毎年、記憶を失う彼女の救いかた の商品レビュー
「毎年、記憶を失う彼女の救いかた 」 これは愛の力だけでは語れない。 毎年、記憶が両親の事故死直後に戻ってしまう尾崎千鳥は、1年しか生きられない。空白の3年を抱えた千鳥の前に見知らぬ小説家が現れ、ある賭けを持ちかける。「1ヶ月デートして正体が分かったら君の勝ち、分からなかっ...
「毎年、記憶を失う彼女の救いかた 」 これは愛の力だけでは語れない。 毎年、記憶が両親の事故死直後に戻ってしまう尾崎千鳥は、1年しか生きられない。空白の3年を抱えた千鳥の前に見知らぬ小説家が現れ、ある賭けを持ちかける。「1ヶ月デートして正体が分かったら君の勝ち、分からなかったら僕の勝ち」。 2017年第54回メフィスト賞受賞作品。メフィスト賞と言えば良く分からん世界観モノが多く癖ありなイメージが有ったのだけど、個人的な感想としては王道恋愛ストーリー。静岡ネタもてんこ盛り。 成人祝いを兼ねた家族旅行での不慮の事故により、記憶喪失の病に苦しむ千鳥の前に突然現れた天津真人。彼が現れた理由と抱える秘密がなんとも切なく、ちりばめられた伏線が回収されることで、なぜ真人は千鳥にここまで尽くすのかが徐々に明らかになっていきます。そして、最後になると千鳥から真人へ感情移入する対象が変わっていく。 貴方は決して不幸じゃない、1人じゃないと伝えることがどれだけ大切かが沁みてくる。 また、読み終わって改めて表紙を見ると、最初は男性(真人)が女性(千鳥)を振り向かせる、前を向かせようとしている様に見えましたが、逆でもあると感じました。つまり、女性(千鳥)が男性(真人)を引いて前に進んで行こうとする姿にも見えました。真人の千鳥に対する確かな愛だけでなく、強い覚悟があるからこその姿である気がします。
Posted by
1年間で記憶がリッセト。そして謎の男。後半はなんとなく分かるな。「50回目の・・・・」映画にはかなわんな。 2018.6.27
Posted by
『わたしに、生きる力を取り戻させるために、彼は、わたしの知らなかったことを知っていたのだ。もしかした、わたしは我儘なのかもしれない。 ハンデを理由に飛び込むことすら迷っているわたしは、生きる力を得られるかもしれないチャンスを見過ごそうとしているわたしは、すごく我儘なのかもしれな...
『わたしに、生きる力を取り戻させるために、彼は、わたしの知らなかったことを知っていたのだ。もしかした、わたしは我儘なのかもしれない。 ハンデを理由に飛び込むことすら迷っているわたしは、生きる力を得られるかもしれないチャンスを見過ごそうとしているわたしは、すごく我儘なのかもしれない。 はじめてそんな考え方をした。』 第54回メフィスト賞受賞作。メフィスト賞では珍しい恋愛小説。なかなか良い仕上がりで面白かった。 メフィスト賞だけに、あっと驚く構成。
Posted by
読み助2018年4月19日(木)を参照のこと。http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2018/04/3-9513.html
Posted by
主人公の千鳥は、交通事故で両親を亡くしたことをきっかけに記憶障害となり、毎年1年分の記憶を失うようになってしまう。物語は3回目の記憶喪失の後から始まる。千鳥は親友の栞や主治医の小林先生に支えられて生活しているが、またこの1年の記憶を失ってしまうことを思うと、将来に希望を持つことが...
