1,800円以上の注文で送料無料

くちなし の商品レビュー

3.6

85件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    37

  3. 3つ

    25

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2021/05/12

奇妙で不可解愛な愛をリアルに描いた短編集 話の題材はどれもパラレルワールドのような不可解な世界で満ちている でもそこには必ず愛があって 正しいものなのか間違ってるものなのか分からずに正面から向き合ってく主人公たちが愛しい 素直に面白かった グロテスクな表現もあったがそれが話にリ...

奇妙で不可解愛な愛をリアルに描いた短編集 話の題材はどれもパラレルワールドのような不可解な世界で満ちている でもそこには必ず愛があって 正しいものなのか間違ってるものなのか分からずに正面から向き合ってく主人公たちが愛しい 素直に面白かった グロテスクな表現もあったがそれが話にリアリティをもたらし 現実ではありえない展開を実は実在してるんじゃないのだろうかと思わせる話の面白さ 一番好きなのは『花虫』 人と人の運命を愛を歪に描いた作品 誰かを愛することは必然なのか偶然なのか、それとも策略なのか 世界に突如明らかになった花虫の生態 花虫の繁殖とこの想いは別物だと言い切れるのか そこで生まれる知らなければ 障害ぶつかることのなかった価値観の違い 残酷さの中の情をすごくリアルに感じて面白かった 今まで出会ったことのない部類の本 辻村深月さんとも似て似つかないような 大人になったからこそ深読みできる一冊 【君たちは偽物だったんだ】 『欲情でもなく陶酔でもなく、人を哀れむ心まで、虫は作り出すことができたのだろうか。 始まりはたしかに虫が導いた欲情だとしても、私はきっとユージンを愛していた。彼の孤独も、歪みも、苦闘から生み出される痛々しく澄んだ小説も、尊いものだと感じていた。でも彼は、自分が信じてる幻の神様に背くことができなかった。』 《愛のスカート》 【遠くのきれいな花畑みたいな、触れないものにしか好きになんないから、俺は一生こうなんだって思ってた。でも、好きなものに、触らないまま関わる方法はきっとたくさんあるんだな】 【私はトキワを愛してる。トキワは彼方の花畑を愛してる。…受けてのないまま、とめどなくあふれ広がる私たちの愛は、これからも世界を鮮やかな色で染めていく。】 唯一の可笑しな設定のない物語 服を作るトキワ それを愛する私 子供もいる大家さんトキワの最愛の花畑 トキワの真っ直ぐな純粋な想い 触れられない花畑 そのトキワを道端の花のようにひっそりと思う私 もどかしい!けどそこがたまらなく人間味に溢れてて愛しい 服を作る描写が本当に素敵 目の前の実体験をまさにそこで見てるかのようなリアリティ

Posted byブクログ

2021/04/26

短編集でどの作品も素晴らしいってすごい。非日常を日常的に書かれてて、いま生きてるこの世界とは別次元で本当に存在してるんじゃないかと思った。けだものたちはクリープハイプの「けだものだもの」の元になったお話。

Posted byブクログ

2021/04/11

奇妙な世界観の愛にまつわる短編集。 「くちなし」…愛している人との別れで身体のどこかをもらえるんだとしたら、どこをもらいたいかな… 「花虫」…運命で結ばれた恋人同士に見える幻の花。人間の体内にもぐりこんだ羽虫のせいだとしてその愛情は偽物って言いきれるのか… 「愛のスカート」…純粋...

奇妙な世界観の愛にまつわる短編集。 「くちなし」…愛している人との別れで身体のどこかをもらえるんだとしたら、どこをもらいたいかな… 「花虫」…運命で結ばれた恋人同士に見える幻の花。人間の体内にもぐりこんだ羽虫のせいだとしてその愛情は偽物って言いきれるのか… 「愛のスカート」…純粋に、報われないけど素敵な話だと思った 「けだものたち」…ある意味食べるのは究極の愛のカタチ? 「薄布」…気持ちよくなる遊び方とは? 「茄子とゴーヤ」…私も髪を茄子色に染めたくなった。 「山の同窓会」…私の存在価値って?

Posted byブクログ

2021/02/19

日常を描くのが上手い作家さんだと思っていましたが、奇妙な設定でも登場人物の考え方に共感できたり、その世界ならそうかと納得させられて、すごいと思いました。 くちなしと愛のスカートが好きです。

Posted byブクログ

2021/01/25

読んだことのないタイプの小説。 体の一部を相手にプレゼントするとか、運命の相手とだけ見える花だとか、人形と称して子どもを買う話とか…。 二篇はそうした幻想的な要素は少ない話なのですが、奇妙な世界観にぐっと惹きつけられました。 こうした奇怪な世界観を持つ物語は、奇抜性だけが全面...

