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光の犬 の商品レビュー

4.2

35件のお客様レビュー

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2018/06/21

自分は著者に関して全く知識が無い。事前イメージの無いままに書く。 主要な登場人物・各々の視点で過去に遡り、各人の職業やら人物設定を詳細に詰め、職業に関しても結構な事前調査を行っている。視点が変わり、時間軸を行きつ戻りつで多少頭が混乱する。 表現に難解な単語を使ったり、冗長な表現が...

自分は著者に関して全く知識が無い。事前イメージの無いままに書く。 主要な登場人物・各々の視点で過去に遡り、各人の職業やら人物設定を詳細に詰め、職業に関しても結構な事前調査を行っている。視点が変わり、時間軸を行きつ戻りつで多少頭が混乱する。 表現に難解な単語を使ったり、冗長な表現が無く淡々と描かれる。改行が少なくビッシリ埋まっていて、それで440pは辛い。正直言って1/3ほど読み飛ばした(図書館の貸出し有効期限ギリギリになったので)。 それでも読み進むのに支障があった感じはしない。 退屈そうでいながら、淡々と描かれている為か返って意外に感情移入している。 しかし、一応最後まで読んで面白かったか?、読んで良かったと思うか?と問われれば...、別の本を読んだ方が良いかもね? 勿論、筆者のファンなら別だけど。

Posted byブクログ

2018/05/15

子どもや若者が昔より減った町。仕事を辞めて実家に戻った始に、20年後の自分を見ている気がした。 犬や宇宙の描写よりも、三姉妹と登代子の微妙な関係とか、認知症が進行する様子とか(なんとレビー小体型認知症が登場)とかに惹かれてしまい、やっぱり私は人間から目を離すことができないたちな...

子どもや若者が昔より減った町。仕事を辞めて実家に戻った始に、20年後の自分を見ている気がした。 犬や宇宙の描写よりも、三姉妹と登代子の微妙な関係とか、認知症が進行する様子とか(なんとレビー小体型認知症が登場)とかに惹かれてしまい、やっぱり私は人間から目を離すことができないたちなんだなと思った。

Posted byブクログ

2018/05/08

名作「火山のふもとで」の著者による。 ケレン味は全くなく、静かに物語が紡がれていく。 小説とは本来こういうものなのではないかと思わせる。

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2018/05/03

北海道、枝留に生きた一家の3代に渡る記憶。 同じ血を引き、同じ家に暮らしたのに まったく異なる8人。

Posted byブクログ

2018/04/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

小説を読んだ充実感が得られた。 好きな感じの小説だなととてものんびり読み進めていたが、歩の病気以降、一気に読んだ。 歩の死がとても悲しかった。一惟との関係は美しかった。あり得ないような、割とあるかもしれないような。 充実した生を、一緒に生きてるような感じで読んでたのが、こんなところで終わるのかい、えーあんまりだーととり残された感じがした。 眞二郎と三姉妹の老後の生活は身につまされた。 眞二郎の最期も辛かった。一般的な死に方などないとは思うが、現代の老人の死に至る過程は多くの場合こんな感じなんだろうなと思えた。 みんな生まれて死んでいく。 幸せな読書の時間が過ごせた。

Posted byブクログ

2018/07/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めるといつも脳裏に映像が浮かんだ。 キャストは不明だが、画面の中で静かに登場人物が動き始める。 ときに言葉でなければ表現できない「風景」にも出会うのは、文学の醍醐味。 まるで一人の一生を書いた長い文章がハサミで切られたように分断され、他の人物のそれと無作為ににつなげたように思える構成。しばらく読まないと誰のことかわからないこともあった。 章の中に描かれた人物と、次の章の人物との関係を意図的に断っているとしか思えないくらい、時間も、時代も、場所も途切れたまま語られる。しかし、家族であっても、時間や距離をおいて暮らせばそのように過ぎているのだろうと思うと、この構成を巧みと感じる。 歩は北海道犬を愛し、異性からも好かれ、自分の師と思える人ととも出会え、望んだ職業にもつく。しかし、自分は結婚しないし、両親の面倒も見られないだろうという。 それぞれが死に至るリアルさが、胸にこんなにも迫ってくる。登場人物たちはそれぞれが消失点に向かって「一生」をかたちづくる。最後の消失点を背負っているのは自分だ、と始自身思うのだが、それとて最後が自分とは限らないと思い直す。 もう一度読み返したい。難解な意図がもう少しほどけるかもしれない。

Posted byブクログ

2018/03/08

人と人の繋がりは、たとえそれが血縁関係に基づくものであったとしも、存外容易に失われてしまうもの、とそんな事をふつふつと思う。その切っ掛けは距離であるかも知れないし、交わす言葉の密度や量の低下かも知れない。断片的に切り取られた複数の登場人物の生涯を通して、関係性の危うさに真っ先に思...

