我々はなぜ我々だけなのか の商品レビュー
初期の猿人から猿人、原人、旧人、そして現生人類へ。 昔々、学校でも、アウストラロピテクスが現れ、その後ジャワ原人、北京原人が現れ、ネアンデルタール人が出てきた、なんて勉強したような。 しかし、なかなかそれに興味を持つというところまではいかなかった。 それが、近年、大きな発見があ...
初期の猿人から猿人、原人、旧人、そして現生人類へ。 昔々、学校でも、アウストラロピテクスが現れ、その後ジャワ原人、北京原人が現れ、ネアンデルタール人が出てきた、なんて勉強したような。 しかし、なかなかそれに興味を持つというところまではいかなかった。 それが、近年、大きな発見があったりして、ずいぶんと分かってきたことがあるらしい。 新聞報道などもあり、特に人類学に興味がなくても聞こえてくる、ホットな分野であるようだ。 そして、監修者である海部陽介さんも、テレビで何度も見る機会もあった。 本書は、しかし、海部さんが書いているのではない。 サイエンスライターで作家の川端さんが、海部さんを取材して研究を紹介していく構成となっている。 聞きなれない専門用語は、すかさず解説が添えられる。 図示により理解を助けてくれる。 おかげで、あまり予備知識がない自分にも最後まで読み切ることができた。 前半はジャワ原人の研究の歴史。 植民地時代から続く発掘は、すでに長い歴史を持つ。 第二次世界大戦期は、出土した化石の保管にとっても困難な時代であったことも知った。 咀嚼器官の縮小は、人類の進化の指標なのだそうで、原人の歯、下顎などを3Dスキャンなど、新しい技術を取り入れながら、細かくデータ化し、比較していく。 その過程では、現代人500人の歯型を収集したりもする。 後半は新たな発見に関わる話。 ホビットのあだ名を持つ小柄なフローレス人、そして台湾の海から漁師の網にかかって見つかった澎湖人。 一つ一つの話が自分にとっては新しい。 そういえば、表紙になっているのは科博(ということは海部さんたち)が作成したフローレス人の復元模型の顔の部分。 何かとても賢そうに見える。 ちなみに、本書の中には他の研究者(エリザベット・デネスさん)による復元像もあり、かなり印象が違うのが面白い。 当たり前のことかもしれないが、復元模型には研究者の想定や見解が含まれていて、同じ化石から復元したとしても同じ像になるとは限らない。 そんなことも面白く感じた。 フローレス人の研究では、これが他の原人の子どもや、身長が伸びない病気にかかったホモサピエンスではないことをいかに立証するかが焦点だったとのことだ。 子どもでないことは、歯の数などの違いでわかる。 病気でないということを確かめるために、海部さんは国立成育医療センターの医師の協力を仰ぐ。 発見されたLB1という標本の頭骨の変形は変形性斜頭症という、比較的よくみられるもので、成長を阻害するものではないと結論づけたという。 他の所でも感じたが、マイクロCTや3Dデータづくりなど、人類学って、多くの研究者の協力で進む大プロジェクトなんだな、と知る。 さて、「我々はなぜ我々だけなのか」というタイトルになる問いについては、終章で扱われる。 どの種族がどれくらい他のものと時期的に重なって生存していたのかはまだわからないことも多いとはいえ、特にアジアにはたくさんの原人たちがいたという。 それがいつ「我々」=ホモ・サピエンスに置き換わったのかはまだわからないそうだ。 ただ、現生人類との間の接触や混血の可能性があり、「我々」は「我々」だけなのだけれど、「我々」の内部には「彼ら」がいるかもしれない、と結ばれていた。 たしかに、この先、どんなことが分かっていくのか楽しみになってくる。
Posted by
まだまだ書き変わっていく考古学的人類学の、アジア史が概観できた。単純な均質化にとどまらない面白さがあると思う。
Posted by
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057461
Posted by
川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。 文句なしの星5つ。 序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。 そして怒涛の後半、第四の...
川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。 文句なしの星5つ。 序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。 そして怒涛の後半、第四の原人や、デニソワ人についての新たな提案。 この時、整理された理解の生じる快感、そこが面白い。 分からないことは、何が分かってないからなのか。 どこまでなら、コンセンサスがある話なのか。 この整理が、理科や歴史でざっくり 「アウストラロピテクス」とか「北京原人」なら知ってた レベルの一般人にも伝わってくる。 小難しい数式とか一か所しか出てこないし、それもちゃんと図で示されてるから、根っからの文系でも問題なし。 そして、サイエンス系の本にはつきものの、『執筆時点では』という注釈。 それは、新たな化石の発見や詳細な研究によって、また仮説が更新される可能性があるということ。 本書を読んだ者は、その新たな仮説に対し、既存の議論を踏まえた解像度で食いつける、ということ。 知的興奮に動悸が高まるのを感じる。 かつて評論社から抄訳版が、後に集英社ホーム社から完訳版のでた、ジーン・アウルの『始原への旅立ち』シリーズは、素晴らしい小説だった。しかし、科学的知見としては当時の限界もあり、生活描写に関してはネイティブアメリカンやイヌイットの文化で大きく補綴された、ネアンデルタールとクロマニヨンズの物語であった。 しかし、本書にあるようなアジア原人、ひいては旧人と現生人類の研究が進めば、科学的知見でよりしっかり裏打ちされた、『東アジアの物語』がつづられる可能性もでてくる。 なんと胸躍ることだろう。 ぜひ手に取ってご一読あれ。
Posted by
現在世界に生存している人間は我々ホモ・サピエンスだけ だが、その前には種々様々な旧人・原人達が暮らしていた。 その中でこのアジアに的を絞り、我々の前に生活していた 我々以外の原人について現在わかっている最新の研究結果を まとめた本。科学ライターが書いた本らしく、非常に楽しく わか...
