風神雷神 雷の章 の商品レビュー
伊年から宗達への改名、烏丸光宏との出会い、貴重な作品との遭遇、習得していく機会が宗達の人生に上手く絡まっていて、事実かどうかではなく、展開に説得力があった。 宗達の嫁・みつの心の広さで、光悦の娘・冴、出雲の阿国がそれぞれの思いをもって、宗達の死後、集まるところも想いの絡み合いに心...
伊年から宗達への改名、烏丸光宏との出会い、貴重な作品との遭遇、習得していく機会が宗達の人生に上手く絡まっていて、事実かどうかではなく、展開に説得力があった。 宗達の嫁・みつの心の広さで、光悦の娘・冴、出雲の阿国がそれぞれの思いをもって、宗達の死後、集まるところも想いの絡み合いに心があつくなった。 宗達を記録した史料がないと後日知るまで、実話であると信じていた。ストーリーの構成が素晴らしい。
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面白かった。 日本史で覚えた名前が血と肉を得た感じ。 フィクションではあるものの、テストで書いていた名前が知ってる人のようになる、という意味でこーゆー歴史物は面白い。しかも、作中ナレーションで時代背景とか為政者の狙いとか説明入ってくるのでなーるほど、という感じになる。ラストらへんはちょっとその説明が多すぎた感はあり。 家康臆病説はおもしろかった。 美がわかる人、という人への憧れがある。 そーゆー人たちが見ている世界というものに興味がある。 今に残っている美術品ってのはそーゆー人たちが自らの美意識でもって作り上げたものなんだよなあ。 宗達作品を改めてみたくなった。
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雷の章では俵屋宗達が京一番、扇は都たわら屋とまで隆盛を描きつつ、本阿弥光悦に変わるターニングポイントとなるキーマン 烏丸光広との出会い、法橋まで登り詰め、人生最後の屏風絵 風神雷神を描き、亡くなるまでのお話でした。 宗達の人生に大きく関与する3人の女性が最後に並び、風神雷神を見な...
雷の章では俵屋宗達が京一番、扇は都たわら屋とまで隆盛を描きつつ、本阿弥光悦に変わるターニングポイントとなるキーマン 烏丸光広との出会い、法橋まで登り詰め、人生最後の屏風絵 風神雷神を描き、亡くなるまでのお話でした。 宗達の人生に大きく関与する3人の女性が最後に並び、風神雷神を見ながら、ぼそっと一言、あの人は鬼やった(^^)
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柳広司らしい仕掛けがなく、随分普通の歴史小説だなあという印象。 史実でわかっていることが少ない俵屋宗達の作品の成り立ちについて、(おそらく)想像をめぐらして描いている。 想像が合っているかどうかはどうだろう? たとえば、関屋澪標図屏風受注の場で、源氏物語が「かな」で書かれているた...
柳広司らしい仕掛けがなく、随分普通の歴史小説だなあという印象。 史実でわかっていることが少ない俵屋宗達の作品の成り立ちについて、(おそらく)想像をめぐらして描いている。 想像が合っているかどうかはどうだろう? たとえば、関屋澪標図屏風受注の場で、源氏物語が「かな」で書かれているために「蔑まれ」「二流以下とみなされた」ので、施主の三宝院門跡覚定が恥ずかしがっているというのは、平安時代のうちから、高級貴族の男性たちによって数々の注釈本が書かれてきたことを考えると、疑問を感じずにいられない。「かな」文学が蔑まれていたのなら、古今伝授なんて現象起きないのでは。
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2018.6.24.読了後半は現代も残る屏風絵が描かれた背景など興味をそそられることが多く、大変興味深く読んだ。途中、妻のみつの視点が入ることで全く見えなかった扇屋としての俵屋の姿が見え、物語が立体的にとらえられた。幕府と朝廷の間に立つ「ぬえ」と称せられる烏丸光広との交流の中で次々開花していく宗達の様子が生き生き描かれていてよかった。前前年だったか、風神雷神図屏風を見たが、今回の視点を持ってまた観に行きたいと思った。また、養源院は行ったことがないので徳川の血天井の呪いを抑えたという唐獅子図も観たいと思え、楽しみが増えた。
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俵屋宗達が風神雷神に辿り着いて、それを、みつ、冴、出雲阿国が解釈する。宗達が本阿弥光悦、烏丸光広との出会いから一介の商人では得られない世界を体験し、余さず吸収する様は必然のよう。鬼は誰なのか。
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少し足りないのではないのか、昼あんどんとまで陰で囁かれていた「ぼんさん」が、今や京一番の扇屋の主人。風の章から見違えるように人が変わる。さらに様々な思惑が複雑に絡み合い誰も手が出せない火中の栗。これを決然と拾い、養源院に唐獅子白象図を描き。世に出る足掛かりとする。宗達の高揚はこれ...
少し足りないのではないのか、昼あんどんとまで陰で囁かれていた「ぼんさん」が、今や京一番の扇屋の主人。風の章から見違えるように人が変わる。さらに様々な思惑が複雑に絡み合い誰も手が出せない火中の栗。これを決然と拾い、養源院に唐獅子白象図を描き。世に出る足掛かりとする。宗達の高揚はこれに留まらず、さらなる新境地、はるかな高処を目指す。行き着いた先程が、畢生の名作、風神雷神図。異物駆逐の闇を切り裂き、自由に飛び回る江戸の一陣の風となり昇天する。美の極みを存分に味わった。
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“妻を娶り、二人の子を生した宗達は、名門公卿の烏丸光広に依頼され、養源院の唐獅子図・白象図、相国寺の蔦の細道図屏風を制作する。法橋の位を与えられ禁中の名品を模写し、古今東西のあらゆる技法を学んだ宗達。盟友が次々に逝くなか、国宝・関屋澪標図屏風、重要文化財・舞楽図屏風を描いた天才絵...
“妻を娶り、二人の子を生した宗達は、名門公卿の烏丸光広に依頼され、養源院の唐獅子図・白象図、相国寺の蔦の細道図屏風を制作する。法橋の位を与えられ禁中の名品を模写し、古今東西のあらゆる技法を学んだ宗達。盟友が次々に逝くなか、国宝・関屋澪標図屏風、重要文化財・舞楽図屏風を描いた天才絵師は、国宝・風神雷神図屏風で何を描いたのか。”―内容紹介より。 カバー:国宝「風神雷神図屏風」(所蔵):建仁寺(俵屋宗達) 表紙:重要文化財「舞楽図屏風」(所蔵):醍醐寺(俵屋宗達) 口絵:重要文化財「白象図」(所蔵):養源院(俵屋宗達)
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終わり良ければ全て良しではないけれど、爽やかで明るくてしみじみとした幕の降り方が全てかなぁという気がする。桜が咲き楽の音が微かに聞こえる、うららかな春の日に、宗達渾身の遺作である(史実であるかどうかはわからないけれど)風神雷神図を、宗達と関わりの深かった3人の女性が眺めている場面の心地好さ。それまでに、3人の女性がそれぞれ素敵に描かれてきているので、温かで気持ちの良い終わりになっていると思った。絵に魅せられた宗達の一生の締めくくりにふさわしいクライマックスだと思った。
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公家の変わり者から、仕事の依頼。寺、神社に絵を書くようになる。扇に書く時は、模写。自作をするようになる。外国に渡った女優が帰国。訪ねてくるが、既になくなっていた。妻は女が誰だか、わかった。
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