ウォーク・イン・クローゼット の商品レビュー
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2015年に世に出た綿矢氏の作品。 中篇「いなか、の、すとーかー」および表題作の「ウォーク・イン・クローゼット」からなります。 なお綿矢氏は17歳でデビュー。2004年で芥川賞受賞。すごいですねー。 ・・・ 綿矢氏の作品は芥川賞作品の『蹴りたい背中』以来です。 結構リアルタイム気味に読んだ記憶はあるのですが、テイスト・テクスチャ―がどんなだったかはまったく記憶にありません。 で、今回、ほぼ初めてという感覚で読みました。 で、どうだったかというと、すごい。というか、すらすら読める、 ということに驚き。 それでいて、キャラクタのアクやクセ・えぐみはきちんと作品に反映されているのです。 故につるつる読めるのですが、読中読後にじわじわと酔いが回るような感覚です。日本酒かよ。 とりわけ、読み口のさらさら感は、私が普段好んでいる恩田陸氏や湊かなえ氏より一層つるつる(!?)でした。これに驚きました。 ・・・ さて、えぐみが強いのはキャラ設定だと述べました。 本作は二つの中篇「いなか、の、すとーかー」と表題作「ウォーク・イン・クローゼット」から構成されます。 強烈だったのは、前者では陶芸家石居の幼馴染果穂。石居にたいして憧れも憎しみも兼ね合わせもち、その二面性が「まだら」に現出する描写が良かった。 後者では、デートのオトコ用にそれに合わせたモテ服をチョイスするOLの早希。 これは疲れるんだろうなあ、と読んでてこちらまでちょっと疲れました。作中で彼女は、好きな男の子と幼馴染の女の子と3人でライブに行くことになりましたが、これが大変。男と行くときだったらこういう服・女友達との外出だったらこういう服、とテイストが異なるため、結果ライブに行く前にかれこれ4, 5時間も服のチョイスに悩むという・・・。化粧の時間なくなるよ!?みたいな。 まあでも、どちらも最後はキレイにまとまり、いい感じにおわりました。 ・・・ ということで、ほぼ初めてくらいな綿矢氏の作品でした。 なかなか良かったです。 今後も折に触れて読んでみたいと思います。
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いなかのすとーかーは意表をつかれて面白かったが、最後がパッとしなかった 最後の部分の分量を多くしても良いと思った 後者のウォークインクローゼットはテンポ感がよく面白かった、どんどん読めた 同じ読者の他の作品も読みたい
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いなか、の、すとーかー 大学の授業で使うので読んだ。最後の主人公の考えにはなるほどと思ったが、共感はできない。私なら敵(ストーカー)を倒したり、追い出したりしたい。途中の描写は怖かったが、読むのをやめられなくなった。最終的な主人公の人生観は良い。
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憧れてた物が手に入ったとして、自分には不相応なことってあるよな。 1つ目は芸能人になった友達が妊娠してパパラッチに追われて狭い部屋に引っ越して、そこもバレて逃げてる途中にホテルのトイレで産まれそうになる話。 無事病院で産まれて、お礼として友達のウォークインクローゼットにあった物をもらう。似合わないけど、いつか着こなしてみせる!という前向きなラスト。 ”おれが変わったら、あなたのことを好きになるよ、って言われたのが、引っかかってる。変わること前提で愛してもらうなんて、おかしくないか?”というセリフが心に残った。 2つ目はファンストーカーと幼馴染ストーカーの話。愛情とストーカーは紙一重。 表現者として発信していること、その意図がどうであれ、受け取り方は受け手次第。 露出しといて「お前には見せてない」っていうのと似てるな。実際好意のある相手には見せにいってても、キモいオヤジに見られたら嫌、という身も蓋もない現象。でもそういう服を着ている以上、注目を集めるのは仕方ないし、自分が好きで着ているだけでも、見せるために着ていると思うかどうかは見る側次第で、見る側の意識が変わらないと状況は変わらないんだろうな。 2篇のタイトルがパズルみたいで面白かった。 ウォーク・イン・クローゼット いなか、の、すとーかー
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Aが現れて男性でぽっちゃりで海パンで。こんな人が身近に、頭の中に、もう1人の自分にいたなんて、羨ましい。肯定するのも、会話も全て羨ましい。いた方が絶対いいから。私を食いとめる=Aとのお別れなんだよね、これからはAの言葉を自分の口から発するようになるのかな。食品サンプルもお一人様も...