主人公の千鳥は、交通事故で両親を亡くしたことをきっかけに記憶障害となり、毎年1年分の記憶を失うようになってしまう。物語は3回目の記憶喪失の後から始まる。千鳥は親友の栞や主治医の小林先生に支えられて生活しているが、またこの1年の記憶を失ってしまうことを思うと、将来に希望を持つことができないでいた。そんな彼女の前に、天津真人と名乗る男が現れる。彼は千鳥のことをよく知っているようだが、千鳥は彼のことを覚えていない。天津の賭けに乗り、千鳥は彼と期間限定のデートをすることになる。 ---------- 記憶喪失ものとしては割とベタな展開なのでは、と思う。結末途中で分かったし。まあ、ガチのミステリーというわけでもないから、それは別に悪くない。千鳥が天津の正体に気づくシーンや、栞や小林先生が天津に協力していたという所にはもうひとひねり欲しい感じはしたけれど。感動はしなかったけど、結末の形は綺麗で、面白く読めた。 だからこそひっかかるのが、謎の浜松推し。作者は本作の舞台の静岡県浜松市で育ったということだけど、それにしても、作中に浜松の地名や施設名がそれはもうたくさん出てくる。どこかの紹介文で数ページとおかずに浜松が登場、と書かれていたけど、まさにそんな感じ。でも、それらは本作のストーリーには何ら関与していなくて、ただ出てくるだけ。地名を出すだけならリアリティを出すためにアリだと思うけど、ローカルな遊園地やハンバーグチェーン店まで説明付きで出す必要はないだろうと思った。ちょっとした宣伝になっちゃってるし、お金貰って名前を出しているんじゃないの?と勘繰るレベル。本作を読んだからといって出てきた浜松の場所に聖地巡礼よろしく行ってみたくなるとも思えないし、物語としては逆効果だったと思います。
Posted by
記憶障害になっても一目ぼれみたいな 感情の記憶はちゃんと受け継がれている それは なかなか希望のあるいい話だから 毎回 好きになれる理由に納得しやすかった
Posted by
毎年特定の日まで記憶が戻ってしまう症例は初めて知ったので興味深かった。愛の力は偉大だね、というお話だった。
Posted by
面白かった。 メフィスト賞にしてはパンチが弱かった気がするけど、良い話だった。 メフィスト賞にしてはちょっと良いお話すぎた。 放送作家という肩書を持つ著者ならではないかと思う。 貧弱な語彙力では感動した、感涙だ、としか言葉が出てこないが、こういう話もあ...
面白かった。 メフィスト賞にしてはパンチが弱かった気がするけど、良い話だった。 メフィスト賞にしてはちょっと良いお話すぎた。 放送作家という肩書を持つ著者ならではないかと思う。 貧弱な語彙力では感動した、感涙だ、としか言葉が出てこないが、こういう話もありだなと思える。 たまにはこういう話を読んで、濁った心を清浄しないとね。
Posted by
記憶障害を扱った物語は意外と多い。障害に立ち向う健気さに胸を打つが,数が増えれば感動は薄れてしまう。本作だが,今までにないアイデアのおかげで,他とは違うゴールになっている。なかなかに面白かった。 あらすじ(背表紙より) 私は1年しか生きられない。毎年、私の記憶は両親の事故死直後に...
記憶障害を扱った物語は意外と多い。障害に立ち向う健気さに胸を打つが,数が増えれば感動は薄れてしまう。本作だが,今までにないアイデアのおかげで,他とは違うゴールになっている。なかなかに面白かった。 あらすじ(背表紙より) 私は1年しか生きられない。毎年、私の記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えた私の前に現れた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月デートして、僕の正体がわかったら君の勝ち。わからなかったら僕の勝ち」。事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき―。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。
Posted by
メフィスト賞受賞。どんな仕掛けがあるのかと思いきや、案外まともな恋愛小説であった。 しかしながら、肩透かしというわけではない。伏線のはり方や見えてくるある一つの真実(アレではない)には作者の巧妙さが感じられる。 ラストに向けての展開は、見えやすいきらいがある。そこにサプライズがほ...
メフィスト賞受賞。どんな仕掛けがあるのかと思いきや、案外まともな恋愛小説であった。 しかしながら、肩透かしというわけではない。伏線のはり方や見えてくるある一つの真実(アレではない)には作者の巧妙さが感じられる。 ラストに向けての展開は、見えやすいきらいがある。そこにサプライズがほしいというのは、メフィスト賞だからであろうか。 ミステリばかり読んでいると、純粋な気持ちな登場人物たちさえ疑ってしまうのはよくないですね。素直な気持ちに戻って、泣く準備をしておきましょう。 ヒステリックな女ってこうすればいいのかと学んだ私の心は穢れているのでしょうね。 途方も無いあの真実は、密室殺人をせっせと工作するより遙かに大変だろうな…
Posted by