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悲嘆の門(下) の商品レビュー

3.4

75件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    27

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

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2018/01/19

連続殺人事件も、物語? 殺醍醐の状況から作り出された物語・・・ 主人公の青年と元刑事は、事件の真相を求めて、それぞれ事件の現場へ奔走する。 度々語られる「存在するが実在しない」。 彼らは問答する。それは、言葉であり、物語であり、概念とも言う。それらは目には見えないが、存在する。 ...

連続殺人事件も、物語? 殺醍醐の状況から作り出された物語・・・ 主人公の青年と元刑事は、事件の真相を求めて、それぞれ事件の現場へ奔走する。 度々語られる「存在するが実在しない」。 彼らは問答する。それは、言葉であり、物語であり、概念とも言う。それらは目には見えないが、存在する。 フェイクニュースが論じられ、ネット上には偽情報が氾濫する現代。それらに対する免疫力をつけ、惑わされないように、そして被害者とならないようにとの意図を、著者はこの作品に込めているのではないだろうか。

Posted byブクログ

2018/01/19

「英雄の書」より遥かに面白かった。 ―というような〈言葉〉を、作者は欲していたのかもしれない。いや、ホントに面白かった。前回が物語と言葉をめぐる概念の「思想書」だとしたら、今回はその思想に影響を受けた人々の「実践の書」であり、人々に普及するための「物語」でもあるだろう。 ...

「英雄の書」より遥かに面白かった。 ―というような〈言葉〉を、作者は欲していたのかもしれない。いや、ホントに面白かった。前回が物語と言葉をめぐる概念の「思想書」だとしたら、今回はその思想に影響を受けた人々の「実践の書」であり、人々に普及するための「物語」でもあるだろう。 ―前回は少し難解だったかもしれない。今回はエンタメに振り切ろう。 ―そう作者が考えて、それを実践したようにも思えた。 たいへん面白い物語を紡いだ作者に言いたい。やはり貴女(あなた)が一番物語を〈渇望〉している。その証拠に、こんな物語世界を実現させても、まだ満足していないでしょ?この30年間で紡いだ貴女の〈物語〉を、ガラの眼で見ればどんな形をしているんだろ。貴女が心配だ。この巨大な〈物語〉に、貴女は潰されることはないのだろうか。 「あれからいろいろ考えたよ。それで ―思うんだ。ガラが君に教え、君がいろいろ経験してきて思う、その〈言葉〉と〈言葉の残滓〉のことをね、昔から人は、こう呼んできたんじゃないかねえ」 業、と。 「人の業だよ。生きていく上で、人がどうしようもなく積んで残してゆくものだ。それ自体に善悪はない。ただ、その働きが悪事を引き起こすこともある」(376p) 作者とは全く関係ないけれども、年末年始にかけて、今年も様々な事件が起きた。言葉を操って自殺願望者を引き寄せ連続殺人をした男に影響を受けたのか、その模倣犯が未遂で捕まった。自殺願望者たちが道行の結果1人だけ生き残った。またこの小説の中にもあるように、親族同士の諍いの末に幾つもの殺人が起きた。 第三者の私たちにとり、小説世界の殺人も、ニュースとして見聞きする殺人も、「情報としては等価だ。ーこれって、〈物語〉じゃないか。」(195p)と、孝太郎同様、私も思う。 だから、貴女は最後に〈メッセージ〉を残したのだろう。物語の行き着く先は、そうでないとならないのだと。 「ここが〈輪〉だ。物語が続き、命が巡り、祈りが届き、嘆きが響く。ー〈輪〉の小さき子よ、生きなさい。」(386p)

Posted byブクログ

2018/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

結局ファンタジーのまま終わってしまいました…。言わんとすることは分かったけれど、宮部みゆきさんのミステリーファンとしては残念な作品でした。

Posted byブクログ

2018/01/12

残念ながら、ガラが語る世界観というか、 異世界があんまり理解できない。 いろんなものがよく練られたものなんだろうなということは、わかるけれど。 最後はめんどくさくなって、流し読み。

Posted byブクログ

2018/01/07

どうしても「デスノート」のイメージで読んでしまいました。そこに思想や宗教的要素が加わった感じですかね。そのイメージで購入してなかったので、正直戸惑いましたが、案外スッと読めました。

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2018/01/06

ファンタジー小説は結局、現実感のない説明で終わってしまうので個人的にはちょっと、、、 言葉の持つ魔力など、著者として言いたいことは書かれているのだとは思うし、文章も上手でスラスラと読めるが、やはりちょっと物足りない

Posted byブクログ

2017/12/31

読了したがファンタジーは途中からなにがなんだかわからなくなってきた。 子供の時に、主人公が他人の心の声を読めるツールを手にするという話を読んだことを思い出した。言葉はたとえ心の中だけであっても蓄積するんだと思う。汚い言葉で罵ると心がけがれるので抑えよう。負の感情は言葉にしたとたん...