Aが現れて男性でぽっちゃりで海パンで。こんな人が身近に、頭の中に、もう1人の自分にいたなんて、羨ましい。肯定するのも、会話も全て羨ましい。いた方が絶対いいから。私を食いとめる=Aとのお別れなんだよね、これからはAの言葉を自分の口から発するようになるのかな。食品サンプルもお一人様も珈琲店の隣の会話もイタリア旅行も、とてもレベルの高いと思う。自分を知るって大切だと思う
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いなか、の、すとーかー 初めは女→男への執着ストーカーのホラー話かと思い、身構えて読んでいたが、途中からいい意味で話の路線が変化していった。果穂の歪んだ愛情も恐ろしかったが、やはり砂原の精神をじりじりと壊させられる、ストーカーらしい嫌がらせが1番堪えるなと思った。果穂は最後、もう主人公の前に姿を現さなくなったとあるが、いつまでも主人公の周りを彷徨く砂原がとても気持ち悪く思えた。 ウォーク・イン・クローゼット 早希の性格がとても好きだった。良くも悪くも自分を客観視して、踏みとどまるところではきちんと踏みとどまる。今まで読んできた小説で考えると、早希は流れで隆史と一夜を共に過ごし大後悔…の流れになる。だが、一歩手前で隆史の思惑に気付き、逃げ出したところですごく好きになった。 多分、私は早希の素直さに憧れたから好きになったんだろうなと思った。 この話はところどころ登場人物の言い回しが面白くて笑える部分があった。
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2023.08.05 読了。 2編とも面白かった。 感想はブログにて。 『いなか、の、すとーかー』 https://newblushingviolet.com/inaka-no-stalker/ 『ウォーク・イン・クローゼット』 https://newblushingvio...
2023.08.05 読了。 2編とも面白かった。 感想はブログにて。 『いなか、の、すとーかー』 https://newblushingviolet.com/inaka-no-stalker/ 『ウォーク・イン・クローゼット』 https://newblushingviolet.com/walk-in-closet/
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ストーカーの方は共感出来る人物もいなくて、イライラした。なぜ警察に届けないのか、ずっとイライラしっぱなし。最後もモヤっとした終わり方。 表題作のウォークイン・クローゼットの方がスッキリ。早希の洋服好きは読んでいて清々しい。買って着るだけではなく、ちゃんと手入れをして保管もしてい...
ストーカーの方は共感出来る人物もいなくて、イライラした。なぜ警察に届けないのか、ずっとイライラしっぱなし。最後もモヤっとした終わり方。 表題作のウォークイン・クローゼットの方がスッキリ。早希の洋服好きは読んでいて清々しい。買って着るだけではなく、ちゃんと手入れをして保管もしている。付き合う男性に合わせて洋服を選ぶ徹底ぶり。 一方だりあは、幼い頃からから母親に着せ替え人形の様にかわいい洋服を着せられて、現在も自信がないからとスタイリストが選んだモノを買い取っている。でも洋服には興味が無いというのも皮肉だ。 それでもお互いを軽蔑する訳でもなく、良い関係を続けている。最後だりあの洋服たちも洋服好きな人の元へ渡り、良い結果になった。早希もだりあもユーヤも幸せになると良いな。
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いなか、の、すとーかー 若くして注目を浴びる陶芸家の青年とその幼なじみの男女と、青年を追ってやってきたストーカーの女性の話。 幼馴染の男、すうすけがとにかく最初から最後までイライラする。実家でニートをしながらヘラヘラフラフラして、他人の男女関係に興味津々、無意識に女を見下している...
いなか、の、すとーかー 若くして注目を浴びる陶芸家の青年とその幼なじみの男女と、青年を追ってやってきたストーカーの女性の話。 幼馴染の男、すうすけがとにかく最初から最後までイライラする。実家でニートをしながらヘラヘラフラフラして、他人の男女関係に興味津々、無意識に女を見下しているのが透けて見えて、気持ち悪い。 女性の凶暴性や恋愛に狂うところは、リアルにあることをしってるから笑えない。 ウォーク・イン・クローゼット 最近流行りのシスターフットを思わせる作品。 美人で気が強い売れっ子タレントのだりあと、その幼なじみの婚活中のOL早希の話。 ふたりとも魅力ある女性だけれど、初対面の頃にだりあが早希にバラとイラクサとひっつき虫を強引に握らせて嫌がらせをしてきた場面は印象的で、そんな事をされたのに何故仲良くなれたのか、それは作中でも語られずに、不思議が残った。 子供ってそんなものなのだったか。
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