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くちなし の商品レビュー

3.6

84件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    37

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2024/02/13

近くてだらしなく混ざりあうものは愛でないのかもしれない。実体のよくわからない愛をほんのすこしわたしたちに近づけてくれる物語。

Posted byブクログ

2023/12/09

ー 愛なんて言葉がなければよかった。そうしたら、きっと許してあげられたのに くちなしの花言葉は「とても幸せです」「喜びを運ぶ」だそうだ。しかし、日本においては花の名前から「死人にくちなし」とか「嫁にもらうくちなし」とか、そういうひどい言葉を連想しあまり縁起が良くないと捉える人も...

ー 愛なんて言葉がなければよかった。そうしたら、きっと許してあげられたのに くちなしの花言葉は「とても幸せです」「喜びを運ぶ」だそうだ。しかし、日本においては花の名前から「死人にくちなし」とか「嫁にもらうくちなし」とか、そういうひどい言葉を連想しあまり縁起が良くないと捉える人もいる、という。 幸不幸両方のイメージを想起させる花であり、あなたにとってはどっち?ということだが、この短編集についていうと、「両面ある」という感じかな。 とても懐が深い。 彩瀬さんの小説には、我々人間とは似て非なる生き物の人がよく出てくる。 例えば、簡単に腕がもげたり、卵を産んだり、大蛇に化けてしまったり… なんか化け物みたいで怖いのだが、そんな人たちに共感してしまうのは、人間にはそういう化け物的側面が備わっているからなのだろう。 人間でない生物に人間の本質を教えられる感じがして、彩瀬さんってすごい! 第158回直木賞候補作。 選考委員の中では東野圭吾さんがこの作品を推していて意外な感じがした。先日亡くなった伊集院静さんが「大変に佳い作品」と評価された二作のうちの一つ「茄子とゴーヤ」がこの短編集の中ではフェイバリットでした。 あと「けだものたち」がいいですねぇ ♫くちなしの花/渡哲也(1973)

Posted byブクログ

2023/09/27

だいたいファンタジー短編集。 でも中にはリアルなものもあり、デザイナーの同級生と再開する美容師の女の子が正解を求めて葛藤する話が良かった。ファンタジー系は好みが別れるかも。

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2023/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集。 以下メモ 「くちなし」親しい人に体の部位を渡す 「花虫」純粋な愛だと思っていた感情が、体の中の虫の影響を受けていた 「愛のスカート」デザイナーが大家のためにつくるスカート、そんな彼を見つめる主人公 「薄布」生身の少年を使ったお人形遊び 「茄子とゴーヤ」ようやく家を出て、髪を茄子色に染めてから 「山の同窓会」人間が卵を産む 「けだものたち」男は昼、女は夜に起きる世界

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2022/08/23

さまざまな視点の短編が7編 理解できたものもあれば、これは何視点?と思うものもあり。 予備知識がある人は何の視点なのか理解でき、楽しめると感じた

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2022/07/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

別れた愛人の左腕と暮らす。 運命の相手の身体には、自分にだけ見える花が咲く。 獣になった女は、愛する者を頭から食らう。 (アマゾンより引用) 怖いわ、現実離れした内容ばっかで

Posted byブクログ

2022/04/10

「意志のない体は、なんてかわいそうで美しいんだろう。醜くなる余地がない。醜くなる自由がない。ーーかわいい。いたいけで、心地いい。だけどそれだけだ。心を裂かれる痛みより可笑しいものは、この部屋には見当たらなかった。」 ファンタジー要素がありながら現実の感覚を捉えて離さない、そんな短...

「意志のない体は、なんてかわいそうで美しいんだろう。醜くなる余地がない。醜くなる自由がない。ーーかわいい。いたいけで、心地いい。だけどそれだけだ。心を裂かれる痛みより可笑しいものは、この部屋には見当たらなかった。」 ファンタジー要素がありながら現実の感覚を捉えて離さない、そんな短編集だった。心が動かされ、ひしひしと興奮していることがわかる。イメージ的には川上弘美さんの物語に近いものを感じる。好きか、と聞かれれば嫌いじゃない、と私は答えるがこの読後感を久々に感じたような気がする。

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2022/03/05

国語の授業で、問には答えがある。それが当たり前だと思っていました、でも、読み手によるのでは。答えがあるとは限らない。書き手が伝えたいことは明確ではないのでは。と、思いました。

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2021/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

7編すべての物語において、世界も境遇も異なるのにどうしてこんなにも共感するのだろう。余韻を残すラストがどれも切ない。 誰かの感情を的確に表した言葉たち。ここにあるのは愛に他ならない。愛が濃縮して憎しみになったようなものまである。そのひとつひとつの表現がいとおしくて、本から抜き出して大事に何度も咀嚼したいくらい、どれも私の心を強く掴む。

Posted byブクログ

2021/05/12

奇妙で不可解愛な愛をリアルに描いた短編集 話の題材はどれもパラレルワールドのような不可解な世界で満ちている でもそこには必ず愛があって 正しいものなのか間違ってるものなのか分からずに正面から向き合ってく主人公たちが愛しい 素直に面白かった グロテスクな表現もあったがそれが話にリ...

奇妙で不可解愛な愛をリアルに描いた短編集 話の題材はどれもパラレルワールドのような不可解な世界で満ちている でもそこには必ず愛があって 正しいものなのか間違ってるものなのか分からずに正面から向き合ってく主人公たちが愛しい 素直に面白かった グロテスクな表現もあったがそれが話にリアリティをもたらし 現実ではありえない展開を実は実在してるんじゃないのだろうかと思わせる話の面白さ 一番好きなのは『花虫』 人と人の運命を愛を歪に描いた作品 誰かを愛することは必然なのか偶然なのか、それとも策略なのか 世界に突如明らかになった花虫の生態 花虫の繁殖とこの想いは別物だと言い切れるのか そこで生まれる知らなければ 障害ぶつかることのなかった価値観の違い 残酷さの中の情をすごくリアルに感じて面白かった 今まで出会ったことのない部類の本 辻村深月さんとも似て似つかないような 大人になったからこそ深読みできる一冊 【君たちは偽物だったんだ】 『欲情でもなく陶酔でもなく、人を哀れむ心まで、虫は作り出すことができたのだろうか。 始まりはたしかに虫が導いた欲情だとしても、私はきっとユージンを愛していた。彼の孤独も、歪みも、苦闘から生み出される痛々しく澄んだ小説も、尊いものだと感じていた。でも彼は、自分が信じてる幻の神様に背くことができなかった。』 《愛のスカート》 【遠くのきれいな花畑みたいな、触れないものにしか好きになんないから、俺は一生こうなんだって思ってた。でも、好きなものに、触らないまま関わる方法はきっとたくさんあるんだな】 【私はトキワを愛してる。トキワは彼方の花畑を愛してる。…受けてのないまま、とめどなくあふれ広がる私たちの愛は、これからも世界を鮮やかな色で染めていく。】 唯一の可笑しな設定のない物語 服を作るトキワ それを愛する私 子供もいる大家さんトキワの最愛の花畑 トキワの真っ直ぐな純粋な想い 触れられない花畑 そのトキワを道端の花のようにひっそりと思う私 もどかしい!けどそこがたまらなく人間味に溢れてて愛しい 服を作る描写が本当に素敵 目の前の実体験をまさにそこで見てるかのようなリアリティ

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