くちなし の商品レビュー
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直木賞候補作品「くちなし」を含む短編集。 ・くちなし ・花虫 ・愛のスカート ・けだものたち ・薄布 ・茄子とゴーヤ ・山の同窓会 の7編収録。 直木賞候補ということで油断していて、いきなりのSF的シュールな世界観で驚きました。 「くちなし」は多和田葉子の「かかとを失くして」を思い出させられました。 ただ、そのシュールさが三崎亜記の恋愛版という感じもしました。 恋愛の様々な形を描いていると思いますが、設定が突き抜けているものがあったり、 「愛のスカート」や「茄子とゴーヤ」というストレートな物語もあったりの複雑な作品集で、 物語により好き嫌いが大きく分かれて、作品全体としての評価は難しいと思いました。 自分としては、とんでも設定でワクワクし、ストレートものでホッとして楽しむことができました。 それにしても、「くちなし」は直木賞というより芥川賞の間違いではないかと思いました。
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別れた愛人の左腕と暮らす。運命の相手の 身体には、自分にだけ見える花が咲く。 獣になった女は、愛する者を頭から食らう…。 繊細につむがれる7編の短編集。
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かなりくせのある作家ではあるけども、茄子とゴーヤ、山の同窓会、よかった。愛のスカートも切ない。 非、現実な設定は好きではないが、不思議と読めた。
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表題作「くちなし」と、その次の「花虫」まではすごく面白かった。 自由なイマジネーションと官能が同時に体験できる文章、とても好きです。 ただ後半はちょっと失速したので☆は3つ。もっと期待したい。
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くちなし…ユマちゃんの未練の無さと妻の執念深さが対照的。 花虫…多幸感が味わえるのなら虫に操られても別にいい。 愛のスカート…評価はこの作品。絶対にこっちを振り向かない人を片想いするほど辛いものはない。その人の幸せな生活を想像する度に身を剥ぎ取られるような痛みが走る。それでも想い...
くちなし…ユマちゃんの未練の無さと妻の執念深さが対照的。 花虫…多幸感が味わえるのなら虫に操られても別にいい。 愛のスカート…評価はこの作品。絶対にこっちを振り向かない人を片想いするほど辛いものはない。その人の幸せな生活を想像する度に身を剥ぎ取られるような痛みが走る。それでも想い続けるのは人が論理的な生き物ではない証。 けだものたち…女心は変わりやすいが、体まで変わってしまう。 薄布…艶めかしく危なっかしい親子。 茄子とゴーヤ…アラフィフのざらっとしたテクスチャーが男女の新たな道を生み出す。 山の同窓会…命をつなぐことは多分どの生物にとっても一番幸福な事だと思う。
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作者さんご本人も言うとおり、読者を選ぶ作品。 一つ一つの短編に、不思議な世界が広がっている。 でも、私は、嫌いじゃない。 (作品に選ばれた、と思っておこうか。) どの篇にも、愛されることを狂おしく願っているのに、十分には叶えられない悲しみが揺蕩っている気がする。 表題作「くちな...
作者さんご本人も言うとおり、読者を選ぶ作品。 一つ一つの短編に、不思議な世界が広がっている。 でも、私は、嫌いじゃない。 (作品に選ばれた、と思っておこうか。) どの篇にも、愛されることを狂おしく願っているのに、十分には叶えられない悲しみが揺蕩っている気がする。 表題作「くちなし」は、安直な連想かもしれないけど、川端康成の「片腕」を想起させる。 でも、女性が主人公になると、こんなにも違うんだ、と面白くて仕方がない。 結局主人公を捨て、妻子のもとに帰っていく男に、別れの代償として望んだのは、その左腕だった。 主人公は、男の腕を世話し、腕は彼女に充足を与える。 そこに妻が腕を取り戻しに現れ、代わりに今度はその妻の腕を置いていく。 元の持ち主のアイデンティティとは別個のありようを見せる腕たち。 断片になっていく身体のどこに気持ちは存在するのだろう? いろんなことを考えさせられる。 最後に置かれた「山の同窓会」は、今度はカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』をなぜか思い出す。 女たちは産卵ごとに命を削り、3度の産卵を経験して生きながらえることができない。 男はそこまで消耗しないけれど、性的な交渉でやはり命を縮める。 そうして生み出された新しい命は、親を知ることなく育つ。 主人公は産卵しない女性として、記録者として、同世代たちを見送っていく。 「介護人」となって、共に生きた「提供者」たちを見送るキャシーを思い起こさせる。 奇想天外な小品の中に置かれると、「茄子とゴーヤ」で、夫からの度重なる裏切りにも堪えて良き妻、良き母を演じ続けたツグミが、奇妙な世界の人のように見えてきてしまうから不思議。 こういう小説集が、河出書房でも、国書刊行会でもなく、文藝春秋から出るんだ、とちょっとした感慨を持ってしまう。
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愛した男と別れるときその片腕をもらう。その腕を毎日愛でて暮らす。いやいや、そんなの自分にはありえないわ、ないない。身体の中にいる虫によって運命の花が咲き唯一無二の相手と結ばれる、って脳みそ乗っ取られてしまいますが!などと異形の者の、異常な恋愛を否定しながら読んでいるのだけど、ふと...