現在世界に生存している人間は我々ホモ・サピエンスだけ だが、その前には種々様々な旧人・原人達が暮らしていた。 その中でこのアジアに的を絞り、我々の前に生活していた 我々以外の原人について現在わかっている最新の研究結果を まとめた本。科学ライターが書いた本らしく、非常に楽しく わかりやすい上に、専門の科学者がきちんと名前を出して 監修しているのでポイントはきちんと押さえている。結論も 多分に情緒的ではあるが、この手の本としては許容範囲で あり、またらしくもある。今後の発掘・研究が楽しみになる 良書である。
Posted by
久しぶりのノンフィクション 「ミッシングリンク」といわれる、ホモ・サピエンス登場の謎を「説く」 人類の進化は、猿人から現代人まで左から右へ歩いて進化している絵のような順番では無いんですね。 「進化」とはある意味で「淘汰」と「混血」なんだなと、感じた本でした。 突然ですが『星...
久しぶりのノンフィクション 「ミッシングリンク」といわれる、ホモ・サピエンス登場の謎を「説く」 人類の進化は、猿人から現代人まで左から右へ歩いて進化している絵のような順番では無いんですね。 「進化」とはある意味で「淘汰」と「混血」なんだなと、感じた本でした。 突然ですが『星を継ぐ者』を思い出しました。
Posted by
現在生息している人類は我々だけらしいです。世界中に色々な人種がいますが、アフリカの一人の女性の子孫という事でほぼ決定です。なんとも物凄い壮大な話であります。 話は逸れますが、昔、大地の子エイラという本が有りました。ホモサピエンスの子エイラが、ネアンデルタール人に育てられる話でし...
現在生息している人類は我々だけらしいです。世界中に色々な人種がいますが、アフリカの一人の女性の子孫という事でほぼ決定です。なんとも物凄い壮大な話であります。 話は逸れますが、昔、大地の子エイラという本が有りました。ホモサピエンスの子エイラが、ネアンデルタール人に育てられる話でした。ネアンデルタール人との子供を産んだりして、それこそ種の起源を思わせる壮大極まりない名作です。あの本を思い返させるようなワクワクするノンフィクションでした。 さて、この本は、何故ホモサピエンスだけが生き残って、他の人類は生き残っていないのかという事が幹になっています。本当の所はその時代を見なければ分からない事ですが、何とか解き明かそうと研究と議論を重ね、次第に人類の起源に迫ろうとする人々の情念に感動します。他の原人たちがホモサピエンスに駆逐されたという証拠も無いし、各地で別々に派生した人類を置き去りに、我々だけが地球で繁栄したのは何故なのでしょうか。完全に疑問が解消する事は今後も無いのでしょうが、想像すると時間というものの不思議さ、今もどんどん過去になっていくという現実がひしひしと感じられます。
Posted by
題名の問いに関しての考察を期待して購入。 期待してた話は最終章の20ページくらいで、宙ぶらりんで終わる。若干残念。 主にアジアの原人について、2010年代に新たに分かってきたことが主な内容。 人類史の大きな流れも基礎を抑えつつ、アジアの原人について学べる点がお勧め。 監修者の...
題名の問いに関しての考察を期待して購入。 期待してた話は最終章の20ページくらいで、宙ぶらりんで終わる。若干残念。 主にアジアの原人について、2010年代に新たに分かってきたことが主な内容。 人類史の大きな流れも基礎を抑えつつ、アジアの原人について学べる点がお勧め。 監修者の海部陽介とのやりとりや、考古学研究のフィールドワークについて、ジャーナリストの著者の目線で語られる。 テレビとかでこの内容であれば結構面白く観れる展開のさせ方だと思う。 こういう話が好きな人は面白く読めるかと。
Posted by
特に「なぜ我々だけなのか」については書いてなかった。こんなにたくさんの種類の原人旧人がアジアにいましたよーってのを専門家から聞き取って本にしたやつ。そんなに面白くなかった。タイトルが超ミスリード。
Posted by
⭐️4つに近い3つ。 大変な知的興奮や価値観の転換を迫るような何かがあるわけではないけれど、よくまとまっていて分かりやすい。人類学に興味のある人の入門書に最適だと思う。
Posted by
