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死刑にいたる病 の商品レビュー

3.7

436件のお客様レビュー

  1. 5つ

    70

  2. 4つ

    186

  3. 3つ

    138

  4. 2つ

    19

  5. 1つ

    4

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2022/08/19

プロローグに「自分は虜囚だ」と出てくるが、登場人物全てそれぞれの虜囚の過程や結果を知りゾワゾワする。連続殺人鬼である榛村大和から冤罪証明を頼まれる筧井雅也が調査を進める内に魅了されていくように、読み進める自分も魅了されていくような気分になる。少しずつ明らかになっていく過去。収監さ...

プロローグに「自分は虜囚だ」と出てくるが、登場人物全てそれぞれの虜囚の過程や結果を知りゾワゾワする。連続殺人鬼である榛村大和から冤罪証明を頼まれる筧井雅也が調査を進める内に魅了されていくように、読み進める自分も魅了されていくような気分になる。少しずつ明らかになっていく過去。収監されながらも支配し続ける術を知って持っている榛村。榛村は死刑によって人生を終えるだろうが、支配された人たちは榛村の死後も癒えることのない悪夢として一生縛られる。恐ろしい。

Posted byブクログ

2022/08/17

非常に情景を浮かべやすく、読みやすい一冊。 明かされる真実がくるくると変化して、翻弄される感覚。 美しいものが恐ろしいのは、どうしてこんなに魅力的なのか。

Posted byブクログ

2022/08/17

構成が見事で展開に無理がない。それだけにどんどん気持ちが滅入る。映画まではゴメン、と思った。この作家も多分これまで。

Posted byブクログ

2022/08/13

久々に次の展開が読めない作品でした。榛村について様々な角度からその人となりが描写されていて、一人の人物についてこんなに考えさせられたのは初めてかも。飽きない構成で文章も読みやすく、2日で一気に読んでしまった。榛村の生まれ育った環境や過去に起きたことがこんなにも人の人格形成に大きな...

久々に次の展開が読めない作品でした。榛村について様々な角度からその人となりが描写されていて、一人の人物についてこんなに考えさせられたのは初めてかも。飽きない構成で文章も読みやすく、2日で一気に読んでしまった。榛村の生まれ育った環境や過去に起きたことがこんなにも人の人格形成に大きな影響を及ぼし、とんでもない凶行に走らせてしまうのだと思うと、空恐ろしくなったし、やはりどこか彼に同情する気持ちも…。 人間誰しも多面性はあるし、一面だけ見て判断できるもんじゃないよね。とか思ってたら、ちょっと人間というものが怖くなってきた…… 個人的には最後まで読んでも、なんでこのタイトルなんだろう?とあまりピンと来なかった。

Posted byブクログ

2022/08/10

完全に息子だと思い込んでしまった笑 一気に読みたくなる程で はないけど世界観はすき。 ストーリーのテンポに途中少し嫌気がさしてしまった。 でも読み終えて本のタイトルに納得。 もう一度読む事はないと思うけど面白かった。

Posted byブクログ

2022/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んでいるうちに、いつ榛村に会いに行ってくれるのかを楽しみにするようになっていた。 マァそういう書き方をしているからそう感じるだけだろうが、雅也が榛村にのめり込んでいくのを目で追いながら、自分も榛村に支配されているのかもしれないと思っていた。 映画がまだレンタルされていなかったので本書を読んだが、阿部サダヲなのは何故だろうか。映画を見たら納得するのかしら。

Posted byブクログ

2022/08/09

自他ともに認める優等生だった小中期とは裏腹に 三流大学に入りうだつの上がらない生活を送っていた、主人公・筧井雅也。 そんな中、「自分の冤罪を晴らして欲しい」と 少年少女連続殺人犯であり、 かつての知人である榛村大和に依頼される。 なぜ彼は殺人を重ねたのか。 その背景には何があ...

自他ともに認める優等生だった小中期とは裏腹に 三流大学に入りうだつの上がらない生活を送っていた、主人公・筧井雅也。 そんな中、「自分の冤罪を晴らして欲しい」と 少年少女連続殺人犯であり、 かつての知人である榛村大和に依頼される。 なぜ彼は殺人を重ねたのか。 その背景には何があるのか。 いったい彼は何者なのか。 榛村の生い立ちを辿っていくうちに思いもよらぬ事実が明らかになり、 また、榛村に影響され、雅也自身も次第に変化していく。 何が正しいのか。どこからが嘘なのか。 そして、榛村の真の思惑とはー。 表紙のデザインからして いかにも暗澹たる雰囲気が漂っていましたが テーマ自体が重た過ぎて何度か途中でやめようと思い でも結論の見届けたさのみで何とか読了した一冊でした。 正直、読中も読後も心象はよくありません。笑 本筋に絡む人物は皆 幼少期に親からの愛情を(それなりにかなり)充分に受けられずに育ち それぞれ、何かしらの闇を抱えています。 榛村も同様で その結果偏った嗜好を抱えた連続殺人犯となり、 一連の事件が明るみになった今、絞首刑を待つ立場になっています。 人を殺めてしまうことは当然倫理的に許されないことながら 榛村は自身の周りにいるあらゆる人物に 長期に渡って多大な影響を及ぼす天性の素質を持っており その伝染性を踏まえて「死刑にいたる病」とは秀逸なネーミングだな、と 読みながらつくづく思いました。 映画化しているようですが しばらく見る元気は起きそうにありません…。笑