愛した男と別れるときその片腕をもらう。その腕を毎日愛でて暮らす。いやいや、そんなの自分にはありえないわ、ないない。身体の中にいる虫によって運命の花が咲き唯一無二の相手と結ばれる、って脳みそ乗っ取られてしまいますが!などと異形の者の、異常な恋愛を否定しながら読んでいるのだけど、ふと考える。連作の中にあるいわゆる普通の生活、普通の恋愛、それらも逆からみれば「異形」なのかもしれない、と。 幻想的でグロテスクで、だけど美しい物語たち。自分からは遠い世界の物語だと思っていたけど、なぜか心地いい。どうしてだろう。どうしてだろう。
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初 彩瀬まる なかなか独特の世界だった。 短編の一話ずつ それぞれが異次元で、主人公は人間の様なのに、その中に生きる人達の生活はなんか違う。 愛しい人に腕をあげる。虫が体に寄生してつがいを探す。産卵をする女性、海獣となるクラスメート、昼と夜を住み分けている男と女・・・・ 普通に人としての会話をしてる登場人物が 説明もなくその世界の人として生きている様子に読んでる方はどぎまぎとして、その世界に引きずり込まれる。 いろんな生き方や愛し方を見せられて、切ない。 美しい描写がより その世界を浮かび上がらせているようだ。 ちょっとグロめのファンタジーでした。
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一話目の始まりに衝撃を受ける。別れを切り出された女性が、男性にあなたの腕が欲しい、とねだり、男性は左腕をちぎって女性に渡す。「えっ!?」と思わず声が出てしまった。好きな人の左腕との生活。それ以外にも、女は化け物になって好きな人を食べてしまう話とか、羽虫が人間の中に寄生している話と...
一話目の始まりに衝撃を受ける。別れを切り出された女性が、男性にあなたの腕が欲しい、とねだり、男性は左腕をちぎって女性に渡す。「えっ!?」と思わず声が出てしまった。好きな人の左腕との生活。それ以外にも、女は化け物になって好きな人を食べてしまう話とか、羽虫が人間の中に寄生している話とか、独特な世界の短編集。気持ち悪いようで、美しい、異質な恋愛もの。私は好みでした。
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7編の短編集。なんともまあ、独特の不思議な世界。腕が取れたり、虫に体が乗っ取られていたり、化け物になったり。しかし、こういった世界をしっかりと綺麗に書き上げるから大したもの。最初読み始めて、腕が取れて…と予想外の展開に驚いたけれど、物語の世界へと引き込まれていった。愛がテーマかな...
7編の短編集。なんともまあ、独特の不思議な世界。腕が取れたり、虫に体が乗っ取られていたり、化け物になったり。しかし、こういった世界をしっかりと綺麗に書き上げるから大したもの。最初読み始めて、腕が取れて…と予想外の展開に驚いたけれど、物語の世界へと引き込まれていった。愛がテーマかな。圧倒的な愛とか。愛・人間の本質とか。中でも印象に残ったのは「花虫」。読んでいると幽玄的な花が見えているように感じ、愛の苦しみもよく書けていた。「けだものたち」もよくこういった設定で書けるなあと驚き、こちらも想像が目に浮かび、印象的。
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