ホワイトラビット の商品レビュー
伊坂幸太郎の頭の中凄い。 笑いありほっこりありの 期待を裏切らない伊坂ワールド! 黒澤いい奴! 本を閉じる時、この本の世界が終わってしまうことが寂しかった。 登場人物が愛おしい素敵な作品。
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伏線がバリバリ張り巡らされていて、見事に回収されていく気持ちよさ。 黒沢に兎田、キャラの個性も半端ない。 が、私の読書力が追いつかず、あーーー 、え?え?あーーー!ん? もう一度読まないと…。 オリオン座やら何やらクセ強めの伊坂作品。
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伊坂幸太郎ワールド満載で面白かったです。 理不尽さの描写が長く続くような作品は苦手ですが、本作品では立てこもり事件とその裏側を中心に書いているので、気づいたら一気読みでした。伏線の回収の仕方はさすがです。 レ・ミゼラブルとオリオン座がとにかくたくさんでてきます。
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レミゼラブルとオリオン座をうまく物語に織り込ませながらの語り口調がとても面白い。そして最終局面に迫るにつれて善悪とはを問われるようなそれぞれの背景に、ジャンバルジャンと彼を追う警部が重なった。 さらっと読めるけれど奥が深い。やっぱり伊坂さんは面白いです!
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『仙台での人質立てこもり事件、誰も白兎事件とは呼ばないその事件』の一部始終とそのからくり、顛末を描いた作品。 伊坂作品ではお馴染み、泥棒の黒澤が登場するのだが、もう予想以上の大活躍。 ことの始まりは誘拐ビジネスグループの末端、誘拐担当の兎田がグループの資金を持ち逃げしたコンサル...
『仙台での人質立てこもり事件、誰も白兎事件とは呼ばないその事件』の一部始終とそのからくり、顛末を描いた作品。 伊坂作品ではお馴染み、泥棒の黒澤が登場するのだが、もう予想以上の大活躍。 ことの始まりは誘拐ビジネスグループの末端、誘拐担当の兎田がグループの資金を持ち逃げしたコンサルタント・折尾を見つけて連れてこいと、恋女房を誘拐したリーダーに命じられたこと。 兎田としては折尾を見つけてリーダーのもとに連れていき、愛する妻と交換すれば無事任務完了…のはずが、何故か立てこもりをしてしまうことになる。 伊坂さんの作品は一見本筋とは無関係に思える蘊蓄話や世間話、またはちょっとした失敗や脱線がきちんと後で繋がってくるから楽しいのだが、その分気を抜けない。 例えば泥棒見習いといったところの今村が五年掛かって読んだという『レ・ミゼラブル』の作者が『妙にしゃしゃり出て』くる手法も本編に取り入れられるし、折尾が好きなオリオン座の蘊蓄も上手く利用される。 何と言っても進退極まった兎田の窮地を救うのが立てこもられた側の被害者というのが楽しいし、そこは伊坂作品だけに立てこもられた被害者側も一筋縄ではいかない。 そして立てこもり事件を解決する側の警察、事件のそもそもの原因である誘拐グループリーダーと拉致された兎田の妻、黒澤に何かと迷惑を掛けているのにそう感じない今村とその親分の中村というオトボケコンビ、視点は目まぐるしく変わってバタバタしているのに目が離せない。 パズルのピースを嵌めていくというか、寄せ木細工の箱を開ける感じであっちを寄せて、こっちをずらしてって感じでやがて真実が見えてくる。 この辺の巧妙さは伊坂さんの真骨頂。 結局序盤から読み直したりして大変だけど、そうしたくなるのだから仕方ない。 常に冷静な黒澤だが、小さなことでも疎かにしない故に巻き込まれたり、一見凪のように落ち着いて見えてその実後で振り返ればやっぱり慌ててたのだな、というところを見せるのは面白い。
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レ・ミゼラブルのようにうるさい地の文に気をとられまいと読み進めると、途中で種が明かされ「えー?どこから?」と大混乱。読み直すと全然違う話に見えて2度楽しめました。
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以前読んだことがあったのに、読んでいたことを忘れてメルカリで買ってしまったので2度目(笑) 伏線回収は気持ちいいんですが、ちょっとややこしいかな??黒澤さんと人質にされてた親子は、警察が来る前にはもう家から抜け出していたってことなんですよね??そこが分からなくて、オリオオリオに黒澤さんが成りすましてたのは分かるけど、どうやって抜け出した!?とちょっともやっとしてしまいました
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最近また伊坂幸太郎ブーム。いっときこの文章の感じがあまり好きじゃなくなってたけど、面白く感じるようになった。これに出てくる泥棒の黒澤ってほどでも見た気がする。が、記憶が曖昧過ぎて何で見たのか思い出せない。なかなかのどんでん返し。
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油断して読んでいたら、物語中盤からどんどん面白くなっていく! そして、時々不意に 伊坂さんから冷静なテンションで読者へのメッセージが出てくるのもまた面白い(笑)
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因果応報。自業自得。自分が今まで行ってきたことが、自分にのしかかって、初めて今まで自分がしてきたことが酷いことであったと自覚することになる。と、いうのがこの物語の犯人・兎田孝則である。 ずっと読んでみたいと思っていた作家の作品であったのだが、物語が時系列に進んでいかないため、解...
