ストレスに対する方法で、大雑把にまとめると、ストレスになるような事柄に触れると、1.気分 2.身体反応 3.認知 4.行動の反応をする。気分と身体反応は変えられないが、認知と行動は自分の努力で変えられる、とのこと。CBTには、別のモデルもあって、それが浅いレベルの認知の自動思考と深いレベルの認知のスキーマに分けられて、みたいな話。 そして、実際にクライアントの実例を示して、CBTやマインドフルネスを使って治療の実際を教えてくれる。 方法論も面白いのだけれど、実例がとてつもなく面白い。背中の痛みが精神的なものだと言われてやってきた傲慢な内科医。よーく話を聞いてみると(なかなか話そうともしないのだけれど)、意外な事実が浮かび上がる。この治療の過程でCBTやスキーマやマインドフルネスの具体的なやり方が紹介されていて、それも面白かった。 自分自身の心のトラブルを何とかしたいと思ってる人がや、人の心に興味のある人にオススメ。マインドフルネスについて書かれている本はたくさんあるけれど、これはかなり良かった。
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この本は認知行動療法と言われる治療法の具体的な実践例を通じて、本人がメンタルの問題として捉えてなかった問題をメンタルの問題として自覚し、解決に向かう話だ。 TBSラジオsession22にて自身もうつ病に罹患した事を公表している荻上チキが「荻上チキが間違って2冊買っちゃったけどイ...
この本は認知行動療法と言われる治療法の具体的な実践例を通じて、本人がメンタルの問題として捉えてなかった問題をメンタルの問題として自覚し、解決に向かう話だ。 TBSラジオsession22にて自身もうつ病に罹患した事を公表している荻上チキが「荻上チキが間違って2冊買っちゃったけどイイ本だったので1冊あげちゃうよSP!」にてお勧めしていたので、読んだ。 マインドフルネスは最近ビジネス書でもよく見かける手法で、スキーマ療法は心の深いレベルでの認知の傷つきを理解し癒す手法だ。 非常に胸を打つ話だった。自身が心を守るために行ってきた行為、例えば感情を出さないとか、弱味を見せないとか、自分の感じている事を遮断しようとするという事とか、そうした行為を早期に身につけ、身につけたその対処法が不健全な為、今度はその後の人生において生きづらさの原因となる。 さらにその苦しさの背景が本人にはわからず、苦しさから解放されるために何らかの依存症、苦痛を和らげる薬やお酒にのめり込んでいく場合もある。 この状況は「反省させると犯罪者になります(新潮新書)」でも似たような事が書かれていた。著者の岡本茂樹は刑務所での累犯受刑者の更生支援にも関わっていた人間だ。 彼は犯罪者の多くが小さい時に親から受容されなかった経験を持ち、その時身につけた人間関係の対処法、暴言や暴力を伴うような対処法を身につけるようになる。 だから刑務所によって反省文や反省する姿勢を表面的に行う事は出来るようになっても、もともと身につけている犯罪に繋がるやり方(ある種の苦しみからの解決法)を抱える本人の解決にはならないという事だった。 自己肯定感や承認欲求とかそういうものにも繋がるわかりやすく良い本だった。
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二つのケースをあげて、マインドフルネスやスキーマ療法について分かりやすく解説されており、更に詳しく知りたくなる。難しいクライアントにも根気強く対応する著者の対応に、好感をもった。
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