騙し絵の牙 の商品レビュー
表紙に大泉洋。 この時点で、読者は一瞬戸惑う。 「え、もう映画化されたの?」 いや違う。問題はそこではない。 通常、小説が映像化されると、あとから帯が変わる。 「映画化決定!」だの「主演〇〇!」だの、いかにも後乗せ感満載で書店に平積みされる。これは見慣れた風景だ。 ところが...
表紙に大泉洋。 この時点で、読者は一瞬戸惑う。 「え、もう映画化されたの?」 いや違う。問題はそこではない。 通常、小説が映像化されると、あとから帯が変わる。 「映画化決定!」だの「主演〇〇!」だの、いかにも後乗せ感満載で書店に平積みされる。これは見慣れた風景だ。 ところが本作は違う。 最初から大泉洋がいる。 どういうことかと思えば、なるほど、そういうことだった。 映像化前提、しかもキャスティングまで決め打ちで書かれた小説。 もはや小説なのか、企画書なのか分からない。 時代は変わった、というより、 物語の作り方そのものが変わったのかもしれない。 ――などと、少し構えて読み始めたのだが。 結論から言えば、 普通に面白い。 こういうときの「普通に面白い」は、実はかなり褒めている。 妙な先入観を持たせておいて、それをきちんと乗り越えてくるのだから大したものだ。 舞台は出版業界。 長らく言われ続けている出版不況を背景に、経営陣はデジタルへ活路を見出そうとする。一方、現場の編集者たちは「紙があってこその文化だ」と譲らない。 ――この構図、どこかで見た気がする。 そう、ほぼすべての業界で繰り返されている“伝統 vs 変革”である。 そして主人公・速水輝也。 大泉洋が演じる前提で書かれているだけあって、まあ魅力的だ。 人たらし。 誰からも好かれる。 社内の信頼も厚く、作家にも頼られる。 こういう人物、現実には「本当にいるのか?」と疑いたくなるが、小説の中では妙に納得してしまう。 たぶん読者の側に、「こういう人にいてほしい」という願望があるのだろう。 さて、物語は当然ながら対立へと進む。 経営陣 vs 編集現場。 そしてこの手の勝負、結末はだいたい決まっている。 会社の中で最後に勝つのは、たいてい会社である。 つまり速水は敗れる。退社を余儀なくされる。 ここまでは「はいはい、そうなりますよね」という展開だ。 ……だが、この男、ただでは終わらない。 ここからが見せ場である。 速水は“人たらし”という武器をフル活用し、まさかの大逆転に打って出る。 その手があったか、というより、 「それ、現実でやったら色々怒られそうだけど大丈夫?」と心配になるレベルの奇策である。 だが小説は、現実ではない。 むしろ現実ではできないことをやってくれるからこそ面白い。 最初は「出来レース感のある企画だな」と思っていたのに、 読み終わる頃にはしっかり乗せられている。 なんだかんだで、 大泉洋を思い浮かべながら読むのが一番楽しい一冊である。
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おもしろかった。単行本380ページあるけど、すぐに読めた。 自分が感じている本の紙の現状と出版業界のあれやこれやを重ね合わせながら、そして速水の置かれた状況に一喜一憂しながら…。 私のぐっときたフレーズは「結局、勧善懲悪の枠組みの中で物事を整理した方が、収まりがええわけや。そう...
おもしろかった。単行本380ページあるけど、すぐに読めた。 自分が感じている本の紙の現状と出版業界のあれやこれやを重ね合わせながら、そして速水の置かれた状況に一喜一憂しながら…。 私のぐっときたフレーズは「結局、勧善懲悪の枠組みの中で物事を整理した方が、収まりがええわけや。そうやないと混乱するから。でも、それは分かりやすいけど、真実ではない。」かな。さて、どの部分に出てくるでしょう?
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大泉さんが大写しになったカバーからてっきり映画のノベライズかと思ったら、主人公を決めうちで当て書きした小説と知り、それは読んだことないなと手に取った。 部下の女子2人が退っ引きならない喧嘩をしている場合、大泉洋であれば会議室に引っ張ったあとおもむろに1人でマジカルバナナをやって...