人と人の繋がりは、たとえそれが血縁関係に基づくものであったとしも、存外容易に失われてしまうもの、とそんな事をふつふつと思う。その切っ掛けは距離であるかも知れないし、交わす言葉の密度や量の低下かも知れない。断片的に切り取られた複数の登場人物の生涯を通して、関係性の危うさに真っ先に思いが向かう。そこに過疎や高齢化といった社会的課題が通底し、重苦しい空気が全体を覆い被さるようである。その空気の重さが小児喘息の発作の逸話と共に主人公の一人の背中を圧し潰そうとする。しかし大きな課題には一般的な正解は存在せず、都度選択されたものを慣性の許す限り続けることでしか対処することができない。それ以上物語は何も語ろうとはしない。ある意味では潔く、もう一方では無責任に。 並走して流れる各々の物語の内には、かつて繋がっていた糸の反対側の端を握っていた人が、本人の意識とは無関係に存在し続けるという事実が書き連ねられてゆく。その印象は、物語が断片であるが故により強く印象的に語られている。他人の人生に存在し続ける自分の人生など誰も想像しないであろうけれど、むしろその間接的なつながりこそ本質的な人と人との繋がりを表すものなのかも知れない。 そのような観念的な思索とは対象的に、この作家の描く登場人物の肌はさらさらとしていて、湿度や粘性といったものとは無縁であるかのよう。そのせいだろうか、一つひとつの断片への執着というものが生まれる前に、次の断片が始まるように感じるのは。「火山のふもとで」も同じような印象だった。人との関係性を直接的に深めるように努力する泥臭い登場人物はほとんど出てこない。どちらかと言えばひたすらに内省する人物ばかりが登場する。それもひょっとしたら現代社会の都市という空間に巣食う人々の本質なのかも知れないが、それを北海道東部の「枝留」という町を巡って描かきだされると、すうっと胸の真ん中あたりを抜き取られたような思いがするのは何故だろう。人は土を離れては生きていけない、とアニメの主人公の言った言葉が正の連鎖反応を引き起こすように感じるのとは異なり、都会に出た主人公が故郷に戻る物語は、正の感情も負の感情も引き起こさない。不思議に宙空に置き去られたような思いを抱いたまま読み終わる。

Posted byブクログ

2018/06/29

様々な人物の恋や老いや祈りや諦めのエピソードが、時間軸にとらわれずランダムに綴られる。胸がつぶれそうになる場面の後に、その人の青春時代の煌めくひとコマが現れた時、嬉しいや悲しいが散りばめられた人生の眩しさを俯瞰できた。それは、別れも出会いも等しく遠ざかったかつての思い出がいつも美...

様々な人物の恋や老いや祈りや諦めのエピソードが、時間軸にとらわれずランダムに綴られる。胸がつぶれそうになる場面の後に、その人の青春時代の煌めくひとコマが現れた時、嬉しいや悲しいが散りばめられた人生の眩しさを俯瞰できた。それは、別れも出会いも等しく遠ざかったかつての思い出がいつも美しいのとよく似ていました。

Posted byブクログ

2018/01/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

松家さんの火山のふもとで、沈むフランシスにつぐ3作目 前2作ともとても好きなので、だいぶ前に購入していたのだけど 静かに、落ち着いて読む気持ちになかなかなれず 5日頃からやっと読み始めて、少しずつ読み続け、幸せな時間を過ごした ハッピーエンドとか、推理小説とか、全然そういうことはなく 淡々と家族それぞれの視線でそれぞれの人生を書いてあるのだけど たくさんのことを考え、感じる小説だった 変わった旅をした気持ちにもなったな

Posted byブクログ

2018/01/14

多様なジャンルの知識がてんこ盛りで、勉強になる、かつ、しんどい。それはそのまま、登場人物達の人生を思わせる。消失点という表現が素敵。陳腐な言い方だけれど、大河ドラマを見終えた気分だ。

Posted byブクログ