因果応報。自業自得。自分が今まで行ってきたことが、自分にのしかかって、初めて今まで自分がしてきたことが酷いことであったと自覚することになる。と、いうのがこの物語の犯人・兎田孝則である。 ずっと読んでみたいと思っていた作家の作品であったのだが、物語が時系列に進んでいかないため、解決への方向性を推測できず、言葉1つを読んで『もしかして、前やにおわすような描写があったのか?』と、思うことが多く、結果的に3回も読んでしまった。 本作は、『白兎事件』の籠城事件の主犯・兎田孝則とその妻・綿子、空き巣で探偵の黒澤、黒澤の空き巣仲間の中村と今村、籠城された佐藤親子、コンサルタントの折尾豊(通称オリオオリオ)、誘拐ベンチャー企業の社長・稲葉そしてSITの夏之目がおさえておきたい登場人物である。 また、本作では『レ・ミゼラブル』と『オリオン座』が物語構成のKeyとなっている。 本文での空き巣・今村の言葉で『レ・ミゼラブル』を「あの小説って、ところどころ、変な感じなんですよね。急に作者が『これは作者の特権だから、ここで話を前に戻そう』とか、『ずっと後に出てくるはずな頁のために、ひとつ断っておかねばならない』とか、妙にしゃしゃり出てきて」とあり、この描写に吹き出してしまう。なぜかは、本作を読めば明らかであるが、本作ではいたる所で、作者の特権が伺えるのだ。ただ、これが本作の特徴であるのか、作者の特徴であるのかは、私がこの著者の作品を初めて読んだのでわからない。 本作においては、この『レ・ミゼラブル』手法あるいは『作者の特権』手法は明らかに特徴の1つで、普通は読者が行間を読むところをあえて、作者あるいは作者の代わりの登場人物が自分の立場で行間を説明している。 そして、もう1つの文章構成のKeyに『オリオン座』がある。オリオン座のベデルギウスと地球との距離は640光年である。もし、ベデルギウスが爆発すると太陽が2つあるような明るさになるそうだ。ただ、ベデルギウスがたとえ今日爆発しても、私はそれを知らずに死んでいく。なぜなら爆発から640年経たないと爆発したことが分からないからだ。 これがまさしく本作の展開の手法で、「すでに起きてきる出来事も、時間がずれないと見えないわけだ」と、さりげなく手法の説明がされている。この『オリオン座』手法は時系列に物語が進んでいくのではなく、現在の描写後に現在に至った過程の説明が後追いで描写されている。 この2つ『レ・ミゼラブル』手法と『オリオン座』手法が、本作の文章構成のKeyであり、私の場合は、この構成の理解のために3回も本作を読むことになった。ただ、これを知ることで、展開、結末を無理なく理解することができた。 偶然ではあるが、今年の初めにテレビで、冬を代表するオリオン座の「ペテルギウス」が昨秋から急に明るさが3分の1になったと聞いた。ペテルギウスはもともと明るさが変わる変光星ではあるようだが、いつ超新星爆発が起きてもおかしくないようである。爆発の前兆かもしれないとのことだか、万一、私が生きている間に640年前の爆発が地球に届いたならば、その時、私は本作を必ず思い出しているだろう。 『レ・ミゼラブル』、『オリオン座』の説明は、本作の手法のためだけの登場て話はなく、これらの意味するところが、名言として登場する。例えば、SITの夏之目の亡くなった娘・愛華が残した「海よりも壮大な光景がある。それは空だ。空よりも壮大な光景がある。それは、…」は、オリオン座、つまり宇宙に引っ掛けて出されているようで印象的であり、私には名言の一つとして記憶された。 星座と言われても、夜空を見上げて分かるのは多分、「北斗七星」くらいで、今まで関心がなかった。そのため本作で「オリオン座」とそのギリシャ神話の『サソリが苦手なオリオン』や、最後でもチラっと、書かれている『月とオリオンの物語』にそそられ調べることで使うことがあるかはわからないが、知識が増えたので、読後の満足感はかなり高い。
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