大泉さんが大写しになったカバーからてっきり映画のノベライズかと思ったら、主人公を決めうちで当て書きした小説と知り、それは読んだことないなと手に取った。 部下の女子2人が退っ引きならない喧嘩をしている場合、大泉洋であれば会議室に引っ張ったあとおもむろに1人でマジカルバナナをやってから話を振る、という妙に説得力のある描写は面白かった。 が、その面白さの半分以上は大泉さん由来な訳で、ミステリとしては果たして謎解きをしたいのか出版業会の愚痴を言いたいのかイマイチ分からず微妙だった印象。 ところでベテラン作家に食いかけのロブスター持たせて挨拶する大泉洋とか、部下のセンスない服をイジる大泉洋、接待でモノマネ攻勢をかける大泉洋を生で見たくなり映画の方を見てみたところ、小説のザ・人たらしではなく、王道ビジネスドラマのイヤミで仕事ができる上司みたいなキャラ造形になっていてビックリした。 それをするなら当て書きした意味はなんだったんだろう。
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一つの職場ものとして面白いとは思った。ただ、面白い止まり、読みやすい止まりでそれ以上のものが自分の中から出て来ない。 出版社や本をめぐる状況が伸び悩んでいて縮小、またはなくさざるを得ない状況になっていっているのはわかるが、結末も煽りすぎで「まあこうなるんだろうなぁ」としか思えなか...
一つの職場ものとして面白いとは思った。ただ、面白い止まり、読みやすい止まりでそれ以上のものが自分の中から出て来ない。 出版社や本をめぐる状況が伸び悩んでいて縮小、またはなくさざるを得ない状況になっていっているのはわかるが、結末も煽りすぎで「まあこうなるんだろうなぁ」としか思えなかった。
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小説の中の人が誰かと特定されて読むと、こんなにもイメージができてストーリーに入り込めるという発見がありました。 組織に翻弄される敏腕中間管理職であるが、最後は組織に反旗をひるがえして辞めたかと思うと、全部ひっくり返す。痛快社会派小説という印象!
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タイトルの意味が最後にわかった。 人が熱くなるのには、いろんな事情があったりする。 そこを大切にできる人は強い。
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大泉洋をオマージュして作られた作品ということで至る所に顔が浮かぶ作品でした。映像化作品は拝見しましたが大分脚色されているのように感じました。本を読むなら買って読んで並べておくのが好きなので、本屋さんが少なくなってきた事や紙媒体の本が売れなくなってる事に憂いを感じている昨今です。本...
大泉洋をオマージュして作られた作品ということで至る所に顔が浮かぶ作品でした。映像化作品は拝見しましたが大分脚色されているのように感じました。本を読むなら買って読んで並べておくのが好きなので、本屋さんが少なくなってきた事や紙媒体の本が売れなくなってる事に憂いを感じている昨今です。本を紹介する番組を毎週楽しみに拝見し本に関する情報得る事が出来て大変喜んでます。作品の中にあるように紙媒体以外の小説との出会いもありますが、やはり紙の本が好きです。
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すべての経験が1つの目的を達する為に繋がっている物語。出版業界の行く末が技術の発展によって左右されていく。ただ、本来は何をしたいのかによって生き方を決めるのが幸せであり、人間なのではと思わせてくれる作品。お金を稼ぐことは優先順位が高いが、1番ではない。お金はあくまでも、目的を達...
すべての経験が1つの目的を達する為に繋がっている物語。出版業界の行く末が技術の発展によって左右されていく。ただ、本来は何をしたいのかによって生き方を決めるのが幸せであり、人間なのではと思わせてくれる作品。お金を稼ぐことは優先順位が高いが、1番ではない。お金はあくまでも、目的を達成する為の手段である。
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出版界と大泉さんを4年取材して作り上げたそうな…! 流石に大泉さん過ぎてびっくりした、、解像度が高すぎる、何回も表情とか声が頭の中で自動再生された…… 内容は出版界の厳しさと幹部との緊迫な掛け合い、いかに読者からも人気が得られ、いかに売り上げを伸ばせられるか。今の出版の厳しさを知...
出版界と大泉さんを4年取材して作り上げたそうな…! 流石に大泉さん過ぎてびっくりした、、解像度が高すぎる、何回も表情とか声が頭の中で自動再生された…… 内容は出版界の厳しさと幹部との緊迫な掛け合い、いかに読者からも人気が得られ、いかに売り上げを伸ばせられるか。今の出版の厳しさを知れました。 最後でいい感じに逆転劇もあり、面白かったのと作中に出てくる掛け合いがとにかく面白い。 電車でスマホを触る時間がこの小説になるくらい入り込める世界観だった
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ブックフェスにて手に取った1冊。 『騙し絵の牙』のタイトルが回収された時、物語がグッと面白くなったなと感じました。 いい作品に出会えたブックフェスに感謝です。
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