読んだことのないタイプの小説。 体の一部を相手にプレゼントするとか、運命の相手とだけ見える花だとか、人形と称して子どもを買う話とか…。 二篇はそうした幻想的な要素は少ない話なのですが、奇妙な世界観にぐっと惹きつけられました。 こうした奇怪な世界観を持つ物語は、奇抜性だけが全面に出ることが多いと思います。 けれど、この本の場合、どのストーリーも登場人物の気持ちや考えは共感できる点が多く、それが幻想的な世界観にリアリティを生み出しています。 耽美的なストーリーもあれば、報われないけれども思うだけの愛を描いた作品もある。女性の欲望を描いた作品もある。7つの作品はどれも奇妙で、個性的。 読んだ後の感触もどの作品も違っています。 個人的には、「花虫」と「愛のスカート」が印象に残った。 「花虫」は、真実が必ずしも人を幸せにはしないのだなと、ありきたりな感想ではあるけれど、考えさせられた。

Posted byブクログ

2021/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

幻想的なファンタジー要素を含む短編集。女性主人公で、ふんわりと美しい感触で読みやすい文章が良い。 この人の描く女性は不倫に罪悪感を感じないなど、少々はみ出している型のキャラが小気味良いと思う。 同作者の『森があふれる』を読むと、あえてそういうキャラを描くようにしているのかと思われる。 佳作良品といった感じの本。

Posted byブクログ

2020/12/20

「森があふれる」からの「くちなし」と彩瀬さん作品再び。今作は短編集で7つの物語が収録されていた。帯の文言「遠ざかるほど、愛に近づく」に惹かれる。 体をバラバラに外せる設定あり、人間の体に寄生する虫が人の交尾を促したり、女性は異形になる世界だったり、3回の出産で人生の終焉を迎える...

「森があふれる」からの「くちなし」と彩瀬さん作品再び。今作は短編集で7つの物語が収録されていた。帯の文言「遠ざかるほど、愛に近づく」に惹かれる。 体をバラバラに外せる設定あり、人間の体に寄生する虫が人の交尾を促したり、女性は異形になる世界だったり、3回の出産で人生の終焉を迎える世界だったりとディストピアものが面白かった。村田沙耶香さん的な世界観だけどもそこまで強烈ではない。文体なのか何故か淡々と紡がれている。設定が不思議だけどそれで勝負していない感じが村田さんとは違う。純文学的な風味が加味されているようだ。

Posted byブクログ

2020/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

彩瀬まるさん、初読。 adajiette さんのレビューを読んで、読んでみようと思った。 ファンタジーというよりも生々しく、SFというほどサイエンスではない、幻想文学という感じだった。 七編の物語は、さまざまなかたちをした執着に囚われてしまう女たちの物語。 あるいは、囚われるのが普通だったり美徳だったりする世界で、そうしない、できない女たちの物語。 この中では普通すぎて(?)異質な『茄子とゴーヤ』が一番好き。茄子の紫、ゴーヤの緑、みょうがの赤紫の彩りが涼しげで、読後にも爽やかさを残して良かった。 明らかにヒトではない生き物の世界の『山の同窓会』も良かった。 産卵するたびに命を削るもの、卵を育てることに専念するもの、戦う生き物に変化するもの、そして一番姿形を変えず、変わらないからこそ長く生きて記録を残すもの。 異生物の、種としてのあり方が語られているのに、クラスとか同窓会とかという私たちの世界の断片が放り込まれている違和感が、面白かった。

Posted byブクログ

2020/02/19

短編集。ファンタジー。恋愛。 創元さんのSFアンソロジー『プロジェクト:シャーロック』から。「山の同窓会」が既読。 奇妙な世界観を求めて読んだが、リアルなお話も普通に面白い。 文章が綺麗で読みやすい印象。 「花虫」「茄子とゴーヤ」が好き。

Posted byブクログ

2019/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不思議な世界観の中の、日常。 どこにも着地しない、とくに報われない。でも苦しくもならない。それぞれの愛し方のはなし、だと思った。 「愛のスカート」を読んで泣いてしまった。「触れないものしかすきになんないから、俺は一生こうなんだって思ってた。でも、好きなものに、触らないまま関わる方法は、きっとたくさんあるんだな」じわじわと沁みてくる台詞。 「茄子とゴーヤ」の主人公は、娘たちにとっては毒親だったのかなあ、と思った。一方的な愛情。

Posted byブクログ