読了したがファンタジーは途中からなにがなんだかわからなくなってきた。 子供の時に、主人公が他人の心の声を読めるツールを手にするという話を読んだことを思い出した。言葉はたとえ心の中だけであっても蓄積するんだと思う。汚い言葉で罵ると心がけがれるので抑えよう。負の感情は言葉にしたとたんスピードを増して自分を蝕む。気をつけよう。この主人公コウちゃんのように見る能力がある人が実在するかもしれない。私のいた場所の跡に汚いものが残ってたらいやだもんね。

Posted byブクログ

2017/12/29

 連続殺人を追う元刑事と一人の学生、憎悪の連鎖は身近な少女に迫っていた。  上巻中巻と読み進め、連続殺人事件を解決するため異世界の怪物の力を借りる展開に、戸惑いながらも物語に引き込まれていく自分がいました。  救いのない結末を迎えてしまうのか、下巻まで読んでいく中でその不安と...

 連続殺人を追う元刑事と一人の学生、憎悪の連鎖は身近な少女に迫っていた。  上巻中巻と読み進め、連続殺人事件を解決するため異世界の怪物の力を借りる展開に、戸惑いながらも物語に引き込まれていく自分がいました。  救いのない結末を迎えてしまうのか、下巻まで読んでいく中でその不安と向き合っていく感じでした。  言葉や物語、生と死に向き合い、苦しみながら自分の生き方を見つけていく主人公に力強く生きていく人生を期待していました。  小説の世界だけでなく、現代では現実でも起こりうる連続殺人の恐ろしさを改めて感じました。

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2017/12/28

おまえは後悔する―。度重なる守護戦士の忠告に耳を貸さず、連続切断魔の特定に奔走する三島孝太郎。なぜ、惨劇は起きたのか。どうして、憎しみは消えないのか。犯人と関わる中で、彼の心もまた、蝕まれていく。そうした中、妹の友人・園井美香の周囲で積み重なった負の感情が、新たな事件を引き起こす...

おまえは後悔する―。度重なる守護戦士の忠告に耳を貸さず、連続切断魔の特定に奔走する三島孝太郎。なぜ、惨劇は起きたのか。どうして、憎しみは消えないのか。犯人と関わる中で、彼の心もまた、蝕まれていく。そうした中、妹の友人・園井美香の周囲で積み重なった負の感情が、新たな事件を引き起こす。都築の、ユーリの制止を振り切り、孝太郎が辿りついた場所。“悲嘆の門”が、いま開く。

Posted byブクログ

2017/12/27

世界は言葉に溢れている。幸せを象徴する言葉から不幸を象徴する言葉まで。ひとが言葉を覚えるのはそれがコミュニケーション手段であり、感情を表現する手段だからと思う。 孝太郎はガラの力を借りて、ひとの闇の部分を嫌と言うほど見せつけられてきた。どんなに幸せに見えるひとでも闇の部分を持っ...

世界は言葉に溢れている。幸せを象徴する言葉から不幸を象徴する言葉まで。ひとが言葉を覚えるのはそれがコミュニケーション手段であり、感情を表現する手段だからと思う。 孝太郎はガラの力を借りて、ひとの闇の部分を嫌と言うほど見せつけられてきた。どんなに幸せに見えるひとでも闇の部分を持っている。言葉から逃れることが出来ない以上、それがひとを表現する。だから完璧な人間なんて存在しない。言葉の残滓と言うけど、ささやかな言葉がそのひとを形作り、運命を決めることもある。 ひとは自分の言葉から逃れることは出来ない。改めて言葉の持つ重みを感じ、言葉がその人を現すんだなと実感せずにはいられません。

Posted byブクログ