長女たち の商品レビュー
3編の中編小説からなる。 冒頭の「家守娘」は、母の介護のため仕事を諦め、家に縛り付けられた主人公直美のいら立ち、葛藤を描く。 そんな中で一筋の光が射すように舞い込んできた恋の予感にも母親の横やりが入り、イライラはさらに募るのだが…。 高齢化の現代にありがちなシチュエーションを取り...
3編の中編小説からなる。 冒頭の「家守娘」は、母の介護のため仕事を諦め、家に縛り付けられた主人公直美のいら立ち、葛藤を描く。 そんな中で一筋の光が射すように舞い込んできた恋の予感にも母親の横やりが入り、イライラはさらに募るのだが…。 高齢化の現代にありがちなシチュエーションを取り上げながらも、ひやりとするような、小さな恐怖感を誘う場面を散りばめ、読者を揺さぶる。 2つめの「ミッション」は少し毛色が異なり、主人公頼子が対峙したヒマラヤの奥地に住む人々の死生観にこちらも圧倒された。
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怖い怖い。 我が身を振り返ってぞっとした。 たしかに長女気質ってあると思うし、長女が損なところって多いと思う。(ファンタジー方面に昇華させたのが魔法使いハウルのソフィーだけど。) そして、親との関係。恐ろしいなーと思った。
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ひとりっ子でしょとか、末っ子でしょとか、(きょうだいの)上でしょとか、目の前の相手に口に出しては言わないまでも内心思い思われているのはよくあること。そう思うのって、だいたいが否定的な場合なのかもしれません。甘えた、わがまま、しっかり者だけど偉そう、仕切り屋、そんなところでしょうか...
ひとりっ子でしょとか、末っ子でしょとか、(きょうだいの)上でしょとか、目の前の相手に口に出しては言わないまでも内心思い思われているのはよくあること。そう思うのって、だいたいが否定的な場合なのかもしれません。甘えた、わがまま、しっかり者だけど偉そう、仕切り屋、そんなところでしょうか(笑)。しかしそれっぽくない人ならばそうは思われないわけで、きょうだいの数が性格の形成にいかほど関わるのかは専門家に任せるとして。 本作に登場する長女は3人。連作ではなく独立した話です。姉妹の姉、兄妹の妹、姉弟の姉と、一口に長女と言ってもさまざま。長女ゆえに親の世話をすることになったり、長女ゆえの気質で仕事に臨んだり。 長女あるあるな部分もあれば、長女だからと括られてもという部分もあるでしょう。どの主人公も多分に気負いすぎなところがあり、それがふっと抜けるシーンには心が動かされます。かくいう私も長女。
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3話収録、1話目は面白かったけれど、他の話に進むにつれて尻切れトンボ感。 場面の描写がもっと上手くなればとても面白いと思う。 実際長女である人や、お姉ちゃん気質の人は読んでて「分かる〜〜つらい〜〜」って胸が痛くなる内容。でも読み進めてしまう。ふしぎ。
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【収録作品】家守娘/ミッション/ファーストレディ 解説では「読後感は希望に満ちあふれたものとなるだろう。」とあるが、とんでもない。その前に現実の泥沼にはまり込んで、我が身を思えば容易に浮かび上がれるとは言って欲しくない。他人事か自分事か。介護に限らず、縁の切れない家族との、先が...
【収録作品】家守娘/ミッション/ファーストレディ 解説では「読後感は希望に満ちあふれたものとなるだろう。」とあるが、とんでもない。その前に現実の泥沼にはまり込んで、我が身を思えば容易に浮かび上がれるとは言って欲しくない。他人事か自分事か。介護に限らず、縁の切れない家族との、先が見えない将来の暗さに、立ち上がれなくなる。小説ならいいけれど。
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強烈な1冊。生と死と家族の呪縛がずどんと来る。それらから逃げる姿に微かな希望を感じるけれど、でも人生はその連続で、しかしその選択が出来ずにいるのだろう。 #限界はとうに越えていた #殺すか逃げるか #長女たち #篠田節子
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いま、自分の親が介護施設に入所しているので、親の介護ということがどういうことかわかりかけてきた。そんなときに読んだのでいろいろと共感できる部分があった。もっと若いころに読んでいたら、理解できない部分が多かったかもしれない。
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親が老いたとき、頼りにされるのは長女。 「友達母娘」だったからこそ逃れることも許されず、 外に助けを求めることもためらわれ追い詰められていく。 読みながら心の中で(母親のわがままを許すの?そうだ、そうだ、もっと言ってやったらいい!)と叫んでいた。 第2話の「ミッション」女医の頼子...
親が老いたとき、頼りにされるのは長女。 「友達母娘」だったからこそ逃れることも許されず、 外に助けを求めることもためらわれ追い詰められていく。 読みながら心の中で(母親のわがままを許すの?そうだ、そうだ、もっと言ってやったらいい!)と叫んでいた。 第2話の「ミッション」女医の頼子は発展途上国へ行き、医療に邁進する。頼子は、山岳民族と自身の死生観の違いに戸惑い、距離ができてしまう。国が違えば言葉も慣習も違う。 そのことが丁寧に描かれていた。 命について書かれた全3話。 「長女たち」と一緒に毒を吐き、少し気持ちが楽になった。
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恐ろしい本だと思った。3編の短編小説はいずれも長女が主人公だが、現代の深い問題をえぐりだすような内容となっている。解説者の言葉を借りれば、「老人が尊厳をもって天寿をまっとうすることと、数が少なくなった若者が幸福で充実した人生を送ることと、両立が困難だということ」がテーマになってい...
恐ろしい本だと思った。3編の短編小説はいずれも長女が主人公だが、現代の深い問題をえぐりだすような内容となっている。解説者の言葉を借りれば、「老人が尊厳をもって天寿をまっとうすることと、数が少なくなった若者が幸福で充実した人生を送ることと、両立が困難だということ」がテーマになっているように思われる。第二話の「ミッション」ではヒマラヤの山奥の村を舞台にしているが、長女の側面はほとんどなく、現代の日本人にない彼らの生死感にはハッとさせられ、価値観を激しく揺さぶられる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
久々の篠田節子。 フィクションなのにキツい、重い。 『家守娘』 貧乏くじ引かされたような感じで認知症の母親の介護をしていたら、その母親が妄想に突き動かされて(なまじただの「妄想」でもなかったのだけど)犯罪を犯してしまう。最後に救いらしいものは見られるけれど。 『ミッション』 先進国の援助って結局独り善がりなものになりがちなんだよね、というお話。「正しさ」を盾に今までの生き方を変えさせられる側にとっては確かに堪ったものではない。 『ファーストレディ』 セルフネグレクトの末に「あんたの腎臓なら」と臓器クレクレな発言をする母親が怖い。怖すぎる。 自分も長女だから、傍から見たら「逃げりゃ良いのに」の一言で済む話が、当人にはそうではない、という事情もなんとなく想像が付く。親の介護なんかは、できる限り逃げたいけれどそうもいかないのだろうなぁ。親がボケない保証はどこにもないし。まぁ、今考えても仕方がない話ではあるかな……。
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