Posted byブクログ

2022/08/09

面白かった。 雅也、危なかったねー。 雅也が榛村に翻弄されていく様子がとても恐ろしかった。 エピローグはぞわっとした。こういう終わり方好き。 佐村先生、あなたもですか。 だけどオチがなんだかな。 結局私も彼のお遊びに振り回されただけか!!

Posted byブクログ

2022/08/08

映画の予告で面白そうだったから、原作で/ これ犯人の構造が虜囚の犬とまったく一緒/ そこで得た知識を使い回したかっただけだと思うが、作家買いする人たちにはバレバレになるんじゃないのか/ 虐待を受けた子供が人をコントロールする能力を使って、同じ境遇の人間をコントロールした犯罪/ 最...

映画の予告で面白そうだったから、原作で/ これ犯人の構造が虜囚の犬とまったく一緒/ そこで得た知識を使い回したかっただけだと思うが、作家買いする人たちにはバレバレになるんじゃないのか/ 虐待を受けた子供が人をコントロールする能力を使って、同じ境遇の人間をコントロールした犯罪/ 最後に出てくる彼女への手紙は良いが、面会に付き合ったら彼女にもばれちゃうだろ/ 不気味さを残したかっただけの蛇足かな/

Posted byブクログ

2022/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この話を知ったきっかけは、YouTubeの映画予告動画。面白そうとは思ったものの、動画配信さたら観よう程度の印象だったが、後日本屋で積まれているのを見て、やっぱり読んでみようと決心。時間をかけて読むんだろうと思っていたけど、どんどん引き込まれ、金曜から土曜にかけてで読み終わり、引き込まれすぎて、レイトショーのために映画館まで行ってしまった。(映画もエンタメとしては面白かったけれど、話自体の面白さは断然小説。設定が違う箇所もちょこちょこあります。)     高校時代に挫折を経験した大学生・筧井雅也は、ある日、連続殺人の未決囚から手紙を受け取る。彼は雅也が中学時代まで通ったパン屋の主人・榛村大和だった。榛村は雅也に冤罪を調べてほしいと依頼する。雅也は調査にどんどんのめり込んでいく。     榛村の過去に関わる人物たちに話を聞きながら、榛村の生い立ちから紐解いていくのだけれど、榛村の壮絶な生い立ちの描写などよりも、その過程で挟まれる雅也の心理描写などが、自分の思い出と重なる部分もあり読みすすめるうちに暗い気持ちになった。     「どうして人は、孤独を恥ずかしいと思ってしまうんだろう」(p.11)     近隣住民が冤罪だと署名運動をしてしまうほどに、榛村は他人に好印象を抱かせてしまう天才。そんな彼は、自尊心の低い孤立した少年少女たちを選び、拷問の末に殺すという残虐極まりない犯罪者だった。 「絶望とは死にいたる病である」というキェルケゴールのことばに対し、「死刑にいたる病」とは人々を絶望させることなのだろう。人々の自尊心をくすぐりながらその裡に入り込み、孤立化させ、絶望させた結果、死刑台を待つ身となった榛村。拘置所にいてもなお、人を絶望させる衝動を止められない彼は「死刑にいたる病」患者だ。 物語の中で、幾度となく、友人(特に思春期)の大切さが説かれている。 「人間の正常な精神の発達において、友達という存在がどれだけ重要かがよくわかるよ」(p.106) 「対等にものを言ってくれる人は、人生において重要だよ。人間ってのは周りの人に突っこまれたり、笑われたりしながら、自分のふるまいを矯正していくのがふつうなんだから。友達ってのは、自分を映す鏡だ」(p.182) 自尊心が低下すると大した事のない一言ですら傷つき、硬い殻で身を守ろうとする。怖くて、辛くて「傷つくくらいなら、孤独で結構」と一人を選ぼうとしてしまう。だけど、「自分一人では限界がある。べつの角度からものを見、的確な助言をくれ、あるいは意見を後押ししてくれる誰かが」(p.177)必要なのだと言い続けてくる物語だった。

Posted byブクログ